「警察官に暴行して捕まってしまった…起訴されてしまうのか」
「公務執行妨害罪での起訴を回避するために何ができるのか」
職務執行中の公務員に暴行・脅迫を加えた場合は、公務執行妨害罪が成立します。
ただし、起訴になるか不起訴になるかで、その後の処分は大きく変わってくるものです。
不起訴になれば、その時点で罪に問われることはなくなりますが、起訴されると裁判に移行し、懲役刑(拘禁刑)や罰金などの刑罰に処される可能性が出てきます。
実際、公務執行妨害罪で逮捕され、今後起訴される可能性がどの程度あるのか、気になっている方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、公務執行妨害罪の起訴率について解説します。
起訴されやすいケースや起訴を回避するためのポイントなどもまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
※刑法改正により、2025年6月から懲役刑と禁錮刑は「拘禁刑」に一本化されています。
【拘禁刑とは?】 犯罪者を刑事施設に収容し、改善更生に必要な作業を命じたり、指導したりする刑罰のこと。刑務作業は義務ではなく、受刑者の特性に応じた支援プログラムが提供される。 |
目次
公務執行妨害罪の起訴率は約45%
検察庁の統計によると、2023年における公務執行妨害罪の起訴率は約45%です。(参照:検察統計調査|法務省)
公務執行妨害罪で検察が処理した事件のうち、766人が起訴され、940人が不起訴となっています。
犯罪全体の起訴率が約32%であることを踏まえると、公務執行妨害罪の起訴率は高い水準にあるといえるでしょう。
公務執行妨害罪で起訴されるとどうなる?
次に、公務執行妨害罪で起訴されたあとの処遇について解説します。

「3年以下の懲役・禁錮(拘禁刑)または50万円以下の罰金」に処される可能性がある
公務執行妨害罪で起訴されると、「3年以下の懲役・禁錮(拘禁刑)または50万円以下の罰金」に処される可能性があります。
起訴後は裁判にかけられ、有罪・無罪が判断されますが、起訴後の有罪率は99%以上です。
起訴されると、ほぼ確実に有罪となり、刑罰に処されるものと考えておきましょう。
なお、2023年の統計によると、公務執行妨害罪で起訴されたのは766人ですが、そのうちの約55%にあたる419人が略式起訴となり、罰金刑に処されています。(参照:検察統計調査|法務省)
一方で、正式起訴されて裁判にかけられた場合は、懲役・禁錮(拘禁刑)になる可能性が高いです。
実際、公務執行妨害罪で第一審判決を受けた197人のうち、157人が懲役・禁錮を言い渡されています。(参照:令和6年版犯罪白書|法務省))
関連コラム:公務執行妨害罪は懲役になる?執行猶予率や初犯の量刑相場を解説
前科がつく
公務執行妨害罪で起訴されると、有罪判決が確定した時点で前科がつきます。
懲役・禁錮(拘禁刑)や罰金など刑罰の内容にかかわらず、すべて前科として記録される点に注意してください。
前科は一生消えることがなく、以下のような不利益をもたらします。
- ◆ 解雇・退学になる可能性がある
- ◆ 就職活動で不利になる
- ◆ 資格・職業の制限を受ける
- ◆ 海外渡航が制限される
- ◆ 再犯時の刑事処分が厳しくなる
不起訴処分を獲得できれば、前科を回避し、上記のような不利益を受けることもなくなります。
公務執行妨害罪で検挙された場合は、前科がつくリスクを十分に理解したうえで、早めに弁護士へ相談することが重要です。
関連コラム:公務執行妨害罪の不起訴率は約55%!不起訴獲得に向けた対処法を解説
公務執行妨害罪で起訴されやすいケース
次に、公務執行妨害罪で起訴されやすいケースをみていきましょう。
暴行・脅迫の態様が悪質だった場合
公務員に対する暴行・脅迫の態様が悪質だった場合は、公務執行妨害罪で起訴される可能性が高くなります。
悪質な犯行は社会的影響が大きく、公務の円滑な執行を著しく妨げるため、検察が厳しい対応を取る傾向があるからです。
たとえば、殴打や蹴りなどの激しい暴力を繰り返し加えたり、凶器をみせて「殺すぞ」などと命に関わる強い脅迫をおこなった場合は起訴率が高くなります。
なお、犯行の態様は量刑の判断にも影響し、悪質性が高いと判断されると、初犯であっても懲役(拘禁刑)の実刑になるおそれがあります。
加害者に反省の態度がみられない場合
加害者に反省の態度がみられない場合も、公務執行妨害罪で起訴されやすくなります。
反省の態度は、更生の見込みを示すものです。
たとえば、取調べで罪を認めず言い訳をしていたり、被害者に対する謝罪の言葉がなかったりすると、検察官は更生の見込みが低いと判断し、処罰を与えようとします。
一方で、反省文を提出する、再犯防止計画を提出するなど、反省の態度を行動で示していれば、不起訴を獲得できる可能性が高くなるわけです。
前科がある場合
公務執行妨害罪で起訴されやすいケースのひとつは、前科がある場合です。
前科のある人物に対しては、再犯のリスクや社会的影響を考慮して、検察官が厳格な処分を求める傾向があります。
特に、暴力事件などの同種の前科がある場合は「更生の見込みが薄い」「社会的制裁の必要性が高い」と判断されやすくなるので注意が必要です。
反対に、前科のない初犯であれば、不起訴を獲得できる可能性も高くなります。
公務執行妨害罪で起訴を回避するには弁護士のサポートが必要不可欠
公務執行妨害罪の被害者はあくまでも国や自治体なので、基本的には示談による解決ができません。
そのため、公務執行妨害罪で起訴を回避するには、弁護士による多面的な弁護活動が必要不可欠です。
刑事事件が得意な弁護士に相談・依頼すれば、以下のようなサポートを受けられます。
一人で悩んでいても、事態は好転しないどころか悪化していくばかりです。
少しでも不起訴の可能性を上げたいのであれば、一刻も早く弁護士に相談するようにしてください。
公務執行妨害罪で不起訴を目指すならグラディアトル法律事務所に相談を!
本記事のポイントは以下のとおりです。
- ◆ 公務執行妨害罪の起訴率は約45%で高い水準にある
- ◆ 公務執行妨害罪で起訴されると刑罰に処され、前科がつく
- ◆ 暴行・脅迫の態様が悪質な場合や反省の態度が見られない場合、前科がある場合は起訴されやすくなる
公務執行妨害罪で起訴されると、ほぼ確実に有罪となり、刑罰に処され、前科がつきます。
その後の人生に与える影響は計り知れないので、なんとしても不起訴処分を獲得しなければなりません。
そのため、公務執行妨害罪の罪に問われたときは、できるだけ早く弁護士にサポートを求めるようにしてください。
グラディアトル法律事務所は、公務執行妨害罪をはじめ、刑事事件全般を得意とする法律事務所です。
これまでにも数々の刑事事件に携わり、早期解決へと導いてきました。
弊所では、実践経験豊富な弁護士が24時間365日体制で相談を受け付けており、最短即日の対応も可能です。
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