任意取調べに弁護士は立ち会える?立会いできないときの対策と注意点

任意取調べに弁護士は立ち会える?立会いできないときの対策と注意点

「任意取調べに弁護士が立ち会うことはできるの?」

「弁護士の立会いのない任意取調べで注意すべきポイントとは?」

「任意取調べを控えているときに弁護士に相談するメリットを知りたい」

警察から「任意で取調べに応じてほしい」と言われると、多くの方が大きな不安を抱きます。

取調べと聞くと「弁護士に立ち会ってもらえるのでは?」と思うかもしれませんが、実は日本の刑事手続では、任意取調べに弁護士が立ち会うことは認められていません。そのため、警察の取調べには一人で臨む必要がありますが、無防備で取り調べに臨むと思わぬ不利益を被るケースも少なくありません。

このようなケースでは、事前に弁護士へ相談して対策をとったり、取調べ中に黙秘権を適切に行使したりすることで、自分の権利を守ることは可能です。

本記事では、

・任意取調べで弁護士が立ち会えない場合に取るべき具体的な対処法
・任意取調べで注意すべきポイント
・弁護士に相談するメリットや費用相場

などについて詳しく説明します。

任意取調べに呼ばれて不安を抱えている方はぜひ参考にしてください。

任意取調べに弁護士の立会いは認められていない

任意取調べとは、逮捕・勾留といった身柄拘束がされていない段階で、警察や検察が任意に呼び出して事情を聴く手続きのことです。「任意」という言葉がついているものの、実際には「来てほしい」と呼び出された場合、断りにくい状況になることも多く、心理的な負担は大きいといえます。

この任意取調べにおいて、「弁護士に立ち会ってもらえないか」と考える方は少なくありません。しかし、日本の刑事手続においては、弁護士が取調べに同席する権利は認められていません。

一方で、弁護士の任意取り調べへの立会いを禁止する法律もなく、あくまで任意での取り調べですので、弁護士の立会いを認めるべきです。日弁連も弁護士の立会いを認めるべきであるとして、「弁護人を取調べに立ち会わせる権利の明定を求める意見書」を取りまとめ法務大臣に提出しています。

しかし、捜査現場において任意取調べに弁護士の立会は認められていない現実があります。

したがって、任意取調べに呼ばれた方は、弁護士がその場に立ち会ってサポートしてくれることはないという現実をまず理解しておく必要があります。

弁護士は、任意取り調べに立ち会うことはできないことが多いですが、取り調べ中に弁護士が警察署に待機をしておき、取り調べ内容や調書に疑問があった場合には任意取り調べの中止を求め、取り調べの途中で待機している弁護士に相談するという対応は可能です。

そのため、事前に弁護士に相談、契約をしておき、必要に応じて任意取調べの際に弁護士に警察署に同行してもらうとよいでしょう。

任意取調べでの弁護士立会い以外の対処法

任意取調べでの弁護士立会い以外の対処法

任意取調べに弁護士が立ち会うことはできませんが、まったく無防備な状態で臨まなければならないわけではありません。事前に準備を整え、取調べ中にも自分の権利を守る工夫をすることで、不当な供述や不利な調書作成を避けられます。以下では、弁護士立会い以外にできる主な対処法をご紹介します。

警察署に弁護士が同行し、待機してもらう

取調べ室に弁護士が入ることはできませんが、警察署の待合スペースなどで弁護士に待機してもらうことは可能です。こうしておけば、取調べの途中で休憩を申し入れ、すぐに弁護士に相談することができます。

警察側も「弁護士が近くにいる」と認識しているため、過度な圧力を避ける抑止効果も期待できます。

黙秘権を行使して供述を拒む

任意取調べでも憲法で保障された黙秘権を行使できます。「答えたくない質問には答えない」という姿勢を貫くことは、不利な供述を防ぐもっとも確実な方法です。

黙秘を理由に処罰されることはなく、弁護士も「不用意に話すより黙秘を選択すべき」とアドバイスするケースが多くあります。

供述調書の署名押印を拒否する

取調べの最後に作成される供述調書には、必ずしも署名・押印する必要はありません。

内容が事実と異なる、あるいは誘導的にまとめられている場合は、署名押印を拒否する権利があります。安易に署名してしまうと、後に裁判で不利な証拠として利用される可能性が高いため、細心の注意が必要です。

録音・録画の申し入れ

一部の事件では取調べの録音・録画(可視化)が義務付けられていますが、対象は殺人などの重大事件に限られています。

対象外の事件でも、「不当な誘導や強要を避けたいので録音させてほしい」と申し入れることは有効です。認められるかどうかはケースによりますが、申し入れ自体が取調べの適正さを意識させる効果を持ちます。

弁護士の立会いのない任意取調べで注意すべきポイント

弁護士の立会いのない任意取調べで注意すべきポイント

任意取調べでは弁護士が同席できないため、自分自身で権利を守る意識が不可欠です。取調べの場面で不利益を被らないためには、以下の点に特に注意する必要があります。

誘導尋問には乗らない

警察官は「こういうことだったんだよね?」と誘導的な質問を投げかけてくることがあります。安易に同意してしまうと、事実と異なる内容が調書に記載される危険があります。

質問が誘導的だと感じた場合は、はっきり否定するか、黙秘を選択することが大切です。

虚偽の供述は避ける

「その場を早く終わらせたい」との思いから、事実と違うことを話してしまう人もいます。

しかし、虚偽の供述は、後に矛盾として追及され、信用性を失う原因になります。また、事実とは異なる罪を認めてしまうと、後から供述の撤回ができず不利な状況に追い込まれるおそれもあるため、事実と異なる供述は絶対に避けるべきです。

黙秘権を適切に行使する

答えにくい質問や、自分に不利益を及ぼしかねない質問には、黙秘権を行使することが重要です。

「黙秘します」と一言伝えれば、それ以上無理に答える必要はありません。黙秘権は憲法で保障された権利であり、行使したからといって処罰されたり、不利益を被ることはありません。

供述調書の内容をよく確認する

取調べの最後には供述調書が作成されます。供述調書は、裁判で証拠として用いられることもあるため、署名・押印する前に一字一句を確認し、事実と異なる部分や不自然なまとめ方がないか慎重に確認しましょう。

違和感があれば修正を求め、納得できない場合は署名を拒否することも身を守るための選択肢の一つです。

不安や疑問があるときは取り調べを中断して弁護士に相談する

任意取調べは、被疑者の自由意思に基づいて行われるため、「一度休憩したい」「弁護士に相談したい」と申し出ることが可能です。

不安や疑問を抱えたまま取調べを続けると、不本意な供述をしてしまうリスクが高まります。署名する前や重要な質問を受けたときには、必ず弁護士と連絡を取って確認するようにしましょう。

任意取調べに関して弁護士に相談するメリット

任意取調べに関して弁護士に相談するメリット

任意取調べに弁護士が立ち会うことはできませんが、それでも事前または途中で弁護士に相談することには大きな意味があります。警察官の取調べは心理的圧力が強く、冷静さを失ってしまうと不利な供述や署名につながりかねません。弁護士を味方につけることで、自分の権利を守りながら適切に対応できます。

不利な供述調書を取られないためのアドバイスができる

警察の取調べは、被疑者から有利な供述を引き出そうとする傾向が強く、無意識のうちに誘導されてしまうケースがあります。

たとえば「こう言った方が軽くなるよ」といった言葉に流され、事実と異なる供述をしてしまえば、調書が証拠となり裁判で不利に働きかねません。

弁護士に相談しておけば、「黙秘をすべき場面」「簡単に同意してはいけない質問」などを具体的に教えてもらえます。事前の準備があるかどうかで、取調べの結果は大きく変わるのです。弁護士は、法律の専門家として、不利な供述を防ぎ、権利を守るためのサポートをしてくれます。

警察署に同行して、いつでも相談できる

弁護士は、取調べ室に同席できませんが、警察署に同行し、外で待機することが可能です。これにより、取調べの途中で「弁護士に相談したい」と申し出れば、すぐにアドバイスを受けることができます。警察も弁護士の存在を意識するため、不当な圧力や強引な誘導を抑止する効果も期待できます。

弁護士が待機しているだけで「困ったらすぐ相談できる」という安心感が生まれ、精神的な支えになります。孤独感を抱かずに取調べを受けられる点は大きなメリットといえるでしょう。

万が一逮捕されたとしても早期釈放を目指したサポートを受けられる

任意取調べから逮捕に発展するケースは珍しくありません。取調べ中に容疑が固まったと判断されれば、その場で逮捕に切り替わる可能性もあります。

このような事態に備えて、あらかじめ弁護士とつながっていれば万が一のときでも安心です。弁護士は、逮捕直後から接見に駆け付け、取調べ対応の助言や、勾留を避けるための弁護活動を直ちに開始できます。さらに、検察や裁判所に対して釈放を求める働きかけを行い、できる限り早期に社会復帰できるよう尽力します。

任意取調べの段階から弁護士に依頼しておけば、万が一逮捕に至っても迅速に動いてもらえるため、リスクを最小限に抑えることができます。

任意取り調べの対応を弁護士に依頼したときの費用相場

任意取り調べの対応を弁護士に依頼したときの費用相場

刑事事件の弁護を弁護士に依頼すると弁護士費用の支払いが必要になります。弁護士費用は、一律に決められた金額があるわけではなく、依頼する弁護士によって金額が変わります。そのため、以下では、グラディアトル法律事務所に刑事事件の弁護を依頼した場合の弁護士費用の相場を紹介します。

相談料

相談料とは、弁護士に刑事事件の相談をする場合に発生する費用です。

相談料の一般的な相場は、1時間あたり1万1000円(税込)ですが、当事務所の場合は初回相談料無料です。

着手金

着手金とは、弁護士に刑事事件の弁護を依頼したときに発生する費用です。

基本的には、依頼時に一括で支払う必要がある費用で、事件の結果や途中で解約したとしても返金されることのないお金です。

グラディアトル法律事務所の場合、着手金は、起訴前の被疑者段階の弁護と起訴後の被告人段階の弁護の2つのタイミングで発生します。それぞれのタイミングでの弁護士費用の相場は、以下のとおりです。

・被疑者段階:33~55万円(税込)
・被告人段階:33~55万円(税込)

報酬金

報酬金とは、刑事事件の弁護が終了した時点でその活動の成果に応じて支払われる費用です。

刑事事件の場合には、「不起訴なら○○万円」、「執行猶予が付いたら○○万円」、「無罪なら○○万円」など具体的な成果に応じて金額が定められているケースが多いです。

グラディアトル法律事務所における報酬金は、具体的な成果に応じて以下のようになっています。

項目金額
被疑者段階(在宅事件)不起訴報酬33万円(税込)~
示談等報酬33万円(税込)~
略式報酬22万円(税込)~
被疑者段階(身柄事件)不起訴報酬44万円(税込)~
示談等報酬44万円(税込)~
略式報酬33万円(税込)~
身体解放報酬33万円(税込)~
接見禁止の解除報酬11万円(税込)~
被告人段階無罪報酬55万円(税込)~
求刑より軽い、罰金、執行猶予報酬被疑者段階着手金と同額
保釈成功報酬11万円(税込)~

実費・日当

実費とは、弁護士が依頼された事件を処理する際に実際に支出した費用のことをいい、以下のようなものが含まれます。

・刑事事件記録のコピー費用
・示談交渉のための交通費や宿泊費
・郵便代
・意見書や鑑定書の作成費用

日当とは、弁護士が事件処理のための移動で時間的に拘束されたときに支払われる費用です。出廷日当や出張日当などがあり、宿泊費や交通費とは別途支払う必要があります。

グラディアトル法律事務所における刑事事件の日当は、以下のようになっています。

項目金額
初回接見日当5万5000円(税込)
遠方の場合は11万円(税込)
警察同行日当距離・所要時間等に応じて発生
接見・公判期日日当距離・所要時間等に応じて発生

任意取調べの対応はグラディアトル法律事務所にお任せください

任意取調べの対応はグラディアトル法律事務所にお任せください

任意取調べは、逮捕や勾留に比べると「任意」という言葉が付いているため軽く考えられがちですが、実際には大きなリスクを伴います。

警察官は、事件を解明する立場にあるため、被疑者にとって不利な供述を引き出そうとする傾向があります。その結果、事実と異なる調書を作成されてしまうと、後の捜査や裁判で大きな不利益を被ることになりかねません。

グラディアトル事務所では、刑事事件を多数取り扱ってきた経験豊富な弁護士が、任意取調べの段階から徹底的にサポートします。弁護士は、取調べに立ち会うことはできませんが、事前に想定される質問や注意点をアドバイスし、不利な供述を防ぐための戦略を一緒に立てることができます。また、取調べ当日は警察署に同行し、外で待機することも可能です。必要に応じてすぐに相談できる体制を整えることで、不安を和らげ、安心して取調べに臨めます。

さらに、万が一任意取調べから逮捕へと発展した場合でも、弁護士が直ちに接見に駆け付け、勾留阻止や早期釈放を目指して速やかに弁護活動を開始します。任意段階から弁護士を依頼しておくことは、リスクを最小限に抑えるためのもっとも確実な方法といえます。

グラディアトル法律事務所は、刑事事件における迅速かつ的確な対応を強みとしており、依頼者の権利と生活を守ることを最優先に取り組んでいます。任意取調べに呼ばれて不安を感じている方は、ぜひ早めにご相談ください。

まとめ

任意取調べでは弁護士の立会いは認められていませんが、事前に弁護士へ相談することで不利な供述を避け、取調べを有利に進めることが可能です。さらに、警察署での待機や、万が一逮捕に切り替わった際の迅速な接見・釈放活動など、弁護士の支援は大きな安心につながります。

グラディアトル法律事務所では、刑事事件に精通した弁護士が任意取調べの段階から徹底的にサポートし、依頼者の権利を守ります。任意取調べに呼ばれて不安を抱えている方は、早めに当事務所へご相談ください。迅速かつ適切な対応で、最善の結果を目指します。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力。数多くの夜のトラブルを解決に導いてきた経験から初の著書「歌舞伎町弁護士」を小学館より出版。 youtubeやTiktokなどでもトラブルに関する解説動画を配信している。

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