つい、カッとなって手が出てしまい、相手に怪我をさせてしまった。
あるいは、家族が傷害事件を起こしたという、突然の警察からの連絡。
このまま逮捕されてしまうのか。前科がついて、仕事や家庭はどうなるのか。少しでも早く穏便に終わらせる方法はないのか?
これまで数多くの傷害事件を解決してきたグラディアトル法律事務所がお伝えします。
傷害事件で結果を左右する最大の要素は、被害者との示談です。逮捕を回避できるか、早期に釈放されるか、不起訴を得られるかは、いずれも示談の成否にかかっているといっても過言ではありません。
たとえば当事務所では、被害者が歯の損傷や鼻・眼の骨折、視力低下といった重い怪我を負っていたケースでも、被害届が出される前に示談をまとめ、刑事事件化そのものを防げた事例があります。
本記事では、こうした実際の解決事例を交えながら、傷害事件を起こしてしまったときに何をすればいいのかを解説します。あわせて、傷害罪で逮捕された後の流れや刑の重さ、量刑の相場を、令和7年版犯罪白書などの最新データをもとにお伝えします。
傷害事件でお悩みの方は、ぜひご一読ください。
目次
傷害罪で逮捕のおそれがあるなら、示談交渉を最優先に行うべき
傷害事件を起こしてしまったとき、処分結果を左右する最大の要素は被害者との示談が成立しているかどうかです。
示談とは、加害者側が被害者に謝罪し、示談金(治療費・慰謝料等)を支払って和解する合意のことです。示談が成立していれば、被害が回復され当事者間で紛争が解決していると評価されるため、逮捕の回避、早期の釈放、不起訴処分といった結果につながりやすくなります。
以下では実際の事例をもとに、事件のどの段階で示談が成立すると、どのような効果があるのかを解説します。

逮捕前なら、示談によって被害届の取り下げが期待できる
傷害事件を起こしても、被害届が出される前に示談が成立すれば、刑事事件として立件されずに済む可能性があります。
示談の条件に「被害届を提出しない」「処罰を求めない」という合意を含めることができれば、被害届の提出を防げたり、すでに提出されている場合でも取り下げを期待できるからです。
被害届の取り下げ自体に法的効力があるわけではありませんが、実務上、被害届が出されていなければ立件に至らないケースが多く、刑事事件化の回避につながります。
| 【事例】飲食店での傷害事件になるも、示談によって刑事事件化を回避 早朝にバー付近で口論になり、相手の顔面を拳で殴ってしまった事案です。被害者には歯の損傷、鼻や眼の骨折、視力低下といった重い怪我が生じていました。 被害者側は当初600万円の損害賠償を求め、被害届の提出も示唆していました。怪我の内容からすれば、被害届が出されれば傷害罪として立件される可能性が高い状況です。 しかし、被害届が出される前に弁護士が相手方との交渉を開始。診断書の内容や損害の根拠を確認しながら減額交渉を進め、最終的に200万円(150万円+50万円の分割)で示談が成立しました。被害届は出されず、刑事事件化を回避しています。 怪我が重い事案でも、被害届が出される前に示談を成立させることで、刑事手続きに入ること自体を防げた事例です。 |
逮捕後でも、示談成立のタイミングで釈放につながる
逮捕された後でも、示談が成立すれば早期に釈放されることがあります。これは、示談の成否が身柄拘束を続けるかどうかの判断に影響するからです。
逮捕後の身柄拘束は、最初から拘束期間が決まっているわけではありません。勾留請求・勾留延長請求といったタイミングでその都度、拘束を続けるかどうかが判断され、そのたびに示談の成否や被害者の処罰意思も考慮されます。すべて認められた場合の拘束期間が、最大で23日間です。
示談が成立すれば、そのタイミングで釈放されたり、その後の勾留延長が認められなくなったりするため、早期の釈放につながります。
| 【事例】交際相手への傷害事件(重傷)で現行犯逮捕され、示談成立により釈放 交際相手の浮気をめぐる口論から激昂し、顔面への殴打、腹部・背部への蹴り、腕への噛みつきなどの暴行を加えてしまった事案です。被害者には腰椎骨折を含む全治2〜3か月の重傷が生じ、傷害罪で現行犯逮捕・勾留されました。 この事案のポイントは、検察官が宥恕文言の有無を重視していたことです。そこで弁護士は、単なる被害弁償では身柄解放は難しいと判断し、被害者側に対して示談金の支払いに加えて宥恕文言を求める交渉を行いました。 その結果、逮捕から約10日後に宥恕文言付きで示談が成立。宥恕文言付きの示談書が検察官に提出されたことで、勾留延長請求は裁判所に却下され、処分保留で釈放されています。 |
起訴・不起訴の判断には、示談の成否が大いに影響する
示談が成立しているかどうかは、検察官が起訴するか不起訴にするかの判断にも影響します。これは、傷害罪における不起訴の多くが検察官の裁量による「起訴猶予」であり、その判断で示談の成否が考慮されるためです。
令和7年版犯罪白書によれば、傷害罪の不起訴率は約70%です。このうち、約75%は起訴猶予、つまり犯罪の成立や証拠に問題はないものの、検察官が「刑事裁判にかけるほどではない」と判断したケースにあたります。
(出典:法務省「令和7年版犯罪白書 第2編/第2章/第4節 被疑事件の処理」)
この、「刑事裁判にかけるほどではない」という判断にあたっては、示談によって被害が回復されているかどうかが極めて重要です。そのため、起訴判断までに示談を成立させ、示談書を検察官に提出することが最優先となります。
| 【事例】飲食店での傷害事件で被害届を出されるも、示談成立で不起訴 飲食店内で口論になり、相手を殴ってしまった事案です。被害者側は当初「強盗致傷にあたる」と強く主張し、400万円の示談金を要求。被害届を出され、在宅事件として捜査が進んでいました。 弁護士は、事件の実態は傷害であり強盗致傷にはあたらないことを整理したうえで、被害者側と交渉を開始。被害者の怪我の内容や休業損害の根拠を確認しながら減額交渉を進め、最終的に210万円・宥恕文言付きで示談が成立しました。 示談書を検察官に提出した結果、不起訴処分が決定。被害者が強い処罰感情を示していた事案でも、示談によって被害が回復され処罰意思が解消されれば、不起訴を得られることがあります。 |
傷害罪で逮捕される人の割合は約5割
令和7年版犯罪白書によれば、傷害罪で逮捕される人の割合は、令和5年で約48%、令和6年で約47%です。
| 罪名 | 身柄率(令和5年) | 身柄率(令和6年) |
|---|---|---|
| 傷害罪 | 約48% | 約47% |
| 暴行罪 | 約33% | 約31% |
| 窃盗罪 | 約31% | 約30% |
(出典:法務省「令和7年版犯罪白書 第2編/第2章/第3節 被疑者の逮捕と勾留」)
身柄率とは、検察庁で処理された全被疑者のうち、逮捕されて身柄を拘束されたまま送致された被疑者(身柄事件)が占める割合のことです。つまり、傷害罪で処理された事件の約半数で被疑者が逮捕されているといえます。これは身近な犯罪の中でも、比較的高い数字です。
さらに、いったん逮捕されると、検察官が勾留を請求し、それが裁判所に認められる可能性も高くなっています。令和6年の統計では、検察庁の既済事件全体で、勾留請求率は90%台前半、勾留請求が却下される割合は4.3%(認められる割合は約96%)で推移しています。
傷害罪では、いったん逮捕されると勾留による身柄拘束まで進む可能性が高いため、できる限り早い段階で示談交渉に着手することが重要です。
傷害罪には、現行犯逮捕と後日逮捕の2つがある
傷害罪で逮捕されるパターンには、その場で逮捕される「現行犯逮捕」と、後日逮捕される「通常逮捕」の2種類があります。

その場で逮捕される(現行犯逮捕)
現行犯逮捕は、事件現場でそのまま逮捕されるケースです。居酒屋などで酒の勢いからカッとなって暴力を振るい、その場で通報されて駆けつけた警察官に連行される、というのが典型例です。
犯行が現に行われている、または行われた直後であることが明らかなため、逮捕状なしで逮捕できるのが特徴です。
傷害事件は、暴力行為が人前で起きやすく、被害者が目の前にいて通報につながりやすいため、この現行犯逮捕の割合が高くなります。
後日になって逮捕される(通常逮捕)
通常逮捕は、事件から時間が経った後に、自宅や職場へ警察が訪れて逮捕されるケースです。
その場では解決したと思っていても、後日に被害者が被害届を提出し、捜査が始まって逮捕に至ることがあります。とくに近年は、防犯カメラの普及やスマートフォンの所持率の高さから、証拠がないと思っていても身元が特定されやすくなっています。
| 逮捕事例:防犯カメラ捜査で身元が特定されて後日逮捕されたケース 2025年5月、鳥取市のビル敷地内で面識のない男性に暴行を加え、全治約1週間のけがを負わせた事件では、被害届を受けた警察が防犯カメラの確認や関係者への聞き取りを進めた結果、事件から約3週間後に加害者2人が傷害の疑いで逮捕されています。(出典:BSS山陰放送 2025/6/15(月) 15:00配信) |
傷害罪で逮捕された後の流れ
傷害罪で逮捕されると、次のような流れとなることが一般的です。

【逮捕されて48時間】警察の取り調べを経て、検察へ送致
傷害罪で逮捕されると、留置場に拘束され、警察の取り調べを受けることになります。
取り調べは、最大48時間に渡って実施され、回答した内容は「供述調書」として記録されます。取り調べが終わると、警察から検察に事件が引き継がれます。(これを「送致」といいます。)
【送致されて24時間】勾留の請求
検察に事件が引き継がれると、24時間以内に、担当の検察官によって身柄拘束を続ける必要があるか(勾留を請求する必要があるか)が判断されます。
なお、令和7年版犯罪白書によれば、傷害罪の「約92%」で勾留請求が行われ、そのうち「約94%」が認められています。
(出典:法務省「令和7年版犯罪白書 第2編/第2章/第3節 被疑者の逮捕と勾留」)
勾留が認められなかった場合(検察官が請求しなかった場合や、裁判官が却下した場合)は、被疑者は釈放されて、在宅事件として捜査が進められます。
【10日間(最長で20日間)】勾留〜勾留延長請求
勾留が認められると、検察官は原則10日間のうちに起訴するかどうかを判断します。捜査が終わらない場合は勾留延長が請求され、裁判所が認めればさらに最長10日間、合計で最長20日間の勾留となります。
この勾留期間中に、検察官が以下のいずれかの処分を決定します。
- 起訴:刑事裁判にかける
- 不起訴:刑事裁判にかけずに事件を終結させる
- 処分保留で釈放:処分を決めずにいったん釈放し、後日判断する
第1章で解説したとおり、この段階までに示談が成立していれば、不起訴や処分保留による釈放につながりやすくなります。
起訴〜刑事裁判
検察官が起訴する場合、その方法には公判請求と略式命令請求の2種類があります。
略式命令請求(略式起訴)とは、被疑者が事実を認め同意している場合に、正式な裁判を行わず、書面審理のみで罰金刑を科す手続きです。拘禁刑になることはありませんが、無罪になることもありません。裁判所が罰金額を定めた略式命令を出し、被疑者が罰金を納付して、事件が終結します。
公判請求(正式裁判)とは、法廷で証拠調べや被告人質問を経て、裁判官が判決を言い渡す手続きです。被疑者が争っていたり、拘禁刑が見込まれる場合は、この公判請求となります。起訴から判決まで数か月かかることもあります。
なお、傷害罪で起訴される場合は、その多くが略式命令請求です。令和6年の罪名別データによれば、傷害罪で起訴された人のうち、約63%が略式命令請求、約37%が公判請求となっています。
(出典:法務省「令和7年版犯罪白書 第2編/第2章/第4節 被疑事件の処理」)
傷害罪の刑の重さ(罰金・拘禁)
傷害罪の法定刑は15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。実際の量刑は、怪我の程度や前科の有無、示談の成否などによって、不起訴から実刑まで大きく異なります。
傷害罪の法定刑は「15年以下の拘禁・50万円以下の罰金」
傷害罪の法定刑は、15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。
(傷害)第二百四条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
法定刑とは、法律で定められた刑罰の範囲のことです。傷害罪の場合、もっとも軽ければ罰金1万円、もっとも重ければ拘禁15年まで幅があり、実際にどの程度の刑になるかは、怪我の程度や事件の内容によって異なります。
なお、罰金刑であっても前科はつきます。前科がつかないのは不起訴処分を得た場合のみです。
裁判例からみる傷害罪の量刑相場
では、実際にはどの程度の刑になるのか、裁判例をもとに傷害罪の量刑相場を整理した表が以下です。
| 量刑 | 具体的なケース(目安) |
|---|---|
| 不起訴(刑事処分なし) | 示談成立・宥恕あり、全治2週間以内、初犯 |
| 罰金20万〜30万円 | 全治1〜2週間程度の打撲・擦り傷、初犯 |
| 罰金40万〜50万円 | 全治2〜4週間、鼻骨骨折等を含む、前科複数や否認 |
| 拘禁6月〜1年 (執行猶予つき) | 全治2週間〜1か月、前科あり、示談不成立 |
| 拘禁1年〜1年6月 (執行猶予つき) | 全治1か月以上の骨折・手術を伴う怪我、前科あり |
| 拘禁1年6月〜3年超(実刑) | 重傷・後遺障害、前科複数、凶器使用、示談不成立 |
※裁判例から読み取れる一般的な傾向であり、個別の事情によって結果は異なります。
傷害罪の量刑には、以下のような事情が影響します。
- 怪我の程度
- 同種前科の有無
- 示談の成否
- 被害者の処罰感情
- 凶器使用の有無
- 犯行の態様 など
怪我の程度が重かったり、同種前科があったり、凶器が使用されていたりすると、拘禁刑に進みやすくなります。他方、初犯で示談が成立し、被害者が処罰を求めていなければ、不起訴や罰金にとどまりやすくなります。
傷害罪の容疑で逮捕後、傷害罪以外で処罰されるケースもある
傷害の容疑で逮捕されても、事実関係によっては傷害罪以外の罪が適用されることがあります。適用される罪によって、傷害罪より軽くなることも、重くなることもあります。
具体的には、わざとではなく不注意で怪我をさせたなら過失傷害罪(傷害罪より軽い)、暴行がもとで相手が死亡すれば傷害致死罪(重い)、そもそも怪我がなければ暴行罪(軽い)、金品奪取が絡めば事後強盗罪(重い)、といった形で罪名が変わります。
過失傷害罪(故意がない場合)
わざとではなく、不注意によって相手に怪我を負わせてしまった場合は、過失傷害罪となります。
傷害罪が成立するには、相手を傷つける意図(故意)が必要です。これに対し、ぶつかるつもりがなかったのに不注意で衝突して怪我をさせた場合などは、故意がないため傷害罪ではなく過失傷害罪となります。
過失傷害罪の法定刑は30万円以下の罰金または科料で、傷害罪より大幅に軽くなります。
(傷害)第二百四条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
傷害致死罪(しばらくして相手が死亡した場合)
暴行によって相手に怪我を負わせ、その結果として相手が死亡してしまった場合は、傷害致死罪となります。
殺すつもりはなかったものの、殴った相手が転倒して頭を打ち死亡した、暴行後しばらくして怪我が原因で亡くなった、といったケースが該当します。殺意があれば殺人罪になりますが、殺意がなく結果的に死亡した場合は傷害致死罪となります。
傷害致死罪の法定刑は3年以上の有期拘禁刑で、傷害罪より重くなります。
(傷害致死)第二百五条
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期拘禁刑に処する。
暴行罪(相手が怪我をしていなかった場合)
相手に暴力を振るったものの、怪我には至らなかった場合は、暴行罪となります。
傷害罪と暴行罪の違いは、相手が怪我をしたかどうかです。殴りかかったが当たらなかった、胸ぐらをつかんだが怪我はさせなかった、といった場合は、傷害の結果が生じていないため暴行罪となります。
暴行罪の法定刑は2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金などで、傷害罪より軽くなります。
(暴行)第二百八条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の拘禁刑若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
事後強盗罪(金品を奪う目的が絡む場合)
金品を奪う、または奪った物を取り返されないようにする目的で暴行を加え、相手を負傷させた場合は、事後強盗罪となります。
ひったくりや万引きの犯人が、抵抗されたり捕まえられそうになったりして相手を殴り、怪我をさせた、といったケースが該当します。同じ「人を怪我させた」という結果でも、その背景に金品奪取の目的があると、傷害罪ではなく事後強盗罪となるのです。
事後強盗罪の法定刑は5年以上の有期拘禁刑で、傷害罪より大幅に重くなります。
(事後強盗)第二百三十八条
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
(強盗)第二百三十六条
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期拘禁刑に処する。
【解決事例】傷害罪で示談が期待できないケースでも、逮捕後にできることはある
被害者の処罰感情が強い、連絡を一切拒否されているなど、さまざまな事情から示談が望めないケースもあるでしょう。
そうした場合でも、できる限りの被害弁償や再発防止の取り組みを尽くすことで、不起訴や早期釈放につながることがあります。
最後に、被害者が示談を拒否したものの、被害弁償と環境の調整によって釈放された当事務所の事例を紹介します。
【事件の概要】泥酔して隣人宅に侵入し、住人を殴って逮捕
依頼者は、飲食店に勤務する男性です。
事件当日、勤務先で大量に飲酒し、泥酔した状態で帰宅しましたが、自宅の鍵がなく中に入れず、隣の住戸に侵入してしまいます。その後、帰宅した住人を殴って怪我をさせたため、住居侵入と傷害の疑いで逮捕されました。
なお、依頼者と被害者はもともと知り合いというわけではありません。被害者から見ると、突然自宅に侵入して室内を荒らし、さらに暴行を加えた人物という位置づけです。
【結果】被害弁償と引っ越しで処分保留釈放
本件で被害者は、「示談金を受け取るつもりはなく、示談に応じるつもりもない」と示談を拒否していました。
そこで弁護士は、被害者が示談には応じないものの、壊された物の弁償は求めていたことに着目し、示談金ではなく損壊された物の弁償を行うことを提案します。
あわせて、依頼者が被害者の近隣に住み続けると再び接触するおそれがあるため、退去・引っ越しの手続きを進めました。さらに、依頼者が生活を立て直せるよう、勤務先と連絡を取り、復職の見込みや禁酒、身元引受などへの協力を依頼しました。
その結果、依頼者は不起訴の方向(処分保留)で釈放されています。
【この事件のポイント】
この事案では、被害者が示談金の受領を拒否していたため、示談による解決はできませんでした。しかし、被害者が求めていた物の弁償を行い、さらに引っ越しによって再発防止の姿勢を示したことで、身柄拘束を解く方向につながっています。
このように、被害者の処罰感情が強く示談が難しい事案でも、状況に応じてできる限りの被害回復と再発防止を尽くすことで、不起訴や早期釈放を目指せる可能性があるのです。
傷害罪で逮捕された方は、ぜひグラディアトル法律事務所へご相談ください。
8【Q&A】傷害罪の逮捕に関するよくある質問
Q.被害届を出されたら必ず逮捕されますか?
必ず逮捕されるわけではありません。
逮捕されるのは、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがあると判断された場合です。被害届が出されても、これらのおそれが低いと判断されれば、逮捕されずに在宅事件として捜査が進むこともあります。
Q.家族が逮捕されたらまず何をすればいいですか?
できる限り早く弁護士に依頼してください。
逮捕直後の最大72時間は、家族であっても本人と面会できず、唯一弁護士だけが本人と面会(接見)できます。弁護士が接見することで、本人に取り調べへの対応を助言でき、家族の状況を本人に伝えることもできます。
Q.逮捕されたらどの程度の期間、身柄拘束されますか?
逮捕・勾留による身柄拘束は、最長で23日間です。
逮捕後、最大72時間(送致48時間+勾留判断24時間)の身柄拘束に続き、勾留が認められると原則10日間、延長されればさらに10日間拘束されます。合計すると、逮捕から最長23日間となります。
Q.初犯でも逮捕されるケースはありますか?
初犯でも逮捕されることはあります。
逮捕の判断は、初犯かどうかではなく、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるかどうかで決まるからです。そのため、初犯であっても、現行犯逮捕されたり、被害が大きい事案で逮捕されたりすることがあります。
関連コラム:傷害罪の初犯を扱った判例6選!懲役・罰金の実刑になる可能性も解説
Q.傷害罪で逮捕されたら保釈金はどれくらいですか?
保釈金の相場は、150万円〜300万円程度です。
保釈金の額は、事件の内容や被告人の資力などを考慮して、裁判所が決定します。なお、保釈が認められるのは起訴された後であり、起訴前の勾留段階では保釈の制度はありません。
保釈金は、保釈の条件を守って裁判に出頭すれば、最終的に返還されます。
Q.弁護士費用はどのくらい必要ですか?
弁護士費用は、事件の内容や依頼する範囲によって異なりますが、概ね50万〜120万円が目安です。具体的な費用については、こちらをご覧いただくか、無料相談でお問い合わせください。
まとめ

傷害事件では、被害者との示談が成立しているかどうかが、逮捕の回避、早期の釈放、そして起訴判断に大きく影響します。
示談は早い段階で着手するほど効果が大きく、被害届が出される前であれば刑事事件化そのものを防げることもあります。逮捕後であっても、示談が成立したタイミングで釈放されるケースは決して珍しくありません。
傷害事件で逮捕や前科を回避したい方は、ぜひグラディアトル法律事務所にご相談ください。
