【盗撮で実刑になるケースは極めて稀!】前科・余罪ありでも回避策はある

盗撮で実刑になることはある?
弁護士 若林翔
2026年02月07日更新
「盗撮がバレた…前科もあるし、実刑になってしまうのでは?」 「スマホから大量の盗撮データが見つかった。刑務所に入ることになったら、仕事も家族も失ってしまう…」 盗撮をしてしまい、このような不安を抱えて、何とか実刑だけは避けたいと思っている方も多いでしょう。 結論から言えば、盗撮で実刑になるケースは極めて稀です。 弊所グラディアトル法律事務所では数多くの盗撮事件を扱っていますが、盗撮で実刑判決となった事例はほぼありません。多少の余罪があっても、態様が悪質でも、適切な弁護活動を行えば、不起訴や罰金刑で終わるケースがほとんどです。 ただし、もちろん絶対に実刑にならないわけではなく、 ・ 前科がある場合 ・ 執行猶予中の再犯 ・ 他の犯罪(児童ポルノ禁止法違反、住居侵入など)と併せて起訴された などの場合は、実刑リスクが高まります。 また、撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)が施行されてから、盗撮厳罰化の流れは強まっています。2024年には、盗撮の検挙件数も過去最多を記録(8,313件)をしており、決して油断できる状況ではありません。 《盗撮に係る検挙状況》 盗撮に係る検挙状況

(出典:警察庁「令和6年中の痴漢・盗撮事犯に係る検挙状況の調査結果」)

そこで本記事では、盗撮で実刑になる可能性が高いケースや、実刑を回避するための具体的な方法について解説していきます。 最後まで読めば、今の状況でも実刑を回避できる可能性があるのか、そのために何をすべきかが分かります。「実刑になるかもしれない」というあなたの不安を解消し、最善の結果を得るために、ぜひご一読ください。

盗撮で実刑になるのは極めて稀!実刑になるケースとは?

冒頭でも触れましたが、盗撮で実刑になるケースは極めて稀です。 弊所では多くの方から盗撮事件のご相談をいただきますが、盗撮だけで実刑判決となった事例はほとんどありません。それどころか、執行猶予付きの懲役刑すら少なく、多くが「不起訴、または略式命令による罰金刑」で終わっています。 「適切な弁護活動を行えば、実刑を回避できる可能性は高い」と考えてよいでしょう。 ただし、「盗撮は実刑になるリスクがゼロ」というわけではありませんし、事件によっては処分が重くなるケースもあります。 どんなケースで実刑リスクが高まるのか、具体的に見ていきます。

盗撮で実刑になりやすいケースの例

盗撮で実刑判決を受けやすいのは、以下のようなケースです。
具体的な状況
盗撮の前科がある過去に盗撮で罰金刑や執行猶予判決を受けている
執行猶予中の再犯前回の執行猶予期間中に、再び盗撮で逮捕された
別罪でも起訴児童ポルノ禁止法違反や住居侵入罪など、他の犯罪と一緒に起訴された
犯行態様が悪質盗撮データを販売していた など
盗撮で実刑になるのは、前科があったり、執行猶予中だったりする等の事件に限られており、「余罪がある」「盗撮の態様が悪質だ」というだけで実刑になることは少ないです。 よくご相談をいただくのが、「スマホに複数の盗撮データがある」というケースですが、数件の余罪が見つかった程度であれば、示談で実刑を回避できる可能性は高いです。 《実際に盗撮で実刑になったケースの例》
・ 「欲望をおさえきれなくなった」 と執行猶予期間中にコンビニトイレで再び盗撮。男(57)に懲役1年4か月の実刑判決。(出典:TUV)・ 学校の寮に侵入繰り返し10代の男性8人盗撮、男に実刑判決 一部にわいせつ行為も (出典:産経新聞) ・ 福岡地裁小倉支部は7月29日、北九州市内4つの商業施設で9人の女性のスカートの内側を盗撮、または盗撮しようとした無職の〇〇被告(◯)に対し、懲役1年6か月の実刑判決を言い渡した。(出典:RKB毎日放送) など

「起訴された人」のなか実刑になるのは約3割

盗撮は略式起訴になるケースが多いですが、仮に公判請求(起訴)されても、実刑となり刑務所に収監されるのは約3割です。 以下は、令和6年に地裁で撮影罪(性的姿態撮影等処罰法違反)で正式起訴(公判請求)された人のうち、有罪判決を受けた人のデータです。
終局処理人員執行猶予付き判決実刑罰金等
人数442人292人135人15人
割合100%約66%約31%約3%
(出典:法務省「令和7年版犯罪白書 通常第一審における終局処理人員(罪名別、裁判内容別)」) 撮影罪ではなく「迷惑防止条例違反」として処理されるケースもありますが、その場合はより軽い処分となる傾向があります。

盗撮の前科や前歴・余罪があっても、弁護士へ相談すれば実刑を回避できる可能性は高い

1章では盗撮で実刑になることは稀だとお伝えしましたが、なかには、 「自分は初犯じゃないから…」 「盗撮の前科や前歴がある…」 「大量の盗撮データが見つかっているけど大丈夫かな…」 と不安を感じている方も多いと思います。そういった方も、早期に適切な弁護活動を行えば、示談の成立や情状弁護によって不起訴や執行猶予を得られる可能性は高いです。

グラディアトル法律事務所で盗撮事件を解決した事例

実際にどのような状況から実刑を回避できるのかのイメージを持っていただくために、弊所で担当した事例をご紹介します。
《スマホから複数の盗撮データが見つかったケース》毎日同じ時間のバスで通勤しており、学生の通学時間と重なっていた20代男性からご相談を受けた事例です。 仕事のストレスから魔が差して数回にわたり盗撮し、現行犯で逮捕されました。押収されたスマホ等からは、街中や店舗での盗撮データも複数発見されました。 →多くが示談が成立して不起訴処分となり解決。示談成立しなかったものについても実刑を避けて罰金刑で解決した事例
《設置型カメラに何十件もの映像が残っていたケース》店のトイレに小型カメラを設置し、通常逮捕された男性からご相談を受けた事例です。 この方は、半年ほど前から盗撮を繰り返しており、カメラには何十件もの映像が保存されていました。 →一部で示談が成立して、略式起訴となり罰金50万円。実刑の回避に成功!
いずれも余罪が複数あり、スマホやカメラから大量のデータが見つかった状況でしたが、弁護活動によって実刑を回避できています。

実刑を回避するために必要なのは被害者との示談

実刑を回避するうえで最も重要なのが、被害者との示談です。検察官が起訴するかどうか、裁判官がどの程度の刑を科すか、いずれの判断にも、示談の有無が大きく影響するからです。 上記で紹介した1つ目の事例では、示談が成立した結果、多くが不起訴となりました。余罪が複数あったため一部は略式起訴となりましたが、実刑は回避できています。 2つ目の事例でも、一部の被害者と示談が成立しなかったため略式起訴となりましたが、一部は示談が成立していたこともあり、罰金刑にとどまりました。 ただし、示談交渉を加害者本人が行うことは現実的ではありません。被害者が直接の接触を拒否するケースがほとんどですし、感情的な対立を招くリスクもあります。 示談交渉は、必ず弁護士に相談してから進めることを強くおすすめします。

盗撮した被害者の連絡先が分からないときも、事前に弁護士へ相談しておこう

盗撮した被害者の連絡先が分からないときも、事前に弁護士へ相談しておこう
  「示談が大事なのはわかったけど、被害者の連絡先なんてわからない」 そう思った方も多いかもしれませんが、被害者が特定できていない段階でも、まずは弁護士に相談して状況を整理することが重要です。

弁護士から警察経由で連絡先を入手できるケースもある

被害者の連絡先がわからなくても、弁護士を通じて入手できる場合があります。 この場合は以下のような流れになります。
① 弁護士が事件担当の警察官または検察官に連絡 ② 警察官・検察官が被害者に「連絡先を弁護士に教えてよいか」と確認 ③ 被害者が承諾した場合のみ、連絡先が弁護士に開示される (※開示される場合も「弁護士限り」の条件が付くのが一般的)
加害者本人やその家族に被害者の連絡先が教えられることはありません。また、被害感情が強い場合は、被害者が連絡先の開示を拒否することもあります。
《ポイント》 警察で何を話すかも、事前に弁護士に相談しよう

弁護士経由で連絡先を入手する場合、当然、警察から呼び出しを受けて取調べを受けた後になります。 ここで大切なのが、警察で何を話すかも、事前に弁護士と打ち合わせをしておくことです。

自己判断で聞かれるがままに答えていると、自分でも気づかないうちに余罪を自白してしまったり、不利な内容が供述調書に残ってしまうことがあるからです。 一度調書に署名すると、後から訂正するには膨大な労力がかかります。取調べによって不利になることを防ぐためにも、事前に相談しておきましょう。

示談以外にもできることはたくさんある

被害者が特定できず、どうしても示談ができない場合でも、処分を軽くするためにできることはあります。たとえば、 ・ 専門機関への通院、カウンセリング ・ 家族による監督体制の構築 ・ 再発防止への具体的な取り組み などです。こうした行動は、反省の姿勢を示す情状として考慮されます。 弊所でも、靴の中にカメラを隠して店内で盗撮し逮捕された方からご相談を受けて、被害者が特定できなかった事例があります。 示談はできませんでしたが、カウンセリングの受診や家族の監督体制を整えたり、弁護士から意見書を提出するなど、できることをすべて行った結果、略式起訴の罰金50万円にとどまりました。 相談が遅れるほどできることは少なくなるので、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
《事前に弁護士に相談するメリット》・ まだ逮捕されていない場合、自首への同行で逮捕を回避できる可能性がある ・ 被害者が特定され次第、すぐに示談交渉を開始できる ・ 取調べでどう対応すべきか、事前にアドバイスを受けられる

盗撮で問われる犯罪や刑罰

ここで、盗撮はどのような罪に問われるのかも整理しておきます。 盗撮行為自体に対しては、原則として「撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)」が適用されます(2023年7月13日以降の場合)。「迷惑防止条例違反」となるのは、撮影罪の施行前に行われた盗撮や、撮影罪の構成要件を満たさないケースが中心です。 被害者が18歳未満であれば児童ポルノ禁止法違反に、盗撮目的で建物に侵入していれば住居侵入罪にも問われます。 ・ 撮影罪(性的姿態撮影等処罰法) ・ 迷惑防止条例違反 ・ 児童ポルノ禁止法違反 ・ 住居侵入罪 以下、それぞれ解説します。

撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)

性的姿態撮影等処罰法は、2023年7月13日に施行された法律で、盗撮を直接取り締まる初めての法律です。
(性的姿態等撮影) 第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
2023年7月以降の盗撮では、まずこの犯罪が問題となることが多く、電車内やエスカレーターでのスカート内盗撮、更衣室や浴場での盗撮などの行為に広く適用されます。 撮影行為をした場合は撮影罪、撮影したデータを他人に提供した場合は「提供罪」として、それぞれ罰則の対象となります。
行為罰則
性的姿態等を撮影した場合3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
性的影像記録を提供した場合3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
不特定多数へ提供・公然陳列した場合(SNSでの拡散など)5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、または併科

迷惑防止条例違反

撮影罪の施行前(2023年7月12日以前)に行われた盗撮や、撮影罪の構成要件を満たさないケース(着衣の上からの撮影など)は、迷惑防止条例違反によって処罰されます。 迷惑防止条例は、各都道府県が定める条例に基づき定めているため、罰則も都道府県によって異なります。
都道府県罰則
東京都1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 (※常習の場合、2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)
大阪府1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 (※常習の場合、2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)
北海道6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

児童ポルノ禁止法違反

児童ポルノ禁止法違反は、18歳未満の児童を対象とした盗撮に適用される法律です。 正式名称は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」といいます。 たとえば、以下のようなケースが該当します。
・ 学校の更衣室などに、隠しカメラを設置して盗撮した ・ プールや銭湯などで児童の裸を盗撮した ・ ショッピングモールで児童の下着や性的部位を盗撮した
通常の撮影罪よりも重い刑罰が定められており、撮影だけでなく所持しているだけでも処罰対象となります。 冒頭でも説明したとおり、撮影罪と併せて起訴されると、実刑となるリスクが高まります。
行為罰則根拠法
盗撮による製造3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金第7条5項
単純所持1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金第7条1項
不特定多数への提供・公然陳列5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、または併科第7条6項

住居侵入罪

盗撮目的で他人の住居や建造物に侵入した場合、盗撮の罪に加えて、「住居侵入罪」も成立します。 盗撮するためにマンションの共用部分に立ち入った、店舗のトイレにカメラを設置するため営業時間外に侵入した、といったケースが該当します。 罰則は、「三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金」です。
(住居侵入等) 第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。

盗撮で実刑判決を受けた後の流れ

判決言い渡し後の流れは、「在宅事件」と「身柄事件」で異なります。
盗撮で実刑判決を受けた後の流れ
 

【在宅事件の場合】一時的に帰宅して、後日拘置所へ入る

在宅起訴されていた場合は、判決当日にすぐ身柄拘束されることはありません。 言い渡された判決は、判決の翌日から14日後に確定します。そのため、判決後は一旦自宅に帰宅し、検察からの連絡を待つことになります。 一般的には、以下のような流れとなるケースが多いです。
① 判決確定後、1週間前後で検察庁から出頭要請の通知が届く ② 指定された日時に検察庁へ出頭 ③ 当日中に拘置所へ移送 ④ 拘置所で約10日間の刑執行開始時調査を実施 ⑤ 調査後、配置先の刑務所へ移送
判決から実際に刑務所へ入るまでには2週間ほどの期間があるため、この間に身辺整理や家族への説明などを行うことになります。

【身柄事件で保釈中の場合】そのまま拘置所へいく

身柄事件で保釈中の場合は、判決後、直ちに身柄が拘束されます。 実刑判決の言い渡しにより、保釈の効力が失われるからです(刑事訴訟法第343条)。判決後、検察事務官によって身柄を拘束され、法廷から拘置所へ移送されます。 保釈保証金は、逃亡などがなければ没収されず、返還されます。

14日以内なら控訴もできる

実刑判決に納得できない場合、判決の翌日から14日以内であれば控訴ができます。 たとえば、 ・ 刑の重さに納得がいかない ・ 事実認定が異なっている といった場合は、控訴を検討する余地があるでしょう。 控訴する場合は、再保釈請求をするケースも多く、再保釈請求が認められれば、控訴審の判決が出るまで、通常の生活を続けることができます。

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《盗撮事件の解決実績(一部)》

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まとめ

この記事では、盗撮で実刑になるケースや、実刑を回避するための方法についてお伝えしてきました。 本記事のポイントは以下のとおりです。
・ 盗撮で実刑になるケースは極めて稀。起訴されても約7割は執行猶予付き判決となる ・ 前科や余罪があるとリスクが高まるが、早めに弁護士へ相談すれば実刑を回避できる可能性は十分にある ・ 実刑回避のカギとなるのは被害者との示談 ・ 示談ができなくても、カウンセリングや家族の監督によって実刑を回避しうる ・ 対応が遅れるほど、取れる選択肢は少なくなる
「自分のケースでも大丈夫だろうか」「もう手遅れなのではないか」と不安を抱えている方もいるかもしれませんが、「今」動くことで、状況は確実に変わります。 盗撮をして少しでも不安があるなら、ぜひグラディアトル法律事務所を頼ってください。

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弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力。数多くの夜のトラブルを解決に導いてきた経験から初の著書「歌舞伎町弁護士」を小学館より出版。 youtubeやTiktokなどでもトラブルに関する解説動画を配信している。

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