誤認逮捕なのにクビになった…不当解雇を争うための方法を解説

誤認逮捕なのにクビになった…不当解雇を争うための方法を解説

「誤認逮捕なのに職場をクビになってしまった…」

「罪を犯したわけではないのにクビになるのは納得できない」

「誤認逮捕でクビになったときにできることを知りたい」

突然の誤認逮捕によって、まったく身に覚えのない罪で警察に連行されてしまった場合、その後、すぐに無実が証明されたとしても、会社から「逮捕された以上、信用を失った」としてクビを言い渡されてしまうケースがあります。自分に非がないのに職を失うというのは、あまりにも理不尽で納得できない状況でしょう。

しかし、結論からいえば、誤認逮捕を理由にした解雇は原則として「不当解雇」にあたり、無効と判断される可能性が高いです。日本の労働法では、会社が従業員を自由に解雇できるわけではなく、合理的な理由と社会的に相当といえる根拠が必要だからです。

とはいえ、現実には誤認逮捕の直後に退職を迫られたり、解雇を強行されたりするケースも少なくありません。会社の対応に戸惑い、泣き寝入りしてしまう人もいますが、適切な対処をとることで「解雇無効」を争い、職場復帰や金銭的な補償を得られる可能性があります。

本記事では、

・誤認逮捕によるクビの違法性

・解雇されたときの具体的な対処法

・解雇を避けるために刑事手続きで注意すべきポイント

などを詳しく解説します。

誤認逮捕という思いもよらないトラブルで解雇に直面した方や万が一に備えて知識を得ておきたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

誤認逮捕なのにクビになった…これって違法では?

誤認逮捕を理由に会社からクビを言い渡された場合、多くのケースで「不当解雇」にあたり無効となります。なぜなら、日本の労働法は、労働者の身分を保護するため、解雇について厳格なルールを定めているからです。

労働契約法16条では、「解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は無効」と定められています。誤認逮捕であれば、何ら罪を犯したわけではありませんので、解雇を正当化する理由は一切ないため、解雇は無効になる可能性が高いでしょう。

会社としては「企業イメージが損なわれた」「職場の秩序を乱した」などの理由を持ち出すことがあります。しかし、労働者に実際の非がなく、逮捕が誤認であったと明らかになれば、そのような理由は解雇を正当化する根拠にはなりません。

したがって、誤認逮捕によって会社から解雇を告げられた場合、「本当にこの解雇は有効なのか?」と疑うことが重要です。泣き寝入りせず、適切な対応を取ることで、職場復帰や金銭的補償を得られる可能性があります。

誤認逮捕で会社をクビになったときの対処法

誤認逮捕で会社をクビになったときの対処法

誤認逮捕を理由に会社からクビを告げられた場合、すぐに諦める必要はありません。不当解雇の可能性が高いため、適切に対処することで職場復帰や金銭的保証が得られる可能性があります。以下では、実際に取るべき対応を4つのステップに分けて説明します。

退職勧奨を受けたとしても拒否する

誤認逮捕の後、会社から「自分から辞めた方がいい」と退職を迫られるケースも少なくありません。これは「退職勧奨」と呼ばれるものです。

しかし、退職勧奨はあくまで会社側の「お願い」であり、それに応じる義務はありません。自ら退職届を出してしまうと、不当解雇を争う余地を失ってしまうため、安易に応じないことが重要です。

解雇されたときは解雇理由証明書を請求する

万が一、会社から正式に解雇を言い渡された場合には、「解雇理由証明書」を請求しましょう。これは会社が解雇の理由を具体的に明示する文書であり、後の労働審判や訴訟で重要な証拠となります。

誤認逮捕を理由にしているのか、それ以外の理由を持ち出しているのかを確認するうえでも必須の手続きです。

職場復帰を求めて会社と交渉する

解雇が無効であると考えられる場合、まずは職場復帰を前提に会社と交渉を行います。交渉では、逮捕が誤認であったことや不起訴処分となったことを示す資料を提示することが有効です。

また、場合によっては、復帰ではなく解決金の支払いによる和解を目指すこともあります。いずれにしても、会社と冷静に交渉する姿勢が大切です。

交渉が決裂したときは労働審判・訴訟を検討する

会社が話し合いに応じず、解雇を撤回しない場合には、労働審判や民事訴訟で争う方法があります。

労働審判は、通常3回以内で結論が出る迅速な手続きであり、労働者にとって利用しやすい制度です。誤認逮捕が解雇の理由であれば、ここで解雇無効や金銭的補償が認められる可能性があります。また、訴訟に至った場合も、過去の判例に照らして誤認逮捕を理由とする解雇の無効が認められやすいといえるでしょう。

誤認逮捕によるクビを回避するためにできる4つのこと

誤認逮捕によるクビを回避するためにできる4つのこと

誤認逮捕により会社をクビになるリスクを減らすためには、刑事手続きの段階から適切な対応をとることが欠かせません。会社は「逮捕された」という事実だけで判断する傾向があるため、早期に疑いを晴らし、身柄を解放されることが重要です。以下では、クビを回避するためにできる具体的な行動を4つ紹介します。

逮捕後すぐに弁護士と面会する

逮捕直後は、取り調べの対応や釈放の可能性を左右する非常に重要な時期です。経験豊富な弁護士と早期に面会し、今後の対応方針を相談することで、不利な立場に立たされるリスクを減らせます。

また、弁護士は家族や勤務先と連絡を取る役割も果たし、職場に誤解が広がらないようにサポートしてくれます。

不利な供述調書を取られないようにする

警察や検察の取り調べでは、強い圧力のもとで自分に不利な供述をしてしまうことがあります。

しかし、その調書は後の刑事手続きに大きな影響を与えます。誤認逮捕であっても「認めた」と記録されれば、そのまま起訴された冤罪であるにもかかわらず有罪となるリスクがあります。

そうなれば会社も正当な理由があるとして解雇に踏み切る可能性が高くなってしまいます。そのため、誤認逮捕されたときは早期に弁護士と面会し、弁護士のアドバイスを受けながら、慎重に対応することが重要です。

身柄拘束からの早期釈放を目指す

会社が従業員を解雇する大きな理由のひとつは、長期間職場に復帰できないことです。

逮捕後に勾留されてしまえば、最大で20日間も仕事を離れる可能性があり、その間に会社の信頼を失いかねません。そのため、勾留請求を阻止して早期に釈放されることが、解雇を回避する上で非常に重要となります。

弁護士は、誤認逮捕であることを証拠に基づき立証し、逮捕からの釈放や勾留請求の阻止、勾留に対する準抗告により早期釈放を目指すことができます。身柄拘束を最小限に抑えることが、会社をクビにされるリスクを減らす重要なポイントです。

不起訴処分の獲得を目指す

最終的に不起訴処分を得られれば、誤認逮捕であったことが明確になり、会社に解雇を正当化する余地はほとんどなくなります。特に、労働審判や訴訟で争う際には、不起訴となった事実は大きな武器になります。

弁護士は、証拠の不十分さを主張するなどして不起訴獲得に向けて尽力します。

誤認逮捕によるクビが無効になった実際の事例

実際に、誤認逮捕を理由に懲戒解雇された元従業員が「解雇無効」を争い、会社側と和解に至ったケースがあります。ヤマハ発動機(静岡県磐田市)の元管理職の男性(60)は、覚醒剤取締法違反容疑などで逮捕されましたが、一貫して容疑を否認し、最終的に不起訴処分となりました。それにもかかわらず、同社は不起訴処分を待たずに「社内秩序を乱した」として懲戒解雇を通知したのです。

男性はこれを不当とし、解雇無効を求めて提訴。裁判の過程で、逮捕が誤認であったことや会社の処分が拙速で合理性を欠くことが明らかになりました。最終的に裁判所で和解が成立し、同社は懲戒解雇を撤回するとともに、約3000万円の解決金を支払うことで決着しました(出典:朝日新聞)。

この事例は、誤認逮捕を理由とする解雇が法的に認められにくいことを示す典型例であり、泣き寝入りせずに法的措置を取ることの重要性を裏付けています。

誤認逮捕でクビになったときに弁護士に相談すべき理由

誤認逮捕でクビになったときに弁護士に相談すべき理由

誤認逮捕によるクビは不当解雇となる可能性が高いですが、それを会社に認めさせるには専門的な知識と的確な対応が欠かせません。弁護士に相談することで、証拠の収集から会社との交渉、法的手続き、さらには刑事弁護まで幅広くサポートを受けられます。以下では、弁護士に依頼する具体的なメリットを4つ紹介します。

解雇無効を立証するための証拠収集ができる

解雇の無効を争うには「逮捕が誤認だったこと」「会社の処分に合理性がないこと」を裏付ける証拠が必要です。

しかし、どの資料が有効なのかを素人が判断するのは難しいのが実情です。弁護士に相談すれば、不起訴処分の記録や解雇理由証明書、就業規則など法的に有効性の高い証拠を適切に揃えることができます。専門的な知識や経験に基づき証拠収集を進めることで、解雇無効の立証がより確実になるのです。

会社との交渉を任せられる

会社との交渉は大きな精神的負担になるだけでなく、会社側が顧問弁護士を立ててくれば、労働者本人が一人で対応するのは非常に不利です。

このような場合、弁護士を代理人に立てれば、会社とのやり取りをすべて任せることができ、職場復帰や金銭的な解決など最適な落としどころを探ってくれます。交渉を弁護士に一任することで、本人は余計なプレッシャーから解放され、冷静に今後を考える余裕を持てるでしょう。

労働審判や訴訟などの法的措置にも対応可能

会社が解雇を撤回せず交渉が決裂した場合、労働審判や訴訟で争うことになります。労働審判は、迅速に判断が下される一方で、会社側が納得しなければ通常の訴訟手続きに移行してしまいます。最終的に訴訟に至れば、証拠に基づく主張立証が求められますので、一般の方では対応が難しいでしょう。

弁護士はこのような法的手続きに精通しており、書面作成から裁判所での対応まで一貫してサポート可能です。専門家に任せることで、解雇無効が認められる可能性を大きく高められます。

逮捕からの早期釈放や不起訴処分獲得に向けたサポートができる

誤認逮捕に遭った場合、刑事手続きの段階で弁護士に依頼することが解雇回避に直結します。

弁護士は、勾留を防ぎ、早期釈放を目指すことで職場離脱期間を最小限に抑えます。また、不起訴処分の獲得に向けて証拠の不十分さを主張したり、被害者との示談を進めたりすることも可能です。刑事弁護と労働問題の双方をサポートできるのは弁護士ならではの強みであり、解雇を避けるための重要な手段といえます。

誤認逮捕でクビになったときはすぐにグラディアトル法律事務所に相談を

誤認逮捕でクビになったときはすぐにグラディアトル法律事務所に相談を

誤認逮捕によって突然クビを言い渡されたとき、一人で会社と争うのは心身ともに大きな負担になります。さらに、解雇問題と同時に刑事事件の対応が重なるケースも多いため、迅速かつ適切な法的サポートが欠かせません。こうしたときは、労働問題と刑事事件の双方に対応できる弁護士へ早めに相談することが重要です。

グラディアトル法律事務所は、刑事弁護と労働問題に精通した弁護士が多数所属しており、誤認逮捕から解雇に至る一連のトラブルを一括してサポートできます。逮捕直後の釈放や不起訴処分の獲得を目指す刑事弁護活動から、解雇無効を争うための証拠収集、会社との交渉、労働審判・訴訟対応までワンストップで対応可能です。

また、初回相談は無料で受け付けており、早期に相談すれば適切な対処方法を明確にし、会社との交渉を有利に進められる可能性が高まります。誤認逮捕を理由に理不尽にクビを切られた方は、決して泣き寝入りせず、まずはグラディアトル法律事務所にご相談ください。

まとめ

誤認逮捕によるクビは、不当解雇にあたり無効と判断される可能性が高いものです。しかし、会社との交渉や法的手続きを一人で進めるのは非常に困難です。

グラディアトル法律事務所なら、刑事弁護と労働問題の双方に精通した弁護士が迅速に対応し、早期の釈放や解雇無効の獲得を全力でサポートします。誤認逮捕という理不尽な状況に直面したら、すぐにグラディアトル法律事務所へご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力。数多くの夜のトラブルを解決に導いてきた経験から初の著書「歌舞伎町弁護士」を小学館より出版。 youtubeやTiktokなどでもトラブルに関する解説動画を配信している。

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