「無免許運転で捕まってしまった…どんな罰則を受けるのだろう」
「初犯なら罰金で済むのか」
無免許運転は重大な交通違反であり、刑事処分・行政処分ともに厳しい規定が設けられています。
しかし、初犯と再犯では処分内容が異なるので、その違いを正しく理解したうえで、今後の対策を検討することが重要です。
本記事では、無免許運転の初犯に対する罰則を詳しく解説します。
刑事処分の量刑相場や免許取消後の欠格期間についても記載しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
無免許運転の罰則
無免許運転で検挙された場合は、刑事処分・行政処分を受ける可能性があります。
それぞれの処分内容について詳しくみていきましょう。
刑事処分|3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
無免許運転の刑事処分は「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」です。
道路交通法違反にはさまざまな種類がありますが、そのなかでも無免許運転の処分内容は重く規定されています。
状況次第では拘禁刑となり、刑務所に収容される可能性もゼロではありません。
とはいえ、不起訴処分を獲得したり、罰金刑にとどめたりできる可能性も十分あるので、しかるべき対処を迅速に講じることが重要です。
行政処分|違反点数25点
無免許運転に対する行政処分は「違反点数25点」です。
道路交通法違反のなかでも、酒酔い運転や麻薬等運転に次いで、3番目に高い違反点数が規定されています。
違反点数25点が加算されると、一発で免許取消です。
そして、最低2年間の「欠格期間」が適用され、免許の再取得が禁止されます。
欠格期間の長さは過去の処分歴や累積点数に応じて変動しますが、いずれにせよ、しばらくは運転できない状況が続くので、日常生活にはさまざまな支障が生じることになるでしょう。
無免許運転の初犯に対する処分内容
次に、無免許運転の初犯に対する処分内容を解説します。
刑事処分|20万円程度の罰金刑になることが多い
無免許運転の初犯に対する刑事処分は、20万円程度の罰金刑になるケースが一般的です。
無免許運転は重大な交通違反であるものの、初犯の場合は悪質性が低いと判断される傾向にあります。
そのため、比較的軽い処分として罰金刑が選択されやすく、いきなり拘禁刑になるような事態は基本的に想定されません。
多くの場合は、略式起訴により正式な裁判が省略され、書面審理のみで罰金刑が確定します。
行政処分|原則として欠格期間2年の免許取消になる
無免許運転の初犯に対する行政処分は、原則として欠格期間2年の免許取消になります。
無免許運転では違反点数25点が加算されるため、一発で免許取消です。
そして、過去3年間の処分歴・累積点数に応じて、以下のように欠格期間が適用されます。
過去3年以内の免許停止・取消処分回数 | 欠格期間 | ||||
1年(3年) | 2年(4年) | 3年(5年) | 4年(5年) | 5年 | |
前歴なし | 15~24点 | 25~34点 | 35~39点 | 40~44点 | 45点以上 |
1回 | 10~19点 | 20~29点 | 30~34点 | 35~39点 | 40点以上 |
2回 | 5~14点 | 15~24点 | 25~29点 | 30~34点 | 35点以上 |
3回 | 4~9点 | 10~19点 | 20~24点 | 25~29点 | 30点以上 |
※免許の取消処分を受けた者が欠格期間中またはこれに引き続く5年以内に、一般違反行為で取消等の対象となった際は( )内に延長
無免許運転の初犯で、ほかの違反行為も一切したことがない場合は「前歴なしの25点」となり、2年間の欠格期間が適用されます。
一方で、過去に複数の交通違反を犯していたり、無免許運転と同時にほかの違反行為が発覚したりした場合は、3年以上欠格期間が適用される可能性もあるというわけです。
無免許運転の初犯でも刑事処分が重くなりやすいケース
次に、無免許運転の初犯でも刑事処分が重くなりやすいケースを4つ紹介します。
自分自身が置かれている状況と合致する部分がないか、チェックしてみてください。
交通事故を起こした場合
無免許運転で交通事故を起こした場合は、初犯であっても厳しい刑事処分を受ける可能性が高いといえるでしょう。
無免許運転での人身事故は、通常の事故よりも刑罰が重くなります。
たとえば、通常の人身事故で過失運転致死傷の罪に問われた場合、刑罰は「7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」です。
一方、無免許運転をともなう人身事故では、刑罰が「10年以下の拘禁刑」に加重されます。
なお、罰金刑の規定がない場合は起訴されると必ず公開の法廷で審理されるので、刑罰が下されるまでの負担が大きくなる点にも注意が必要です。
ほかの違反行為も絡んでいる場合
無免許運転の初犯であっても、ほかの違反行為が絡む場合は刑事処分が重くなることがあります。
たとえば、無免許運転と酒酔い運転が同時に発覚したケースを考えてみましょう。
酒酔い運転の刑罰は「5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」、無免許運転の刑罰は「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」ですが、同時に複数の罪に触れる場合は最も重い刑罰が選ばれます。
つまり、無免許運転+酒酔い運転では、「5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」に処される可能性が出てくるのです。
状況次第では、初犯であっても実刑になることを覚悟しなければなりません。
常習的に無免許運転をしていた場合
常習的に無免許運転をしていた場合も、刑事処分が重くなる傾向にあります。
常習性は、再犯リスクに直結するものです。
そのため、再犯を防止し、交通の安全を確保を確保するためにも、裁判所は厳しい処分を下しやすくなります。
初犯であっても、罰金では済まされない可能性も出てくるでしょう。
反省の態度がみられない場合
無免許運転の初犯であっても、本人に反省の態度が見られない場合は刑事処分が重くなります。
反省の態度が見られない人物は、同様の違反を繰り返す危険性が高いと判断されるためです。
たとえば、無免許運転が事実であるにも関わらず言い訳ばかりしていたり、再犯防止に努めようとしなかったりすると起訴され、拘禁刑に科される可能性が出てきます。
少しでも刑事処分を軽くしたいのであれば、素直に罪を認め、反省の意思を示すことが重要です。
無免許運転の初犯に関してよくある質問
最後に、無免許運転の初犯に関してよくある質問に回答します。
無免許運転の初犯でも逮捕されることはある?
無免許運転の初犯でも逮捕されることはあります。
逮捕されるかどうかの判断に関して、初犯であることは大きく影響しません。
ただし、無免許運転だけで重大な違反行為がともなっていなければ、逮捕される可能性は低いです。
基本的には、在宅のまま捜査が進められます。
高校生(未成年)の初犯なら処分は軽い?
高校生(未成年)が無免許運転をした場合、刑事処分を受ける可能性は低いと考えられます。
未成年には少年法が適用され、教育的指導や社会復帰を目指す対応が優先されるからです。
基本的には、家庭裁判所で少年審判を受け、不処分や保護観察処分が下されることになるでしょう。
しかし、悪質性が高い場合は少年院送致になったり、検察送致後に刑事裁判で厳しい処分を受けたりする可能性もあります。
無免許運転幇助の初犯はどうなる?
無免許運転と知りつつ車両を提供した場合や同乗した場合は、以下のような処分を受ける可能性があります。
- ・車両提供:3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
- ・同乗:2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
いずれも拘禁刑が規定されていますが、初犯であれば20万円程度の罰金刑になる可能性が高いです。
とはいえ、重い刑事処分が下されるリスクはゼロでなく、免許取消(最低2年の欠格期間)の行政処分も受けることになるので、決して甘くみてはいけません。
無免許運転の初犯なら前科はつかない?
無免許運転の初犯でも、起訴されて有罪になると前科がつきます。
仮に略式命令で罰金刑になったとしても、前科がつくことには変わりありません。
前科がつくと、職業・資格の制限を受けたり、就職活動で不利になったりと、社会生活にさまざまな不利益が生じます。
罰金を支払うよりも、前科がつくことのほうが影響は大きいといっても過言ではないでしょう。
そのため、無免許運転で検挙された場合は、まず不起訴処分の獲得を目指し、前科を回避することが大切です。
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本記事のポイントは以下のとおりです。
- ◆ 無免許運転の初犯に対する刑事処分は「20万円程度の罰金」が一般的
- ◆ 無免許運転の行政処分は「違反点数25点」で免許取消かつ欠格期間が設けられる
- ◆ ほかの交通違反が絡んだり、常習性がある場合は初犯でも処分が重くなりやすい
- ◆ 無免許運転幇助の初犯も罰金刑の可能性が高い
無免許運転は大きな事故につながりかねない、悪質な違反行為です。
刑事処分・行政処分ともに厳しい規定が設けられているため、初犯だからといって油断してはいけません。
その後の生活への影響を少しでも抑えたいのであれば、弁護士とも相談しながら、適切に対応していくことが重要です。
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