「道路交通法で規制されている行為にはどのようなものがある?」
「道路交通法に違反した場合の罰則を詳しく知りたい」
「道路交通法に違反した場合、弁護士に相談した方がいい?」
交通違反をしたときに適用されるのが「道路交通法」です。スピード違反や信号無視、一時停止違反といった軽微な違反から、飲酒運転や無免許運転などの重大な違反まで、その内容はさまざまです。
違反の種類によっては「反則金」の支払いで済むものもあれば、「罰金刑」が科され前科がつくもの、さらに刑事裁判や免許取消処分にまで発展するケースもあります。場合によっては、逮捕されてしまうなど人生を大きく左右する重大な問題に発展する可能性も否定できません。
万が一道路交通法違反を犯してしまった場合でも適切な対応をとれるように、基本的な知識を身につけておくことが大切です。
本記事では、
・道路交通法違反の罰則 ・道路交通法違反となる主な行為 ・どのようなときに弁護士に相談すべきか |
について詳しく解説します。
交通違反をしてしまった方や、違反の対応に不安を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
道路交通法違反とは?
道路交通法とは、道路における危険を防止し、交通の安全と円滑を目的として定められた法律です。車両・歩行者・自転車などの道路を利用するすべての人が守るべき交通ルールや違反時の処分について規定されています。
道路交通法違反とは、この法律に定められたルールを破ることを指します。違反の内容は多岐にわたり、軽微な違反でも繰り返すことで免許停止や取り消しにつながるおそれがあります。
また、悪質な道路交通法違反の場合には、刑事罰が科されることもあり、重大事故や社会的信用の失墜といった深刻な事態に発展する可能性もあります。
道路交通法違反の罰則|違反点数・罰金・反則金の違い

道路交通法違反に対する処分は、大きく分けて以下の3つに分類されます。
違反点数|免許停止処分・免許取り消し処分
道路交通法違反をすると、違反内容に応じた「違反点数」が加算されます。これが一定の累積点数に達すると、免許停止や免許取り消しといった「行政処分」が下されます。
・免許停止:累積点数6点以上 ・免許取消:累積点数15点以上 |
ただし、前歴や違反歴によって免許停止・免許取消となる累積点数は異なり、前歴1回の場合だと累積点数4点以上で免許停止、10点以上で免許取り消しになるなどより厳しい基準が設けられています。
罰金(前科がつく)|赤切符(交通切符)
交通違反のうち、比較的重いものは赤切符(正式名称:交通切符)として処理されます。これは刑事手続の対象となり、罰金刑が科されることもあります。たとえば、酒気帯び・酒酔い運転や無免許運転、時速30㎞以上の速度超過などが該当します。
罰金が確定すると「前科」となり、将来の就職・転職活動や職業資格などに悪影響を及ぼすこともあります。
反則金|青切符(交通反則告知書)
比較的軽い違反(スピード違反、信号無視、一時不停止など)については、青切符(正式名称:交通反則告知書)が交付され「反則金」を納付すれば刑事手続が行われません。
ただし、反則金を納めなかった場合には刑事手続へ移行し、罰金刑となる可能性もあるため注意が必要です。
道路交通法違反となる主な行為
以下は、代表的な道路交通法違反となる行為とそれに対する罰則・行政処分の一覧です。
違反内容 | 罰則 | 行政処分 | ||
違反点数 | 反則金 | |||
一時停止違反 | 3月以下の懲役(拘禁刑)または5万円以下の罰金 | 2点 | 7000円 | |
スピード違反 | 6月以下の懲役(拘禁刑)または10万円以下の罰金(一般道で時速30㎞以上・高速道路で時速40㎞以上) | 1~12点 | 9000~3万5000円 | |
無免許運転 | 3年以下の懲役(拘禁刑)または50万円以下の罰金 | 25点 | - | |
飲酒運転 | 酒気帯び運転 | 3年以下の懲役(拘禁刑)または50万円以下の罰金 | 13~25点 | - |
酒酔い運転 | 5年以下の懲役(拘禁刑)または100万円以下の罰金 | 35点 | - | |
ながらスマホ | 6月以下の懲役(拘禁刑)または10万円以下の罰金 ※事故を起こした場合は、1年以下の懲役(拘禁刑)または30万円以下の罰金 | 3点または6点 | 1万8000円 | |
通行禁止違反 | 3月以下の懲役(拘禁刑)または5万円以下の罰金 | 2点 | 7000円 | |
信号無視 | 3月以下の懲役(拘禁刑)または5万円以下の罰金 | 2点 | 9000円 | |
ひき逃げ(救護義務違反) | 10年以下の懲役(拘禁刑)または100万円以下の罰金 | 35点 | - | |
当て逃げ(安全運転義務違反+危険防止措置義務違反) | 1年以下の懲役(拘禁刑)または10万円以下の罰金 (危険防止義務違反) 3月以下の懲役(拘禁刑)または5万円以下の罰金 (報告義務違反) | 7点 | - | |
あおり運転 | 3年以下の懲役(拘禁刑)または50万円以下の罰金 ※著しい交通の危険を生じさせた場合は、5年以下の懲役(拘禁刑)または100万円以下の罰金 | 25点または35点 | - |
一時停止違反
・刑事罰:3月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金 ・違反点数:2点 ・反則金:7000円(普通車の場合) |
一時停止違反とは、停止線のある交差点や踏切で完全に車を停止させなかった場合に該当します。見落としや判断ミスによる違反が多く、事故につながる可能性があるため厳しい取り締まりが行われています。
スピード違反
・刑事罰:6月以下の懲役(拘禁刑)または10万円以下の罰金 (一般道で時速30㎞以上・高速道路で時速40㎞以上) ・違反点数:1~12点 ・反則金:9000~3万5000円(普通車の場合) |
制限速度を超えて走行した場合に適用されます。超過速度によって反則金の額や点数が異なり、30km/h以上(高速道路では40km/h以上)超過した場合は刑事処分(赤切符)対象です。
無免許運転
・刑事罰:3年以下の懲役(拘禁刑)または50万円以下の罰金 ・違反点数:25点 ・反則金:なし |
運転免許を取得していない、免許停止・取消中に運転した場合などが該当します。非常に重い違反であり、事故を起こした場合にはより重い刑事責任が問われます。
飲酒運転(酒気帯び運転・酒酔い運転)
・刑事罰:3年以下の懲役(拘禁刑)または50万円以下の罰金(酒気帯び運転)、5年以下の懲役(拘禁刑)または100万円以下の罰金(酒酔い運転) ・違反点数:13~25点(酒気帯び運転)、35点(酒酔い運転) ・反則金:なし |
呼気中アルコール濃度0.15mg/L以上であれば「酒気帯び運転」、身体に影響が認められる場合は「酒酔い運転」となり、いずれも厳罰が科されます。被害事故が発生した場合には実刑となる可能性が高く、社会的信用も大きく失われます。
ながらスマホ
・刑事罰:6月以下の懲役(拘禁刑)または10万円以下の罰金※事故を起こした場合は、1年以下の懲役(拘禁刑)または30万円以下の罰金 ・違反点数:3点(事故を起こした場合は6点) ・反則金:1万8000円(普通車) |
走行中にスマートフォンを操作することは「携帯電話使用等違反」として取り締まられます。特に事故に結びついた場合はより重く処罰されます。
通行禁止違反
・刑事罰:3月以下の懲役(拘禁刑)または5万円以下の罰金 ・違反点数:2点 ・反則金:7000円 |
標識などで通行が禁止されている道路を走行した場合に該当します。ナビの誤案内などで誤って進入するケースもありますが、違反は免れません。
信号無視
・刑事罰:3月以下の懲役(拘禁刑)または5万円以下の罰金 ・違反点数:2点 ・反則金:9000円 |
赤信号で交差点に進入する行為です。故意・過失を問わず重大事故につながりやすいため、厳しく処分されます。
ひき逃げ
・刑事罰:10年以下の懲役(拘禁刑)または100万円以下の罰金 ・違反点数:35点 ・反則金:なし |
ひき逃げとは、人身事故を起こしたにも関わらず必要な救護措置をせずに現場から立ち去る行為をいいます。非常に危険かつ悪質な行為であるため、重い罰則が科されますので、絶対に事故現場から立ち去ってはいけません。
当て逃げ
・刑事罰:1年以下の懲役(拘禁刑)または10万円以下の罰金(危険防止義務違反)、3月以下の懲役(拘禁刑)または5万円以下の罰金(報告義務違反) ・違反点数:7点 ・反則金:なし |
当て逃げとは、物損事故を起こしたにもかかわらず、必要な措置を講じることなく現場から立ち去る行為をいいます。当て逃げ行為は、危険防止措置義務違反および報告義務違反に該当し、刑事罰と違反点数の対象になります。
あおり運転
・刑事罰:3年以下の懲役(拘禁刑)または50万円以下の罰金※著しい交通の危険を生じさせた場合は、5年以下の懲役(拘禁刑)または100万円以下の罰金 ・違反点数:25点または35点 ・反則金:なし |
執拗な追い越しや車間距離の詰め、急ブレーキなどの危険運転行為に対しては、「妨害運転罪」が適用されます。これは2020年の道路交通法改正により新たに設けられた規制で、非常に重い刑罰が科されます。
道路交通法違反で弁護士に相談すべきケース

軽微な道路交通法違反であれば反則金を納めて終わることも多いですが、次のような場合には早めに弁護士に相談することをおすすめします。
刑事責任を問われる可能性があるケース
飲酒運転や無免許運転、あおり運転、人身事故などは反則金では済まずに、刑事処分の対象となります。
これらの違反は、罰金だけで済まず、懲役・禁錮刑(拘禁刑)に処される可能性もあり、実刑になれば刑務所に収監されてしまいます。
弁護士に相談することで、被害者との示談交渉や再発防止に向けた取り組みにより刑事処分の軽減を目指した弁護活動が可能になりますので、不起訴処分の獲得や実刑の回避の可能性を高めることができます。
※「拘禁刑(こうきんけい)」とは、従来の刑罰である懲役と禁錮を一本化した刑罰です。改正刑法に基づき、2025年6月1日から、懲役と禁錮は拘禁刑に一本化されました。 |
なお、当事務所で取り扱った事例で、スピード違反で赤切符を切られ刑事事件になった方が弁護士による弁護活動の結果、不起訴処分を獲得できたという事例があります。
このように弁護士が関与することで実際に処分が軽減できた事例もあるため、刑事責任を問われる可能性があるケースでは弁護士に相談することをおすすめします。
道路交通法違反で逮捕されたケース
ひき逃げや酒酔い運転などの重大な違反では、現行犯逮捕や後日逮捕が行われることがあります。
逮捕・勾留による身柄拘束は、最大で23日間にも及びますので、会社員であれば長期の無断欠勤により解雇されるリスクが高くなります。また、残された家族も不安な日々を過ごすことになりますので、一刻も早く弁護士に相談して面会をするべきでしょう。
早期に弁護士が面会をすることで、取り調べに対するアドバイスをすることができ、不利な供述調書がとられてしまうリスクを最小限に抑えることができます。
任意保険に加入していないケース
交通事故を起こした際、加害者が任意保険に未加入であれば、被害者への損害賠償をすべて自己負担で行う必要があります。被害の内容や程度によっては被害額が高額になることあり、加害者自身では被害者との交渉を適切に進めていくのは困難です。
弁護士に相談すれば、賠償金額の適正化や分割払いの提案など、現実的な和解を導くためのサポートが受けられます。
行政処分の内容に納得ができないケース
違反点数の加算や免許停止・取消処分について、「不当ではないか」「手続に不備があるのではないか」と感じることもあるでしょう。このような場合、審査請求や処分の取消訴訟を検討することになります。
弁護士に相談すれば、これらの手続きにより処分が見直される見込みを判断してもらうことができ、手続きに必要な証拠収集や書類作成などのサポートを受けることができます。
このように、道路交通法違反は深刻な法的問題に発展することがあります。少しでも不安を感じたら、早めに専門家である弁護士に相談することが、最善の解決につながります。
道路交通法違反を犯してしまったときはグラディアトル法律事務所に相談を

道路交通法違反をしてしまったとき、適切な対応をとらなければ、罰金や懲役刑(拘禁刑)による前科の付与、免許取消など人生に大きな影響を及ぼすおそれがあります。特に、飲酒運転や無免許運転、ひき逃げ、あおり運転などは刑事事件として扱われるため、弁護士のサポートが極めて重要です。
グラディアトル法律事務所では、交通事件に関する実績豊富な弁護士が、初動対応から刑事裁判・示談交渉までトータルでサポートいたします。逮捕直後の面会、警察の取り調べに対するアドバイス、被害者との示談交渉などの対応により早期の身柄解放や不起訴処分、処分軽減を目指すことができますので、早めにご相談ください。
「前科を避けたい」「免許を残したい」「仕事への影響を最小限にしたい」といったご相談にも、迅速かつ丁寧に対応いたします。交通違反に関する不安を抱えている方は、ぜひ一度、グラディアトル法律事務所にご相談ください。
まとめ
道路交通法違反には軽微なものから重大なものまで幅広い種類があり、処分も反則金、免許停止・取り消し、罰金・懲役(拘禁刑)などさまざまです。違反の内容によっては、人生やキャリアに大きな影響を及ぼす可能性もあります。
特に、刑事責任が問われる可能性がある場合や逮捕・行政処分を受けた場合には、早期に弁護士に相談することが重要です。
道路交通法違反を犯してしまったとき、誰に相談すればよいかわからないときは、ぜひグラディアトル法律事務所までご連絡ください。