「勾留請求を却下してもらえる可能性はどれくらい?」
「却下させるには何をすればいい?今からでも間に合う?」
ご家族が逮捕され、こうした不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
逮捕後、72時間以内に釈放されるか、それとも最大20日間拘束されるかは、勾留請求が却下されるかで決まります。
残念ながら勾留請求の却下率は3.8%と決して高いとはいえませんが、これには「弁護人が間に合っていない」という点も大いに影響しています。
逮捕後、すぐに私選弁護人を選任して適切な弁護活動を行えば、勾留を防げる可能性は決して低くありません。
この記事では、勾留請求却下について以下の点を分かりやすく解説します。
・ 勾留請求が却下される要件
・ 勾留請求の却下率が低い理由と、諦めてはいけない理由
・ 勾留請求却下に向けてできること
・ 勾留決定がされたときの3つの対抗手段
ぜひこの記事で正しい知識を身につけ、ご家族の早期釈放に向けた最善の一歩を踏み出してください。
目次
勾留請求却下とは

「勾留請求却下」とは、検察官が行った「勾留請求」に対して、裁判官が「認めない」と判断することです。
勾留請求が却下されると、逮捕後、72時間以上の身柄拘束は認められません。そのまま自宅に戻れるため、逮捕による学校・仕事などへの影響を最小限に抑えることができます。
逆に、もし勾留請求が認められると、原則として10日間、延長されると20日間もの間、警察署に身柄を拘束(勾留)されてしまいます。この間、自宅に戻れないのはもちろん、会社や学校にいくこともできません。
したがって、勾留請求を却下に持ち込めるか、あるいはそのまま認められてしまうかというのが逮捕後、最初の分岐点となります。
勾留請求が却下される要件(勾留要件)
勾留請求が却下されるのは、以下3つの勾留要件のうち、どれか一つでも満たしていない場合です。
■勾留要件
・ 勾留請求の手続きが適法であること
・ 勾留する理由があること
・ 勾留の必要性があること
上記の要件につき、裁判官が被疑者に対して「勾留質問」を行い本人の言い分を聞いた上で、検察官の提出した勾留請求書や資料とともに判断する、というのが勾留請求の基本的な流れです。
以下、それぞれの勾留要件について見ていきます。
勾留請求手続きの適法性
まず必要とされるのが、勾留請求手続きの適法性です。
簡単にいえば、「勾留請求をするまでの手続きに違法な点がなかったか」という点です。
ここで問題となる「違法」とは、たとえば「勾留請求までの時間が48時間を超えていた」、あるいは「現行犯逮捕の要件を満たしていないのに現行犯逮捕した」といったケースが挙げられます。
勾留請求までの流れで上記のような違法が見つかれば、勾留請求も不適法なものとして却下されます。
勾留の理由
次に必要なのが、勾留する理由があるかという点です。
「勾留する理由がある」とは、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があって、刑事訴訟法第60条第1項の事由のうち、どれか1つでも該当する場合を指します。
第六十条 裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。一 被告人が定まつた住居を有しないとき。
二 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
このうち、「罪を疑うに足りる相当な理由」は逮捕要件としても必要ですが、勾留の段階では、逮捕よりも高い程度の嫌疑が必要とされています。
勾留の必要性
最後に、勾留の必要性があるかという点です。
「勾留の必要性」とは、事案の軽重、被疑者の年齢や性格、その他の事情などから、判断される勾留の相当性を指します。
その他、「罪証隠滅の現実的可能性の程度」も、勾留の必要性判断に影響します。
(最判平成26年11月17日)
勾留請求が却下される確率は4%?
犯罪白書によれば、勾留請求の却下率は、ここ数年4%前後で推移しています。
一時期は上昇傾向にありましたが、最近は横ばいとなっており決して高いとはいえません。
■令和6年の勾留請求却下率
| 勾留請求 | 認容 | 却下 | 却下率 | |
|---|---|---|---|---|
| 総数 | 92,972 | 89,424 | 3,548 | 3.8% |
(出典:「令和6年版 犯罪白書 第2編/第2章/第3節」(法務省)を加工して作成)
ただ、この「4%」という数字をきいて、勾留請求却下を諦める必要もありません。
この低い却下率には、勾留請求のタイミングで弁護人が選任されていない事件が多いことも影響しているからです。
逮捕後の流れと弁護人の選任についてまとめた以下の図をご覧ください。

刑事事件では、国が費用を負担する「国選弁護人」と、自分で依頼する「私選弁護人」のいずれかが弁護人として選任されます。そして、ここで留意したいのが、「国選弁護人は勾留の決定後にしか選任されない」という点です。
つまり、私選弁護人がついていない事件では、勾留請求却下に向けた弁護活動がほとんどできていない、ということになります。
弁護士が意見書を提出したり、裁判官と面談したりする時間がないまま勾留質問が行われ、その結果として高い確率で勾留請求が認められている、というのも高い勾留認容率の背景として考えられるのです。
したがって、勾留請求却下を目指すなら、逮捕後すぐに私選弁護人を選任して、勾留請求却下に向けて働きかけていくことが重要です。
勾留請求却下のためにできる弁護活動
ここからは、勾留請求却下のために弁護人がどういった弁護活動をしていくのかを説明します。

勾留要件を満たさないことを裏付ける資料の収集
まず行うのは、「逃亡のおそれ」と「証拠隠滅のおそれ」がないことを裏付けるための資料の収集です。
たとえば、以下のような資料が考えられます。
・ ご家族などが作成した「身元引受書」
・ 本人の反省の意思を示す「反省文」や「誓約書」 など
このうち、特に「示談書・嘆願書」は勾留判断だけではなく、後の起訴・不起訴の判断や量刑にも大いに影響します。そのため、このタイミングで弁護士から被害者に接触して、交渉を打診していく場合も多いです。
説得力のある意見書の作成
資料を収集するとともに、なぜ勾留が必要ないのかを説明した「意見書」も作成して、裁判官に提出します。
たとえば、「被疑者には定職と監督者である家族がおり、逃亡のおそれは極めて低い」、「すでに示談が成立しているため、これ以上証拠を隠滅する動機がない」といった点を記載して、勾留の理由・必要性がないことを訴えていきます。
裁判官との面談
事件によっては、弁護人から裁判官に対して、面談を申し入れるケースもあります。
面談の目的は、書面だけでは伝えきれない被疑者の人柄や、どれだけ深く反省しているかといったニュアンスを裁判官に伝えることです。
書面では表現しきれない被疑者の状況や、家族の思い、今後の生活(会社や学校など)への影響などを弁護人から直接説明して、勾留却下に向けて働きかけていくのです。
被疑者本人がどれほど反省しているか、家族がどのように監督する体制を整えているかなど、人間的な側面も含めて丁寧に説明していきます。
勾留請求が却下されたらすぐに釈放されるわけではない
裁判官が勾留請求を却下する決定を下したとしても、すぐに釈放されるとは限りません。
却下請求が却下されても、その却下決定に対して、検察官から不服申し立てがされる場合があるからです。
これを「準抗告」といい、検察官が準抗告を申し立てると、釈放手続きが停止されます。
つまり、勾留請求の却下決定が出ても、準抗告に対する判断が出るまでは、一時的に警察署の留置場で待機することになるのです。
ただし、準抗告の判断は基本的には当日中に出されます。長くても1日程度で結論が出るため、2日以上待たされるようなことはありません。
準抗告が棄却されれば、当初の却下決定が確定し、被疑者は釈放されます。逆に、準抗告が認められれば、却下決定が取り消され、勾留されることになります。
勾留請求が却下されなかったときはどうする?
もしも勾留請求が却下されず、勾留が決定されてしまった場合でも、諦める必要はありません。6章では、勾留決定に対する不服申立ての方法を3つ紹介します。

勾留決定に対する準抗告をする
「準抗告」とは、勾留を決定した裁判官の判断そのものが不当であるとして、その取り消しを求める手続きです。
検察官が、「勾留却下決定」に対して準抗告できるのと同じように、弁護人も「勾留決定」に対して準抗告ができます。
準抗告が申し立てられると、勾留を決定した裁判官とは別の裁判官が改めて審理し、勾留が妥当であったかを判断します。ここで主張が認められれば、勾留決定が取り消され、釈放されることになります。
勾留の取消請求をする
「勾留の取消請求」とは、勾留が決定された後に事情が変化し、勾留を続ける理由や必要性がなくなった場合に、勾留の取り消しを求める手続きです。
「勾留決定時の判断」を争う準抗告とは異なり、「勾留後の事情の変化」を理由に、身柄釈放を求めていきます。
たとえば、勾留後に被害者との示談が成立した場合などは、勾留取消請求によって身柄解放を求めていくケースが多いです。
示談成立を新たな事情として主張することで、裁判官に「証拠隠滅のおそれがなくなった(勾留の理由が消滅した)」と判断してもらえる可能性があるからです。
なお、勾留取消請求が却下された場合、その「勾留取消請求の却下決定」に対しても、前述した準抗告によって、不服申立てをすることができます。
勾留執行停止の申立をする
「勾留執行停止の申立」は、やむを得ない事情がある場合に、一時的に勾留の執行を停止してもらう手続きです。
あくまで一時的な解放を求めるものなので、指定された期間が終われば、再び留置施設に戻らなければなりませんが、認められると一時的に身柄が解放されて帰宅できます。
条文上、具体的にどういった場合が対象となるかは決まっておらず、裁判所が「適当と認めるとき」にその職権で判断します。
第九十五条 裁判所は、適当と認めるときは、決定で、勾留されている被告人を親族、保護団体その他の者に委託し、又は被告人の住居を制限して、勾留の執行を停止することができる。この場合においては、適当と認める条件を付することができる。
たとえば、拘置所では対応できない手術を受ける必要がある場合や、近親者の葬儀に参列する場合などに勾留執行停止の申立が認められるケースがあります。
なお、勾留執行停止にあたっては、必ず「被疑者の身柄を親族に委託する」、あるいは「住居を制限する」といった条件が付されます。事件によっては、勾留執行停止期間中、常に弁護人が付き添うことが条件となる場合もあります。
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本記事で説明したとおり、勾留請求を却下してもらうためには、逮捕後72時間という極めて限られた時間の中で、勾留の要件を満たさないことを的確に主張・立証するなど、高度な刑事弁護の技術とスピードが不可欠です。
グラディアトル法律事務所の弁護士は数多くの刑事事件を取り扱っており、勾留請求の却下や早期の身柄解放、不起訴処分の獲得など、豊富な解決実績を有しています。
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まとめ
最後に、記事のポイントをまとめます。
◉勾留請求却下とは
・ 検察官の勾留請求を裁判官が認めないこと
・ 却下されれば逮捕から72時間以内に釈放
・ 勾留されると原則10日間、延長で最大20日間の身柄拘束
◉勾留の要件は以下のとおり
① 勾留請求手続きの適法性
② 勾留の理由があるか(住居不定・証拠隠滅のおそれ・逃亡のおそれなど)
③ 勾留の必要性があるか
※どれか一つでも満たしていなければ却下される
◉勾留請求の却下率について
・ 勾留請求の却下率は約3.8%と決して高くない
・ ただし、国選弁護人は勾留決定後にしか選任されないため、多くの事件で弁護活動が間に合っていない
・ 私選弁護人を選任すれば、早期に勾留請求却下に向けて働きかけてくれる
◉勾留請求却下に向けた弁護活動は以下のとおり
・ 身元引受書、示談書、反省文などの資料を収集する
・ 説得力のある意見書の作成して、裁判官に提出する
・ 裁判官と面談して、勾留の理由・必要性がないことを訴えていく など
◉勾留決定後に身柄解放を求める方法
・準抗告:勾留決定の取り消しを求める
・勾留取消請求:事情変更による取り消しを求める
・勾留執行停止:一時的な釈放を求める
以上です。
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