「私選弁護士の費用はいくらかかるの?」
「HPに具体的な金額が書かれておらず、不安…」
刑事事件で弁護士を探すとき、多くの方がこのような悩みを抱えています。
まず結論をお伝えすると、私選弁護士の費用は「40万円から150万円程度」が一般的な相場となります。
金額に幅があるのは、さまざまな要素が費用に影響するからです。
たとえば、逮捕前に相談するか起訴後に依頼するかでも変わりますし、弁護士の実績や専門性、事件の複雑さによっても費用は変動します。
だからこそ、どういった考え方で費用が決まるのかを知り、費用に納得したうえで信頼できる弁護士に依頼することが重要なのです。
本記事では、私選弁護士の費用について、依頼するタイミング別に詳しく紹介するとともに、保釈金や示談金などの弁護士費用以外でかかるお金についても、具体的な金額を示しながら説明していきます。
国選弁護人との違いや、私選弁護士の費用を抑える方法も紹介しているので、費用面で悩んでいる方はぜひご一読ください。
※弊所グラディアトル法律事務所の弁護士費用は、こちらのページで詳しく記載しています。
※「グラディアトル法律事務所の弁護士費用について」
目次
【タイミング別】私選弁護士の費用合計の目安

刑事事件で私選弁護士に依頼する際の費用は、どの段階で依頼するかによって大きく変わります。一般的には、被疑者段階・被告人段階ともに40万円程度からが目安となります。
◉ポイント
なぜタイミングによって費用が異なるの?
これは、依頼を受けるタイミングによって、弁護士が行う活動内容や手続きの複雑さが違うからです。
被疑者段階とは、警察による逮捕や在宅での捜査を受けているものの、まだ検察による起訴決定がなされていないタイミング、被告人段階とは、すでに検察が起訴を決定し、刑事裁判の開始を控えている、もしくは裁判が進行中の時期です。被疑者段階なら、弁護活動の目的は「不起訴になること」が主軸となりますし、被告人段階なら「刑事裁判への対応」がメインとなります。
それぞれの段階で必要となる弁護活動が異なるため、費用体系も変わってくるのです。また、身柄を拘束されているか(逮捕されているか)、それとも在宅で捜査を受けているかによっても、接見や保釈申請など追加の手続きが必要となるため、弁護士の費用に影響します。
被疑者段階の目安費用
被疑者段階の場合、つまり起訴されていない段階の場合、40万円程度からが一般的な相場です。内訳は以下のとおりです。
【在宅事件(逮捕なし)】
| 費目 | 金額 |
|---|---|
| 初回相談 | 30分5000円~1万円 |
| 着手金 | 33万円〜55万円 |
| 成功報酬(示談成立・不起訴・略式など) | 33万円〜120万円 |
| 警察同行日当 | 距離・所要時間等に応じて日当が発生 |
| 合計費用 | 40万円前後+成功報酬(33〜120万前後) |
【身柄事件(逮捕あり)】
| 費目 | 金額 |
|---|---|
| 初回相談 | 30分5000円~1万円 |
| 着手金 | 33万円〜55万円 |
| 事件の成功報酬(示談成立・不起訴・略式など) | 33万円〜120万円 |
| 身柄解放の成功報酬(保釈・勾留取消・接見禁止の解除など) | 11万円〜33万円 |
| 接見日当 | 距離・所要時間等に応じて日当が発生 |
| 合計費用 | 40万円前後+成功報酬(11〜150万前後) |
身柄事件の場合、弁護士が拘置所や警察署への接見を繰り返し行う必要があります。
さらに、早期の身柄解放に向けた活動も欠かせないため、在宅事件と比較して費用が高額になる傾向があります。
被告人段階の目安費用
被告人段階から依頼するときの弁護士費用も、在宅起訴されているか身柄拘束が続いているかで変わります。在宅起訴の場合は40万円程度から、身柄事件として勾留が継続している場合は50万円程度からが目安となります。
【在宅事件(逮捕なし)】
| 費目 | 金額 |
|---|---|
| 初回相談 | 30分5000円~1万円 |
| 着手金 | 22万円〜55万円 |
| 成功報酬(無罪・罰金・執行猶予など) | 33万円〜120万円 |
| 裁判出廷日当(1回あたり) | 3万〜5万 |
| 合計費用 | 40万円前後+成功報酬(33〜120万前後) |
【身柄事件(逮捕あり)】
| 費目 | 金額 |
|---|---|
| 初回相談 | 30分5000円~1万円 |
| 着手金 | 22万円〜55万円 |
| 接見日当 | 3万~5万円 |
| 事件の成功報酬(無罪・罰金・執行猶予など) | 33万円〜120万円 |
| 身柄解放の成功報酬(保釈) | 11万円〜33万円 |
| 裁判出廷日当(1回あたり) | 3万〜5万 |
| 合計費用 | 50万円前後+成功報酬(11〜150万前後) |
私選弁護士に依頼するとかかる費用の項目内訳

ここまで、タイミング別の費用総額を見てきました。
2章では上記の表に出てきた各費用項目が、具体的にどのような内容なのか詳しく解説していきます。
相談料、着手金、接見日当、報酬金、実費などの5項目に分けて解説しますが、私選弁護人の費用の中心となるのは、着手金と報酬金です。したがって、弁護士費用を比較するときは、まず着手金・報酬金をメインに比べると分かりやすいでしょう。
なお、稀にタイムチャージ制(1時間あたりいくらという時間単価制)の事務所もありますが、基本的には着手金・成功報酬を中心とした報酬体系が多いです。
以下、それぞれの項目について詳しく説明します。
相談料|無料〜1万円
相談料とは、弁護士に法律相談をする際にかかる費用です。30分5000円から1万円程度に設定されているケースが多く、相談時間に応じて費用が発生します。
弁護士事務所によっては、初回相談のみ無料となっているケースもあります。
弁護士選びで迷っている場合は、まずは無料相談を活用してみて、信頼できる弁護士なのか、具体的にどのような方向性で進めてくれるのかを確認してみるとよいでしょう。
着手金|33万円〜
着手金は、弁護活動に着手する対価となる費用です。刑事弁護を依頼したタイミングで支払う費用で、結果にかかわらず発生します。
着手金の目安は33万円から55万円程度です。後述する報酬金とあわせて、私選弁護士の費用のうち大きな割合を占める費用となります。
事件の複雑さや想定される弁護活動の内容によって金額が変動することもあるため、契約前に必ず確認しておきましょう。
接見日当|1回あたり5万5000円〜
接見日当は、逮捕されている依頼者のもとへ出向き、面会(接見)を行う際に発生する費用です。これは身柄事件(依頼者が逮捕されている事件)のみで発生する費用となります。
接見1回あたり5万円程度が目安です。
報酬金|33万円〜
報酬金とは、弁護活動によって一定の成果が得られたときに発生する費用です。報酬金には、大きく2種類があります。
1つ目は、事件そのものの報酬金です。弁護活動によって不起訴になった、無罪になった、求刑よりも軽い刑が言い渡されたなど、事件の最終的な結果に対して発生します。
2つ目は、身体拘束関連の報酬金です。こちらは事件そのものの結果に対してではなく、逮捕・勾留からの解放(保釈)、接見禁止の解除など、身柄拘束関連の成果に対して発生する費用です。
報酬金の目安は、以下のとおりです。
| 報酬金の種類 | 金額の目安 |
|---|---|
| 事件そのものの報酬金 | 33万円〜120万円 |
| 身体拘束関連の報酬金 | 11万〜33万円 |
報酬金は、着手金と並び、私選弁護士費用の中心を占める費目の1つです。
どういった結果に対してどの程度の報酬が発生するかは、契約書に記載されています。弁護士によって金額が大きく異なるので、必ず事前にしっかりと確認しましょう。
実費
その他、次のような実費が発生します。
・謄写料(コピー代)
・弁護士の交通費や宿泊費
・証人費用、鑑定人費用 など
これらの実費は、弁護活動に必要な経費として、実際にかかった金額を支払うことになります。遠方での裁判や複雑な事件では、実費も積み重なることがあるため、事前に概算を確認しておくとよいでしょう。
刑事事件で私選弁護士の費用以外にかかるお金
刑事事件では、弁護士費用以外にも以下のような費用が発生します。

保釈金の費用
保釈金とは、刑事裁判で起訴後に勾留されている被告人が、保釈の条件として裁判所に納める金銭のことです。逃亡や証拠隠滅を防ぐための「保証金」であり、「裁判所に人質として預けておくお金」というイメージが分かりやすいでしょう。
裁判所が定める保釈条件をきちんと守れば、後日、全額返還されます。つまり、一時的に預けるお金であって、失うお金ではありません。
一般的な相場は150万円から300万円程度ですが、事件の内容や被告人によって大きく変動します。特に、被告人の資産状況の影響を受けやすく、被告人に高額な資産があれば、数千万円以上の保釈金が必要となるケースもあります。
被害者との示談金の費用
刑事事件の示談金とは、加害者が被害者に対して支払う賠償金のことです。
この示談金には損害賠償(被害弁償)や慰謝料のほか、「事件を許してもらうことへの対価」や「謝罪の気持ち」なども含まれます。
一般的に刑事事件では、示談が成立しているかが、刑事処分の結果に大きく影響します。
そのため、薬物事件などの被害者がいない事件を除けば、基本的に示談金の支払いは必須と考えておくべきでしょう。
示談金として必要な金額は、事件の内容によってまったく異なります。
軽い暴行、窃盗などなら10万円程度で済むケースもあれば、被害者が重傷・死亡などの結果が生じていれば数千万円を超える金額が必要となる事件もあります。
犯罪別の示談金額の目安は以下にまとめたので、あわせて確認してください。
■性犯罪
ひき逃げの示談金相場はどれくらい?高額になる3つのケースを紹介
【相手別】名誉毀損の示談金の相場は?変動要素や減額方法も徹底解説!
暴行罪の示談金相場は10〜30万円!金額を決める5つの要因も解説
贖罪寄付の費用
贖罪寄付とは、刑事事件の加害者が反省の気持ちを表現するために、「罪を償う」という意味を込めて寄付することです。薬物事件などの被害者がいない事件や、被害感情が強い等で示談が難しい事件で、示談の代替手段として活用されます。
直接被害者に支払うお金ではないので、示談金よりも低い金額となるケースが多いです。
事件の内容にもよりますが、一般的には10万円から50万円程度が目安となります。
国選弁護人と私選弁護士はどっちを選ぶべき?
ここまで私選弁護士の費用について解説してきましたが、「そんな費用は払えない」と感じた方もいるかもしれません。実は、経済的に余裕がない場合は、国選弁護人という選択肢もあります。
国選弁護人とは、経済的に困窮している被疑者・被告人のために、国が費用を負担して選任する弁護士のことです。具体的には、本人の資産(預金残高など)が50万円未満なら、無料で弁護を受けることができます。
ただし、私選弁護人に払える経済的余力があるなら、できる限り私選弁護人を選ぶべきです。国選弁護人は無料で依頼できますが、勾留が決定してからでないと依頼できないため、逮捕後の身柄解放は期待できません。
警察で不当な取調べなどが行われても、弁護士によるサポートを受けられない期間が生じてしまいます。
さらに、自分で弁護士を選べない点も大きなデメリットです。刑事事件の経験が浅い弁護士が担当するケースもありますし、弁護士との相性が悪くてスムーズなやり取りができないケースもあります。
前科を回避して社会復帰したい、早期に身柄を解放されたいという方は、費用をかけてでも刑事事件が得意な弁護士を見つけて、相談・依頼することをおすすめします。
◉ポイント 費用が払えない場合、国選弁護人以外の選択肢もある
経済的な余裕がないけど、私選弁護人に依頼したいという人は、日弁連が実施している「刑事被疑者弁護援助」もあります。
刑事被疑者弁護援助は、逮捕段階の被疑者が弁護士費用の援助を受けるための制度です。逮捕から勾留までの段階、つまり国選弁護人に依頼できないタイミングで利用すれば、私選弁護人の費用を日弁連が立て替えてくれます。
後日、返済は必要ですが、逮捕直後から弁護活動を依頼できますし、弁護人を自分で選べるので、国選弁護人のデメリットをカバーできます。
私選弁護士の費用を抑えるポイント

私選弁護士に依頼すると一定の費用負担は発生しますが、工夫次第で抑えることができます。5章では、費用負担を軽減するための3つのポイントを紹介します。
できるだけ早いタイミングで相談する
まず大切なのが、できるだけ早いタイミングで相談することです。早ければ早いほど、良い結果を得られる可能性が高まりますし、必要な弁護士費用も抑えられます。
たとえば、逮捕前に依頼すれば、身柄拘束を解くための費用がかからなくなりますし、接見日当なども発生しません。事件が発生して直後、まだ被害届も出される前のタイミングで依頼をすれば、被害者との示談交渉や、そのために発生する示談金だけで解決できるケースもあります。
時間が経てば経つほど、事件は複雑化し、必要な弁護活動も増えていきます。できるだけ早く弁護士に相談することが、結果的に費用を抑えることにつながるのです。
自動車保険・個人賠償責任保険・弁護費用特約などを活用する
事件によっては、自動車保険や個人賠償責任保険などに付帯している「弁護士費用特約」が使える場合があります。
特に交通事故に関連する事件の場合、一部の保険では「刑事弁護士費用条項」が設けられており、刑事事件の加害者弁護でも、弁護士費用が保険から賄われるケースがあります。
交通事件以外でも、民事上の示談交渉では「弁護士費用特約」が使える場合がありますし、被害者に対して発生する示談金は、個人賠償責任保険などから支払われるケースが多いです。
無料相談だけでもすぐに利用する
「まだ依頼するかわからない」という段階でも、無料相談だけでもすぐに利用することで、費用を抑えられるケースがあります。
30分といった短時間でも専門家のアドバイスを受ければ、今後の見通しやリスク・対処法が明確になるからです。
弊所グラディアトル法律事務所で実際にあった事例として、事件が発生してすぐに無料相談を受けて、初期対応を確認した結果、すぐに示談へ進むことになり、後から発生する100万円以上の費用を支払わずに済んだという事案があります。
相談だけなら費用はかかりませんし、その場で依頼を決める必要もありません。早めに方向性を確認することが、結果的に大きな費用削減につながるのです。
刑事事件で私選弁護人に依頼するならグラディアトル法律事務所へご相談ください
ご家族が逮捕された方、あるいはご自身が事件を起こしてしまい、私選弁護人に依頼すべきか迷っている方は、ぜひグラディアトル法律事務所にご相談ください。
刑事事件は、逮捕・勾留による身柄拘束だけでなく、前科がつくことで今後の人生に大きな影響を及ぼす重大な問題です。特に初めて刑事事件に直面した方は、何から手をつければよいか分からず、費用面も含めて様々な不安を抱えていることでしょう。
グラディアトル法律事務所の弁護士は数多くの刑事事件を取り扱っており、豊富な経験とノウハウを有しています。それぞれの弁護士が得意分野をもっておりますので、事件の特性に応じて、最適な弁護方針をご提案いたします。
費用についても、契約前にしっかりとご説明させていただきますのでご安心ください。
「私選弁護人の費用がどのくらいかかるのか」「国選弁護人と比べてどんなメリットがあるのか」「今すぐ動いてもらうには何が必要か」など、どんな疑問でもお答えします。
初回相談は無料です。24時間365日ご相談を受け付けていますので、まずはお気軽にご相談ください。
【Q&A】私選弁護士の費用についてよくある質問
弁護士費用は分割払いもできますか?
弁護士事務所によって異なりますが、一括払いのみという事務所が多いです。
弊所グラディアトル法律事務所でも、基本的に一括払いでお願いしていますが、事件の性質や難易度等によっては分割払いをご案内できることもございます。詳しくはご相談時にお問い合わせください。
望むような結果にならなくても費用は発生しますか?
着手金や日当は、結果にかかわらず発生します。一方、成功報酬については、契約で定めた成果が得られなかった場合は発生しません。
どのような結果に対して報酬が発生するかは、契約時に必ず確認しておきましょう。
相談するだけでも費用は発生しますか?
弁護士事務所によって異なります。一般的には、法律相談をすると30分5000円から1万円程度の費用が発生するケースが多いです。
ただし、初回相談のみ無料という事務所もあります。グラディアトル法律事務所でも、初回相談は無料で受け付けていますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
最後に、記事のポイントをまとめます。
◉私選弁護士の費用相場
・一般的な相場は「40万円から100万円程度」
・費用は、依頼のタイミング、事件内容、身柄拘束の有無によって変動する
◉【タイミング別】費用の目安(着手金+成功報酬)
・被疑者段階(起訴前)
・在宅事件(逮捕なし):40万円前後+成功報酬
・身柄事件(逮捕あり):40万円前後+成功報酬(接見日当が加わる)
・被告人段階(起訴後)
・在宅事件(逮捕なし):40万円前後+成功報酬
・身柄事件(逮捕あり):50万円前後+成功報酬(接見・裁判日当が加わる)
◉弁護士費用の主な内訳
・相談料:無料〜1万円程度
・着手金:33万円〜。結果にかかわらず発生する初期費用
・報酬金:33万円〜。不起訴・執行猶予など、成果に応じて発生する費用
・接見日当:1回5万円程度。逮捕されている場合に発生
・実費:交通費や宿泊費、郵券、コピー代など
◉弁護士費用以外にかかるお金
・保釈金:相場は150万〜300万円。裁判が終われば全額返還される
・示談金:被害者への賠償金。金額は事件内容によって大きく異なる
・贖罪寄付:相場は10万〜50万円。被害者がいない事件などで活用される
◉弁護士費用を抑えるポイント
・できるだけ早いタイミングで弁護士に相談する
・自動車保険などの「弁護士費用特約」が使えないか確認する
・まずは無料相談をすぐに利用して、見通しを立てる
以上です。
この記事が参考になったと感じましたら、ぜひグラディアトル法律事務所にご相談ください。一日も早く事件が解決し、平穏な日常を取り戻せることを願っています。
