「示談書を作成したいが、どう書けばいいかわからない…」
「テンプレートをもとにして示談書を作成したい」
示談書は、起訴・不起訴の判断や量刑に大きな影響を与える重要な文書です。
決まったルールはありませんが、加害者側が作成して、被害者に確認を求めるケースが一般的といえるでしょう。
しかし、示談書は普段目にすることのない文書なので、正しい作成方法を理解している方は多くないはずです。
そこで本記事では、刑事事件における示談書のテンプレートを紹介します。
示談書に記載すべき項目やテンプレートを使用する際の注意点などもまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
示談書のテンプレート【Word・PDFデータあり】
まずは、刑事事件における示談書のテンプレートを紹介します。
基本的な項目は押さえられているので、あとは状況に応じて加筆・修正すれば問題なく使用できるでしょう。
| 示談書 |
|---|
| 被害者(以下「甲」という。)と加害者(以下「乙」という。)とは、令和〇年〇月〇日に発生した事件(以下「本件」という。)について、以下のとおり示談する。 第1条(事件の内容) 本件は、令和〇年〇月〇日〇時〇分頃、〇〇において、乙が甲に対して〇〇をした事件をいう。 第2条(謝罪) 乙は、本件の事実を認め、甲に対し深く謝罪する。 第3条(示談金) 1. 乙は甲に対し、本件解決のための示談金として、金〇〇円を支払う義務があることを認める。 2. 乙は前項の示談金を、令和〇年〇月〇日までに、甲が指定する口座に振り込む方法により支払う。 3. 振込手数料は乙の負担とする。 第4条(清算条項) 甲及び乙は、本件に関し、本示談書に定めるもののほか、甲乙間に何らの債権債務がないことを相互に確認する。 第5条(宥恕条項) 甲は、乙が第3条の示談金を完済したときは、本件について乙を宥恕し、刑事処罰を求めない。 第6条(口外禁止条項) 甲及び乙は、本示談の内容及び本件に関する一切の事項について、正当な理由なく第三者に口外しないことを約束する。 第7条(接触禁止条項) 乙は、今後、甲及びその家族に対して、面会、電話、電子メール、SNSその他一切の方法により接触しないことを誓約する。 以上、本示談の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ、各自1通を保有する。 令和 年 月 日 甲 住所:氏名: 印 乙 住所:氏名: 印 |
示談書に記載する主な項目
次に、示談書に記載する主な項目を解説します。

トラブルの内容(日付、場所、行為内容の特定)
示談書には、どのようなトラブルについて示談が成立したのかを明確に記載する必要があります。
事件が発生した日時・場所や犯罪行為の内容を特定して記載しましょう。
具体的には「令和〇年〇月〇日午後3時頃、△△市××町のコンビニエンスストア駐車場において、乙が甲の顔面を拳で殴打した傷害事件」といった形で記載します。
あいまいな記載では、示談の効力が及ぶ範囲が不明確になってしまうため注意が必要です。
また、警察に届け出た事件番号がある場合は、併記しておくと正確性が増します。
加害者から被害者に対する謝罪
示談書には、加害者から被害者に対する謝罪の条項も盛り込んでおきましょう。
謝罪の意を文章で残しておけば、被害者の処罰感情が和らぐほか、捜査機関に対しても反省している姿勢を示すことができます。
具体的には「乙は本件について甲に対し深く謝罪し、甲はこれを受け入れた」といった文言を記載します。
示談金の金額・支払方法
示談書には、加害者が被害者に支払う示談金の金額と支払方法を明記しておかなければなりません。
金額や支払方法をあいまいなままにしていると、後日支払いをめぐってトラブルになる可能性があるためです。
具体的には、「乙は甲に対し、示談金として金〇万円を支払う義務があることを認め、令和〇年〇月〇日までに、甲指定の銀行口座に振り込む方法により支払う」といった形で記載しましょう。
分割払いの場合は、各回の支払額・支払期日も詳細に定めておく必要があります。
また、振込手数料の負担者についても明記しておくことも大切です。
清算条項
示談書には、清算条項を忘れずに盛り込んでおきましょう。
清算条項とは、示談書に定めた内容以外に債権債務が存在しないことを確認する条項のことです。
清算条項を入れることで、示談成立後に被害者から追加で損害賠償請求されることを回避できます。
一般的には「甲及び乙は、本件に関し、本示談書に定めるもののほか、甲乙間に何らの債権債務がないことを相互に確認する」などの文言で記載されます。
ただし、被害者に後遺症が残ることが予想される場合などは、但し書きで「別途協議する」などと入れるケースもあります。
宥恕条項
刑事事件における示談書には、宥恕条項も記載するようにしましょう。
宥恕条項とは、被害者が加害者を許し、刑事処罰を求めない意思を表明する条項のことです。
宥恕条項があることで、検察官が不起訴処分を下したり、裁判官が刑を軽減したりする可能性が高まります。
具体的には「甲は、乙が本示談書記載の示談金を完済したときは、乙の本件について乙を宥恕し、刑事処罰を求めない」といった形で記載されます。
もちろん、宥恕条項があるからといって必ず刑事処分が軽くなるわけではありません。
しかし、宥恕条項は被害者の処罰感情が和らいでいることを示す強力な証拠となるため、刑事事件の示談書には必ず入れ込んでおきましょう。
その他の合意内容
示談書には、示談金の取り決めや宥恕条項以外にも、当事者間で合意した内容を盛り込むことができます。
事件の性質や当事者の希望に応じて、以下のような条項を追加することも検討してください。
口外禁止条項:示談の内容や事件について第三者に口外しないことを約束する条項
接触禁止条項:加害者が被害者に接触しないことを誓約する条項
謝罪広告の掲載:名誉毀損事件などで新聞やWebサイトに謝罪文を掲載する条項
SNS投稿の削除・禁止:投稿を削除し、今後も投稿しないことを約束する条項
とはいえ、示談書に盛り込むべき項目を取捨選択するには専門的な知識が求められます。
自力で解決しようとせず、まずは弁護士に相談してください。
示談成立日
示談書には、示談が成立した日付も必ず記載しましょう。
示談書の末尾に「令和〇年〇月〇日」といった形で記載され、その日付をもって示談が成立したものとみなされます。
なお、示談書の日付は、話し合いがまとまった日ではなく、当事者双方が署名・押印する日に設定するケースが一般的です。
当事者双方の署名・押印
示談書には、加害者と被害者が署名・押印する必要があります。
署名・押印によって、示談に合意したことが証明されるためです。
一般的には、当事者双方の住所・氏名を記載し、氏名の横にそれぞれが押印します。
実印を使用する場合には、印鑑証明書を添付することもあります。
弁護士が立ち会っている場合は、立会人として弁護士の署名・押印も加えておくと、示談書の信用性がより高まるでしょう。
なお、示談書は当事者の人数分を作成し、署名・押印後に各自1通ずつ保管するのが原則です。
示談書のテンプレートを使用する際の3つの注意点
次に、示談書のテンプレートを使用する際の注意点を解説します。

示談書の内容や作成経緯によっては無効になる
示談書は当事者間の合意に基づいて作成されますが、内容や作成経緯に問題がある場合は無効になる可能性があります。
示談書が無効になるのは、以下のようなケースです。
- ・条項が不明確で複数の意味に解釈できてしまう場合
- ・加害者が被害者を脅迫して無理やり示談させた場合
- ・被害者が錯誤(勘違い)によって示談に応じた場合
- ・加害者が重要な事実を隠して示談した場合
示談書が無効になるのを防ぐ方法として有効なのが、示談交渉の過程を録音しておくことです。
録音があれば、あとから「脅迫された」「無理やり署名させられた」と主張されても、適正な交渉がおこなわれたことを証明できます。
一度取り交わした示談書は原則として取り消せない
示談書に署名・押印すると、原則として取り消すことはできません。
示談は当事者間の契約行為であり、一度合意した内容には法的な拘束力が生じます。
たとえば、示談成立後に「示談金が高すぎる」と思っても、支払いを拒否することはできないのです。
示談書の内容を十分に理解し、納得したうえで署名・押印することが極めて重要です。
示談書のテンプレートはそのまま使用しない
インターネット上で入手できる示談書のテンプレートをそのまま使用するのは避けましょう。
示談書に記載するべき内容は、個々のケースによって大きく異なります。
テンプレートをそのまま使うと必要な条項が抜け落ちたり、不要な条項が含まれたりする可能性があります。
テンプレートは、示談書の基本的な構成を理解するための参考資料として活用してください。
示談書の作成は弁護士に依頼するのがおすすめ
示談書の作成は、法律の専門家である弁護士に依頼することを強くおすすめします。
弁護士に依頼すれば、事件の内容に応じて、適切な条項を盛り込んだ示談書を作成してもらえます。
また、示談金の相場や適正な示談条件についてもアドバイスを受けられるため、不利な内容で合意してしまうリスクも回避できるでしょう。
示談交渉自体も弁護士に任せておけば、当事者間の感情的な対立を避けながら、冷静に話し合いを進められます。

グラディアトル法律事務所では、示談書の作成を含め、示談にかかる各種手続きをトータルサポートさせていただきます。
経験豊富な弁護士が即時対応しますので、困ったときはお気軽にご相談ください。
示談書のテンプレートに関してよくある質問
最後に、示談書のテンプレートに関してよくある質問を紹介します。

ネット上のテンプレートも法的に有効?
インターネット上で公開されている示談書のテンプレートであっても、内容が正しく記載されていれば法的に有効です。
ただし、インターネット上のテンプレートを過信しすぎるのはおすすめしません。
なかには、法律的に不適切な内容が書かれたものや、古い法律に基づいて作成されているものも存在します。
少なくとも、法律事務所が掲載しているテンプレートを利用するようにしましょう。
タイトルが「合意書」「和解書」などと書かれたテンプレートを使用してもいい?
「合意書」「和解書」といったタイトルのテンプレートを使用しても問題ありません。
重要なのはタイトルではなく、当事者間の合意内容が適切に記載されているかどうかです。
実際、示談書・合意書・和解書は法律上明確に区別されているわけではありません。
いずれも紛争解決のための合意文書という点では、同じ性質を持ちます。
強いて言えば、刑事事件の示談書には「示談書」というタイトルを使用するのが一般的です。
示談書を作成する際はグラディアトル法律事務所に相談を!
本記事のポイントは以下のとおりです。
- ・示談書には事件の内容・謝罪・示談金・宥恕条項などを記載する
- ・一度取り交わした示談書は原則として取り消せない
- ・テンプレートはそのまま使わず、個別の事情に応じた修正が必要
- ・ネット上のテンプレートも内容が適切なら法的に有効
- ・タイトルが「合意書」「和解書」でも法的効力は生じる
示談書は刑事事件の処分を左右する重要な文書であり、適切に作成しなければ後日トラブルになる可能性があります。
テンプレートも参考になりますが、事件の内容に応じた条項の追加・修正が必要不可欠です。
少しでも不安がある場合は、示談書を作成する前に弁護士に相談することをおすすめします。
グラディアトル法律事務所は刑事事件を得意としており、実践経験豊富な弁護士が24時間・365日体制で相談に応じています。
初回相談は無料、LINEでの相談にも対応しているので、まずはお気軽にご相談ください。
