逮捕歴があると就職できない?採用への影響と弁護士に相談すべき理由

逮捕歴があると就職できない?採用への影響と弁護士に相談すべき理由
弁護士 若林翔
2025年09月27日更新

「逮捕歴があると就職できないのでは…」

「逮捕歴があると就職・転職にどのような影響がある?」

「逮捕歴がある人でも就職・転職を成功させる方法とは?」

逮捕歴があると就職できないのではないかと不安を抱えている方も少なくありません。特に、転職や再就職の場面では、過去の逮捕が企業に知られて採用に影響するのではないかと心配になるでしょう。

しかし実際には、逮捕歴と就職との関係は多くの方がイメージするほど単純ではありません。履歴書に記載する必要の有無や面接での対応、また一部のケースで逮捕歴が就職活動に影響しうる例外も存在します。さらに、SNSやネット記事に過去の逮捕情報が残っている場合には、採用に影響を与えるリスクも考えられます。

逮捕歴自体を消すことはできませんが、適切な対処法を身につけることで就職・転職活動へのリスクを最小限に抑えることが可能です。

本記事では、

・逮捕歴と就職の関係についての基本知識
・就職活動に影響を及ぼす可能性のあるケース
・逮捕歴がある方が就職を成功させるための方法

などを詳しく解説します。

逮捕歴があっても安心して就職活動を進められるよう、ぜひ最後までご覧ください。

そもそも「逮捕歴」とは?就職への影響の前提知識

就職活動において「逮捕歴があると不利になるのでは?」と不安を抱える方は少なくありません。ただし、逮捕歴と似た言葉である「前科」や「前歴」とは意味が異なります。まずは逮捕歴の正しい定義と、前科・前歴との違いを理解しておくことが、就職への影響を判断する上で大切です。

逮捕歴とは?

逮捕歴とは、その人が過去に警察に逮捕された事実を指します。逮捕は、捜査機関が犯罪の疑いがある人物を一時的に身柄拘束する手続きであり、必ずしも有罪判決につながるわけではありません。

たとえば、逮捕後に証拠不十分で不起訴処分となった場合や、裁判で無罪判決を受けた場合であっても、逮捕された事実自体は「逮捕歴」として残ります。つまり、逮捕歴は「犯罪を犯した」という意味ではなく、「刑事手続の中で逮捕された経験がある」という事実に過ぎないのです。

しかし、世間一般では「逮捕=犯罪歴」と誤解されやすいため、就職活動に不安を感じる方が多いのも事実です。まずは逮捕歴の位置づけを冷静に整理しておくことが重要です。

前科・前歴との違い

逮捕歴と混同されやすい言葉に「前科」や「前歴」があります。これらの違いを理解しておくと、就職活動への影響を正しく判断できるようになります。

・前科裁判で有罪判決が確定した経歴を指します。懲役刑・禁錮刑(拘禁刑)、罰金刑などを受けた場合が前科にあたり、就職や資格取得に影響を与える可能性があります。
・前歴警察による取調べや送致など、刑事手続に関わった経験を幅広く含む概念です。逮捕に至らなくても、取り調べを受けた場合なども前歴に含まれることがあります。
・逮捕歴前歴の一部であり、「実際に逮捕された事実」を意味します。有罪判決を受けていなくても存在し得る点が特徴です。

整理すると、

前科=有罪判決が確定した経歴
逮捕歴=逮捕された事実(有罪・無罪を問わない)
前歴=取調べや送致などを含む広い意味での経歴

という違いがあります。

この区別を理解しておくことが、逮捕歴が就職にどのように影響するのかを考える第一歩といえるでしょう。

【原則】逮捕歴があっても就職活動への影響はほとんどない

【原則】逮捕歴があっても就職活動への影響はほとんどない

「逮捕歴があると就職は難しいのでは?」と考える方は少なくありません。しかし実際には、逮捕歴そのものが就職活動に直接的な悪影響を与えるケースはほとんどありません。逮捕歴は「前科」と異なり、履歴書や面接で申告する義務がないからです。以下では、逮捕歴と就職活動の関係について整理します。

逮捕歴は履歴書の賞罰欄に記載する必要はない

就職活動で提出する履歴書には「賞罰欄」が設けられていることがありますが、ここに記載する必要があるのは、懲役刑・禁錮刑(拘禁刑)、罰金刑などの有罪判決を受けた経歴(全か)です。

一方で、単に逮捕されたという「逮捕歴」については記載義務がありません。なぜなら、逮捕=有罪ではないため、履歴書に記載すべき「罰」に当たらないからです。

したがって、逮捕歴があるからといって、履歴書上で不利になることはありません。

面接で逮捕歴を自己申告する義務はない

採用面接においても、原則として逮捕歴を自ら申告する必要はありません。企業側から「あなたに逮捕歴はありますか?」と聞かれること自体が極めてまれであり、答える義務もないとされています。

仮に企業側が逮捕歴を理由に不採用とした場合には、合理的な理由を欠く差別的取扱いと評価される可能性もあります。そのため、面接で過去の逮捕について自ら触れる必要は基本的にありません。

逮捕歴があることで職業・資格に制限が生じることはない

逮捕歴のみで、就職や資格取得に制限が課されることはありません。制限が生じるのは「前科」がある場合であり、特定の資格や職業に就けない場合があります(例:弁護士、公務員など)。

しかし、単なる逮捕歴は、資格制限の対象外です。したがって、原則として希望する職業や業種に応募することは可能です。

【例外】逮捕歴が就職活動に影響する可能性のある3つのケース

【例外】逮捕歴が就職活動に影響する可能性のある3つのケース

原則として逮捕歴は就職活動に大きな影響を与えません。しかし、社会的には「逮捕された」という事実だけが独り歩きしてしまい、採用選考に不利に働くこともあります。特に、近年はインターネットやSNSの普及により、逮捕歴が知られてしまうリスクが高まっています。以下では、逮捕歴が例外的に就職に影響する3つのケースを紹介します。

SNSやネットニュースで過去の逮捕歴がバレるケース

逮捕歴自体は、履歴書や面接で申告する必要がありませんが、過去に逮捕された事実がニュース記事やSNS投稿としてネット上に残っている場合、採用担当者に検索されて知られてしまうことがあります。

特に、実名で報道されていたり、SNSで実名が紐づけられていると、就職活動の際に不利に働く可能性があります。このような場合は、弁護士に依頼して記事の削除請求や検索結果の非表示措置を検討することが有効です。

採用面接で過去の逮捕歴の有無を尋ねられたケース

原則として企業が応募者に逮捕歴の有無を質問することは適切ではありませんが、実際には「過去にトラブルを起こしたことはありますか?」などの形で尋ねられる場合もあります。

このような場面で虚偽の回答をしてしまうと、後に逮捕歴が発覚した際に「経歴詐称」とみなされ、内定取消や懲戒解雇の理由になりかねません。対応に迷う場合は、事前に弁護士に相談して答え方の指針を得ておくと安心です。

逮捕歴が原因で前職を懲戒解雇になったケース

逮捕歴自体は、就職制限の対象ではありませんが、前職において逮捕を理由に懲戒解雇された場合、その事実が就職活動に影響する可能性があります。

懲戒解雇は履歴書や職務経歴書に記載義務はありませんが、雇用保険の離職票などから企業に知られてしまうことがあります。懲戒解雇歴と逮捕歴が結びつけられると、採用担当者にマイナス評価を与えてしまうケースも否定できません。

逮捕歴がある人が就職を成功させるための効果的な方法

逮捕歴があっても、多くの場合は就職活動に直接的な制限はありません。ただし、社会的な印象や過去の経緯によって不安を感じる方も多いでしょう。そこで大切なのは、逮捕歴の有無にかかわらず「信頼を取り戻す姿勢」や「具体的な行動」を示すことです。以下では、逮捕歴がある方が就職を成功させるための3つの方法を紹介します。

スキルや資格を活かして信頼を取り戻す

逮捕歴があることを不安に感じる場合でも、仕事に必要なスキルや資格を身につけることで、採用担当者に対してプラスの印象を与えることができます。

たとえば、IT関連の資格や語学資格、専門職に役立つ国家資格などは、即戦力としての評価につながります。また、過去の逮捕歴よりも「今、どのような能力を持ち、企業に貢献できるか」が重視される傾向にあるため、積極的に自己研鑽を続けることが有効です。

犯罪歴がある人を対象とした就職支援を活用する

再就職に不安を抱える方を対象に、行政やNPO団体などが就職支援を行っている場合があります。職業訓練やカウンセリング、就労先とのマッチングなど、逮捕歴を理解したうえでサポートを受けられるのが特徴です。

特に、過去の経歴に理解のある企業とつながれる機会は、通常の就職活動では得られにくいメリットです。支援団体を通じて新しいキャリアの選択肢を広げることも検討するとよいでしょう。

人脈を活用して就職先を探す

知人や友人、元同僚など、人脈を頼って就職先を探すのも効果的です。信頼できる人物からの紹介であれば、逮捕歴の有無にかかわらず、人柄や能力を理解したうえで採用してもらえる可能性が高まります。

また、紹介による採用は企業にとっても安心材料となるため、就職活動がスムーズに進むケースが少なくありません。信頼できる人に相談し、サポートを受けることで新たなチャンスをつかめる可能性があります。

逮捕歴で就職活動が不安な方が弁護士に相談するメリット

逮捕歴で就職活動が不安な方が弁護士に相談するメリット

逮捕歴そのものは履歴書や面接で申告義務がないため、原則として就職に直接的な制限はありません。しかし、ネット上の記事や面接での対応、また内定取消や解雇などのトラブルが起きた場合には、専門的な判断が必要になることがあります。そのようなときに頼りになるのが弁護士です。以下では、逮捕歴がある方が弁護士に相談するメリットを3つ紹介します。

逮捕歴による就職への影響と対処法をアドバイスしてもらえる

弁護士に相談する最大のメリットは、逮捕歴が就職活動にどの程度影響するのかを正確に判断してもらえる点です。

法律上、逮捕歴は履歴書に記載する義務がなく、面接で自己申告する必要もありません。しかし実際には、採用面接で不意に質問を受けたり、ネットに情報が残っていたりするケースがあります。

弁護士はこれらの状況を想定し、どのように対応すればよいか具体的なアドバイスを行います。さらに、採用担当者に誤解を与えないための答え方や、リスクを避けるための事前準備についても支援が可能です。

逮捕歴を理由とする内定取り消しや解雇を争える

仮に企業が「逮捕歴がある」という理由だけで内定を取り消したり、勤務中に解雇を言い渡した場合、それが常に適法とは限りません。労働契約法や判例上、合理的な理由のない内定取消や解雇は無効とされる可能性があり、泣き寝入りする必要はありません。

弁護士に相談すれば、会社との交渉や労働審判、裁判に至るまで幅広く対応してもらえます。特に、逮捕歴は、前科とは異なり法的な制限に直結するものではないため、「単に逮捕されたこと」を理由とした処分は不当と評価されやすいでしょう。

専門家にサポートを依頼すれば、自身の権利を守り、就職活動のチャンスを失わずに済む可能性が高まります。

ネット記事や検索結果の削除手続きのサポートができる

逮捕歴がニュース記事やSNSに残っていると、就職活動において大きな足かせになります。特に、インターネット検索で名前を調べられた際に逮捕情報が表示されれば、採用担当者に偏見を持たれる可能性が高いでしょう。

このような場合、弁護士は、記事の削除請求や検索結果の非表示措置を代理で行うことができます。GoogleやYahoo!などの検索事業者に対する申立てには専門的な知識が必要であり、個人で進めるのは困難です。弁護士に依頼することで、削除の可能性を高めるとともに、就職活動における心理的負担を軽減できます。早期に対応することで将来的な不利益を回避できる点も大きなメリットです。

逮捕歴があることで就職が不安な方はグラディアトル法律事務所に相談を

逮捕歴があることで就職が不安な方はグラディアトル法律事務所に相談を

逮捕歴があると、「もう正社員としては働けないのではないか」「面接で不利になるのではないか」と将来に不安を感じる方も少なくありません。

逮捕歴は、前科とは異なり、原則として就職活動に直接的な制限を及ぼすものではありませんが、具体的な状況によっては例外的に逮捕歴が就職に影響を及ぼすケースも存在します。

グラディアトル法律事務所では、逮捕歴が就職に与える影響についての正しい法的知識を提供し、面接対応や採用トラブルに対する具体的なアドバイスを行っています。さらに、万が一内定取り消しや不当解雇といった不利益を受けた場合には、法的手続きを通じて適切に権利を守ることが可能です。また、ネットニュースや検索結果に逮捕歴が掲載されている場合には、削除請求や検索非表示手続きのサポートも行い、将来的なキャリア形成に支障が出ないよう全力で対応します。

逮捕歴があるからといって、就職を諦める必要は決してありません。不安を一人で抱え込まず、まずは弁護士に相談してください。グラディアトル法律事務所は、刑事事件や労働問題に精通しており、就職に関するご相談にも真摯に対応いたします。あなたが安心して新たな一歩を踏み出せるよう、専門家として全力でサポートいたします。

まとめ

逮捕歴は、前科とは異なり、原則として就職活動に大きな制限を与えるものではありません。履歴書に記載する義務もなく、資格や職業に直接影響することもありません。ただし、ネット記事やSNSで逮捕歴が知られてしまう場合や、前職で懲戒解雇となった場合などは、例外的に就職に不利に働く可能性があります。

そのような不安を抱えている方は、弁護士に相談することで安心して就職活動に臨むことができます。グラディアトル法律事務所では、逮捕歴が就職に与える影響の整理から、内定取消・解雇トラブルへの対応、ネット記事削除のサポートまで幅広く対応しています。

逮捕歴があるからといって就職を諦める必要はありません。まずは当事務所にご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力。数多くの夜のトラブルを解決に導いてきた経験から初の著書「歌舞伎町弁護士」を小学館より出版。 youtubeやTiktokなどでもトラブルに関する解説動画を配信している。

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