「盗撮で検挙されてしまったが、不起訴になる可能性はあるのだろうか」
「前科をつけずに事件を終わらせる方法を知りたい」
盗撮で起訴されると刑罰に処され、前科が付く可能性が高く、その後の社会生活に甚大な影響をもたらします。
また、2023年の刑法改正によって盗撮は撮影罪の対象となり、以前よりも厳しく取り締まられるようになっています。
実際、盗撮事件の加害者が撮影罪で起訴される事例は多発しています。
【盗撮の起訴事案1】
| 名古屋地検は8日、性的姿態撮影処罰法違反(撮影未遂)などの罪で、北海道千歳市立中教諭、〇〇容疑者(41)を起訴した。スカートにスマートフォンを差し入れて下着を盗撮しようとしたほか、今年1月に盗撮目的で同じ施設の女子トイレに侵入したとされる。 |
(引用:時事通信)
【盗撮の起訴事案2】
| 北海道新聞社の女性社員を盗撮したとして、江差区検は6日までに、性的姿態撮影処罰法違反(撮影)の罪で北海道乙部町の男性職員(65)を略式起訴した。男性職員は昨年1月6日夜、同町の飲食店で、酒に酔った状態の女性社員に対し、スカートの裾を上げてスマートフォンで下着を撮影したとしている。 |
(引用:共同通信)
しかし、適切な対応を取れば、不起訴処分を獲得できる可能性もあります。
特に被害者との示談交渉は、不起訴処分を勝ち取るうえで重要なポイントとなるため、できるだけ早い段階で弁護士に相談し、対策を進めていくことが大切です。
本記事では、盗撮事件における不起訴率や不起訴処分を獲得するための具体的な対処法などを解説します。
実際にグラディアトル法律事務所が関与し、不起訴処分を獲得した事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
盗撮(撮影罪)の不起訴率は約30%
盗撮(撮影罪)の不起訴率は約30%です。
2024年の検察庁統計によると、既済となった5,028件のうち、起訴された件数は2,984件、不起訴となった件数は1,451件でした。
不起訴1,451件の内訳をみると、そのほとんどが起訴猶予であり、嫌疑不十分や嫌疑なしによる不起訴は一部に限られています。

(参照:検察統計調査 検察統計|総務省)
ただし、上記の数字には、撮影した盗撮データを他者に提供する行為(提供罪)なども含まれます。
単なる撮影にとどまる事件であれば、不起訴率はさらに高まるものと考えられます。
数多くの盗撮事件を扱ってきたグラディアトル法律事務所の弁護士の感覚としても、盗撮事件の不起訴率は高いほうです。
そのため、盗撮が事実であっても悲観的にならず、不起訴に向けた対策を早急に講じることが重要です。
盗撮事件における不起訴の種類
盗撮事件における不起訴には、以下の3種類があります。

不起訴を目指すうえでの基礎知識として、それぞれの違いを覚えておきましょう。
嫌疑なし:犯人でないことが明らかな場合
「嫌疑なし」とは、犯人でないことが明らかな場合に出される不起訴処分です。
盗撮事件として立件されたものの、加害者のアリバイが証明された場合や真犯人が見つかった場合などが該当します。
嫌疑なしによる不起訴は、被疑者の無実が客観的な証拠によって裏付けられた状態であり、3つの不起訴処分のなかでもっとも有利な結果といえるでしょう。
ただし、警察が捜査に乗り出し、検察に送致された時点で、なんらかの裏付けがあるものと考えるのが自然です。
そのため、実務上、「嫌疑なし」による不起訴処分が出されることはほとんどありません。
嫌疑不十分:決定的な証拠がない場合
「嫌疑不十分」は、犯罪の疑いはあるものの、起訴して有罪を立証するだけの決定的な証拠がない場合に出される不起訴処分です。
検察官は公判で有罪を立証する責任を負っているため、証拠が不十分なまま起訴することはできません。
撮影機器から盗撮データが発見されなかったり、目撃証言の信用性に疑義が生じたりするケースでは、「嫌疑不十分」として不起訴になる可能性があります。
なお、「嫌疑不十分」は犯人である可能性が完全に否定されているわけではありませんが、刑事責任を問われないという点では、「嫌疑なし」と同じです。
起訴猶予:犯罪は立証できるがあえて起訴しない場合
起訴猶予とは、犯罪事実は立証できるものの、諸般の事情を考慮してあえて起訴しないという不起訴処分です。
検察官には、起訴・不起訴を判断する裁量権が認められています。
被害者との示談が成立している、初犯である、再犯防止の取り組みを進めているといった事情があれば、「起訴猶予」として起訴が見送られることもあります。
盗撮の事実があるのであれば、「起訴猶予」による不起訴を目指すことになるでしょう。
盗撮の不起訴では示談が最重要!
不起訴処分を獲得するうえで、もっとも重要なのが被害者との示談です。
先述のとおり、不起訴処分の大半は起訴猶予であり、その判断材料として示談の有無が大きく影響します。
示談が成立していれば、被害者と和解し、許しを得ていることが客観的に示されるので、検察官も起訴を見送りやすくなるのです。
特に示談書に宥恕条項(被害者が加害者の刑事処分を望まない旨を記した条項)が盛り込まれていれば、不起訴の可能性がさらに高まります。
ただし、加害者本人が被害者の連絡先を入手することは難しく、仮に連絡が取れる状態でも、直接交渉はトラブルを招く要因になるためおすすめしません。
盗撮事件の示談交渉は、弁護士を介して進めるようにしてください。
示談以外で不起訴処分を獲得するためにできること
ここでは、示談以外で不起訴処分を獲得するためにできることを3つ紹介します。

贖罪寄付をおこなう
被害者との示談が成立しない場合は、贖罪寄付をおこなうことで、不起訴処分の可能性を高められます。
贖罪寄付とは、被害者に対する弁償が難しい場合に、慈善団体や弁護士会などへ寄付をすることです。
直接的な被害弁償ではないものの、反省の気持ちを示せるため、情状面で有利に働きます。
ただし、贖罪寄付の効果は示談に比べると限定的であり、これだけで不起訴になるとは限りません。
あくまでも示談が成立しなかった場合の補完的な手段として位置づけ、ほかの取り組みとあわせて活用するようにしましょう。
再犯防止の取り組みをおこなう
不起訴処分を獲得するためには、再犯防止に向けた具体的な取り組みをおこなうことも重要です。
検察官は被疑者の更生可能性を重視しており、再犯のおそれが低いと判断すれば、起訴を見送る傾向にあります。
具体的な取り組みとしては、性犯罪者向けのカウンセリングや治療プログラムへの参加、専門医による依存症治療などが挙げられるでしょう。
特に盗撮を繰り返している場合は、性的依存症や強迫的な衝動が原因になっている可能性があるため、医療機関での治療実績は更生意欲の証明として有効です。
また、家族による監督体制を整えることも、再犯防止策のひとつとして評価されます。
スマートフォンを家族に預ける、外出時に同行してもらうといった対策を講じれば、再犯リスクが低減していることを示せます。
事件化していない場合は自首を検討する
盗撮をおこなったものの、まだ事件化していない段階であれば、自首することも検討しましょう。
自首が成立すれば、反省の態度を示す行動として評価されるので、不起訴処分につながる可能性が高まります。
また、自首は刑法上の減軽事由に該当するため、仮に起訴され有罪になった場合でも、量刑が軽くなることがあります。
ただし、自首をおこなうタイミングや申告内容によっては、かえって不利な状況を招くことになりかねません。
たとえば、すでに捜査が開始されている場合は自首として認められず、単なる出頭として扱われることもあるため注意が必要です。
自首を検討する際は、必ず事前に弁護士へ相談し、助言を受けるようにしてください。
盗撮事件の起訴・不起訴が決定するまでの流れ
ここでは、事件発生から起訴・不起訴が決定するまでの流れを解説します。

警察の取調べ
盗撮事件が発覚すると、まずは警察による取調べがおこなわれます。
現行犯で取り押さえられた場合は、そのまま警察署に連行されたうえで取調べを受けるケースが一般的です。
一方、防犯カメラの映像などから容疑が浮上した場合は、後日、任意での出頭要請を受けることもあります。
取調べでは、犯行の動機・経緯・手口などについて詳しく質問されます。
取調べの段階では黙秘権が保障されているため、不利な質問に対しては回答を拒むことも可能です。
そして、取調べの内容は供述調書にまとめられます。
供述調書は、その後の刑事手続きにおいて重要な証拠となるものです。
安易に署名・押印せず、事実と異なる内容が記載されている場合は必ず訂正を求めてください。
検察への送致
逮捕された身柄事件の場合、警察は逮捕から48時間以内に、被疑者の身柄と事件記録を検察官に引き継がなければなりません。
一方、在宅事件の場合は身柄を伴わない「書類送検」というかたちで、事件記録のみが検察に送られます。
送致後は、検察官が被疑者を取り調べ、起訴・不起訴の判断に向けた捜査をおこないます。
なお、微罪処分となれば警察段階で事件が終了しますが、盗撮を含む性犯罪に関しては、原則として送致されるものと考えておきましょう。
勾留による身柄拘束(逮捕された場合)
盗撮で逮捕された場合、検察官は送致から24時間以内(逮捕から72時間以内)に、被疑者を釈放するか勾留請求をおこなうかを判断します。
とはいえ、24時間以内に釈放を認めるだけの材料が揃うことは少なく、勾留請求されるケースがほとんどです。
そして、勾留請求が裁判官に認められると、原則10日間、延長されるとさらに10日間の身柄拘束を受けることになります。
当然、仕事や学校にも行けなくなるので、社会生活への影響は甚大です。
ただし、弁護士から検察官や裁判官に働きかけることで、勾留を回避できる可能性はあります。
すでに勾留が決定している場合でも、準抗告や勾留取消請求などによって釈放を求めることが可能です。
起訴・不起訴の判断
勾留期間の満了または捜査が終了した時点で、検察官は起訴・不起訴の判断を下します。
主な判断基準となるのは、犯罪事実を立証できるか、起訴して刑罰を科すべき事案かどうかという点です。
不起訴になれば、その時点で事件が終了し、今後罪に問われることもありません。
一方、起訴には以下の2種類があり、どちらが選択されるかによって、その後の手続きが大きく変わります。
- 正式起訴(公判請求):正式な裁判で審理を求める起訴
- 略式起訴(略式請求):簡易な手続きで罰金刑を求める起訴
盗撮に適用される撮影罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」です。
盗撮の初犯であれば、略式起訴による罰金刑になるケースが一般的といえます。
一方、悪質性が高い事件を起こした場合や前科がある場合などは、正式起訴され、拘禁刑になる可能性もあります。
盗撮事件の不起訴獲得には弁護士のサポートが不可欠
盗撮事件を起こしたときは、一人で抱え込むのではなく、いち早く弁護士を頼ってください。
弁護士に依頼すれば、以下のようなサポートを受けられます。
- 被害者との示談交渉の代行
- 取調べに対するアドバイス
- 黙秘権行使に関する助言
- 不起訴を求める意見書の提出
- 早期釈放に向けた働きかけ
- 再犯防止策の検討
- 反省文や上申書の作成支援
ただし、すべての弁護士が刑事事件を得意としているわけではありません。
たとえば、離婚や相続問題に注力する弁護士に依頼しても、思うような成果を得られない可能性があります。
豊富な経験に基づくサポートを受けるには、刑事事件の加害者弁護が得意な弁護士に依頼することが重要です。
グラディアトル法律事務所では、これまでに数々の盗撮事件を取り扱い、不起訴を獲得してきました。
今後の動向に少しでも不安に感じているのなら、迷わず弊所までご連絡ください。
盗撮事件で不起訴処分を獲得した事例
次に、グラディアトル法律事務所の弁護士が介入し、不起訴処分を獲得した盗撮事例を3つ紹介します。

駅構内のエスカレーターで盗撮した事例
まず紹介するのは、駅構内のエスカレーターで女性のスカート内を盗撮し、余罪が30件以上発覚した事例です。
| 事案概要 | 駅構内のエスカレーターで女子高生のスカート内を盗撮し、被害者に気づかれて現行犯逮捕。スマートフォンの解析により30件以上の余罪が発覚した。 |
| 弁護士の対応 | 被害者の保護者に対し、依頼者が反省していることや、再犯防止のために通院・治療を継続していることを粘り強く説明。当初は示談を拒否されていたものの、誠意を伝え続けることで交渉を受け入れてもらった。 |
| 結果 | 50万円の支払いで示談が成立し、不起訴処分を獲得。余罪については再逮捕されることなく事件が終結した。 |
余罪が多数あったため難易度が高い事案でしたが、弁護士が真摯に交渉を重ねた結果、示談が成立し、不起訴処分を勝ち取ることができました。
本事案の詳細は以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
コンビニのトイレにスマートフォンを置いて盗撮した事例
次に紹介するのは、コンビニの店長が女子トイレにスマートフォンを置いて盗撮し、逮捕・勾留された事例です。
| 事案概要 | コンビニ店長を務める30代男性が、勤務先の女子トイレに録画状態のスマートフォンを設置して盗撮。女子従業員に発見されて通報され、逮捕・勾留された。 |
| 弁護士の対応 | 早期身柄解放のため、勾留決定に対する準抗告を申立て。逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを丁寧に主張し、勾留決定の取消しを実現。釈放後は警察を通じて被害者と接触し、撮影データを削除済みであることを伝えたうえで示談交渉を進めた。 |
| 結果 | 逮捕から3日後に釈放され、その後示談が成立。不起訴処分により職場復帰も叶った。 |
身柄拘束による仕事への影響を最小限に抑えつつ、示談を成立させたことで不起訴を獲得できました。
本事案の詳細は以下で解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
通勤時のバスで学生を盗撮した事例
最後に紹介するのは、通勤途中のバス車内で学生を盗撮し、現行犯逮捕された事例です。
| 事案 | 通勤時のバスで学生を盗撮したことがバレて現行犯逮捕。そのほかにも盗撮の余罪が見つかった。 |
| 弁護士の対応 | 複数回の接見を実施し、取調べの対応方法を助言。一度勾留が決定したが準抗告をおこない、早期釈放を実現した。また、被害者との示談交渉にも迅速に着手。被害者の心情に配慮した示談書を作成し、50万円で合意した。 |
| 結果 | 依頼対象事件については不起訴処分(その他余罪の一部は略式起訴) |
被害者が未成年である事案は示談のハードルが高くなりがちですが、弁護士が迅速かつ誠実に対応したことで、不起訴を実現できました。
盗撮事件の起訴・不起訴に関するよくある質問
最後に、盗撮事件の起訴・不起訴に関してよくある質問に回答していきます。

起訴・不起訴が決まるまでの期間は?
起訴・不起訴が決まるまでの期間は、身柄事件か在宅事件かによって大きく異なります。
身柄事件の場合は、以下のように手続きが進められ、逮捕後から最長でも23日以内に結論が出ます。
- 送致:逮捕後48時間以内
- 勾留請求:送致後24時間以内
- 勾留:原則10日間、最長20日間
一方、在宅事件の場合は法律上の期間制限がなく、捜査が長期化することも珍しくありません。
起訴・不起訴の判断までに、数ヵ月以上を要することもあります。
不起訴(起訴猶予)になった場合は前科がつく?
不起訴処分となった場合、起訴猶予を含めて前科はつきません。
前科は「刑事裁判で有罪判決が確定した経歴」を指します。
不起訴処分になれば、そもそも刑事裁判にすらかけられないので、前科がつくこともありません。
ただし、捜査対象になった時点で「前歴」が残る点には注意してください。
再び同種の犯罪を起こした場合には、前歴があることで捜査機関の心証が悪くなり、処分が重くなる可能性があります。
不起訴を目指すなら余罪も自分から話すべき?
余罪を自分から話すべきかどうかは、ケースバイケースで判断する必要があります。
余罪を正直に申告すれば、反省の態度を示すものとして検察官の心証がよくなる可能性があります。
一方、自ら余罪を申告したことで逮捕されたり、処分が重くなったりするリスクも否定できません。
そのため、余罪の取り扱いについては、必ず弁護士に相談したうえで方針を決めるようにしてください。
なお、取調べの中で警察官から余罪について質問された場合も、安易に答えることは避けるべきです。
回答する前に黙秘権を行使し、弁護士のアドバイスを受けてから対応することをおすすめします。
不起訴になれば盗撮したことが会社にバレない?
在宅事件として処理されていれば、盗撮したことを会社にバレずに乗り切れる可能性があります。
警察や検察から勤務先に対して、事件の発生を通知することは原則としてありません。
ただし、身柄事件として逮捕・勾留されてしまった場合は注意が必要です。
長期間にわたって出勤できない理由を会社に説明する必要があるため、事件について隠し通すことは難しいでしょう。
また、公務員や会社役員などの社会的信頼が求められる職業に就いている場合は、実名報道される可能性が高くなります。
盗撮の初犯なら不起訴になりやすい?
初犯であることは検察官の判断において有利な事情のひとつですが、それだけで不起訴処分が確定するわけではありません。
特に2023年に撮影罪が施行されて以降、盗撮に対する処罰は厳しくなっており、初犯であっても起訴されるケースは数多く見受けられます。
不起訴を獲得するには、初犯であることに加え、示談の成立が何よりも重要です。
初犯だからといって楽観視せず、できるだけ早い段階で弁護士に相談し、示談交渉に着手してもらいましょう。
盗撮事件を起こしたときはグラディアトル法律事務所に相談を!
本記事のポイントは以下のとおりです。
- 盗撮(撮影罪)の不起訴率は約30%で大半は起訴猶予
- 不起訴処分には嫌疑なし・嫌疑不十分・起訴猶予の3種類がある
- 不起訴(起訴猶予)を獲得するには被害者との示談が重要
- 示談以外に贖罪寄付や自首などを検討したほうがよいケースもある
盗撮事件を起こした場合でも、示談を成立させたり、反省している姿勢を示したりすることで、不起訴となる可能性は十分あります。
時間が過ぎるのを待つのではなく、できる限りの対策をとることを心がけましょう。
しかし、法的な知識のない個人が自己判断で行動することはおすすめしません。
少しでも不起訴となる可能性を高めたいのであれば、弁護士に相談し、個別具体的なアドバイスを受けることが重要です。
グラディアトル法律事務所では、経験豊富な弁護士が24時間365日体制で相談を受け付けています。
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