「突然、家族が警察に捕まったと連絡を受けたけれど、どうしていいか分からない…」
「本人がどんな状況に置かれているのか不安で仕方ない。今すぐ会って励ましてあげたいのに…」
こんな風に思っている方はいませんか?
刑事事件で身柄を拘束された直後は、本人も家族も大きな不安に直面します。そんなとき弁護士に接見を依頼すれば、被疑者に直接会い、立会人なしで自由に話ができるため、早期の権利保護につながります。本記事では以下の内容を分かりやすく整理しました。
・弁護士が接見でできることの一覧リスト ・弁護士接見と一般面会との違い(家族や知人との面会との比較) ・早期に接見を依頼すべき4つの理由 ・よくある質問(差し入れ・持病・費用など) |
弁護士の接見は単なる面会ではなく、今後の人生を左右する重要なステップです。
黙秘権や調書署名の注意点を伝えてもらえたり、早期解放や接見禁止の解除に動いてもらえるなど、すぐに依頼することで得られるメリットは大きいです。
迷っている時間が状況を悪化させることもあるため、まずは弁護士に相談して行動を起こすことが大切です。
目次
弁護士が接見でできることの一覧リスト
立会人なくして自由に接見できる弁護士には、様々なことができます。
以下に一覧化してまとめました。
接見でできること | メリット | 具体例 |
① 取調べのアドバイス | 不利な供述を防げる | 「黙秘していい部分は黙って」と助言され、不利な調書を避けられた |
② 事件の話を聞く | 弁護方針を立てられる | 事件の経緯を弁護士に話し、 無実を裏付ける証言を集め始められた |
③ 今後の流れの説明 | 不安が減る | 「本件では勾留は7日程度」と説明され落ち着けた |
④ 精神的な支えになる | 孤立感が減る | 弁護士に「味方がいる」と声をかけられ、取調への不安が和らいだ |
⑤ 健康状態を確認する | 体調悪化を防げる | 持病の薬が必要だと弁護士に伝え、看守を通じて服用が続けられた |
⑥ 差し入れ・宅下げの希望を聞く | 留置所生活が楽になる | 本人の希望で家族に着替えを差し入れてもらい、安心して過ごせた |
⑦ 家族や職場に連絡していいか確認 | 社会的立場を守ることができる | 「家族には伝えて、職場には今は言わないで」と希望を伝えた |
⑧ 被害弁償の意思を聞く | 不起訴や減刑の可能性が高まる | 犯行を反省し、被害弁償する意思を弁護士に伝えた |
⑨ 面会禁止の解除の相談 | 家族と会える可能性が広がる | 面会禁止の不当性を弁護士が申立て、家族面会が許可された |
⑩ 弁護士を頼みたいか確認する | 今後の支援を決められる | 「このまま国選じゃなくて私選を頼みたい」と意思を伝えられた |
もっとも、これに限定されるということではなく、家族や被疑者からのお願いには幅広く対応する余地があります。
弁護士接見と一般面会(家族・知人など)の違い
同じ留置所における被疑者との面会でも、弁護士の接見と家族や知人の一般面会では、全く異なるものとなります。
その違いを以下の表にしてまとめてみました。
項目 | 弁護士の接見 | 一般面会(家族・知人など) |
面会の相手 | 弁護士(国選・私選どちらでもOK) | 家族、友人、恋人など |
誰でもできる? | 弁護士資格を持っていれば誰でも接見可能(依頼前でも) | 原則として事前に許可が必要。接見禁止があると会えないことも |
面会の回数・ 時間 | 原則回数も時間も無制限 (制限を受けにくい) | 1日1回程度、時間も15〜20分程度が一般的 |
警察・検察の 立会い | なし(二人きりで、録音・録画・立会い禁止) | 立会いあり、会話内容も聞かれていることが多い |
話す内容の自由 | 法律相談・事件の話・今後の方針 など、制限なし | 事件に関する話は禁止されることがある |
接見禁止処分中でも可能? | 可能(弁護士は除外される) | できない(接見禁止がつくと会えない) |
必要な手続き | 警察署・拘置所で「弁護士です」と名乗れば基本OK | 面会申込み・本人の了承・施設側の承認 などが必要 |
早期の弁護士接見が必須な4つの理由

黙秘権等の被疑者の権利を知らせる
警察に捕まったとき、弁護士がすぐに接見することで「黙秘権」などの大切な権利を本人に伝えることができます。
なぜなら、取調べで不用意に話してしまうと、後で不利な証拠として使われてしまう危険があるからです。
他にも、供述調書の署名押印は拒否できる点も重要です。自分が話した内容と異なる内容の供述調書が作られた時、被疑者はこれを拒否できますが、知らない方が多いです。
しかし、これに署名押印してしまうと、裁判所でまた別の内容を話してしまうと、供述内容に一貫性がないとして、裁判官の心証を悪くする恐れがあります。
早期解放・接見禁止の解除に取り組める
弁護士が早く動くことで、不当な身柄拘束や接見禁止に対抗できる可能性が高まります。
弁護士なら、検察や裁判所に「身柄を解放すべき」「家族との面会を認めるべき」といった意見を申し立てることができます。
例えば、初犯で逃亡の恐れがないのに勾留された場合、弁護士が早期に申立てを行えば早めに留置所から解放され、家族の元へ戻れるケースがあります。
接見禁止の解除の申立てについても、弁護士から申し立てることで容易に解除されるケースがあります。
家族と連絡を取れるかどうか、共に過ごせるかどうかは精神的な安定に直結します。弁護士に早めに動いてもらうことは重要です。
早期に今後の方針を決められる
弁護士が接見で状況を把握すれば、事件対応の方針を早く決められます。
方針が遅れると、警察主導で話が進み、被疑者の立場がどんどん不利になってしまいます。
例えば、性犯罪事件では「示談に動くのか」「無実を争うのか」の判断を早急に下す必要があります。
「示談に動くべき」事例は、不同意性交で、その当時は同意あったと思ったが、お酒も飲んでたし絶対の自信はないし、実際したことは間違いなく、被害者に申し訳ない感情もあるケースです。
一方で「無実を争うべき」事例は、お酒も飲んでおらず、その時の周りの状況を証言してくれる友達もいるし、事前事後のLINE等のやり取りなどでもそんな気配まったくなかったしと、証拠はしっかり揃えられる算段があるケース。
弁護士は、証拠や被害者の反応を踏まえた現実的な選択肢を提示できます。表にすると以下のような違いがあります。
方針 | メリット | デメリット |
示談を進める | 早期釈放、刑が軽くなる | 費用や謝罪対応が必要 |
無実を主張 | 不当な処罰を防げる | 長期化し負担増加 |
こうした判断を一人で行うのは危険であり、弁護士の助言が不可欠です。
取り調べを受けるにあたってのアドバイスを受けられる
警察の取調べは非常にプレッシャーが強く、冷静な判断を欠きがちです。その結果、やっていないことまで「はい」と言ってしまうケースさえあります。
弁護士が早期に接見すれば、答え方、黙秘の時間のやり過ごし方など、取調べを受けるにあたってのアドバイスを被疑者は受けられます。
取り調べでの一言が将来の結果を左右するため、弁護士のアドバイスは命綱になります。
よくある質問

Q 家族から差し入れを頼めるものってどんなものがある?
A 差し入れできる物は制限がありますが、本や雑誌、現金、ひもが付いていない衣服、便箋や切手などが代表例です。
施設によって細かな規則があり、食品や危険物は基本的に禁止されています。
Q 捕まっている人に持病があるんですが…
A 持病があっても、警察や拘置所の医師の診察を受けたうえで、必要な薬について投薬を受けることができます。
本人の体調を守るためにも、早い段階で持病の存在を弁護士に伝え、薬の内容や処方箋を家族から届けてもらうことが大切です。特に慢性疾患や精神疾患の場合、適切な対応がなされないと健康状態が悪化する危険があるため、早めに対応してもらう必要があります。
Q 弁護士に接見を依頼すると費用はいくらくらいかかる?
A 接見だけを依頼する場合でも、費用は数万円からが一般的です。これは時間や移動距離、接見回数によって変動します。
まとめ
弁護士による接見は、単なる面会ではなく今後を大きく左右する重要な手段です。記事で取り上げたポイントを整理すると以下のとおりです。
・接見では取調べ対応の助言・健康確認・家族への連絡調整など幅広い支援が可能 ・一般面会と異なり、立会人なしで自由に話せるため被疑者の権利保護に直結 ・早期依頼により、黙秘権の行使や不当拘束の防止、示談交渉や方針決定が有利に進む |
接見を通じて弁護士が早く動くことは、身柄解放や不利な供述の回避など具体的な成果につながります。迷わず弁護士に相談することが、本人と家族の安心を取り戻す第一歩となります。