撮影罪とは?構成要件や盗撮での迷惑防止条例との違いなど徹底解説!

撮影罪とは?構成要件や盗撮での迷惑防止条例との違いなど徹底解説!

2023年(令和5年)7月13日、盗撮を取り締まるための「撮影罪」が施行されました。

これにより、盗撮の処罰範囲は大幅に拡大し、罰則も重くなり、撮影行為だけでなく、盗撮データの提供・保管・送信・記録も処罰の対象になりました。

盗撮であらぬ疑いをかけられたり、軽い気持ちでの撮影行為で逮捕されたりしないためにも、撮影罪の成立要件や処罰内容、対処法を正しく知っておきましょう。

弊所グラディアトル法律事務所では、撮影罪の加害者弁護について

  • ファミレスのトイレ内で従業員女性を盗撮をして、示談金30万円を支払い、わずか20日で不起訴処分を獲得した事例!
  • ホテルで女性の裸を盗撮し、150万円を要求されたが、50万円まで減額し、示談が成立した事例!
  • エスカレーターで女性のスカートの中を盗撮し傷害を負わせたが、示談金50万円を支払い、被害届を取下げてもらった事例!

などいくつもの解決実績があります(9章で詳しく紹介します。)

本記事では、そんな豊富な実績をもつ現役弁護士の視点で、撮影罪について分かりやすく解説します。

【このコラムを最後まで読めばこれがわかる!!】

  • 撮影罪の定義、構成要件等の内容や具体例
  • 盗撮事件における撮影罪と迷惑防止条例との違い
  • 撮影罪にあたる場合にとるべき行動・方法・流れ
  • 弊所の解決事例撮影罪について、依頼者の方からよくある質問と回答

コラム記事が少し長いですが、ぜひ最後まで読んで、困ったら弊所にご相談ください。

目次

撮影罪とは

「撮影罪」とは、裸や下着、性行為など性的な姿態についての盗撮を禁止する犯罪です。

これまで盗撮は、各都道府県の迷惑防止条例や軽犯罪法などで取り締まられてきましたが、条例ごとに罰則がバラバラで、対応できないケースも多くありました。

そこで、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(以下「性的姿態撮影等処罰法」といいます) が新たに制定され、盗撮行為は「撮影罪」として処罰されることになりました。

撮影罪が成立する要件(構成要件) 

撮影罪は、以下の2つの要件を満たした場合に成立します。

  1. 人の性的姿態等を
  2. 盗撮(ひそかに撮影など)すること

「①人の性的姿態等」とは、簡単にいえば、性器・肛門・臀部・胸部などの性的な部位、性的な部位を覆っている下着、わいせつな行為や性交等がされている間の人の姿のことです。(※2章で詳しく解説)

「②盗撮(ひそかに撮影など)」については、ひそかに撮影する典型的な盗撮だけではなく、同意なく撮影する場合も含めた4つの類型が定められています。(※3章で詳しく解説)

未遂も処罰対象になる

撮影罪は、未遂も処罰の対象としています(性的姿態等撮影等処罰法2条2項)。

つまり、「撮れてませんでした」は言い訳になりません。

未遂にあたるかは、カメラの設置などの行為により盗撮被害の危険が現実化したといえるかどうかで判断されます。

たとえば、デリヘル嬢の裸を盗撮しようとしてホテルのベッド付近にカメラを設置した場合、撮影される人がホテルの部屋に入室した時点で、盗撮被害の危険は現実化したといえるので、未遂が成立すると考えられます。

撮影される側がカメラに気づき、結局撮影できなかった場合でも、処罰の対象になります。

※以下の記事で詳しく解説しています。

撮影罪の刑罰・罰則

撮影罪は、3年以下の拘禁(懲役)刑、300万円以下の罰金が定められています。

撮影した動画をインターネットにアップするなど、不特定多数の人に提供(不特定多数への提供罪)したり、公然と陳列したり(公然陳列罪)する場合には、5年以下の拘禁(懲役)刑、500万円以下の罰金と、さらに重い刑が定められています。

撮影罪の対象となる「性的姿態等」とは

撮影罪の対象となるのは、人の「性的姿態等」です。

法律上、「性的姿態等」とは、性的な部位、身に着けている下着、わいせつな行為や性交等がされている間の人の姿を指します。

▼撮影罪の対象となる性的姿態等の例

性的な部位とは、性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部人が身に着けている下着のうち現に性的な部位を覆っている部分わいせつな行為又は性交等がされている間における人の姿態

出典:法務省「性犯罪関係の法改正等 Q&A

以下に、よりわかりやすく「性的姿態等」の具体例をまとめました。

撮影罪の対象となる「性的姿態等」とは

なお、撮影罪の条文では性別による区別がなされていません。そのため、男性の胸や臀部もこれに該当する可能性があります。

また、下着については「現に性的な部位を覆っている部分」が対象です。たとえば、洗濯物として干されている下着や、ショーケースに陳列されている下着の写真を撮っても、撮影罪は成立しません。

撮影罪が成立する行為

撮影罪が成立するのは、ひそかに撮影する典型的な「盗撮」だけではありません。実は、相手の同意があった(と思っていた)場合でも、撮影罪が成立することがあります。

たとえば、

  • 「俺だけが見るから」と言って彼女の裸の写真を撮った
  • マッチングアプリで知り合った女性とお酒を飲んだあと、ホテルで「裸の写真を撮っていい?」と聞き、特に断られなかったので撮影した

このようなケースでも、撮影罪にあたる可能性は十分にあります。撮影罪が成立する行為(条件)を詳しく見ていきましょう。

撮影罪が規制する4つの盗撮行為(構成要件該当行為)

【行為1】正当な理由なく被害者をひそかに撮影

撮影罪の性的姿態等にあたるケースとあたらないケース

撮影罪が成立する最も典型的なケースが、撮影対象者に気づかれないよう、ひそかに撮影する行為です。

「ひそかに撮影」にあたるかどうかは、その撮影が社会通念上、正当な理由のないものといえるかで判断されます。

(◯)「被害者をひそかに撮影」として、撮影罪が成立するケースエスカレーターで女子高生のスカートの中をスマホで撮る男性が寝ている間に勝手に性器の写真を撮る

(✕)「被害者をひそかに撮影」にあたらず、撮影罪が成立しないケースハロウィンで下着姿のようなコスプレをしている人の撮影裸で外をうろついている露出狂の撮影

ここで撮影罪が成立しないケースに、違和感を持つ方もいるかもしれません。

この点、性的姿態撮影等処罰法では、撮影罪の対象を「人が通常衣服を着けている場所において不特定または多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し……ているものを除いたもの」と定めています。

そのため、ハロウィンのコスプレや露出狂のように、自ら公の場で性的姿態を晒している場合は、撮影罪にあたりません。

【行為2】同意できない状態の被害者を撮影

「不同意わいせつ罪」に掲げる行為等により、撮影をされた者が同意しない意思の表明等を困難な状態にさせるなどした場合、本罪にあたります。

不同意わいせつ罪(刑法176条1項各号)に掲げる行為又は事由とは、下記の表の8つです。

不同意わいせつ罪に掲げる行為又は事由

撮影される側の同意の過程に、これら8つの行為や事由(またはこれに類似するもの)があれば、たとえ表面的に「いいよ」と言っていたとしても、その同意は真意に基づくものとは評価されず、撮影罪が成立する可能性があります。

※以下の記事で詳しく解説しています。

不同意わいせつ罪とは?構成要件と強制わいせつとの違いを解説

【行為3】被害者を誤信させて撮影

被害者を誤信させて撮影する行為も、撮影罪にあたる

撮影される側に誤った認識をさせて撮影する行為も、撮影罪にあたります。

たとえば、以下のようなケースです。

  • 「医療目的の撮影だから」と説明して下着姿を撮影する
  • 「美術作品を作成するため」だと告げて、性的目的で裸体を撮影する
  • 「俺だけが見るから」と言って撮影し、SNSなどに投稿したり、誰かと共有したりする目的で撮影する

形式上は同意があったとしても、その同意が誤った認識のもとでなされたものであれば、真の同意とは認められません。

【行為4】16歳未満の被害者を撮影

撮影された者の年齢で成立する撮影罪

撮影される側が16歳未満の場合、本人の同意があっても撮影罪が成立する可能性があります。

中学生から高校生くらいの若者は、性的姿態等を撮影されることについて、正常な判断ができるとはいえないと考えられているからです。

撮影される側の年齢に応じて、以下のとおり撮影罪の成否が判断されます。

撮影される側の年齢撮影罪の可否
13歳未満同意の有無にかかわらず成立
13歳以上16歳未満撮影者が5歳以上年長の場合、同意の有無にかかわらず成立
16歳以上行為1〜3の類型に該当する場合に成立

たとえば、15歳の少女と20歳の男性の場合、年齢差が5歳以上あるため、本人が同意して裸の写真を撮らせていたとしても撮影罪が成立します。

一方、14歳と18歳のように年齢差が5歳未満であれば、本人が同意していれば撮影罪は成立しません。

※以下の記事で詳しく解説しています。

性的姿態等撮影罪の逮捕事例・判例など

撮影罪は、令和5年7月13日に施行された比較的新しい犯罪ですが、既に多くの逮捕者が出ており、判決も下されています。撮影罪施行後の盗撮事犯の検挙状況、直近の逮捕事例、実際に下された判例について見ていきます。

性的姿態等撮影罪の逮捕事例

性的姿態撮影等処罰法が施行されてから、盗撮による検挙件数は急増しています。

令和2年には4,026件だったのが、令和6年には9,786件と、わずか4年で約2.4倍にまで増加しています。

令和2年令和3年令和4年令和5年令和6年
検挙件数4,0265,0195,7378,1219,786

出典:警察庁「盗撮に係る認知・検挙状況」(令和2年〜4年は迷惑防止条例、令和5年以降は迷惑防止条例と撮影罪を合算)

実際にさまざまなケースで逮捕に至っており、直近で報道されている事例だけでも以下のようなものが見つかりました。

  • 自称農水省係長を逮捕 駅エスカレーターで盗撮未遂容疑―千葉県警
    (出典:時事通信2026年05月04日)
  • 県立高校の教室で女性の着替えを盗撮した疑い、講師の男を逮捕 栃木
    (出典:朝日新聞2026年4月23日)
  • 「カメラは付けていない」と容疑否認 親指大の小型カメラ仕掛け性的映像盗撮しようとした男を逮捕 女性がカメラに気付く(出典:TBS NEWS DIG 2026年5月2日(土))

上記は報道されているものだけなので、実際にはさらに多くの逮捕事例があると考えられます。現行犯逮捕だけでなく、盗撮行為からしばらく経ってから警察が動き、後日逮捕に至るケースもあります。

※以下の記事で詳しく解説しています。

性的姿態等撮影罪の判例

次に、実際に撮影罪が認定された判例を紹介します。

判決日事案の概要判決
2025年6月3日(名古屋地裁)警察官(当時)が、走行中の電車内で、かばんに隠したペン型小型カメラを女性のスカート下方に差し入れて下着等を撮影し、撮影罪と常習盗撮(愛知県迷惑行為防止条例違反)が成立した事例懲役10月(執行猶予3年)
2025年5月22日(静岡地裁)地方公務員(当時)が、店内および駅エスカレーター上で、被害女性のスカート内にスマートフォンを差し入れて下着を撮影または撮影しようとし、撮影罪・撮影罪未遂が成立した事例懲役10月(執行猶予3年)
2025年5月9日(大分地裁)歯科医師が、自身の歯科医院で、診療中の女性患者の目をタオルで覆って唇にキスをする不同意わいせつ行為をするとともに、別の女性のスカート内にスマートフォンを差し入れて下着を撮影し、不同意わいせつ罪と撮影罪が成立した事例懲役2年(執行猶予3年)

出典:「名古屋地裁 令和7年6月3日判決」、「静岡地裁 令和7年5月22日判決」、「大分地裁 令和7年5月9日判決」

撮影罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。実際に下される判決は、初犯であれば執行猶予付きの判決が中心です。

ただし、撮影罪では〜住居侵入罪、不同意わいせつ罪、児童ポルノ製造罪、迷惑防止条例違反(常習盗撮)などが併せて成立するケースも多くあります。これらの罪と併合罪となる場合は、撮影罪単体のケースよりも量刑が重くなる傾向にあります。

迷惑防止条例と撮影罪(盗撮罪)の違い

撮影罪が新設されるまで、盗撮行為は各都道府県が制定する迷惑防止条例によって取り締まられてきました。

ただ、迷惑防止条例には、各都道府県ごとに罰則がバラバラで、対応できないケースが多数存在するという問題がありました。そこで、撮影罪を含む性的姿態撮影等処罰法が制定され、迷惑防止条例の問題点が大きく改善されました。

迷惑防止条例と撮影罪の違いは、主に以下の3つです。

盗撮における迷惑防止条例と撮影罪の違い

適用範囲|全国一律で処罰される

迷惑防止条例は、各都道府県がそれぞれ独自に制定するものであり、その内容も都道府県ごとに異なります。

そのため、撮影が行われた場所によっては、どの都道府県の条例を適用すべきかが明確でないというケースがありました。

たとえば、飛行機内でCAのスカートの中が盗撮された場合、

  • 離陸後はどの都道府県の上空で撮影が行われたのか特定が難しい
  • 撮影された地点によって、適用される条例が異なってしまう

といった具合に、適用される条例が定まらないという問題があったのです。

これに対し、性的姿態撮影等処罰法における撮影罪は、全国一律に適用される法律です。

撮影が行われた場所がどの都道府県であろうと、また、移動中の乗り物の中であろうと、同じ法律のもとで取り締まることができるようになりました。

法定刑|厳罰化された

撮影罪は、迷惑防止条例と比べて法定刑が大幅に重くなっています。

撮影罪は、迷惑防止条例と比べて法定刑が大幅に重い

条例の場合、盗撮の常習者は、常習者以外と比較して法定刑が重くなってはいましたが、性的姿態撮影等処罰法では、常習者かどうかにかかわらず、一律で条例よりもかなり重い法定刑が設けられました。

なお、撮影罪でも常習性が考慮されないわけではありません。量刑判断(実際に下される刑の重さ)には常習性が影響するため、常習的な盗撮は、起訴されやすい・実刑になりやすいといったことが考えられます。

※以下の記事で詳しく解説しています。

処罰対象行為|撮影以外にも保管や提供なども処罰される

迷惑防止条例では、盗撮行為そのもの(撮影行為)のみが処罰の対象でした。

しかし、性的姿態撮影等処罰法では、盗撮(撮影行為)だけでなく、撮影された影像の提供・保管・送信・記録も処罰の対象となりました。

これらの関連罪については、6章で詳しく解説します。

「撮影(盗撮)」以外に処罰される行為(関連罪)

性的姿態撮影等処罰法では、盗撮(撮影行為)そのものだけでなく、撮影された影像を提供・保管・送信・記録する行為も処罰の対象としています。

罪名撮影以外で処罰対象となる行為
提供罪盗撮された影像を他人に提供する行為
保管罪盗撮された影像を所持・保管する行為
送信罪盗撮された影像を送信する行為
記録罪盗撮された影像を電磁的記録として記録する行為

提供罪(性的影像記録提供等)

提供罪は、盗撮したデータを他人に提供すると成立する罪です(性的姿態撮影等処罰法3条)。提供する相手の範囲によって、以下のような法定刑が科せられます。

法定刑
特定または少数の者に提供3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
不特定または多数の者に提供/公然と陳列5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(または併科)

たとえば、盗撮した動画を親しい友人にLINEで送る行為は前者にあたり、X(旧Twitter)やアダルトサイトに投稿する行為は後者にあたります。

保管罪(性的影像記録保管)

保管罪は、提供または公然陳列をする目的で、盗撮したデータを保管すると成立する罪です(性的姿態撮影等処罰法4条)。

保管罪が成立するケース盗撮画像をネット上にアップロードする目的で保存していた他人に売却する目的で盗撮データを保管していた など

法定刑は、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金です。

なお、保管罪が成立するのは「提供または公然陳列をする目的」がある場合だけなので、自分1人で見るために保管しているだけでは、保管罪は成立しません(ただし、撮影罪自体は成立します)。

送信罪(性的姿態等影像送信)

送信罪は、不特定または多数の者に対して、性的姿態等の影像送信をすると成立する罪です(性的姿態撮影等処罰法5条)。

ここでいう「影像送信」とは、リアルタイムで盗撮データをインターネットなどで送ることを指し、いわゆるライブストリーミング配信などが典型例です。

法定刑は、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(または併科)です。

記録罪(性的姿態等影像記録)

記録罪は、送信罪により配信された影像を、その事情を知ったうえで記録(録画)すると成立する罪です(性的姿態撮影等処罰法6条)。

たとえば、本人の同意なくライブ配信されている性行為の様子を、盗撮であると知りながら録画して保存する行為が、記録罪にあたります。

法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。

ポイントは、「事情を知ったうえで」という主観的要件が必要な点です。「これは盗撮配信だ」と認識していなければ、原則として記録罪は成立しません。(※ただし、明らかに違法な内容のライブ配信であると認識できるような内容なら、「事情を知っていた」と評価される可能性はあります。)

撮影罪の施行によって盗撮動画・画像の検察官による削除等が容易になった

撮影罪をはじめとする性的姿態撮影等処罰法の施行に伴い、検察官が盗撮された動画・画像のデータを没収・消去・廃棄できる範囲が大幅に広がりました。

これにより、盗撮データが加害者の手元に残り続けるリスクが大幅に下がり、被害者保護がより実効的なものになったといえます。

具体的にどのような点が変わったのか、2つのポイントに分けて見ていきましょう。

複写物(コピー)も明文で没収できるようになった

刑法19条に基づいて没収できる物は、有体物かつ原本のみが対象とされています。

そのため、複写物やデータそのものは対象にならないという点や、盗撮した犯人以外が所有する物は没収の対象にならない点がこれまで問題視されていました。

性的姿態撮影等処罰法の施行により、これらの問題が解消され、複写物も明文で没収の対象となりました。

第八条 次に掲げる物は、没収することができる。
一 第二条第一項又は第六条第一項の罪の犯罪行為により生じた物を複写した物(略)
2 前項の規定による没収は、犯人以外の者に属しない物に限り、これをすることができる。ただし、犯人以外の者に属する物であっても、犯罪の後にその者が情を知って保有するに至ったものであるときは、これを没収することができる。

不起訴になっても、被疑者の同意なしでデータの「消去・廃棄」ができるようになった

これまで、データの没収は刑法19条の「付加刑」として位置づけられていました。

付加刑とは、懲役や罰金などの主刑に付け加えて科される刑罰のことです。刑罰である以上、有罪判決が出ないと科すことができません。

そのため、盗撮行為が不起訴となった場合は、検察官が被疑者を説得して画像データの所有権を放棄させるしか方法がなかったのです。

加えて、被疑者・被告人が同意しない限り、検察官が保管する押収物に記録された画像・映像のデータを消去したり、有罪となった事件以外の画像が記録された媒体を破棄したりできないという問題もありました。

たとえば、Aさんへの盗撮行為で有罪判決が出ても、Bさんへの盗撮行為が不起訴となった場合、Bさんを盗撮した画像が入ったハードディスクは、被疑者の要請があれば、その画像を消去・破棄せずに返却せざるを得ない状況だったのです。

撮影罪等の新設に伴い、従来は破棄できなかった盗撮画像・映像についても、検察官の判断で消去・破棄できるようになりました。

押収物に記録された電磁的記録の消去及び押収物の廃棄)
第十条 検察官は、その保管している押収物が第一号に掲げる物である場合において、当該押収物が対象電磁的記録を記録したものであるときは、次節に定める手続に従い、第二号に掲げる措置をとることができる。

撮影罪を疑われたら早期に弁護士に相談すべき

撮影罪を疑われた場合は、心当たりがある・なしを問わず、できる限り早く弁護士に相談することが重要です。

早期かつ適切な対応で冤罪を避ける

「盗撮なんてやっていないのに、警察から連絡が来た……」

撮影罪は、未遂の場合も処罰の対象となっています。そのため、実際に撮影した写真や動画が残っていなくとも、逮捕される可能性は十分にあります。

ただし、やってもいないのに「やりました」と一度認めてしまうと、それが証拠になるので絶対にやめましょう。

やっていないのであれば、早い段階で弁護士に相談し、冤罪であると主張していくことをおすすめします。

示談をして不起訴を獲得する

「スマートフォンをスカートの中に向けてしまった」など、思い当たる節がある場合は、弁護士を通じた示談交渉も視野に入れていく必要があります。

撮影罪では必ずしも被害者の連絡先が分かるわけではありませんが、被害者との示談が成立すれば、

  • 被害届が出される前であれば、示談をして被害届を出されないようにする
  • 被害届がすでに出されていても取り下げてもらう
  • 逮捕を回避する
  • 起訴されても不起訴処分や執行猶予付きの判決を獲得する

といった有利な結果につながる可能性が高まります。

示談が難しい場合は、贖罪寄付などによって反省の意思を示すことで、不起訴処分や執行猶予の獲得に向けて、弁護士から検察や裁判官にはたらきかけていくことになります。

盗撮の示談・示談金や弁護士の選び方については、以下の記事もご参照ください。

グラディアトル法律事務所の弁護士が担当した撮影罪の解決事例

弊所では、撮影罪・盗撮事件に関する数多くのご相談を受けてきました。実際に弊所が担当した解決事例をご紹介します。

グラディアトル法律事務所の弁護士が担当した撮影罪の解決事例

ファミレスのトイレ内で従業員女性を盗撮をして、示談金30万円を支払い、わずか20日で不起訴処分を獲得した事例!

ファミレスのトイレ内で従業員女性を盗撮をして、示談金30万円を支払い、わずか20日で不起訴処分を獲得した事例!

【相談者】
30代の男性(ファミレスの店長)

【事案の概要】
本件はファミレスの店長が、タイプだったウェイトレスの盗撮目的で、トイレにカメラを設定したという事案です。

カメラが設置されていることに気づいたウェイトレスが警察を呼び、任意の取調べの中で、Xさんが盗撮動画を持っていることが発覚し、Xさん自身も盗撮したことを自白し、迷惑防止条例違反で逮捕されるに至りました。

逮捕された日に、相談者のご家族から弊所にご相談を受け、即日、緊急で弁護士が接見へ。弊所のスピード対応が評価され、ご依頼していただきました。

弁護士は、Aさんと示談をすることを第一に考え、まずはAさんと連絡を取り、相談者の謝罪文を持参します。そして示談金30万円をお支払いの上で、示談書を締結しました。

【結果】
逮捕後わずか20日で不起訴処分を勝ち取ることに成功!

【ポイント】

  • 逮捕後相談を受けた日に弁護士が接見へ
  • 逮捕後わずか1週間で示談が成立
  • 前科がなかった
  • 盗撮された期間が短く、撮影されていた動画も少なかった

ホテルで女性の裸を盗撮し、150万円を要求されたが、50万円まで減額し、示談が成立した事例!

ホテルで女性の裸を盗撮し、150万円を要求されたが、50万円まで減額し、示談が成立した事例!

【相談者】
40代の男性(風俗利用者)

【事案の概要】
本件は、風俗を利用した際、キャストの被害女性Aさんの裸を盗撮しようとして、ホテルに小型カメラを設置したという事案です。

被害者Aさんは、小袋が置いてあることを不審に思い、小型カメラを発見します。すぐにお店の方を呼び、ご相談者は示談金として150万円を請求されます。怖くなってしまったため、その場で支払う約束をし、お店の方から住所や家族の名前も記載されている身分証の写真を撮られてしまいました。

事件のあった日に、家族に絶対にばれたくないということで、弊所にご相談がありました。

依頼を受けた弊所の弁護士が、Aさんとお店との示談を第一に考え、また、示談額の減額を交渉し、個人情報の削除や被害届を出さない旨の示談書を締結しました。

【結果】
事件後わずか10日で、150万円から100万円減額した50万円での示談締結に成功しました。

【ポイント】

  • 事件後相談を受けた日に弁護士が被害者や店へ連絡
  • 事件後わずか10日で示談が成立
  • 被害者は一括での支払いを希望していたので出せる一括で早期に出せる限界額を提示
  • 個人情報の削除
  • 家族へ知られることなく早期解決

エスカレーターで女性のスカートの中を盗撮し傷害を負わせたが、示談金50万円を支払い、被害届を取下げてもらった事例!

エスカレーターで女性のスカートの中を盗撮し傷害を負わせたが、示談金50万円を支払い、被害届を取下げてもらった事例!

【相談者】
20代の男性

【事案の概要】
本件は、エスカレーターで自分の前に立っていた女性のスカートの中を盗撮しようとして、スマホのカメラを向けたという事案です。

被害の女性Aさんはすぐに気づき、相談者のスマホを奪おうと取っ組み合いになりました。相談者は、スマホを奪われまいとAさんを突き飛ばしてしまい、これによりAさんは手足にケガをしてしまいます。

Aさんが盗撮と傷害で被害届を出したため、相談者は警察から任意取調べの要請を受けることになり、すぐに弊所にご相談がありました。絶対に前科をつけたくないとのことで、ご依頼につながりました。

依頼を受けた弊所の弁護士は、すぐにAさんと連絡を取り、謝罪と示談の申し入れを行います。粘り強い交渉の結果、被害届を取り下げてもらうことができました。

【結果】
50万円の示談書の締結と被害届の取下げに成功しました。

【ポイント】

  • 事件後相談を受けた日に弁護士が被害者へ連絡
  • 弁護士の粘り強い交渉
  • 被害者は謝罪や盗撮の削除などの真摯な対応を求めていたので、こちらからそれに加えて示談金のお支払いを提示

撮影罪ならグラディアトル法律事務所へ

「盗撮がバレてしまった⋯」「家族や職場に絶対に知られたくない」「逮捕だけは、なんとしても防ぎたい」など、撮影罪で不安を抱えている方は、ぜひグラディアトル法律事務所へご相談ください。

性犯罪の弁護・示談交渉についての豊富な実績

グラディアトル法律事務所は、撮影罪をはじめとする性犯罪を得意としている法律事務所です。

本記事でも紹介したように、数多くの性犯罪を取り扱っており、圧倒的なノウハウと実績を有しています。

グラディアトル法律事務所の所属弁護士はそれぞれが得意分野を持っておりますので、逮捕された方や取調べを受けている方に対し、刑事事件に強い弁護士ならではの充実した刑事弁護を提供いたします。

24時間365日の相談受付

平日の日中しかやっていない法律事務所が多いなか、弊所は土日祝も営業しております。

電話やメールの受付は24時間させていただいておりますので、ぜひ一度ご連絡ください。

最短即日で弁護士がスピード対応

撮影罪は、示談などの早期対応がかなり重要となります。

弁護士がご相談内容を直接おうかがいし、即日被害者と連絡を取らせていただくといったスピード対応をとらせていただくことも多々ございます。

撮影罪に関するよくある質問

Q. 撮影罪はいつから施行されましたか?

A.2023年(令和5年)7月13日から施行されました。2023年7月13日以降に行われた盗撮行為については、撮影罪で逮捕・処罰される可能性があります。

なお、施行日より前に行われた盗撮行為については、行為時点で適用されていた法律・条例(各都道府県の迷惑防止条例など)が適用されます。

Q. アスリートや芸能人を撮影すると撮影罪になりますか?

A.残念ながら、あたらないと解されています。

アスリートのお尻や下着が透けている写真をあえて狙って撮影される観客がいますが、アスリートが来ているユニフォームは下着などにもあたらないので同法の適用外とされています。

しかしながら、そういった盗撮については、刑事上では名誉毀損罪にあたり、実際に送検された事件もあります。

また、もし盗撮された写真がインターネット上にあがっていたら、発信者情報開示請求を行い、発信者を特定し、民事上では肖像権や名誉毀損に基づく損害賠償請求をされる可能性もあります。

Q. 飛行機内のCAの盗撮は撮影罪にあたりますか?

A.あたります!

性的姿態撮影等処罰法ができる前は、CAのスカートの中の盗撮は、迷惑防止条例違反の対象でしたが、条例は各都道府県ごとに異なるため、飛行機が離陸後は盗撮された地点でどの都道府県の迷惑防止条例を適用すべきか難しいという問題がありました。

しかし、同法による全国一律の処罰が実現されましたので、この問題が解決されることとなりました。

Q. 海で水着姿の人を盗撮すると撮影罪にあたりますか?

A.水着は、見られることを前提としているため、「性的姿態等」にあたらない可能性が高いです。したがって、一般論でいえば撮影罪は成立しづらいといえます。

ただし、迷惑防止条例違反(卑わいな言動)に問われる可能性があります。

Q. ハロウィンなどで露出している人の盗撮は撮影罪にあたりますか

A.個別のケースにもよりますが、撮影罪は成立しにくいといえます。

撮影罪では、「人が通常衣服を着けている場所において、不特定または多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出している姿態」は処罰対象から除外されています。

ハロウィンの仮装は自ら公の場で性的姿態を晒していると考えられるため、撮影罪にはあたらない可能性が高いでしょう。

Q. 撮影罪は親告罪ですか?

A.いいえ、親告罪ではありません。被害者の告訴がなくても、警察は捜査・起訴することができます。被害者本人ではなく、第三者からの通報や、警察官による現認(現場での目撃)がきっかけで捜査が始まることもあります。

Q. 撮影罪で後日逮捕された人はいますか?

A.います。

撮影罪では、現場で被害者や周囲の人に気づかれずにその場を立ち去ったケースでも、後日逮捕されることがあります。

犯行後数日で逮捕されるケースから、半年〜1年経って警察がやってくるケースなど、後日逮捕までの期間はさまざまです。

Q. 撮影罪の示談金の相場はいくらですか

A.盗撮された被害者が納得する額になりますので、相場は10万円から150万円と幅広いです。

盗撮された身体の部位、盗撮期間、盗撮回数、盗撮の目的、被害者の年齢など色々な事情を総合的にみることにはなりますが、事前にいくらまでであれば示談金を支払うことができるかは要確認です。

Q. 撮影罪の時効は何年ですか?

A.3年です。撮影罪の公訴時効は3年と定められており、盗撮行為のあった日から3年が経過すると、検察官は起訴できなくなります。

ただし、撮影行為のほかに、提供罪・保管罪・送信罪・記録罪が成立するケースでは、それぞれの罪ごとに時効が起算されます。

Q. 撮影罪は海外で盗撮した場合も適用されますか?

A.日本人が海外で盗撮した場合にも適用されます。海外での盗撮や、盗撮動画の販売・ネット上でのアップロードも違法になるので注意が必要です。

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございました。

本コラムでは、

・撮影罪は、盗撮だけが処罰対象ではない!4つの類型がある!
・これまでの条例とは、①一律処罰、②厳罰化、③撮影に関連する提供、保管、送信、記録も処罰対象になったという点が変わった!
・グラディアトル法律事務所には、撮影罪にあたる行為をしてしまったが、示談などによる早期解決で逮捕・勾留・起訴されなかった実績が多々ある!
・撮影罪にあたる場合は、早急にグラディアトル法律事務所へ相談する!

ということがポイントとなっております。

盗撮で逮捕されるケースや流れ、前科リスク回避策については、以下の記事もご参照ください。

※関連コラム

撮影罪の具体例について、たくさん挙げさせていただきましたが、まだまだできたばかりの法律です。

新しい判例が出れば、随時、更新できればと思っております。

撮影罪等に該当するんじゃないか・・・そう思ったら、まずは一度弊所にご相談ください!

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力。数多くの夜のトラブルを解決に導いてきた経験から初の著書「歌舞伎町弁護士」を小学館より出版。 youtubeやTiktokなどでもトラブルに関する解説動画を配信している。

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