「家族が突然逮捕されてしまった…一体どうすればいいのだろうか」
「逮捕された本人は冷静に動けないはず。家族の自分が助けられる方法はあるのか」
そんな不安を抱えてこのページを開いた方はいませんか?
当番弁護士制度は、逮捕直後に無料で弁護士を呼べる仕組みです。
弁護士会が運営し、家族からでも依頼可能で、初回接見を通じて黙秘権の説明や健康状態の確認、家族への伝言などを担います。
ただし利用には制限もあり、逮捕されていなければ使えない、希望する弁護士を選べない、利用は一度きりといった注意点があります。
そのため、制度を理解したうえで早めに行動することが不可欠です。
この記事では以下を分かりやすく解説します。
・当番弁護士制度の仕組みと利用条件 ・初回接見で得られる4つの大きなメリット ・制度を使う際の注意点と限界 ・自分で弁護士を選ぶ方法や国選弁護人との違い |
逮捕直後の対応は、その後の刑事手続きや家族の人生を大きく左右します。
まずは一刻も早く弁護士に相談し、当番弁護士制度を最大限に活用して、大切な人の権利と未来を守るよう動きましょう。
目次
当番弁護士とは、逮捕直後に無料で呼べる弁護士制度!

当番弁護士は初回接見が無料で、誰でも利用できる制度である
逮捕直後でも弁護士に無料で面会できる、被疑者にとって非常に重要な制度が「当番弁護士制度」です。
本人が希望しなくても、家族が弁護士会に連絡すれば一度だけ呼ぶことが可能です。
なぜ重要かというと、逮捕直後の取り調べで不利な供述をしてしまえば、後で取り返すのは非常に困難です。
当番弁護士は、この最も危険な段階で法律の知識を持つ味方をつけるための命綱となります。
弁護士会を通じた24時間体制の信頼性の高い制度
この制度は日本弁護士連合会と各地の弁護士会が整備しており、全国どこでも利用できます。深夜や休日でも呼ぶことができる点で、関係者にとって強い安心材料になります。
任意出頭や在宅事件といった利用できない刑事事件もある
ただし、当番弁護士はどんな場面でも使えるわけではありません。
在宅事件や任意出頭の場合には派遣されず、「逮捕」された人に限られる制度です。
家族でも弁護士会に連絡すれば、当番弁護士を本人のもとに呼ぶことができる
逮捕された本人からの申出だけでなく、家族からも依頼可能
逮捕直後の本人は動揺しており、冷静に弁護士を呼ぶことができない場合が多いです。
しかし、当番弁護士は本人の申出がなくても、家族からの連絡で派遣を依頼できます。
家族の行動が遅れれば、本人は孤立したまま警察の取調べを受け、取り返しのつかない供述をしてしまう危険がありますから、呼んであげるべきでしょう。
連絡先は警察ではなくその地方の弁護士会
誤解されがちですが、警察に「弁護士を呼んでほしい」と伝えても、当番弁護士は手配されません。
正式な窓口は、逮捕地を管轄する地方の弁護士会です。弁護士会に連絡して初めて、弁護士が派遣されます。
以下のリンクに各地方の弁護士会の連絡先一覧が載っていますので、参考にしてください。
刑事手続の冒頭で当番弁護士を呼ぶ強大なメリット4点!
メリット | なぜ重要か | 具体例等 |
---|---|---|
逮捕直後に「黙秘権」や話し方を教えてもらえる | 不利な供述の防止 | 弁護士が「答えなくてよいこと」を指導し、有利な防御につながる |
本人の健康状態や要望を確認し家族へ伝えてくれる | 家族は逮捕直後は直接会えない | 「体調が悪い」「子どもに連絡してほしい」などを家族に報告してくれる |
今後の刑事手続の流れの説明を受けられる | 本人・家族の安心感 | 逮捕、勾留、起訴/不起訴の流れと起訴可能性を伝える |
警察の立会いなしで秘密の相談ができる | 本当に思っている事をリラックスした環境で喋れる | 警察に聞かれる心配なく、事件の真実や家族への希望を自由に伝えられる |
初回接見で弁護士は、本人の黙秘権や供述の注意点を指導できる
当番弁護士が最初に果たす大きな役割は、逮捕直後の本人に「黙秘権」や「供述の注意点」を教えることです。
取調べは心理的圧力が強く、何も知らないまま話してしまうと、後に不利な調書が残ります。
弁護士は「答えるべきこと」「答えなくてよいこと」を明確に指導してくれるため、無駄な不利益を防げます。
本人の様子や健康状態、家族への要望を把握し、報告してくれる
警察署内での本人の状況は、家族が直接確認することはできません。
当番弁護士は本人と面会し、健康状態や精神的な様子を確認した上で家族に報告してくれます。
また「子どもに伝えてほしいこと」や「職場に連絡してほしいこと」など、本人の要望を聞き取り、橋渡し役を担います。
家族にとっては安否を知る数少ない機会となり、孤立感を和らげることができます。
刑事手続の流れや今後の見通しを丁寧に説明してもらえる
逮捕された直後は、家族も本人も「これからどうなるのか」が全く分からず強い不安を感じます。
当番弁護士は、逮捕から勾留、起訴、不起訴に至るまでの流れを平易な言葉で説明し、今後の選択肢を整理してくれます。
刑事手続は複雑ですが、早期に専門家の説明を受けることで、不安を和らげ冷静な行動を取ることが可能になります。
接見内容は警察の監視なし、安心して話すことができる
弁護士と本人の面会は「接見交通権」として保障され、警察官の立ち会いは認められません。
そのため、本人は警察に聞かれることを気にせず、自由に事実や希望を弁護士に話すことができます。
これは精神的に大きな救いであり、安心して相談できる唯一の時間で、取調べに耐える力となります。
弁護士が早期に介入することが、心理的にも法的にも強力な盾になるのです。
当番弁護士を呼ぶ際の注意点
注意点 | 注意内容 |
対象 | 逮捕された場合のみ |
回数 | 1度きりの利用 |
弁護士 | 指名できない |
活動範囲 | 初回接見まで |
対応時間 | 実際には遅れる場合あり |
逮捕されていなければ利用できない
当番弁護士制度は、あくまでも「逮捕」された人を対象とした仕組みです。
任意での事情聴取や在宅で捜査が進んでいるケースでは利用できません。
希望する弁護士を選任することはできない
当番弁護士は「当番制」で派遣されるため、家族が「この弁護士に来てほしい」と指名することはできません。
これは制度の公平性を保つために設けられた仕組みですが、同時に「相性が合うか」「刑事事件に強いか」という点に不安が残ることもあります。
つまり、当番弁護士はあくまで初動の安全確保に使う制度であり、その後に自分で弁護士を選び直すことが安全な策となります。
一度しか利用できない
当番弁護士は原則として「初回接見1回のみ」に限られる制度です。
もちろんその後も弁護士をつけることは可能ですが、それは私選弁護士や国選弁護人を通じて行わなければなりません。。
常に24時間対応してもらえるわけではない
制度は「24時間対応」とされていますが、実際には深夜や早朝に依頼した場合、弁護士が到着するまでに時間がかかることもあります。
特に地方では、弁護士の移動に数時間を要することもあり、その間に取調べが進む危険があるのです。
迅速性を重視するなら、私選弁護士への直接依頼も並行して検討すべきです。
最初の接見以外の弁護活動は頼めない
当番弁護士の役割はあくまで「初回接見」に限定されています。
そのため、示談交渉や裁判活動、証拠収集といった本格的な弁護活動を期待することはできません。
当番弁護士ではなく、家族などが自分で弁護士を選んで派遣することも可能!
当番弁護士は原則初回接見限りなので、必ずしも依頼しなくてもいい
当番弁護士は初回の接見を担う制度であり、そのまま弁護活動を依頼する義務はありません。
当番弁護士を呼ぶことは必須ではなく、家族の選択によって柔軟に次の一手を考えられる制度です。
国選弁護人を希望することもできるが、必ずしも良い弁護士に当たるとは限らない
勾留が決定すれば、国選弁護人を請求することが可能です。
ただし、国選弁護人は本人や家族が選べるわけではなく、裁判所が名簿から指定します。
そのため「刑事弁護に経験豊富な弁護士」が担当する場合もあれば、対応が形式的で熱心さに欠ける弁護士がつくこともあります。
もちろん費用負担がない点は魅力ですが、当たり外れが大きい制度でもあるのです。
当番弁護士や国選弁護人がついていても、その後に弁護士は自由に選べる
一度当番弁護士や国選弁護人がついた場合でも、その後に弁護士を変更することは自由にできます。
事件の性質や本人の希望に合わせて、より専門性の高い私選弁護士を改めて探すことが可能です。
制度に頼り過ぎず自身で弁護士を選ぶことで、弁護方針や対応の質を大きく改善できる場合があります。
弁護士は重要な選択!自分で調べて話を聞いて慎重に選ぶべき!
刑事事件の弁護士選びは、家族にとって人生を左右するほど重大な選択です。
弁護士ごとに得意分野や経験、依頼者への姿勢は大きく異なります。
安易に依頼してしまうと、十分なサポートが得られず、結果的に不利益を被る可能性があります。
したがって複数の弁護士に相談し、対応の丁寧さや説明の分かりやすさを比較することが不可欠です。
「誰に任せるか」を慎重に決めることが、本人の将来と家族の安心を守る最も重要な行動となります。
項目 | 当番弁護士 | 国選弁護人 | 私選弁護人 |
---|---|---|---|
費用 | 1回に限り無料 (弁護士会が負担) | 原則無料(国が負担) | 有料(自己負担) |
依頼できる人 | 本人または家族、友人 | 本人 | 本人または家族、友人 |
呼べるタイミング | 逮捕された後 | 勾留された後 | いつでも |
弁護活動の範囲 | ・取り調べに対するアドバイス・逮捕後の流れの説明・家族への伝言 | 制限なし※事件化前の対応や逮捕後勾留前の対応は不可 | 制限なし |
指名の可否 | 不可 | 不可 | 可能 |
Q&A よくある質問

Q 当番弁護士と国選弁護人で初回接見に差はあるの?
A:当番弁護士は逮捕直後からすぐに会えますが、国選弁護人は勾留決定後でないとつきません。初期対応では当番弁護士が圧倒的に有利です。
Q 私選弁護士と国選弁護人で対応に差はあるの?
A :国選弁護人は無償ですが、親身さや迅速さで私選弁護士に劣ることがあります。特に被害者対応や不起訴を狙う交渉には時間との勝負が多いため、家族が信頼できる弁護士を見極めることが極めて重要です。
まとめ
当番弁護士制度は、逮捕直後に本人や家族を支えるための重要な仕組みです。初回接見が無料で利用でき、黙秘権の説明や健康状態の確認、家族への橋渡し役など多くのメリットがあります。一方で「逮捕されていなければ利用不可」「一度きり」「弁護士を指名できない」といった制限もあるため、正しく理解することが不可欠です。
・無料で弁護士と会える初回接見制度 ・家族からでも弁護士会を通じて依頼可能 ・取調べ直前に権利を守る強力なサポート ・ただし利用は一度のみ、指名不可などの制限あり |
逮捕直後の対応が今後の人生を大きく左右します。迷ったら一刻も早く弁護士に相談し、当番弁護士制度を最大限に活用してください。