キスで不同意わいせつ罪が成立?実際の相談事例を弁護士が解説

キスで不同意わいせつ罪が成立?実際の相談事例を弁護士が解説
弁護士 若林翔
2026年07月02日更新

「キスをしただけなのに、不同意わいせつ罪に問われることなんてあるの?」

「拒まれていなかったから、大丈夫だろう……」

そう考えている方も多いかもしれません。しかし、相手の同意がないままするキスは、不同意わいせつ罪に問われる可能性があります。「はっきり拒まれなかった」としても、安心はできません。

弊所でも、実際にキスにより不同意わいせつ罪が成立して相談を受けた事例がいくつもあります。たとえば、取引先の女性へのキスで逮捕されたケースや、飲食店で知り合った女性へのキスで取調べを受けたケースなど、状況はさまざまです。

なぜ逮捕されたのか、どうやって不起訴になったのか。詳細は本文で解説しますが、いずれのケースも、暴行や脅迫を用いてキスをしたわけではありませんでした。

本記事では、どのようなキスが不同意わいせつ罪にあたるのかを、実際の事例や判例をもとに取り上げました。あわせて、逮捕や前科を避けるために今すべきことも具体的に解説します。

目次

キスでも不同意わいせつ罪は成立する

相手の同意がない状態でキスをすれば、不同意わいせつ罪が成立する可能性があります。

不同意わいせつ罪(刑法176条)は、以下2つの要件を満たすと成立するところ、同意のないキスはこのいずれも満たし得るからです。

  1. わいせつな行為であること
  2. 「同意しない意思の形成、表明、全う」が困難な状態であったこと

以下で、それぞれの要件を詳しく見ていきます。

そもそもキスは「わいせつな行為」にあたるのか?

同意なく一方的にする口や唇へのキスは、基本的に「わいせつな行為」にあたります。

いくら本人が「性的なつもりはなかった」と主張しても、社会通念上、キスは性的な意味を持つ行為と評価されるため、それだけでわいせつ性が否定されるわけではないからです。

最高裁の判例でも、不同意わいせつ(旧:強制わいせつ)の「わいせつな行為」について、行為者の性的意図は判断材料の一つになることはあっても、成立の必須要件ではないとされています。

刑法(平成29年法律第72号による改正前のもの)176条にいう「わいせつな行為」に当たるか否かの判断を行うための個別具体的な事情の一つとして,行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合はあり得るが,行為者の性的意図は強制わいせつ罪の成立要件ではない。(出典:最判平29年11月29日)

「同意しない意思の形成、表明、全う」が困難な状態とは、相手がはっきり拒絶した場合だけではない

「同意しない意思の形成、表明、全う」が困難な状態とは、相手が「嫌だ」という意思を持つこと、それを言葉や態度で示すこと、そして最後まで拒み通すことのいずれかが難しい状況を指します。

たとえば次のような場合、相手がキスを明確に拒絶していなくても、「同意しない意思の形成、表明、全う」が困難な状態だったと評価される可能性があります。

ーーーーーーーーーー

  • 相手が不意を突かれて体が固まっていた

⇒例:マッチングアプリで出会った相手と、別れ際に不意に顔を近づけ相手が反応できないうちにキスをした

  • 上司や取引先など立場の差から断りにくかった

⇒例:契約解除を匂わせて、断りづらい立場の契約先の相手にキスをした

  • 酔っていて正常な判断ができなかった

⇒例:飲み会の帰り、相手が強く酔って受け答えもあいまいな状態でキスをした

ーーーーーーーーーー

キスによって不同意わいせつが成立した実例まとめ

実際に、キスによって不同意わいせつ罪が成立し、逮捕・起訴に至っている事例は数多くあります。以下に、直近で報道されているケースをまとめました。

・13歳未満の児童にキスした疑い、42歳の男を不同意わいせつ容疑で逮捕…「そういったことはしていない」(出典:読売新聞|2026/06/05 11:55)

・横浜で女性タクシー運転手の手にキス 容疑で日本年金機構職員の男を逮捕(出典:神奈川新聞 | 2025年7月2日(水) 22:00)

・「同意があった」 敷地内や路上で女性にキス 不同意わいせつ容疑で31歳逮捕 千葉県警(出典:千葉日報|2026/5/22 5:00 )

・知人女性に同意なくキス 元大津町職員の男に有罪判決(懲役1年6月、執行猶予3年 熊本地裁(出典:熊本日日新聞|2026年5月29日 17:06)

・酒に酔い見知らぬ女性にキス 22歳男に有罪判決(懲役1年6ヵ月執行猶予3年) 「記憶なし」主張退け【長崎地裁】(出典:NBC長崎放送|2025年10月26日(日) 12:02)

なかには、横浜のタクシー運転手の事例のように、相手の手にキスをしただけで逮捕に至っているケースもあります。「唇へのキスでなければ問題ない」とは言いきれないことがわかります。

また、実刑こそ回避しているものの、懲役1年6月(執行猶予3年)といった、比較的重めの量刑が言い渡されている事件もあります。不同意わいせつ罪は罰金刑が定められておらず、有罪となれば懲役(拘禁刑)が前提となる点も、量刑が重くなりやすい一因です。

これらはあくまで、ニュースとして報道されたものをピックアップしたにすぎません。報道されていない逮捕事例も当然あるため、実際にはさらに多くのケースで逮捕・起訴に至っていると考えられます。

【グラディアトルの事例】キスして不同意わいせつ罪で逮捕!示談成立で不起訴に

実際にグラディアトル法律事務所が扱った、キスによる不同意わいせつ事件の事例を紹介します。

【グラディアトルの事例】キスして不同意わいせつ罪で逮捕!示談成立で不起訴に

事件の概要

依頼者のAさんは、都内に住む30代の会社員男性です。仕事では順調にキャリアを重ね、家庭も持ち、周囲からも真面目な人物として信頼されていました。

ある日、Aさんは営業の仕事で知り合った女性と二人で食事をすることになりました。女性はこの食事を仕事の一環と考えており、親密になるつもりはありませんでした。

しかしAさんは、以前からその女性を魅力的に感じており、相手も自分に好意を持っているはずだと勘違いしていました。そして「嫌がられることはない」と考え、食事中に女性にキスをしてしまいます。

暴言や暴力があったわけではありませんが、キスに驚いた女性に、その場で助けを呼ばれてしまいました。そして、店の人が呼んだ警察に事情を聞かれ、Aさんはそのまま不同意わいせつ罪の容疑で逮捕されてしまったのです。

キスによって逮捕された理由

Aさんと女性は上司・部下のような関係ではなく、Aさんが女性を押さえつけて無理やりキスをしたわけでもありませんでした。

しかし、両者は仕事上の取引相手であり、女性がAさんの誘いを断りにくい状況にありました。その中でAさんが突然キスをしたことは事実です。

そのため、「同意しない意思を形成し、表明し、又は全うするいとまがないこと」、あるいは「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること」にあたる状況でわいせつな行為をしたとして、不同意わいせつ罪の被疑事実で逮捕されてしまったのです。

依頼から解決までの流れ

逮捕されたAさんはそのまま身柄を拘束されたため、本人に代わって会社の上司が弊所へ相談に来てくださいました。(※このように、本人が来られない場合でも、家族や関係者を通じて弁護士に依頼することは可能です。)

弊所がご相談を受けた当時、Aさんは接見禁止の状態にありました。それでも弁護士は本人と面会できる立場にあるため、Aさんと面会し、取調べ対応についてアドバイスをするとともに、会社関係者や家族からの伝言を伝えました。外部と遮断された状況の中、弁護士と話せたことで、Aさんも少し落ち着いたようでした。

その後、弁護士はAさんと相談のうえ、不起訴処分を目指して相手女性と示談交渉を進める方針を決めました。そして相手方の代理人弁護士に連絡を取り、交渉を進めていきました。

結果

交渉の結果、最終的に100万円の示談金を支払うことで示談が成立しました。そして、示談成立を受けて、Aさんには不起訴処分が決定しました。

この事例が示すように、不同意わいせつ事件では、早急に弁護士に相談することが極めて重要です。できるところまで自力で何とかしようと考え、弁護士への依頼を後回しにしてしまうと、どんどん対応が難しくなってしまいます。

もし、ご自身やご家族が事件に巻き込まれてしまった場合には、すぐに弊所弁護士までご相談ください。弊所弁護士が事件解決に向けて尽力いたします。

※以下でさらに詳しい事例を紹介しています。

キスが不同意だったと判断されやすいケース5つ

キスが不同意わいせつ罪にあたるかどうかは、突き詰めれば、刑法176条の条文に該当するかどうかで決まります。同条が定める「同意がない」とされる状況のうち、キスで実際に問題になりやすいのが、次の5つです。

  • お酒で酔っ払っていた
  • 睡眠など、意識が不明瞭な状態だった
  • 上司と部下、取引先などの上下関係があった
  • 不意打ちでキスをした
  • 相手が16歳未満だった

以下では、それぞれのケースについて、根拠となる条文とあわせて具体的に見ていきます。

相手がお酒で酔っ払っていた

相手が酒に酔って正常な判断ができない状態でのキスは、「アルコールの影響があること」(刑法176条1項3号)にあたり、不同意わいせつ罪が成立しやすくなります。

ーーーーーーーーーー

  • マッチングアプリで知り合った相手との初デートで、相手がかなり酔い、足元がふらつき会話もかみ合わない状態になったところでキスをした
  • 飲み会の帰り、相手が酔って受け答えがあいまいなのに乗じてキスをした
  • 自分が相手にしつこく酒を勧め、酔わせたうえでキスをした

ーーーーーーーーーー

「相手も笑っていたから嫌がっていないと思った」と考えても、酔って判断力を失っている相手は、そもそも有効に同意できる状態にありません。場が盛り上がっていたとしても、まともに判断できない相手へのキスは罪に問われ得ます。

睡眠、その他意識が不明瞭な状態だった

相手が眠っている、あるいは意識がはっきりしない状態でのキスは、「睡眠その他の意識が明瞭でない状態にあること」(刑法176条1項4号)にあたります。

ーーーーーーーーーー

  • 宅飲みの最中、ソファで寝てしまった相手にキスをした
  • 終電で居眠りしている隣の相手にキスをした
  • 薬や酒で意識がもうろうとしている相手にキスをした

ーーーーーーーーーー

眠っている相手は、拒否することも同意することもできません。「起きていたときに仲が良かったから大丈夫だろう」という判断は通用せず、意識のない相手への行為は、それだけで不同意わいせつ罪が成立する可能性が高いといえます。

上司と部下、取引先などの上下関係があった

立場の差を利用したキスは、「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること」(刑法176条1項8号)にあたり得ます。

ーーーーーーーーーー

  • 取引先の担当者が「契約の継続」をちらつかせ、商談後の会食で二人きりになった相手にキスをした
  • 上司が人事評価を引き合いに出し、残業で二人きりの部下にキスをした
  • 発注権限を持つ立場を利用し、断りにくい下請けの担当者にキスをした

ーーーーーーーーーー

こうした場合、相手は「断れば不利益を受けるかもしれない」と考え、抵抗しづらくなります。はっきり拒まなかったとしても、それは「断れなかった」だけであり、同意があったとは評価されません。

不意打ちでキスをした

相手が身構える間もない突然のキスは、「同意しない意思を形成し、表明し、又は全うするいとまがないこと」(刑法176条1項5号)にあたります。

ーーーーーーーーーー

  • デートの別れ際、相手が予期しないタイミングで急に顔を近づけてキスをした
  • 会話の流れから、相手が想定していないうちにいきなりキスをした
  • すれ違いざまや背後から、相手が反応できない形でキスをした

ーーーーーーーーーー

「抵抗されなかった=OK」という思い込みは危険で、不意打ちのキスは罪に問われ得ます。

16歳未満の相手に対してキスをした

相手が16歳未満の場合、たとえ同意があっても不同意わいせつ罪が成立します(刑法176条3項)。16歳未満は、性的な行為について自分で判断する能力が十分でないと法律上扱われるためです。「相手も望んでいた」「交際していた」という事情は、罪の成立を否定する理由になりません。

成立する条件は、相手の年齢によって次のように分かれます。

ーーーーーーーーーー

  • 相手が13歳未満:年齢差に関係なく、キスをすれば成立する
  • 相手が13歳以上16歳未満:自分が相手より5歳以上年上の場合に成立する(例:20歳の人が15歳にキスをした場合)

ーーーーーーーーーー

たとえば、SNSで知り合った15歳の相手と「両思いだ」と思い込んで合意のうえでキスをしても、自分が20歳以上であれば不同意わいせつ罪に問われます。

なお、相手が16歳以上であれば、年齢だけを理由に不同意わいせつ罪が成立することはありませんが、各都道府県の青少年保護育成条例(淫行条例)違反などが成立する可能性があります。

同意の上でキスしたなら、前後のLINEなどのやり取りを残しておこう

お互いの同意のうえでキスをしたのであれば、その前後のLINEやSNSのやり取りを消さずに残しておくことが大切です。

不同意わいせつ事件は当事者しかいない場面で起きることが多いため、後から「同意があった・なかった」が争いになると、水掛け論になりがちです。しかも、客観的な証拠が残りにくい性犯罪では、被害者の証言が有力な証拠として重視される傾向にあります。そのため、「同意があった」と主張する側は、それを裏づける手がかりを自分で示す必要が出てきます。

その手がかりとして、最も手軽に残せるのが、当時の状況をうかがわせるLINEなどのやり取りです。たとえば、次のようなメッセージは、二人の関係が良好だったことを示す材料になり得ます。

ーーーーーーーーーー

  • デートの誘いや日程調整など、二人で会うことに前向きだったとわかるメッセージ
  • デート当日やその後に、相手から届いた「楽しかった」「また会いたい」といった好意的なメッセージ
  • キスをした後も続いている、親密なやり取りや次の約束

ーーーーーーーーーー

もちろん、こうした記録だけで同意が証明されるわけではありません。それでも、何も残っていない場合に比べれば、「同意があり、不同意わいせつ罪にはあたらない」と主張する際の有力な裏づけになります。

キスによって不同意わいせつが成立するリスク

キスによって不同意わいせつ罪が成立すると、逮捕による身柄拘束や起訴、職場・学校での処分など、生活に大きな影響が及びます。主なリスクを2つ見ていきます。

逮捕されて長期間身柄が拘束される

不同意わいせつ罪で逮捕されると、長期間にわたって身柄を拘束されることがあります。

逮捕後、警察での取調べを経て検察官に送致され、勾留が決定すると、身柄拘束は逮捕から最大23日間に及びます。この間は外部との連絡が制限され、出社や通学もできなくなるため、仕事や日常生活に大きな支障が生じます。

逮捕されてすぐに会社や学校へ連絡がいくわけではありませんが、拘束が長引くほど、欠勤・欠席などをきっかけに事件が周囲へ発覚する可能性は高くなります。

会社や学校から懲戒処分される

逮捕・起訴されると、会社や学校から懲戒処分を受ける可能性があります。

多くの会社や学校では、就業規則や学則で、刑事事件を起こした場合の懲戒について定めているためです。逮捕されたからといって必ず処分されるわけではありませんが、たとえば相手が同じ職場の人や取引先だった場合は、会社の信用にも関わるため、懲戒処分を受ける可能性が高くなります。

不同意わいせつ罪の起訴率・法定刑(刑の重さ)

不同意わいせつ罪で逮捕・捜査されても、全員が起訴されるわけではありません。

犯罪白書によると、不同意わいせつ罪の起訴率は、令和5年・令和6年ともに約33.7%でした。逮捕・送致された人のうち、6〜7割は不起訴で終わっている計算です。

起訴率起訴不起訴
令和5年(2023年)33.7%1,400人2,749人
令和6年(2024年)33.7%1,544人3,035人

出典:法務省「令和7年版 犯罪白書 第2編/第2章/第4節/資料2-2(検察庁終局処理人員)」

一方で、いったん起訴されると、有罪はほぼ避けられません。日本の刑事裁判では、起訴後に有罪となる割合は99%を超えているからです。

しかも、不同意わいせつ罪には罰金刑がありません。法定刑は6月以上10年以下の拘禁刑のみであり、有罪となれば、執行猶予が付かない限り刑務所に収容されることになります。

そのため、もし不同意わいせつを疑われる事態になったら、起訴される前に弁護士へ相談し、不起訴処分に向けて動き出すことが大切です。

不同意わいせつ罪の逮捕・起訴を防ぐには示談が重要

不同意わいせつを疑われたとき、逮捕や起訴を避けるために最も重要になるのが、被害者との示談です。示談が成立すれば、被害届の提出を防いだり、検察官に不起訴と判断されやすくなったりするためです。

示談は早ければ早いほど効果が大きい

示談は、成立するタイミングが早いほど効果が大きくなります。事件の段階ごとに、期待できる効果は次のように変わります。

示談が成立する時期期待できる主な効果
事件直後(被害届の前)被害届の提出を防ぎ、刑事事件化を回避できる
被害届の提出後被害届の取り下げにより、捜査の中止や逮捕の回避につながる
逮捕後早期の釈放や不起訴処分が期待できる
起訴後執行猶予の獲得など、刑の軽減につながる

例えば、事件の直後に示談できれば、そもそも刑事事件にせずに終わらせられることもあります。逆に、逮捕・起訴と段階が進むほど、回避できる範囲は狭まり、目指せるのは刑の軽減にとどまっていきます。だからこそ、できるだけ早く動き出すことが重要です。

示談交渉は必ず弁護士を通して行おう

性犯罪の被害者は、加害者本人との接触を強く拒むのが通常です。知人や仕事関係など連絡先が分かっている場合でも、本人や家族が直接連絡を取れば、被害感情を悪化させ、感情的なトラブルや法外な慰謝料の要求を招きかねません。

その点、第三者である弁護士が代理人として入れば、感情的な対立を避けて冷静に交渉を進められます。示談金や「今後接触しない」「事件を口外しない」といった条件を書面で取り決め、被害者から「処罰を望まない」という意思を引き出せれば、不起訴となる可能性は大きく高まります。

グラディアトルの事例から見る不同意わいせつ罪の示談交渉の流れ

弁護士に依頼すると、示談は実際にどのように進むのか。グラディアトル法律事務所が扱った事例をもとに、相談から不起訴までの流れを紹介します。

グラディアトルの事例から見る不同意わいせつ罪の示談交渉の流れ

事件の概要

相談者のBさんは、地方に住む会社員男性です。

家庭を支えながら真面目に働いてきたBさんですが、ある夜、飲食店で知り合った女性と酒席をともにし、帰り際にその女性にキスをしてしまいます。Bさんは良い雰囲気になっていたと感じていましたが、女性は泣き出し、店が警察を呼ぶ事態になりました。

Bさんはそのまま警察の取調べを受けることになり、検察へ書類送致される見込みとなります。起訴されて前科がつくことを強く恐れたBさんは、早期に弁護士へ相談することを決意します。

被害者の連絡先を入手し、示談が成立するまで

Bさんから依頼を受けた弊所の弁護士は、被害者と接触するために、まず検察官に連絡を取りました。

本件のような性犯罪では、被害者本人の連絡先は厳格に管理されており、加害者本人には秘匿されるのが通常です。今回のケースでも、被害者の連絡先を弁護士限りで入手することから、示談交渉がスタートしました。

示談にあたって、被害者側がまず望んだのが、書面による謝罪です。性犯罪では、被害者が加害者と顔を合わせること自体を負担に感じるため、対面ではなく謝罪文での対応が求められることがあります。本件でも、弁護士が助言をしながら、Bさんの言葉で謝罪文を作成していきました。

さらに、示談成立に向けた条件交渉も進めていきますが、このとき問題となったのが示談金です。Bさんの資力では、被害者側が希望する金額を一括で支払うのは難しい状況でした。

Bさんは、「とにかく不起訴を目指したい」という強い意向があり、被害者の希望額も相場から逸脱したものではなかったため、弁護士は金額面で譲歩しつつ、総額を3回に分けて分割で支払う形を提案し、合意を得ることに成功します。

このように、示談金の支払いは、一括では難しいケースでも、相手の同意を得て分割でまとめられることがあります。

示談の成立によって不起訴処分を獲得

示談書がまとまった後、弁護士はただちにその示談書を検察庁へ提出しました。

その結果、Bさんには不起訴処分が下されました。相談から解決まで、かかった期間はおよそ8か月。早い段階で弁護士に相談し、適切な手順で示談を成立させたことが、不起訴という結果につながったといえます。

このように、まとまった資金をすぐに用意できない事件でも、早期に弁護士へ相談して示談を成立させれば、不起訴で終えられる可能性は十分にあります。不同意わいせつの疑いをかけられてお悩みの方は、ぜひ弊所グラディアトル法律事務所にご相談ください。

グラディアトル法律事務所へご相談ください

キスと不同意わいせつに関するよくある質問

Q. ハグでも不同意わいせつは成立しますか?

成立する可能性があります。ハグも、状況によっては性的な意味を持つ行為と評価されるためです。たとえば、相手の同意なく背後から抱きついたり、胸や腰に触れながら抱きしめたりすれば、わいせつな行為と判断され得ます。一方、挨拶程度の軽いハグなど、性的な意味合いが薄いと評価される場合は、成立しないこともあります。

Q. ほっぺへのキスでも不同意わいせつ罪になりますか?

なる可能性があります。わいせつにあたるかは、キスの部位だけで決まるわけではなく、相手との関係やその場の状況をふまえて判断されるためです。頬へのキスであっても、相手の同意がなく、性的な意味合いが認められれば、不同意わいせつ罪が成立し得ます。

Q. 証拠がなくても逮捕される可能性はありますか?

あります。性犯罪は密室や二人きりの場面で起きることが多く、物的な証拠が残らないケースは少なくありません。そうした場合でも、被害者の供述や状況証拠などをもとに捜査が進められ、逮捕に至ることがあります。「録音や映像がないから大丈夫」とは言えません。

Q. 被害者が告訴しなければ起訴されませんか

いいえ。かつての強制わいせつ罪は、被害者の告訴がなければ起訴できない「親告罪」でしたが、平成29年の法改正により、不同意わいせつ罪は告訴がなくても起訴できるようになりました。ただし、被害者が処罰を望んでいるかどうかは、起訴・不起訴の判断で重視されます。

Q. 今から相手に連絡したほうが良いですか?

自分から直接連絡するのは避けるべきです。謝罪のつもりでも、相手の被害感情を悪化させたり、しつこく接触したと受け取られて、かえって不利になりかねません。連絡や謝罪、示談の連絡は、弁護士を通じて行うのが安全です。

Q. 示談金の相場はどれくらいですか?

不同意わいせつ事件の示談金は、一般に50万〜100万円程度が目安とされます。キスのケースでは50万円程度が多いものの、回数が多い、被害者の精神的苦痛が大きいといった事情があれば、100万円を超えることもあります。実際の金額は、行為の態様や相手との関係、処罰感情などによって大きく変わります。

不同意わいせつの示談金相場は、以下で詳しく解説しています。

まとめ

相手の同意がないキスは、不同意わいせつ罪が成立し得ます。実際に、キスだけで逮捕・起訴された事例があることは、本記事で紹介したとおりです。相手がはっきり拒絶していなかったとしても、それだけで同意があったことにはなりません。

今、不同意わいせつの疑いをかけられて不安を抱えている方は、早めに弁護士へ相談しましょう。弁護士に相談すれば、逮捕の可能性の見極めから、取調べへの対応、示談交渉まで、あなたを守るための最善の対応ができます。

不同意わいせつの疑いをかけられてお悩みの方は、ぜひグラディアトル法律事務所にご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力。数多くの夜のトラブルを解決に導いてきた経験から初の著書「歌舞伎町弁護士」を小学館より出版。 youtubeやTiktokなどでもトラブルに関する解説動画を配信している。

お悩み別相談方法

弁護プラン一覧

よく読まれるキーワード