「覚醒剤の使用で捕まると刑務所に入らなければならないのか…」
「初犯であれば刑期を短くしてもらえるのか…」
覚醒剤の所持や使用は覚醒剤取締法違反にあたり、重い刑罰が規定されています。
そのため、覚醒剤の所持・使用がバレた際には、懲役刑に処されるのではないかと大きな不安を抱えることになるでしょう。
実際、覚醒剤取締法に違反した場合は、懲役の実刑になる可能性も十分あります。
そのため、少しでも不起訴や減刑の可能性を高めたいのであれば、一刻も早く弁護士に相談することが大切です。
本記事では、覚醒剤取締法に違反した場合の刑罰や実刑の可能性について詳しく解説します。
初犯の量刑相場や実刑を回避するためのポイントなどもわかりやすくまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
覚醒剤取締法に違反した場合の刑罰
まずはじめに、覚醒剤取締法に違反した場合の刑罰について解説します。
覚醒剤の使用|10年以下の懲役
覚醒剤の使用で覚醒剤取締法に違反した場合の刑罰は「10年以下の懲役」です。
罰金刑の規定がないので、起訴されて有罪になると必ず懲役刑に処されてしまいます。
とはいえ、実際の量刑は前科前歴の有無や反省の態度などによって変動するものです。
さまざまな事情が考慮されて、刑期が3年以下になれば、執行猶予を獲得できる可能性も残されています。
覚醒剤の所持・譲渡・譲受|10年以下の懲役
覚醒剤を所持・譲渡・譲受した場合の刑罰は「10年以下の懲役」です。
覚醒剤の所持・譲渡・譲受は社会全体に深刻な影響を与える可能性があるため、個人で使用するケースと同様に法律で厳しく罰せられます。
ただし、営利目的で所持・譲渡・譲受をおこなった場合は「1年以上の有期懲役」です。
有期懲役は1ヵ月以上20年以下の範囲で刑期が決められるので、言い換えれば、「1年以上20年以下の懲役」に処される可能性があるということです。
情状により、500万円以下の罰金が併科されることもあります。
覚醒剤の輸出入・製造|1年以上の有期懲役
覚醒剤の輸出入・製造で覚醒剤取締法に違反した場合、非営利目的であれば「1年以上の有期懲役」に処せられます。
一方、営利目的だった場合の刑罰はさらに重く、「無期または3年以上の懲役刑」です。
情状により、1,000万円以下の罰金が併科されることもあります。
なお、覚醒剤を密輸した場合は、関税法違反として「10年以下の懲役もしくは3,000万円以下の罰金または併科」に処される可能性も出てくるでしょう。
覚醒剤取締法違反は懲役何年になる?初犯の量刑相場は?
令和4年における覚醒剤取締法違反の刑期は以下のとおりです。
(参考:令和5年版犯罪白書|法務省)
最も割合が多いのは、懲役1~2年の執行猶予付き判決で、全体の約25%を占めています。
ケースバイケースですが、非営利目的の覚せい剤使用で初犯なら、同程度の刑期になることが予想されます。
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覚醒剤取締法違反で懲役の実刑になりやすいケース
次に、覚醒剤取締法違反で懲役の実刑になりやすいケースを4つ紹介します。
2回目以降の再犯の場合
覚醒剤取締法違反により、2回目以降の再犯で検挙された場合は懲役の実刑になる可能性が高くなります。
再犯者は覚せい剤使用を繰り返す可能性が高く、抑止力を持たせるためにも、裁判所が厳しい判決を言い渡す傾向にあるのです。
なお、懲役刑の執行が終わった日や執行猶予が終了した日から5年以内の再犯には「再犯加重」が適用され、懲役刑の上限が2倍になります。
また、執行猶予中の再犯は、ほぼ確実に実刑となるので注意が必要です。
営利目的の場合
営利目的の覚醒剤取締法違反で検挙された場合も、懲役の実刑になりやすいと考えられます。
営利目的の事案は、社会的危険性が高いと判断されるためです。
実際、覚醒剤取締法違反の刑罰も営利目的のほうが重く規定されています。
たとえば、覚醒剤の輸入は原則「1年以上の有期懲役(上限20年)」ですが、営利目的になると無期懲役になる可能性もあるのです。
なお、営利目的の覚醒剤取締法違反では、収益や組織内での役割なども量刑に影響してきます。
覚醒剤の所持量が多い場合
覚醒剤取締法違反で懲役の実刑になりやすいケースのひとつが、覚醒剤の所持量が多い場合です。
覚醒剤を大量に所持していると常習性を疑われ、厳しい処罰が下されます。
たとえば、自己使用目的での少量所持であれば執行猶予がつきやすいですが、大量所持の場合は初犯でも実刑になることは珍しくありません。
一律に線引きできるものではありませんが、覚醒剤の使用量は1回あたり0.01~0.03gとされているので、1グラム所持しているだけでも相当回数使用することを想定しているものと捉えられます。
反省の態度がみられない場合
更生の余地がみられない場合も、覚醒剤取締法違反で懲役の実刑になる可能性が高くなるでしょう。
裁判官は量刑を検討する際に、更生の余地があるかどうかを重要な要素として考慮するためです。
言い訳を繰り返し、更生に向けた意思表示を示していないような場合は、罪の重さを理解させ、また、社会の安全を守るためにも厳しい処罰が必要だと判断されます。
覚醒剤取締法違反の判例からみる量刑相場
覚醒剤取締法違反は実際にどの程度の量刑になるのか、実際の判例をみてみましょう。
事案概要 | 判決 |
---|---|
覚醒剤を0.017グラム所持していた事案。所持量が微量であり、前科もないことが考慮された。 (さいたま地方裁判所平成24年10月9日判決) | 懲役1年6月・執行猶予3年 |
覚醒剤の使用、0.8グラムの有償譲渡、0.811グラムの所持、共謀による11.719グラムの所持で罪に問われた事案。前科はあるが服役終了から相当期間経過しており、知人が更生を支えていく旨を上申していることが考慮された。 (名古屋地方裁判所令和3年8月12日) | 懲役3年・執行猶予5年 |
道路交通法違反事件の取り調べを受けるなかで、尿検査により覚醒剤の使用が発覚した事案。覚醒剤取締法違反の前科が6件あり、直近の服役終了から2ヵ月足らずだったこともあり実刑となった。 (札幌地方裁判所令和4年5月9日判決) | 懲役2年 |
ネット上で知り合った人物と共謀し、営利目的で覚醒剤を約340グラム所持していた事案。被告人は末端作業員であり、前科もなかったが、犯行の重要な役割を果たしたことが厳しく評価された。 (名古屋地方裁判所令和2年1月20日判決) | 懲役8年 |
上記のとおり、覚醒剤取締法違反の量刑は、覚醒剤の所持量・使用量や前科の有無、更生の可能性などさまざまな事情が考慮されたうえで決定します。
状況次第では、初犯でも懲役の実刑になる可能性はあるので、一刻も早く弁護士のサポートを得ることが大切です。
覚醒剤取締法違反で懲役の実刑を回避するためのポイント
ここでは、覚醒剤取締法違反で懲役の実刑を回避するためのポイントを解説します。
罪を認めて反省の態度を示す
覚醒剤取締法違反で懲役の実刑を回避したいのであれば、素直に罪を認めて反省の態度を示すようにしましょう。
反省の態度は、更生可能性に直結する要素です。
深く反省していることが裁判官に伝われば、情状酌量の余地ありと判断され、執行猶予がつく可能性も高くなります。
たとえば、捜査に対して積極的に協力していた場合や、反省文を書いて覚醒剤との決別を誓った場合などは、実刑を回避しやすくなるでしょう。
一方で、嘘をついて容疑を否認し続けたり、言い訳をしたりしていると裁判官の判断も厳しくなります。
再犯防止に取り組む
再犯防止に取り組むことも、覚醒剤取締法違反で懲役の実刑を回避するためのポイントです。
覚醒剤の使用は常習性が高い犯罪なので、裁判官は再犯リスクを慎重に見極めようとします。
そのため、再犯防止への真摯な取り組みは、量刑の判断時に有利な事情として扱ってもらうことができます。
ただし、言葉だけでは信憑性がないので、再犯防止プログラムに参加したり、一定期間監視下に置いてもらうよう家族や知人に協力を求めたり、具体的な行動を起こすことが重要です。
刑事事件が得意な弁護士に相談する
覚醒剤取締法違反にあたる罪を犯したときは、できるだけ早く刑事事件が得意な弁護士に相談してください。
厳しい法的処置に対応するには、専門的な知識と経験が必要不可欠です。
経験豊富な弁護士であれば、個々の状況を客観的に分析したうえで、効果的な弁護戦略を立てることができます。
具体的には、以下のようなサポートが期待できるでしょう。
- ・逮捕後の接見
- ・取り調べのアドバイス
- ・違法な捜査に対する抗議
- ・起訴回避に向けた弁護活動
- ・早期釈放の支援
- ・再犯防止策の検討
- ・裁判の対応
- ・家族との連絡調整
ただし、相談するタイミングが遅くなるほど、弁護士が介入できる余地も小さくなってしまいます。
今置かれている状況に関わらず、少しでも不安を感じている場合は、迷わず弁護士に相談しましょう。
グラディアトル法律事務所では、覚醒剤事件に強い弁護士が24時間365日体制で相談に応じています。
初回は無料で相談できるので、困ったときはいつでもお問い合わせください。
【お問い合わせ先】
関連コラム:覚醒剤事件で弁護士に依頼する3つのメリットと弁護士の探し方を解説
覚醒剤の懲役に関してよくある質問
最後に、覚醒剤の懲役に関してよくある質問を紹介します。
執行猶予中に再犯するとどうなる?
執行猶予中に再犯すると、執行猶予が取り消されて、実刑になる可能性が高いと考えられます。
この場合、元の刑期と新たな犯罪に対して言い渡された刑期が合算される点に注意してください。
たとえば、懲役1年で執行猶予が付されていた場合に再犯し、新たに2年の実刑判決が言い渡されると、合計で3年間刑務所に収容されます。
なお、再犯した罪について執行猶予が付され、元の罪の執行猶予も取り消されない「再度の執行猶予」が適用される場合もありますが、よほどの事情がない限りは認められません。
覚醒剤で無期懲役になる可能性はある?
覚醒剤の個人的な所持・使用であれば、法定刑が「10年以下の懲役」と定められているので、無期懲役になることはありません。
しかし、営利目的で覚醒剤を輸出入した場合の法定刑は「無期または3年以上の懲役」であり、最高刑として無期懲役になる可能性があります。
実際に、覚せい剤取締法違反で無期懲役の判決が言い渡された判例も存在します。
【事案】
被告人を首謀者とする犯罪組織が営利目的で覚醒剤約568グラム、覚醒剤を含有する液体約764ミリリットルを船で密輸しようとしたところ、海上保安官らに発見された。被告人は最も重い責任を取るべき立場であるうえ、不自然不合理な弁解に終始しており、反省している様子も見られないことから「無期懲役および罰金1,000万円」に処された。(福岡地方裁判所令和3年3月26日判決) |
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本記事のポイントは以下のとおりです。
- ◆ 覚醒剤の使用や所持は「10年以下の懲役」
- ◆ 覚醒剤取締法違反では懲役1~2年の全部執行猶予になることが多い
- ◆ 再犯や営利目的の場合は懲役の実刑になりやすい
- ◆ 懲役の実刑を回避するには反省の態度を示し、再犯防止に努めることが重要
覚醒剤の使用・所持は、重い刑罰が規定された重大な犯罪です。
たとえ初犯であっても、懲役の実刑になる可能性があります。
そのため、覚醒剤事件を起こしたときはできるだけ早く弁護士に相談してください。
グラディアトル法律事務所では、これまでにも数々の覚醒剤事件を取り扱い、解決してきた実績があります。
24時間365日、経験豊富な弁護士が相談に応じているので、困ったときはいつでもご相談ください。
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