「逮捕されると学校や大学は退学になってしまうの?」
「退学の判断基準はどうなっている?」
「退学をさけるためにできることを知りたい」
学生が逮捕されてしまった場合、「このまま退学になってしまうのではないか」と大きな不安を抱くのは当然です。特に、大学や高校に通う本人だけでなく、保護者にとっても今後の進学・就職に直結する重大な問題となります。
しかし、逮捕されたからといって必ずしも退学になるわけではありません。退学処分に至るかどうかは、事件の内容や社会的影響の大きさ、さらには学校の定める学則や校則に基づいて個別に判断されます。実際には、停学や出席停止といった処分にとどまるケースもありますし、事件の解決後に学生生活へ復帰できる場合もあります。
本記事では、
・逮捕されたことが学校に知られるきっかけ ・退学処分の判断基準 ・退学以外に生じる可能性がある影響 |
などについて詳しく解説します。
逮捕と退学の関係に不安を抱える学生や保護者の方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
逮捕されたとしても必ず退学になるわけではない
学生が逮捕された場合、「すぐに退学になってしまうのではないか」と不安を抱く方は少なくありません。しかし、逮捕=即退学というわけではなく、処分の有無や内容は、学校側の判断に委ねられています。
退学処分の根拠となるのは、学校教育法や施行規則に基づいて各学校が定める学則・校則です。一般的には「素行が著しく不良で改善の見込みがない者」「正当な理由なく出席しない者」「学校の秩序を乱した者」などが退学理由とされています。つまり、逮捕事実があったとしても、それだけで自動的に退学となるわけではありません。
事件が軽微であったり、早期に示談や不起訴となったりした場合には、停学や出席停止といった処分にとどまるケースもあります。特に、初犯で反省が見られる場合には、学校側も更生の余地を考慮し、復学を認めることがあります。
一方で、重大事件や学校関係者が被害者となった場合には、学校の秩序や信用を守る観点から退学処分が下されるリスクも高まります。
したがって、「逮捕=必ず退学」と決めつけず、事件内容や学校の判断基準によって処分が大きく異なることを理解しておくことが大切です。
逮捕されたことが学校にバレてしまう5つのきっかけ

逮捕されたとしても、その事実が必ず学校に伝わるわけではありません。しかし、思わぬきっかけで学校に逮捕された事実が知られてしまうケースもあります。以下では、逮捕が学校に知られる可能性のある代表的な5つのパターンを紹介します。
逮捕された事件が報道される
もっとも多いのが、逮捕の事実がニュースや新聞で取り上げられるケースです。
報道では氏名・年齢・居住地が公開されることがあり、同級生や地域の人から学校に通報されることもあります。特に、大学生の場合、地域名や学年だけでも特定につながりやすく、学校に「在学生ではないか」と問い合わせが寄せられることがあります。
一度報道されてしまうと情報は瞬く間に拡散し、SNSで話題になることも多いため、学校が逮捕を知るきっかけとなりやすいのです。
長期間の身柄拘束により無断欠席が続く
逮捕後、勾留が続けば最長で20日近く授業に出席できなくなります。学校に無断で欠席が続くと、担任や指導教員が家庭に連絡を入れ、そこで逮捕が発覚することがあります。
たとえば、大学生であればゼミや研究室への出席が急に途絶えることから、周囲に不審がられて事実が明らかになるケースもあります。また、高校生や中学生であれば、学校側が生活状況を確認するために家庭訪問や警察への確認を行い、逮捕が判明する可能性が高いでしょう。
犯行現場が学校だった
学校の敷地内や教室、体育館などで事件を起こした場合は、当然ながら学校関係者が直接関与するため、すぐに逮捕の事実が共有されます。たとえば、校内での暴行事件や窃盗行為、薬物の持ち込みなどが典型的です。
このような場合、学校側も被害者への対応や安全確保が求められるため、迅速に対応をとることになります。そのため、退学処分のリスクも高くなる傾向があります。
被害者が学校関係者であった
被害者が同級生や先輩後輩、教師など学校関係者であった場合は、事件の性質上学校に知られないことはほぼありません。被害者からの申告によって学校が事実を把握することになり、被害者の安全確保や再発防止のための措置が必要となるからです。
この場合、学校側は「教育環境の維持」「被害者保護」という観点から厳しい姿勢を取ることが多く、停学や退学など重い処分が検討されるリスクが高まります。
警察・検察・家庭裁判所が捜査のために学校に連絡した
捜査機関は、被疑者の生活状況や人となりを調べるため、在籍校に対して照会を行うことがあります。特に、少年事件の場合、家庭裁判所が調査官を通じて学校に聞き取りを依頼するケースが一般的です。
学校に直接警察や裁判所からの照会が入れば、逮捕の事実が明らかになるのは避けられません。場合によっては校長や学部長、生活指導部が情報を共有し、懲戒処分に発展することもあります。
逮捕がバレると学校は退学になる?退学処分の判断基準
逮捕の事実が学校に伝わったからといって、必ず退学処分になるわけではありません。処分の有無や内容は、最終的に学校の判断に委ねられており、その根拠は学校教育法11条および学校教育法施行規則26条3項にあります。これらの規定に基づき、各学校は学則や校則の中で退学事由を定めています。
一般的に定められている退学理由には、以下のようなものがあります。
・素行が著しく不良で改善の見込みがない者 |
・学業成績が特に悪い者 |
・正当な理由なく出席をしない者 |
・学校の秩序を乱し、学生の本文に反した者 |
このうち「素行不良」や「学校の秩序を乱す行為」が、逮捕に関連して判断される場合が多いといえます。つまり、逮捕された事件の内容や社会的影響が大きい場合には、退学処分につながる可能性が高くなるのです。
例えば、窃盗や軽微な暴行事件であっても、被害者が学校関係者であれば学校の秩序や安全に直結するため、退学や停学の対象となる可能性があります。逆に、被害者が学校外の第三者で、事件が軽微であったり、不起訴処分や示談によって早期に解決した場合は、学校側も更生の余地を考慮し、停学や厳重注意といった軽い処分にとどまることもあります。
また、大学と中学・高校とでは対応に違いがあります。大学では「学生本人の自主性」を重視するため処分に幅があり、最終的に学部教授会や懲戒委員会で審議されます。一方で中学・高校は「教育環境の維持」を優先するため、校則違反や素行不良を理由に比較的厳しい処分を下す傾向があります。
結論として、退学になるかどうかは「学則・校則の規定」「事件の性質や影響」「学校側の判断姿勢」によって異なります。逮捕=必ず退学と決めつける必要はありませんが、事件が学校生活や教育環境に与える影響が大きいほど、退学のリスクは高まるといえるでしょう。
逮捕と退学処分に関する実際の事例

退学処分が有効とされたケースもあれば、違法と判断されたケースも存在します。以下では、実際に裁判所で争われた事例を紹介し、逮捕と退学の関係についてより具体的にみていきましょう。
強制わいせつによる逮捕を理由とする退学を有効とした事例
ある私立大学の学生が強制わいせつ容疑で逮捕された事案において、大学は「学校の秩序を著しく乱した」として退学処分を下しました。
学生側はこれを不服として裁判を起こしましたが、裁判所は大学側の処分を有効と判断しました。
その理由は、
・強制わいせつという犯罪の性質が社会的に重大であること ・男性が大学の指導に従わず飲み会を繰り返していたこと |
などが挙げられています。
この事例からもわかるように、事件の重大性や本人のこれまでの行動によっては、退学処分が正当と判断される可能性があります。
強制わいせつ逮捕で退学は妥当 仙台高裁、元学生逆転敗訴(共同通信) – Yahoo!ニュース
飲酒を理由とする退学勧告は違法と判断された事例
一方で、退学処分が違法と判断されたケースもあります。
ある高等専門学校の学生が飲酒したことを理由に、学校側から退学勧告を受けた事案です。
裁判所はこの退学勧告を違法と判断しました。
その理由は、
・飲酒の事実はあったものの、暴力や重大事件には至っていなかったこと ・学生が反省の態度を示しており、更生の余地が十分に認められたこと ・退学という最も重い処分は、教育的配慮を欠き過酷であると評価されたこと |
などがあげられています。
この事例は、必ずしも逮捕や不祥事が直ちに退学に結びつくわけではなく、学校の判断が社会通念や教育的観点に照らして妥当であるかが問われることを示しています。
飲酒で退学勧告は重過ぎで違法 東京地裁、高校に賠償命令(共同通信) – Yahoo!ニュース
在学中の逮捕が学生生活に及ぼす退学以外の影響
学生が逮捕された場合、退学処分以外にもさまざまな影響が及びます。以下では、在学中の逮捕が学生生活に及ぼす代表的な3つの影響を紹介します。
停学・出席停止措置の可能性
学校側は、退学より軽い処分として、一定期間の停学や出席停止を命じることがあります。停学中は授業や試験を受けられないため、進級や単位取得に大きな支障が生じます。特に、高校や大学では進級・卒業の要件を満たせなくなり、事実上留年や中退に追い込まれる可能性もあります。
また、停学・出席停止によりしばらく学校に来れない状態になると、周囲に逮捕の事実が知られるきっかけにもなりやすいです。
学内の人間関係への影響
逮捕の噂が広がると、友人関係や研究室・クラブ活動での人間関係に悪影響を及ぼします。事件内容によっては同級生や保護者から距離を置かれ、孤立を深めてしまうこともあります。
また、教師や学校側からの見方が厳しくなり、以前のように安心して学業に取り組むのが難しくなる場合もあります。このような心理的ストレスは、学業意欲の低下や不登校につながるおそれもあります。
内定取り消しや進学への影響
大学生や専門学校生の場合、逮捕の事実は、就職活動に大きなマイナスとなります。企業の採用担当者が逮捕歴を知った場合、内定が取り消されるリスクがあります。
また、高校生でも推薦入試や進学に影響が出ることがあり、学校側が推薦を取り下げたり、進学先に情報が伝わったりする可能性があります。さらに、停学処分が調査書や成績証明書に記載されると、進学や奨学金の審査に不利となるケースもあります。
逮捕後、退学処分を避けるために本人・家族ができること

逮捕が事実として学校に伝わった場合でも、必ず退学になるわけではありません。重要なのは、逮捕後の対応をいかに迅速かつ適切に行うかです。以下では、退学処分を避けるために本人や家族ができる3つの具体的な行動を紹介します。
逮捕後すぐに刑事事件に強い弁護士に相談する
もっとも大切なのは、できる限り早い段階で刑事事件に精通した弁護士へ相談することです。弁護士は勾留の回避や早期釈放に向けて動くことができ、身柄拘束期間を短縮できれば学校に欠席が長期化するリスクも減ります。
また、学校側への説明や対応方針を一緒に考えてくれる弁護士も多く、退学処分を避けるための重要なサポートとなります。
被害者との示談で釈放・不起訴処分を目指す
逮捕後に退学を回避するためには、事件自体をできるだけ早期に解決することが欠かせません。そのために有効なのが、被害者との示談です。
示談が成立すれば、勾留中であっても釈放される可能性があり、不起訴処分によって前科を回避できれば学校からの処分も軽くなる傾向があります。特に、被害者が学校関係者ではない場合、示談の成立は退学回避に大きく寄与します。
少年事件であれば本人の更生をサポートする
中高生などの未成年者が逮捕されると、家庭裁判所での手続きが必要になります。この場面では、本人が反省して再出発しようとしている姿勢が重視されますので、ご家族が寄り添い、生活態度の改善を一緒に取り組んだり、必要に応じて更生支援プログラムを受けさせたりすることが大切です。
そうした取り組みが「この子はやり直せる」という評価につながり、学校でも退学以外の処分にとどめてもらえる可能性が高まります。
逮捕による退学を回避するなら早期に弁護士に相談するのがおすすめ
逮捕によって退学になるかどうかは、事件の内容や学校の対応次第で大きく変わります。その中で重要なのが、早期に弁護士へ相談することです。弁護士のサポートを受けることで、退学のリスクを軽減できる可能性があります。以下では具体的な3つのポイントを紹介します。
被害者との示談により早期釈放を実現
被害者がいる犯罪であれば弁護士はまず、被害者との示談交渉を進めます。示談が成立すれば、勾留中であっても釈放される可能性が高まり、無断欠席による学校への発覚リスクを減らすことができます。
また、示談の成立は、最終的な処分判断に大きく影響し、不起訴処分(審判不開始)につながるケースも多くあります。事件の早期解決は、学校からの懲戒処分を回避するうえでも極めて重要です。
不起訴処分により前科を回避し、退学の可能性を軽減
起訴され有罪判決を受ければ、社会的信用を大きく失い、学校も厳しい処分を検討せざるを得ません。しかし、弁護士が不起訴処分を獲得できれば、前科がつかないだけでなく、学校側に「本人の更生可能性がある」と印象づけることができます。
不起訴によって事件が早期に終結すれば、退学処分ではなく停学や指導で済む可能性も高くなるでしょう。
本人・家族へのフォロー・精神的サポート
逮捕は本人だけでなく、家族にとっても大きな精神的負担となります。
弁護士は、法的手続きのサポートだけでなく、家族に今後の見通しを説明し、不安を和らげる役割も担います。また、学校との対応方針を一緒に検討し、必要に応じて学校への説明や調整を行うことも可能です。
これにより、家族が孤立することなく適切な対応をとることが可能になります。
逮捕により退学が不安なときはすぐにグラディアトル法律事務所に相談を
逮捕は本人や家族にとって大きな精神的負担となるだけでなく、進学や就職といった将来にも直結する重大な問題です。「退学になってしまうのではないか」「学校にどう説明すればよいのか」と悩む方も少なくありません。こうした不安に対しては、刑事事件に強い弁護士へ早期に相談することがもっとも有効です。
グラディアトル法律事務所では、逮捕後の示談交渉や釈放活動、不起訴獲得に向けた弁護活動を数多く手がけています。学校側への対応方針を一緒に検討することも可能で、退学処分を避けるためにご家族と連携してサポートします。また、突然の逮捕で動揺するご家族に対しても、今後の見通しを丁寧に説明し、精神的な支えとなることを重視しています。
逮捕が必ず退学につながるわけではありませんが、適切な対応をとらなければ重い処分に至る可能性もあります。退学の不安を抱えている方は、できるだけ早くグラディアトル法律事務所にご相談ください。
まとめ
逮捕されたからといって必ず退学になるわけではありませんが、事件の内容や学校の判断によっては停学や退学といった厳しい処分につながる可能性があります。将来に大きな影響を及ぼす問題だからこそ、早期に弁護士へ相談し、示談や不起訴処分を目指すことが重要です。
グラディアトル法律事務所は、刑事事件に強みを持ち、早期釈放に向けた活動や学校対応のサポートにも対応しています。退学の不安を少しでも和らげたい方は、ぜひお早めにご相談ください。