「無免許運転の同乗者はどのような罰則を受けるのか」
「同乗の罪で検挙された場合でも免許取消になってしまうのか」
無免許運転に関しては、自分自身が運転していなくても、同乗するだけで罪に問われる可能性があります。
刑事罰だけでなく、行政罰も規定されており、決して簡単に済まされる問題ではありません。
実際に無免許運転の車に同乗してしまい、今後どのような事態が待ち受けているのか、不安に感じている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、無免許運転の同乗者に対する罰則について解説します。
罰金相場や免許取消の可能性なども詳しくまとめているので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
目次
無免許運転だと知っていた同乗者に対する罰則
無免許運転の同乗者は、刑事罰と行政罰を受ける可能性があります。
各罰則の内容を詳しくみていきましょう。
刑事罰|2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
無免許運転の同乗者に対する刑事罰は「2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」です。
運転者が無免許だと知りながら同乗する行為は、無免許運転の同乗罪に該当し、厳しい刑事罰を受けます。
ただし、刑事罰を受けるのは、起訴されて有罪になった場合だけです。
警察や検察の取調べを受けた結果、不起訴処分が下されたときは刑事罰を受けることもなくなります。
行政罰|免許取消・欠格期間2年
無免許運転だと知っていた同乗者に対する行政罰は、原則として免許取消です。
さらに、最低でも2年間の欠格期間が設けられます。
欠格期間とは、免許の再取得を禁止される期間のことです。
欠格期間の年数は、過去3年間の処分歴・累積違反点数に応じて変動します。
つまり、過去に処分歴がある場合は、欠格期間が3年以上になるケースもあるということです。
なお、刑事罰とは異なり、行政罰を回避することは基本的にできません。
しばらくは車を運転できなくなるので、日常生活にも大きな支障が生じることになるでしょう。
無免許運転だと知らなかった同乗者は原則として罪に問われない
無免許運転だと知らなかった同乗者は、原則として罪に問われることはありません。
無免許運転の同乗罪は、故意がなければ成立しないためです。
たとえば、普段からよく一緒にドライブする友人が数日前に免許取消になったにも関わらず、運転していたとしましょう。
このとき、免許取消になっていることを疑う余地もなく、免許があると当然に信じて同乗していたのであれば、罰則を受ける可能性は低いです。
しかし、故意がなかったことを証明するのは難しいケースも多いので、まずは弁護士に相談してアドバイスを受けるようにしてください。
無免許運転の同乗者として検挙されたあとの流れ
次に、無免許運転の同乗者として検挙されたあとの流れを解説します。
警察・検察による取調べ
無免許運転の同乗者として検挙されたあとは、警察や検察による取調べを受けなければなりません。
違反行為が無免許運転だけなら逮捕される可能性は低いので、基本的には在宅のまま、呼び出しに応じる形で捜査に協力していくことになります。
取調べでは、運転者が無免許であることを知っていたかどうか、どの程度関与していたかなど、細かく質問されます。
取調べの内容は供述調書にまとめられ、その後の処分に大きく関わってくるので、しっかりと準備したうえで臨むようにしてください。
仮に逮捕された場合は、最大23日間にわたる身柄拘束を受けながら、取調べに応じる可能性があります。
起訴(略式起訴)または不起訴の判断
検察官による取調べを終えると、最終的に起訴または不起訴の判断がおこなわれます。
判断基準は、犯行の悪質性や関与度合い、反省の程度などさまざまです。
ここで不起訴処分になれば、刑事事件としての捜査は終了し、今後罪に問われることもありません。
一方、起訴されると裁判に移行し、裁判官による判決を受けることになります。
ただし、無免許運転の同乗罪に関しては、略式起訴になるケースが一般的です。
正式な裁判は省略され、書面審理のみで罰金刑が確定します。
なお、不起訴になったとしても、行政処分を回避できるわけではない点に注意してください。
裁判
無免許運転の同乗者として正式起訴されると、裁判に移行します。
裁判では検察と弁護人が証拠を提出し合ったり、お互いの意見をぶつけたりするケースが一般的です。
とはいえ、被告人が全面的に罪を認めている場合は、淡々と審理が進み、短期間での終結が見込まれます。
そして、最終的に裁判官が有罪・無罪を判断し、有罪とする場合には「2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」の範囲で具体的な刑罰の内容を言い渡します。
ただし、上述したように無免許運転の同乗罪に関しては、略式起訴となるケースがほとんどです。
法廷での裁判がおこわれることはなく、書面審理を経て、罰金の納付通知が送付されます。
公安委員会による意見聴取
無免許運転の同乗者は、裁判とは別に、公安委員会による意見聴取を受けることになります。
意見聴取とは、免許取消などの重い行政処分を決定する前に、その処分の妥当性を慎重に判断するためのものです。
公安委員会が処分対象者と対面し、反省の意思や処分に関する意見などを詳しく聞き取ります。
意見聴取での発言によって処分が軽くなることはまれですが、可能性としてはゼロではありません。
意見聴取は処分軽減に向けた最後の機会なので、弁護士に動向してもらうことをおすすめします。
無免許運転の同乗者に関してよくある質問
最後に、無免許運転の同乗者に関してよくある質問に回答します。
初犯の量刑相場は?
無免許運転の同乗罪の初犯は、略式起訴により20万円程度の罰金刑になることが多いです。
「2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」が規定されているものの、初犯であれば比較的軽い罰金刑が選択される傾向にあります。
いきなり刑務所に収容されるようなことは、基本的に考えられません。
ただし、罰金刑でも前科はつくほか、再犯やほかの違反行為が絡む場合には、より重い処分が科されます。
また、行政処分として免許取消となり、最低2年間の欠格期間が付される点にも注意が必要です。
無免許運転の同乗者も逮捕されることはある?
無免許運転の同乗罪だけで逮捕される可能性は低いといえます。
同乗する行為自体は刑事罰の対象となるものの、逮捕されるのは悪質なケースやほかの違反・事故などが絡む場合がほとんどです。
素直に罪を認めていれば、在宅のまま捜査が進められることになるでしょう。
無免許運転に関与したときはグラディアトル法律事務所に相談を!
本記事のポイントは以下のとおりです。
- ◆ 無免許運転だと知っていた同乗者には刑事罰と行政罰が科される
- ◆ 刑事罰は「2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」、行政罰は「免許取消・最低2年の欠格期間」
- ◆ 無免許運転だと知らなかった同乗者は原則として罪に問われない
- ◆ 同乗者として検挙されたあとは、取調べ・起訴または不起訴・裁判・公安委員会による意見聴取の流れとなる
- ◆ 初犯の場合は20万円程度の罰金刑が多い
無免許運転に関しては、たとえ自分が運転していなくても、同乗しただけで重い罰を受ける可能性があります。
初犯であれば罰金刑で済むことが多いものの、数十万円の金銭的負担が生じ、前科もつくので、その後の生活に及ぼす影響は決して小さくありません。
そのため、無免許運転の同乗罪で検挙された場合は、一刻も早く弁護士に相談してください。
経験豊富な弁護士であれば、不起訴処分や減刑の獲得に向けて、的確にサポートしてくれるはずです。
グラディアトル法律事務所では、24時間365日体制で相談を受け付けています。
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