あおり運転は一発で免許取り消し!処分の流れや再取得の方法を解説

あおり運転は一発で免許取り消し!処分の流れや再取得の方法を解説
弁護士 若林翔
2025年09月11日更新

「あおり運転で検挙されてしまい、運転免許がどうなるのか心配……」

「あおり運転は一発で免許取り消しという噂は本当?」

「あおり運転で免許取り消しになった場合、どうしたらいいの?」

あおり運転は、重大な交通事故やトラブルを引き起こす危険な行為として、社会的にも厳しい目が向けられています。

2020年の道路交通法改正により、あおり運転は「妨害運転罪」として厳罰化され、「交通の危険を生じさるおそれがある行為をした場合」は違反点数25点、「著しい危険を生じさせた場合」は35点が加算され、いずれも免許の取消対象となります。

免許を失うことで仕事や日常生活に深刻な影響が及ぶこともあるため、あおり運転のリスクと処分内容を正しく理解することが重要です。

本記事では、

・あおり運転によって免許取消処分が下される具体的な流れ
・免許の再取得の方法
・処分を受けた後の生活や仕事への影響

について詳しく解説します。

もし、あおり運転で免許を取り消された方や処分の見込みがある方は、ぜひ参考にしてください。

あおり運転は一発で免許取り消し

あおり運転は、道路交通法における「妨害運転罪」に該当する極めて悪質な違反行為です。2020年の法改正により、妨害運転罪が新設され、あおり運転に対しては厳しい処分が科されるようになりました。

運転免許との関係では、あおり運転をすると、具体的な態様によって以下のような違反点数が加算されますので、一発で免許取り消しとなります。

・交通の危険を生じさるおそれがある行為をした場合:違反点数25点(欠格期間2年)
・著しい交通の危険を生じさせた場合:違反点数35点(欠格期間3年)

通常は、累積点数により免許停止や免許取り消し処分になりますが、あおり運転の違反点数は最低でも25点ですので、それだけで免許取り消しの対象です。また、過去の違反歴や累積点数によっては欠格期間が最大10年にもなります。

あおり運転で免許取り消しになるまでの流れ

あおり運転で免許取り消しになるまでの流れ

あおり運転を行ったからといって、即座に免許が取り消されるわけではありません。行政処分としての免許取消は、以下のような手続きを経て決定されます。

意見の聴取通知書が届く

あおり運転で検挙されてからしばらくすると、都道府県公安委員会から「意見の聴取通知書」が届きます。この通知書には、意見聴取の日時や場所、処分理由などが記載されています。

意見の聴取では、違反の状況や処分に対する意見を述べたり、有利な証拠を提出したりできますので、あなたに言い分があるなら出席して意見を述べた方がよいでしょう。

なお、通知を受けた段階で、すでに処分内容はほぼ決定しているケースが多く、出席しなかった場合はそのまま免許取消処分が下されます。

なお、提出すべき資料や主張内容に不安がある場合は、事前に弁護士に相談することをおすすめします。法的視点からの助言を受けることで、主張の整理や証拠提出の準備がスムーズになり、処分軽減の可能性を高めることができます。

意見の聴取に出席する

指定された日時に意見の聴取手続きが行われます。これは処分を受ける本人に対し、意見を述べる機会を与える手続きであり、弁明や反論ができる場でもあります。

ただし、意見の聴取は形式的に終わることも多く、処分の覆しは容易ではありません。特に、事実関係に争いがある場合や、正当な理由があるにもかかわらず一方的に不利な判断がなされそうな場合は、弁護士に同席を依頼することを強く検討すべきです。

弁護士が同席すれば、法的な根拠に基づいた主張が可能になり、手続き全体を有利に進められる可能性があります。また、意見聴取での受け答えについても事前にアドバイスを受けることができ、不適切な発言によって不利益な判断がされるリスクを回避できます。

特に、免許取消や長期間の停止といった重い処分が予想されるケースでは、早めに弁護士へ相談し、十分な準備を整えたうえで意見聴取に臨むことが重要です。

免許取消処分の執行

意見の聴取を経て、正式に「運転免許取消処分通知書」が交付されます。この日をもって運転免許は失効し、再取得するには所定の欠格期間を経過する必要があります。

欠格期間は、前述のように「交通の危険を生じさせた」場合で2年、「著しい危険を生じさせた」場合で3年とされていますが、過去の違反歴や累積点数によっては欠格期間が最大10年になることもあります。

あおり運転で免許取り消しになっても再取得可能!免許の再取得までの流れ

あおり運転で免許取り消しになっても再取得可能!免許の再取得までの流れ

あおり運転によって免許を取り消されたとしても、永久に免許が取得できなくなるわけではありません。所定の欠格期間が経過すれば、再び免許を取得することが可能です。

欠格期間の経過

免許を再取得するには、まず免許取消日から数えて、定められた欠格期間を満了している必要があります。この期間中は仮免許を含め、いかなる運転免許も取得できません。

なお、欠格期間中に交通違反や交通事故を起こすと、期間が延長される可能性があるため注意が必要です。

取消処分者講習の受講

欠格期間が満了したら、運転免許再取得の前に「取消処分者講習」を受講する必要があります。これは再び安全運転者として道路に戻るための意識改革を目的とした講習であり、筆記や実技などが行われます。

取消処分者講習は、2日間合計13時間にわたって行われます。

運転免許再取得

講習が終了すると、ようやく運転免許の再取得に進むことができます。免許取得には以下の2通りの方法があります。

①自動車教習所に通う

仮免許から本免許まで一貫して学び直す一般的な方法です。費用は30〜40万円程度が相場です。

②一発試験

運転免許試験場で直接学科・実技試験を受験する方法です。費用は抑えられますが、合格率は低く、再受験が必要になる場合が多いです。

どちらの方法を選ぶにしても、以前の違反歴や取消理由を踏まえたうえで、しっかりと準備することが重要です。

あおり運転で免許取り消し処分を受けた場合の影響

あおり運転で免許取り消し処分を受けた場合、単に運転ができなくなるというだけでなく、生活や仕事に大きな影響を及ぼします。

仕事への影響

運転免許を必要とする職業(運送業・営業職・建設業・介護職など)では、免許取消により直ちに業務が遂行できなくなり、解雇や部署異動を余儀なくされる場合があります。

また、社用車を使う仕事でも、免許を失うことで実質的に勤務継続が困難になることもあるでしょう。

さらに、社内での信用低下により昇進に影響を与えたり、将来的な雇用維持にも不安が生じます。

将来の転職活動においても、あおり運転による免許取消歴は企業に悪印象を与えることが多く、採用選考において不利に働く可能性が高いといえます。

生活への影響

地方在住者や公共交通機関が整っていない地域に住んでいる方にとって、車は日常生活の必需品です。

免許を失えば、通勤・通院・買い物といった日常の移動手段が制限され、自分一人の問題にとどまらず、家族にも負担がかかります。特に、子どもの送迎や高齢家族の世話を担っている方にとっては、深刻な影響となるでしょう。

また、レジャーや旅行などの娯楽の自由も奪われ、生活の質の低下にもつながります。

再取得の困難

免許を再取得するには、長い欠格期間(2〜10年)を経る必要があります。さらに取消処分者講習の受講や学科・技能試験をクリアしなければならず、多くの時間と費用が必要です。

教習所に通う場合は30万円以上かかることも珍しくなく、経済的にも大きな負担となります。一度のあおり運転が、数年間に及ぶ不自由と経済的損失を招くことを、しっかりと認識することが大切です。

あおり運転で免許取り消し処分を受けたときの対処法

あおり運転で免許取り消し処分を受けたときの対処法

あおり運転により免許取消処分を受けた場合でも、すべてを諦める必要はありません。行政処分には見直しの手続きが用意されており、状況によっては処分の軽減や回避が認められる可能性もあります。正しい手順を踏み、適切な対処をとることが大切です。

処分を行った公安委員会に対して審査請求をする

処分に不服がある場合には、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内であれば「審査請求」を行うことが可能です。これは行政不服審査法に基づく制度で、公安委員会に対して処分の妥当性を再検討してもらう手続きです。

ただし、単なる感情的な主張だけでは処分の見直しは認められません。

違反とされた行為に誤認がある場合や処分が過度であると立証できる資料や証拠があれば、審査請求によって処分の取り消しや減免が認められる可能性があります。

裁判所に対して処分の取消訴訟を提起する

審査請求の結論にも納得できない場合には、裁判所に対して「処分取消訴訟」を提起することができます。この訴訟では、裁判所が処分の適法性や妥当性を審査します。

ただし、訴訟期間中であっても処分の効力は原則として継続されるため、車の運転はできません。執行停止を申し立てることも可能ですが、これが認められるには相当な理由が必要ですので、簡単には認められません。

訴訟は時間や費用もかかるため、慎重な判断が求められます。

弁護士に相談する

これらの手続きを自力で進めるのは非常に難しく、法的知識と経験が必要です。そのため、あおり運転による免許取消処分に直面した場合は、まず交通事件に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士は証拠の精査、意見の聴取への対応、審査請求書の作成、訴訟対応などを一貫してサポートし、最適な解決策を提示してくれます。早期に相談することで、処分の重さを軽減できる可能性も高まります。

あおり運転をしてしまった方はグラディアトル法律事務所に相談を

あおり運転をしてしまった方はグラディアトル法律事務所に相談を

「一度の過ちで、これからの人生が大きく狂ってしまうのではないか」

あおり運転によって免許取消や刑事手続きの対象となった方の多くが、そのような強い不安や後悔を抱えています。特に、家族や仕事への影響、再就職の困難、社会的信用の低下といった現実的な問題は、処分を受けた後に初めて深刻さを実感するケースも少なくありません。

そんなときこそ、グラディアトル法律事務所にご相談ください。当事務所は、交通事件に関する豊富な知識と経験を有する弁護士が在籍しており、あおり運転による免許取消処分や刑事処分に直面した方に対して、個別の事情に応じた最適な対応策をご提案します。

初回相談料無料・秘密厳守で行っており、プライバシーにも最大限配慮しています。少しでも不安を感じたら、お一人で抱え込まず、まずはグラディアトル法律事務所にご連絡ください。

まとめ

あおり運転は、たった一度の行為であっても、一発で免許が取り消される重大な違反です。免許を失うことは、仕事や生活に深刻な影響を及ぼす可能性があり、再取得も容易ではありません。

もし処分が目前に迫っている、あるいは不当に重い処分が下されそうな場合は、速やかに弁護士に相談し、適切な対応を検討しましょう。

グラディアトル法律事務所は、交通事件に関する豊富な実績とノウハウをもとに、あなたの未来を守るサポートをいたします。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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