有名な冤罪事件一覧|警察の責任や冤罪を疑われたときの対処法も解説

有名な冤罪事件一覧|警察の責任や冤罪を疑われたときの対処法も解説
弁護士 若林翔
2026年02月07日更新

冤罪とは、罪を犯していない人が犯罪者として扱われることを指します。

社会生活を送っている以上、冤罪を100%回避することはできません。

実際、身に覚えのない容疑をかけられ、今後どのように対処していけばよいのか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

冤罪事件の対処には専門的な知識と経験が必要になるので、一人で抱え込まず、まずは弁護士に相談することが重要です。

グラディアトル法律事務所でも、これまでに数々の冤罪事件を担当し、早期解決へと導いてきました

少しでも早い段階で弁護士が介入することで、疑いを晴らせる可能性は大きく高まります。

本記事は、冤罪事件が起きる要因や有名な冤罪事件などを解説します。

冤罪事件に巻き込まれた場合の対処法なども記載しているので、ぜひ参考にしてください。

冤罪事件とは?

冤罪事件とは、罪を犯していない人が犯罪者として扱われている事件のことです。

​厳密な定義はありませんが、有罪判決が言い渡された事件を指すケースが一般的です。

場合によっては、警察に逮捕されたり、取調べを受けたりした段階で冤罪事件と呼ぶこともあります

冤罪は人の自由や名誉を侵害するものであり、捜査機関や裁判所も最大限の注意を払っています。

しかし、人が人を裁く仕組みがとられている以上、完全に回避できないのも事実です。

実際、これまでにも数々の冤罪事件が起きており、多くの人が苦しめられています。

冤罪事件はなぜ起こる?主な2つの要因

そもそも冤罪事件はなぜ起きてしまうのでしょうか。

主に2つの要因が挙げられるので、それぞれ詳しくみていきましょう。

冤罪事件が起きる2つの要因

先入観に基づく捜査がおこなわれるから

冤罪事件が起きる要因のひとつは、先入観に基づく捜査です。

「犯人はこいつに違いない」という思い込みを持ってしまうと、それを正当化する証拠だけを集め、反証を軽視するようになってしまいます。

例えば、中年男性というだけで痴漢の疑いをかけられ、一切話を聞いてもらえなくなるようなケースです。

また、日本の裁判では99%以上が有罪になるため、裁判官も無意識に有罪を前提として審理を進める傾向があります。

その結果、被告人がいくら無実を訴えても、嘘だと判断されてしまうのです。

自白を偏重して過信する傾向があるから

日本の刑事手続きにおいては、自白が偏重されることも冤罪事件を生み出す要因のひとつです。

自白は「証拠の女王」と呼ばれるほど、有罪につながる決定的な証拠として扱われています

しかし、実際には取調べでの心理的圧力や身体的な疲労が原因で、嘘の自白(虚偽自白)をしてしまうケースも少なくありません

そのため、自白だけを信じて結論を出そうとすると、冤罪を生み出してしまうのです。

たとえば、有名な冤罪事件の免田事件では、被告人にアリバイがあったにも関わらず、裁判官は虚偽の自白を全面的に信用して有罪判決を言い渡しています。

最近の有名な冤罪事件

次に、最近の有名な冤罪事件を3つ紹介します。

最近の有名な冤罪事件

袴田事件|強盗殺人の罪 

まず紹介するのは、強盗殺人の罪で死刑判決が下され、再審で無罪を勝ち取った事例です。

事件概要1966年、静岡県清水市で味噌製造会社専務宅が全焼し、包丁でめった刺しにされた一家4人が発見された。従業員で元プロボクサーだった人物が疑いをかけられた。
冤罪の要因血染め衣類5点の捏造、強要された自白 ​
結果1980年に死刑確定、2024年に再審無罪

(参照:袴田事件|日本弁護士連合会

袴田事件では、約60年越しに冤罪が明らかにされました

48年間の拘置所生活は最長記録となっており、約6億円の損害賠償を求める訴訟が提起されています。

大川原化工機事件|外国為替及び外国貿易法違反の罪

次に紹介するのは、外国為替及び外国貿易法違反の罪で身柄拘束を受けた冤罪事件です。

事件概要2020年、噴霧乾燥機輸出を軍事転用と誤認され、会社経営に関わる幹部3人が逮捕された。
冤罪の要因虚偽の調書、輸出規制の解釈誤り、ずさんな捜査
結果2021年に不起訴。2025年に東京高裁で賠償金1億6,600万円の支払いを命じる判決

(参照:大川原化工機事件|日本弁護士連合会

大川原化工機事件では、幹部らが300日以上にわたって勾留されました。

長期拘束によって自白を強要する「人質司法」の弊害を露呈した事件といえるでしょう。

福井中3殺害事件|殺人の罪

最後に紹介するのは、中学3年生の女子生徒を殺害した罪で懲役7年の確定判決が下された事例です。

事件概要1986年、福井市で中学3年の女子生徒が自宅で殺害された。関係者の証言などから、同市在住で非行歴のある人物が疑いをかけられた。
冤罪の要因警察の供述誘導・証拠隠蔽、虚偽の目撃証言 ​
結果1995年に懲役7年確定、2025年に再審無罪 

(参照:福井中3殺害事件|日本弁護士連合会

福井中3殺害事件では、捜査機関による供述誘導があっただけでなく、警察官が重要証人に結婚祝いとして金銭を交付するなど不適切な行為が散見されました。

捜査機関に対する信用のみならず、刑事司法全体の信頼を揺るがした事件のひとつといえるでしょう。

過去に起きた有名な冤罪事件一覧

冤罪事件の中には、再審請求によって裁判のやり直しを求め、無罪を獲得しているものも複数存在します。

具体的には、以下のような冤罪事件が挙げられます。

事件名概要
足利事件1990年、栃木県足利市で女児が殺害された。同市内の借家に住んでいた人物が逮捕され、自白を理由に有罪・無期懲役を言い渡された。2010年、再審で無罪確定。​
布川事件1967年、茨城県利根町布川で60代男性が殺害された。別件で逮捕されていた2人が同事件の容疑者として再逮捕され、自白強要で無期懲役が言い渡された。2011年、再審で無罪確定。
東住吉事件1995年、大阪府東住吉区で女児焼死火災が起きた。母親と内縁夫が保険金目的の放火殺人として無期懲役を言い渡された。2016年、再審で無罪確定。 ​
東電OL殺人事件1997年、東京都のアパートで女性の死体が発見された。同日にネパール国籍の外国人が不法残留容疑で逮捕され、殺人事件についても追及を受け、無期懲役を言い渡された。2012年、再審で無罪確定。

死刑判決が確定した四大死刑冤罪事件(判例解説付き)

冤罪事件の中には一度死刑判決が確定し、のちに無罪に覆ったものもあります。

ここでは、四大死刑冤罪事件について詳しくみていきましょう。

死刑判決が確定した四大死刑冤罪事件

免田事件|強盗殺人の罪

まず紹介するのは、強盗殺人の罪で死刑判決が確定した「免田事件」です。

事件概要1948年、熊本県人吉市で一家4人が殺傷された。別件の窃盗容疑で逮捕された免田氏が本件についても疑いをかけられた。
冤罪の要因強要された自白、アリバイ証拠の無視
結果1951年に死刑確定、1983年に再審無罪 ​

(参照:免田事件|日本弁護士連合会

免田事件では、拷問まがいの取調べで自白強要がおこなわれ、結果的に死刑判決が下されています

また、アリバイ証拠が無視されており、自白偏重の慣習が全面的に表れた事例のひとつといえるでしょう。

財田川事件|強盗殺人の罪

次に紹介するのは、強盗殺人の罪で死刑判決が確定した「財田川事件」です。

事件概要1950年、香川県財田村で強盗殺人が発生し、男性が刺殺された。地元素行不良者の1人が容疑をかけられた。
冤罪の要因強要された自白、地元の風評による決めつけ、医学鑑定の誤り
結果1957年に死刑確定、1984年に再審無罪

(参照:財田川事件|日本弁護士連合会

財田川事件では、被疑者に自白させるため、食事制限や暴行などの方法もとられていました

また、自白を偏重するあまり、医学鑑定を安易に信用したことも、冤罪を招いた要因とされています。

松山事件|強盗殺人・放火の罪

次に紹介するのは、強盗殺人・放火の罪で死刑判決が確定した「松山事件」です。

事件概要1955年、宮城県松山町で火災があり、一家4人が死亡した。別件の暴行事件で逮捕された人物が本件についても疑いをかけられた。 ​
冤罪の要因自白誘導、不自然な供述・証拠の無視 ​
結果1960年に死刑確定、1984年に再審無罪 

(参照:免田事件|日本弁護士連合会

松山事件では、被疑者の同房者をスパイとして利用し、自白を誘導するという謀略的な行為がおこなわれました

また、捜査の過程で不審な点が多く見つかり、捏造の可能性が指摘されていたにも関わらず、裁判所が自白を重視したことも問題視されています。

島田事件|強姦致傷・殺人の罪

次に紹介するのは、強姦致傷と殺人の罪で死刑判決が確定した「島田事件」です。

事件概要1954年、静岡県島田市で6歳女児が誘拐・強姦・殺害された。放浪者の1人が疑いをかけられた。
冤罪の要因強要された自白、医学鑑定の誤り
結果1960年に死刑確定、1989年に再審無罪 

(参照:島田事件|日本弁護士連合会

本事件では、約200名に上る前科者や放浪者が取調べを受けており、ほかにも自白した人が複数いたとされています。

また、弁護人の度重なる要求にも関わらず、検察官が一部の証拠を開示しなかったことも、冤罪が起きた要因のひとつです。

冤罪事件に巻き込まれたときの対処法

ここでは、冤罪事件に巻き込まれたときの対処法を解説します。

冤罪事件に巻き込まれたときの対処法

冤罪の疑いを晴らすためには、焦らず冷静に行動することが何よりも大切です。

【最優先】弁護士に相談する

冤罪事件に巻き込まれたときは、できるだけ早く弁護士に相談してください。

取調べ段階で弁護士が介入すれば、長時間の尋問や心理的な圧力を抑制できます

また、黙秘権を行使するタイミングなども事前にアドバイスしてもらえるので、虚偽自白のリスクを最小限に抑えられるでしょう。

なお、逮捕された場合はしばらくの間、弁護士としか面会できません。

勾留による長期間の身柄拘束を防ぐためにも、「当番弁護士を呼んでください」と警察官に申し出るようにしてください。

グラディアトル法律事務所では、24時間365日体制で相談を受け付けています

緊急の事案に関しては即時対応することもできるので、まずは一度お問い合わせください。

無実を主張し続ける

冤罪の疑いをかけられた場合は、無実を一貫して主張し続けましょう。

自白は最も重い証拠とみなされる傾向にあります。

一度でも「認めた」と記録されると、その後に覆すことは難しくなります

また、取調べでの供述がぶれると信用性に欠けると判断され、ほかの有利な証拠の評価にも悪影響を及ぼしかねません。

精神的には厳しい状況ですが、認めれば早く終わるという誘導に屈しないことが何よりも重要です。

黙秘権を行使して余計なことは話さない

黙秘権を適切に行使すれば、取調べでの不用意な発言を防ぐことができます。

実際、警察が容疑者の心理状態を巧みに利用し、有罪につながる供述を引き出そうとしてくるケースは少なくありません。

少しでも回答内容に迷うことがあれば、黙秘権を行使して、発言を控えるようにしましょう。

黙秘権行使のタイミングを判断できない場合は「弁護士が来るまで話さない」「名前と住所だけ言う」と決めておくと安心です。

無実を裏付ける証拠を集める

冤罪事件に巻き込まれたときは、無実を裏付ける証拠を早期に集めることが極めて重要です。

一度疑いをもたれてしまった以上、「やっていない」と主張するだけでは信用してもらえず、無実を示す客観的な証拠が必要になります。

アリバイを示すカメラ映像やスマホの位置情報、同行者の証言など少しでも多くの証拠を集めましょう。

ただし、証拠収集の方法を誤ると法律に触れてしまうなど、自身の立場を悪くするおそれもあります。

まずは弁護士に相談し、有効な証拠の種類や収集方法について助言を受けることが大切です。

弁護士の介入で冤罪事件を解決できた事例

グラディアトル法律事務所でも、これまでに数々の冤罪事件を解決に導いてきました。

ここでは、痴漢の冤罪事件に関する解決事例を紹介します。

【事案概要】

息子が通勤途中に逮捕されてしまったと、母親が弊所に相談。即日中に弁護士が接見したところ、本人も痴漢行為を否定した。詳細を聞き取った結果、担当弁護士も冤罪事件の可能性が高いと判断した。

弊所弁護士は、まず逮捕後の勾留を回避するための弁護活動をスタートさせました。

前科前歴がないことや逃亡・証拠隠滅のおそれがないことなどを、具体的に記載した意見書を検察・裁判所に提出。

最終的に勾留請求は却下され、本人は無事に釈放されました。

さらに、本件は冤罪である旨の意見書を検察に提出したところ、検察側も冤罪の疑いがあることを認め、不起訴処分が下されました

冤罪事件に関してよくある質問

最後に、冤罪事件に関してよくある質問を紹介します。

冤罪事件に関してよくある質問

冤罪事件で警察に責任は生じる?

違法捜査があった場合は、国家賠償法に基づき国に損害賠償を求めることができます

実際、大川原化工機事件では違法捜査が認定され、1億6,600万円支払われました。

また、違法捜査に関わった警察官個人は警察内部で処分される可能性があります。

冤罪事件で無実が証明された人への補償金はいくら?

冤罪事件で無実が証明された人への補償金は、1日あたり1万円~1万2,500円が基準です。

根拠要件金額
被疑者補償規定犯罪を犯していないと認められる相当な事由があり、不起訴となった場合1日あたり1万円~1万2,500円
刑事補償法裁判で無罪判決を受けた場合1日あたり1万円~1万2,500円

補償金は拘束日数を基礎に、精神的・肉体的苦痛なども考慮されて決定します。

これまでに日本で起きた冤罪事件の件数は?

冤罪事件の件数に関して、正確な統計データはありません。

しかし、痴漢や窃盗などの比較的軽微な事件を含めると、相当数の冤罪事件が起きているのは確かです。

なお、再審により無罪となった冤罪事件は、日本弁護士連合会が支援した事件だけでも20件に及びます。(2026年1月現在)

冤罪事件に巻き込まれたときはグラディアトル法律事務所の相談を!

本記事のポイントは以下のとおりです。

  • ◆ 冤罪事件とは、犯罪を犯していない人が犯罪者として扱われている事件のこと
  • ◆ 冤罪事件が起きる要因は先入観と自白偏重の文化
  • ◆ 一度確定判決が下されたあとで無罪を勝ち取った冤罪事件も複数存在する
  • ◆ 冤罪を疑われたときは無実を主張し続けることが重要

冤罪の証明は決して簡単なものではありません。

1人で抱え込んでいても事態は悪化するばかりなので、冤罪を疑われたときは、一刻も早く弁護士に相談してください。

グラディアトル法律事務所は刑事事件全般を得意としており、冤罪事件の解決実績も多数有しています

経験豊富な弁護士が24時間体制で相談を受け付けており、最短即日中の対応も可能です。

初回相談は無料なので、まずはお気軽にご相談ください

 

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力。数多くの夜のトラブルを解決に導いてきた経験から初の著書「歌舞伎町弁護士」を小学館より出版。 youtubeやTiktokなどでもトラブルに関する解説動画を配信している。

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