弁護士に接見依頼でできること一覧!早期依頼が必須な4つの理由

弁護士に接見依頼でできること一覧!早期依頼が必須な4つの理由
弁護士 若林翔
2025年09月09日更新

「突然、家族が警察に捕まったと連絡を受けたけれど、どうしていいか分からない…」
「本人がどんな状況に置かれているのか不安で仕方ない。今すぐ会って励ましてあげたいのに…」
こんな風に思っている方はいませんか?

刑事事件で身柄を拘束された直後は、本人も家族も大きな不安に直面します。そんなとき弁護士に接見を依頼すれば、被疑者に直接会い、立会人なしで自由に話ができるため、早期の権利保護につながります。本記事では以下の内容を分かりやすく整理しました。

・弁護士が接見でできることの一覧リスト
・弁護士接見と一般面会との違い(家族や知人との面会との比較)
・早期に接見を依頼すべき4つの理由
・よくある質問(差し入れ・持病・費用など)

弁護士の接見は単なる面会ではなく、今後の人生を左右する重要なステップです。
黙秘権や調書署名の注意点を伝えてもらえたり、早期解放や接見禁止の解除に動いてもらえるなど、すぐに依頼することで得られるメリットは大きいです。
迷っている時間が状況を悪化させることもあるため、まずは弁護士に相談して行動を起こすことが大切です。

弁護士が接見でできることの一覧リスト

立会人なくして自由に接見できる弁護士には、様々なことができます。

以下に一覧化してまとめました。

接見でできることメリット具体例
① 取調べのアドバイス不利な供述を防げる「黙秘していい部分は黙って」と助言され、不利な調書を避けられた
② 事件の話を聞く弁護方針を立てられる事件の経緯を弁護士に話し、
無実を裏付ける証言を集め始められた
③ 今後の流れの説明不安が減る「本件では勾留は7日程度」と説明され落ち着けた
④ 精神的な支えになる孤立感が減る弁護士に「味方がいる」と声をかけられ、取調への不安が和らいだ
⑤ 健康状態を確認する体調悪化を防げる持病の薬が必要だと弁護士に伝え、看守を通じて服用が続けられた
⑥ 差し入れ・宅下げの希望を聞く留置所生活が楽になる本人の希望で家族に着替えを差し入れてもらい、安心して過ごせた
⑦ 家族や職場に連絡していいか確認社会的立場を守ることができる「家族には伝えて、職場には今は言わないで」と希望を伝えた
⑧ 被害弁償の意思を聞く不起訴や減刑の可能性が高まる犯行を反省し、被害弁償する意思を弁護士に伝えた
⑨ 面会禁止の解除の相談家族と会える可能性が広がる面会禁止の不当性を弁護士が申立て、家族面会が許可された
⑩ 弁護士を頼みたいか確認する今後の支援を決められる「このまま国選じゃなくて私選を頼みたい」と意思を伝えられた

もっとも、これに限定されるということではなく、家族や被疑者からのお願いには幅広く対応する余地があります。

弁護士接見と一般面会(家族・知人など)の違い

同じ留置所における被疑者との面会でも、弁護士の接見と家族や知人の一般面会では、全く異なるものとなります。

その違いを以下の表にしてまとめてみました。

項目弁護士の接見一般面会(家族・知人など)
面会の相手弁護士(国選・私選どちらでもOK)家族、友人、恋人など
誰でもできる?弁護士資格を持っていれば誰でも接見可能(依頼前でも)原則として事前に許可が必要。接見禁止があると会えないことも
面会の回数・
時間
原則回数も時間も無制限
(制限を受けにくい)
1日1回程度、時間も15〜20分程度が一般的
警察・検察の
立会い
なし(二人きりで、録音・録画・立会い禁止)立会いあり、会話内容も聞かれていることが多い
話す内容の自由法律相談・事件の話・今後の方針
など、制限なし
事件に関する話は禁止されることがある
接見禁止処分中でも可能?可能(弁護士は除外される)できない(接見禁止がつくと会えない)
必要な手続き警察署・拘置所で「弁護士です」と名乗れば基本OK面会申込み・本人の了承・施設側の承認
などが必要

早期の弁護士接見が必須な4つの理由

早期の弁護士接見が必須な4つの理由

黙秘権等の被疑者の権利を知らせる

警察に捕まったとき、弁護士がすぐに接見することで「黙秘権」などの大切な権利を本人に伝えることができます。

なぜなら、取調べで不用意に話してしまうと、後で不利な証拠として使われてしまう危険があるからです。

他にも、供述調書の署名押印は拒否できる点も重要です。自分が話した内容と異なる内容の供述調書が作られた時、被疑者はこれを拒否できますが、知らない方が多いです。

しかし、これに署名押印してしまうと、裁判所でまた別の内容を話してしまうと、供述内容に一貫性がないとして、裁判官の心証を悪くする恐れがあります。

早期解放・接見禁止の解除に取り組める

弁護士が早く動くことで、不当な身柄拘束や接見禁止に対抗できる可能性が高まります。

弁護士なら、検察や裁判所に「身柄を解放すべき」「家族との面会を認めるべき」といった意見を申し立てることができます。

例えば、初犯で逃亡の恐れがないのに勾留された場合、弁護士が早期に申立てを行えば早めに留置所から解放され、家族の元へ戻れるケースがあります。
接見禁止の解除の申立てについても、弁護士から申し立てることで容易に解除されるケースがあります。

家族と連絡を取れるかどうか、共に過ごせるかどうかは精神的な安定に直結します。弁護士に早めに動いてもらうことは重要です。

早期に今後の方針を決められる

弁護士が接見で状況を把握すれば、事件対応の方針を早く決められます。

方針が遅れると、警察主導で話が進み、被疑者の立場がどんどん不利になってしまいます。

例えば、性犯罪事件では「示談に動くのか」「無実を争うのか」の判断を早急に下す必要があります。

「示談に動くべき」事例は、不同意性交で、その当時は同意あったと思ったが、お酒も飲んでたし絶対の自信はないし、実際したことは間違いなく、被害者に申し訳ない感情もあるケースです。

一方で「無実を争うべき」事例は、お酒も飲んでおらず、その時の周りの状況を証言してくれる友達もいるし、事前事後のLINE等のやり取りなどでもそんな気配まったくなかったしと、証拠はしっかり揃えられる算段があるケース。

弁護士は、証拠や被害者の反応を踏まえた現実的な選択肢を提示できます。表にすると以下のような違いがあります。

方針メリットデメリット
示談を進める早期釈放、刑が軽くなる費用や謝罪対応が必要
無実を主張不当な処罰を防げる長期化し負担増加

こうした判断を一人で行うのは危険であり、弁護士の助言が不可欠です。

取り調べを受けるにあたってのアドバイスを受けられる

警察の取調べは非常にプレッシャーが強く、冷静な判断を欠きがちです。その結果、やっていないことまで「はい」と言ってしまうケースさえあります。

弁護士が早期に接見すれば、答え方、黙秘の時間のやり過ごし方など、取調べを受けるにあたってのアドバイスを被疑者は受けられます。

取り調べでの一言が将来の結果を左右するため、弁護士のアドバイスは命綱になります。

よくある質問

弁護士の接見に関してよくある質問

Q 家族から差し入れを頼めるものってどんなものがある?

A 差し入れできる物は制限がありますが、本や雑誌、現金、ひもが付いていない衣服、便箋や切手などが代表例です。
施設によって細かな規則があり、食品や危険物は基本的に禁止されています。

Q 捕まっている人に持病があるんですが…

A 持病があっても、警察や拘置所の医師の診察を受けたうえで、必要な薬について投薬を受けることができます。
本人の体調を守るためにも、早い段階で持病の存在を弁護士に伝え、薬の内容や処方箋を家族から届けてもらうことが大切です。特に慢性疾患や精神疾患の場合、適切な対応がなされないと健康状態が悪化する危険があるため、早めに対応してもらう必要があります。

Q 弁護士に接見を依頼すると費用はいくらくらいかかる?

A 接見だけを依頼する場合でも、費用は数万円からが一般的です。これは時間や移動距離、接見回数によって変動します。

まとめ

弁護士による接見は、単なる面会ではなく今後を大きく左右する重要な手段です。記事で取り上げたポイントを整理すると以下のとおりです。

・接見では取調べ対応の助言・健康確認・家族への連絡調整など幅広い支援が可能
・一般面会と異なり、立会人なしで自由に話せるため被疑者の権利保護に直結
・早期依頼により、黙秘権の行使や不当拘束の防止、示談交渉や方針決定が有利に進む

接見を通じて弁護士が早く動くことは、身柄解放や不利な供述の回避など具体的な成果につながります。迷わず弁護士に相談することが、本人と家族の安心を取り戻す第一歩となります。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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