「ついカッとなってあおり運転をしてしまった……」
「あおり運転で通報されるとどうなってしまうのだろうか?」
「あおり運転で通報されたときの対処法を知りたい」
近年、あおり運転に対する社会的な関心が高まり、悪質な運転行為はすぐに通報され、厳しく取締りをされる傾向にあります。もし、あなたが運転中に誰かに通報されてしまったら、警察からの出頭要請や突然の逮捕といった事態に発展する可能性もあります。
特に、ドライブレコーダーの映像が証拠として活用される現代では、「そんなつもりはなかった」という言い訳が通用しません。悪質と判断されれば、刑事罰や免許停止・取消、さらには実名報道による社会的制裁といった重大なペナルティを受けるおそれもあります。
本記事では、
・あおり運転で通報された場合に想定される展開 ・あおり運転で通報されたときの対処法 ・あおり運転で通報されたときに弁護士に相談すべき理由 |
などについて詳しく解説します。
通報されてしまったときに後悔しないためにも、正しい知識を身につけておくことが重要です。
目次
あおり運転で通報されたらどうなる?

あおり運転で通報されると、警察は通報内容や証拠をもとに捜査を開始します。あなたが通報された側だった場合、状況に応じて以下のようなことが起こります。
運転中に通報されると駆けつけてきた警察官により現行犯逮捕される可能性がある
走行中に被害者や目撃者が110番通報を行った場合、パトカーが現場に急行し、その場で事情を確認します。状況が悪質であると判断された場合には、現行犯逮捕される可能性もあります。
たとえば、高速道路で蛇行運転や車間距離を極端に詰める行為、進路妨害などを繰り返していると、交通の安全を著しく妨げる行為として、それを目撃した警察官が即座に身柄を拘束する場合があります。
ドライブレコーダーなどで犯人が特定されると任意出頭を求められる
その場で逮捕されなかった場合でも、後日、被害者が提出したドライブレコーダーの映像やナンバープレートから身元が特定されることがあります。その際には、警察から任意での出頭を求められることがあります。
任意出頭とはいえ、拒否すれば逮捕に切り替えられる可能性もあるため、無視せず、誠実に対応することが重要です。
悪質なあおり運転の事案だといきなり自宅に来た警察官により逮捕されることもある
悪質なあおり運転であったり、被害内容が重大である場合には、警察官が突然自宅を訪ねてきて、通常逮捕(後日逮捕)に踏み切ることもあります。
特に、妨害運転罪が適用されるようなケースでは、刑事事件として厳しく処理される傾向にありますので、事案の重大性によっては早期に弁護士へ相談する必要があるでしょう。
あおり運転で通報されたときの対処法

あおり運転で通報されたからといって、すぐに有罪が確定するわけではありません。適切に対処すれば、不起訴処分や処分軽減につながる可能性もあります。
警察からの出頭要請には素直に応じる
警察からの出頭要請を受けた場合には、無視せず、誠実に対応することが重要です。なぜなら、任意出頭を拒否すると逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断され、逮捕のリスクが高まってしまうからです。
また、出頭前に弁護士に相談しておけば、取調べでの対応についてアドバイスを受けることができます。
警察の取り調べに誠実に対応する
取り調べでは、発言内容が供述調書に残され、今後の処分に大きな影響を与えることがあります。事実と異なる供述をすれば、不利な供述調書が作成されてしまい、裁判で不利に働くこともあるため、取り調べに対しては慎重に対応する必要があります。
もっとも、初めての取り調べではどのように対応すればよいかわからないことも多いと思いますので、万が一逮捕されてしまったときはすぐに弁護士を呼ぶことが大切です。
自分に有利な証拠を集めて提出する
自分の車のドライブレコーダーに相手の挑発的な行為が記録されている場合、それを提出することで自己防衛や正当行為を主張できる可能性があります。
また、通報者側の言い分が一方的な場合もあるため、客観的な映像証拠は自分の立場を守るための有効な手段です。
被害者に謝罪をして示談をする
仮に自分の行為が不適切であったと認められる場合には、被害者に対して謝罪の意思を示し、示談交渉を進めることも重要です。
示談が成立すると、被害者の処罰感情が緩和され、不起訴処分や刑罰の減軽につながることもあります。示談交渉は、加害者本人が直接連絡すると新たなトラブルの原因となりますので、基本的には弁護士を通じて行った方がよいでしょう。
あおり運転で通報される可能性のある10の行為
類型 | 概要 | 通報理由 |
---|---|---|
対向車線へのはみ出しや逆走 | 意図的にセンターラインを越えて対向車線にはみ出す、または逆走する行為 | 重大事故のリスクが高いため、典型的な通報対象行為 |
急ブレーキ | 後続車に威嚇目的で急ブレーキをかける | 追突事故の危険があり、通報される可能性が高い |
極端に車間距離を詰める | 後続車が前方車両に極端に接近してプレッシャーをかける | 恐怖感を与えるため、妨害運転として通報されやすい |
急な進路変更 | 無理な車線変更や強引な割り込み | 危険行為であり、ドライブレコーダーに記録されて通報 |
危険な追い越し | 無理に追い越しをする、ジグザグ運転をする | 追い越し方法違反として通報されることが多い |
執拗なパッシング | 後続車が何度もハイビームで威嚇する行為 | 視界を奪う危険があるため、違反とされ通報される |
執拗なクラクション | しつこくクラクションを鳴らし続ける | 威嚇行為として通報されやすい |
幅寄せ・蛇行運転 | 車両の進行を妨害するような幅寄せや蛇行運転 | 相手に恐怖を与え、重大な違反として通報される |
高速道路での低速走行 | 高速道路で規定の最低速度を下回って走行 | 通行の妨げになり、安全を損なうため通報されやすい |
高速道路での駐停車 | 高速道路で無用に停車する、相手車両の進路をふさぐ | 重大事故を引き起こす危険があり、通報対象となる |
以下では、特に通報されやすく、違反とみなされやすい10の典型的なあおり運転行為を紹介します。
対向車線へのはみ出しや逆走|通行区分違反
追い越しや割り込みを目的として対向車線にはみ出したり、意図的に逆走する行為は、非常に危険です。これにより対向車が急ブレーキや回避行動を余儀なくされた場合、重大事故に発展するおそれがあり、通報されやすい典型例です。
急ブレーキ|急ブレーキ禁止違反
前を走る車が何の前触れもなく急ブレーキをかければ、後続車は大きな危険を感じます。特に後ろの車に対する威嚇目的で急ブレーキを繰り返す場合、妨害運転罪が適用される可能性があり、通報されれば逮捕されるケースもあります。
極端に車間距離を詰める|車間距離不保持
後続車が過度に車間を詰めてくる場合、前方車両の運転手は強い恐怖を感じます。高速道路などでしつこく車間距離を詰め続けると、「追突されるのではないか」と感じるのが普通であり、これも妨害運転としての通報理由になります。
急な進路変更|進路変更禁止違反
ウインカーを出さずにいきなり車線変更をしたり、車と車の間に強引に割り込むような運転も、他のドライバーに大きな危険とストレスを与える行為です。ドライブレコーダーに記録されていれば、警察に通報される可能性は高いといえます。
危険な追い越し|追い越し方法違反
狭いスペースで無理に追い越す、高速道路でジグザグ運転をするなどの行為は、道路交通法の追い越し方法違反に該当するだけでなく、あおり運転の証拠として通報されることも多いです。特に、相手車両の進路を妨害するような形での追い越しは悪質とされます。
執拗なパッシング|減光等義務違反
後続車が何度もハイビームを点滅させて「早くどけ」とプレッシャーをかける行為は、妨害目的と受け取られるおそれがあります。とくに夜間の運転では視界を奪われる危険があるため、パッシングの繰り返しは明確な違反とされます。
執拗なクラクション|警音器使用制限違反
警音器は緊急時を除いて安易に使用してはいけないと法律で定められています。ところが実際には、感情的になってクラクションを連打するドライバーもおり、これが「威嚇行為」とみなされて通報されることがあります。
幅寄せ・蛇行運転など|安全運転義務違反
被害車両に対して幅寄せして接触ギリギリを通行したり、わざと車線内を左右に蛇行する運転は、極めて危険です。自車の存在を誇示することで相手に恐怖を与えようとする行為は、妨害運転罪の成立に直結する重大な違反です。
高速道路での低速走行|最低速度違反
高速道路では、規定の最低速度(多くの場合50km/h)を下回る走行は認められていません。追い越し車線でわざと低速走行を続け、後続車を妨害する行為は、通報の対象となるだけでなく、通行の安全を著しく損なう行為です。
高速道路での駐停車|高速自動車国道等駐停車違反
走行中のトラブルでもないのに、路肩や本線上に意味なく停車する行為は、重大事故を引き起こしかねません。相手車両の進路をふさぐ目的で駐停車をした場合は、非常に悪質なあおり運転とみなされ、重い処罰を受ける可能性があります。
あおり運転で通報されたときのペナルティ

あおり運転が事実と認定された場合、加害者にはさまざまなペナルティが科される可能性があります。以下では、あおり運転に関する代表的な4つのペナルティについて詳しく説明します。
道路交通法違反による刑事罰
2020年の法改正によって創設された「妨害運転罪」が適用されると、3年以下の懲役(拘禁刑)または50万円以下の罰金という刑事罰が科される可能性があります。さらに、高速道路上で他人の走行を妨げるなどの著しい危険を生じさせた場合は、5年以下の懲役(拘禁刑)または100万円以下の罰金といったより重い罰則が適用されることもあります。
刑事処分を受ければ前科がつくことになり、日常生活や就職活動にも影響が及びかねません。
※「拘禁刑(こうきんけい)」とは、従来の刑罰である懲役と禁錮を一本化した刑罰です。改正刑法に基づき、2025年6月1日から、懲役と禁錮は拘禁刑に一本化されました。 |
違反点数の累積による行政処分
妨害運転と認定されると、違反点数25点または35点が加算されます。これにより、運転免許は一発で取消しとなり、2年から最長で10年間の欠格期間が適用されます。
欠格期間中は、再度免許を取得することができませんので、仕事や日常生活で車を使用している方にとっては大きな支障が生じることになります。
被害者に対する賠償責任
あおり運転によって被害者が恐怖心を抱いたり、交通事故に巻き込まれたりした場合は、民事上の損害賠償請求を受ける可能性もあります。慰謝料・治療費・修理代などの請求額が高額になることもあり、示談が成立しない場合には民事訴訟に発展することもあります。
任意保険に加入していたとしても、悪質なあおり運転に関しては保険の適用外となるケースもあるため、高額な賠償金を自己負担しなければなりません。
実名報道による社会的制裁
特に悪質とされるあおり運転事件では、加害者の実名や顔写真がメディアに公開されることがあります。こうした報道によって、加害者の職場・家族・地域社会にまで影響が及び、社会的信用を失うという重大な制裁を受けることにもつながります。
場合によっては職を失う、家族関係が悪化するなど、その後の人生に深刻なダメージを与えかねません。
あおり運転で通報されたときに弁護士に相談すべき理由

あおり運転で通報された場合、警察による取調べや捜査が始まるだけでなく、状況によっては逮捕・勾留されるリスクもあります。このようなときは、交通事件に精通した弁護士に相談することが自身の立場を守る上で非常に重要です。以下では、具体的に弁護士に相談するメリットを3つ紹介します。
被害者との示談交渉を任せられる
あおり運転における被害者との示談は、処分を軽減するうえで極めて効果的な手段です。
しかし、加害者本人が直接謝罪や連絡を取ることは、かえって相手の感情を逆なでするリスクもあります。それを避けるには弁護士の示談交渉を任せるべきです。
弁護士を通じて行うことで、法的に整った形で冷静かつ円滑な交渉が可能となり、示談書の作成や証拠保全もスムーズに進みます。
警察署への出頭に同行したり、取り調べのアドバイスができる
任意出頭や取調べでは、供述の内容がその後の処分に大きく影響します。
弁護士に相談すれば、黙秘権の使い方や答えるべきポイントなどについて事前にアドバイスを受けることができ、不用意な供述を避けることが可能です。
また、弁護士が警察署に同行することもできますので、近くで弁護士が待機していつでも相談できる状況は精神的な支えにもなるでしょう。
逮捕されたときに早期釈放を実現できる
あおり運転で逮捕された場合でも、弁護士は速やかに勾留阻止のための準抗告や保釈請求などの手続きを行ってくれます。特に、早期の身柄解放が必要な場合には、弁護士のスピーディーな対応が結果を大きく左右します。
また、弁護士がついていることで、検察や裁判所側に「反省している」「逃亡のおそれがない」といった有利な印象を与えることも可能です。
あおり運転で通報されてしまったときはすぐにグラディアトル法律事務所に相談を

あおり運転で通報されてしまった場合、「警察に呼ばれたらどうしよう」「逮捕されるのでは」と不安になるのは当然です。
そうしたときは、一人で悩まず、まずはグラディアトル法律事務所にご相談ください。当事務所では、刑事事件の対応経験が豊富な弁護士が、通報直後の初動対応から警察署への出頭、取り調べ、被害者との示談交渉、さらには逮捕後の勾留回避・早期釈放まで一貫して対応することができます。
また、「警察に何を話すべきか」「ドライブレコーダーの映像をどう使うべきか」といった実務的な疑問にも丁寧にお答えし、ご依頼者様の不安を解消するよう努めています。
「無実なのに疑われている」「会社や家族に知られたくない」「できるだけ穏便に済ませたい」といったご事情にも配慮しながら、最善の結果を目指します。
ご相談は早ければ早いほど効果的ですので、お困りの際はすぐにご連絡ください。
まとめ
あおり運転は、時として重大な刑事処分や社会的制裁につながる深刻な行為です。通報された場合は、警察の対応に素直に応じつつ、自分に有利な証拠を集め、早期に弁護士へ相談することが重要です。
被害者との示談や取調べ対応、身柄解放などは、刑事事件に強い弁護士が対応することで結果に大きな違いが生じます。あおり運転で通報されてしまったら、一人で悩まず、まずはグラディアトル法律事務所までご相談ください。