不同意わいせつ罪とは?構成要件と強制わいせつとの違いを解説

不同意わいせつ罪は、2023年7月の刑法改正によって新設された性犯罪です。従来の「強制わいせつ罪」とは異なり、暴行や脅迫といった力による支配がなくても、相手の意思に反して性的な行為を行った場合に処罰されるのが最大の特徴です。

同罪の施行から約2年半が経過し、警察による認知件数は大幅に増加しています。法務省は「要件が緩くなったわけではなく、被害の実態に即した体系化である」と説明していますが、従来は犯罪として扱われにくかった態様も不同意わいせつ罪として検挙されるようになってきています。

実務の場面でも、改正前なら「暴行・脅迫が伴わないため強制わいせつには当たらない」と扱われていた事案が、不同意わいせつとして検挙されるケースが増えており、立件のハードルが下がったと感じられる場面もあります。こうした動きが認知件数の増加に一定程度影響していると考えられます。

他方で、その分だけ冤罪に近い事案や、当事者間の認識のズレに起因するトラブルが増える可能性も否定できません。上下関係や恋愛関係、飲酒場面での「同意の境界」は極めて曖昧であり、意図せず刑事事件化することもあります。今後は虚偽告訴罪の問題や美人局的なトラブルの増加といった副作用も懸念されています。

本記事では、

・不同意わいせつ罪の構成要件や強制わいせつ罪との違い
・どこから犯罪となるのか
・示談・不起訴のポイント

などをわかりやすく解説します。
逮捕や捜査が進んでいる方だけでなく、身の周りのトラブルや誤解を避けたい方にとっても有益な内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。

目次

不同意わいせつ罪とは何か

不同意わいせつ罪は、相手の同意を欠く性的接触を処罰する犯罪で、暴行や脅迫の有無にかかわらず成立し得ます。当事者間の認識の違いによって問題となることがあります。

2023年の法改正で新設された犯罪

不同意わいせつ罪は、2023年7月の刑法改正で新設された犯罪で、従来の「強制わいせつ罪」とは成立要件が大きく異なります改正前の強制わいせつ罪は、暴行や脅迫などの明確な強制力が必要でしたが、改正後は「相手が同意していない状況」が評価されるようになりました。

法務省は「要件が緩和されたわけではなく、被害実態に合わせた体系化である」と説明していますが、改正後の実務では、従来は刑事事件として扱われにくかった態様が性犯罪として認知されやすくなった点は否定できません。

刑事弁護の現場でも、改正前なら不起訴となる可能性が高かったケースについて立件に至った例が増えており、「検挙されやすくなった」と感じる場面も多々あります。

この罪が処罰しようとしている行為の本質

不同意わいせつ罪は、相手が同意していない状況で性的な接触をすることを処罰対象としています。そのため、本人に強制の意識がなくても、相手の同意が曖昧な状態や意思表示ができない状況であれば犯罪と評価される可能性があります。

問題となりやすいのは次のような場面です。

  • 飲み会や酔った場面
  • 恋愛関係や上下関係を含む関係性
  • 拒否をはっきり示さない雰囲気
  • 雰囲気やノリに依存した接触
  • メッセージややり取りの行き違い

当事者の認識がずれることで、「同意があったつもりだった」行為が刑事事件化することも珍しくありません

実際の現場では、同意の有無、接触の内容、直前直後のやり取り、SNSの履歴、関係性の継続などが重要な判断材料となります。

下記の関連記事も併せてご覧ください。

不同意わいせつ罪の構成要件

不同意わいせつ罪は、相手の同意がない状態で性的な接触をした場合に成立しますが、どのような状況が「同意がない」と評価されるかは、具体的な場面や関係性によって異なります。以下では、不同意わいせつ罪の構成要件と同意の有無が問題となる具体的な類型を整理して説明します。

不同意わいせつ罪の構成要件

構成要件の基本構造

不同意わいせつ罪は、一定の状況下において、同意しない意思を形成し、表明し、全うすることが困難な状態にさせ、またはその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした場合に成立する犯罪です(刑法176条1項)。

具体的には、以下のような8つの状況が定められています。

①暴行または脅迫
②心身の障害
③アルコールまたは薬物の影響
④睡眠その他の意識不明瞭
⑤同意しない意思を形成、表明または全うするいとまの不存在
⑥予想と異なる事態との直面に起因する恐怖または驚愕
⑦虐待に起因する心理的反応
⑧経済的または社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益の憂慮

これだけでは一般の方には具体的な状況がイメージできないと思いますので、以下で、特に問題となる状況を3つのケースに分けて紹介します。

判断・拒否ができない状態を利用するケース

判断・拒否ができない状態を利用するケース

この類型は、相手がそもそも意思表示ができない、または極めて困難な状態にある場面を想定しています。典型的には飲酒や疲労、睡眠などのケースです。

たとえば、

  • 飲み会の終盤で泥酔し、体を支えられない状態
  • 帰宅後にソファで眠り込んでいる状態
  • 疲労や体調不良で横になっている状態
  • 言動が不明瞭で、会話が成立しない状態

といった場面が問題になります。

この場面では、被害者側には拒否や抵抗を示す能力がなく、意思表示の余地が少ない一方、加害者側には「嫌がられていない」と受け取る余地も残るため、当事者の認識のズレが起きやすい状況です。

【実際に起きやすいケース】

①飲み会からホテル・自宅に移動したケース
移動自体の同意はあっても、性的な接触への同意と評価されないことがあります。

②同じ部屋で休んでいる相手への接触
友人関係や恋愛関係でも「眠っている間の接触」が問題化しやすい場面です。

③酩酊時のキスや抱きつき
拒否の明示がなくても、意思表示困難とみなされることがあります。

特に飲酒が絡むと、同意の有無の線引きが難しく、「嫌がられた様子はなかった」vs「拒否できる状態ではなかった」という争いになりやすいのが特徴です。

心理的に自由な判断ができない状態のケース

この類型は、相手が心理的・社会的な事情から断ることが難しい状況に置かれている場合に問題となります。強い暴行や脅迫がなくても、立場や関係性から拒否できないと評価されることがあります。

具体的には、以下のような場面が想定されます。

【実際に起きやすいケース】

①職場の上下関係・評価関係
上司や先輩からの誘い、評価やシフトの裁量を握られている場面

②恋愛や好意の有無で雰囲気が複雑な関係
相手の気持ちを害したくない、関係を壊したくない心理が働くケース

③飲み会や会食の場の空気
雰囲気が盛り上がっており拒否しづらい状況

④深夜帯で帰宅や移動が難しい状況
終電後や地方で断りづらくなるケース

⑤サークル・部活動などの先輩後輩関係
「断りづらさ」が生じやすい非対等な関係

これらは当事者の会話や表情・場の雰囲気によって成り立つため、加害者側が同意があると認識してしまうことも少なくありません

誤信・誤解を利用するケース

誤信利用は、相手が性的意図を疑わない状況に置かれていることを利用したと評価される類型です。

たとえば、

  • 整体やマッサージの施術
  • 医療行為との誤認(婦人科・整形・皮膚科など)
  • スポーツ指導(フィジカル接触)
  • モデル指導やオーディション指導
  • カウンセリングやメンタル系施術

などが挙げられます。

【実際に起きやすいケース】

①整体・マッサージなどの施術中
施術名目で胸部や臀部に触れる、メニュー外の部位に手を置くなど

②医療行為・美容施術との誤認
診察・治療・ケアの一環だと思わせる形で接触するケース

③スポーツ指導・ストレッチ補助
姿勢矯正やストレッチの名目で密着や接触を行うケース

④芸能・モデル・オーディション指導
「指導」「チェック」「演技」名目で身体に触れるケース

⑤カウンセリング・セラピー
慰めやケアを理由に抱きしめる、手を握るなど

この類型に共通するポイントは、専門性や業務性がある、接触に理由付けがある、相手が疑いにくいという点です。性的接触が業務上の行為と誤認されやすい場面では、双方の認識に大きなギャップが生じやすく、後から問題になるケースも少なくありません。

不同意わいせつ罪はどこから犯罪になるのか|行為だけではなく具体的な状況がポイント

不同意わいせつ罪では、「どの程度の接触なら成立するのか」という線引きが曖昧だと感じる方が多いですが、実務では行為そのものよりも状況・関係性・同意の有無などを総合して判断されます。軽い行為でも、相手が自由に拒否できない状況であれば処罰対象となり得ます。

不同意わいせつ罪はどこから犯罪になるのか|行為だけではなく具体的な状況がポイント

行為の種類だけで決まるわけではない

不同意わいせつ罪は、必ずしも行為のわいせつ性が強度の高いものである必要はありません。
従来の性犯罪では評価が難しかった、比較的軽度の接触でも問題となるケースがあります。

具体例としては、

  • キス
  • ハグ
  • 頬や手を触る
  • 腰に手を回す
  • 肩を抱き寄せる
  • 髪を触る
  • 胸元や太もも付近に触れる
  • 服の上からの接触

といった行為が挙げられます。

こうした行為は、恋愛関係や親密な関係では自然に見えることもありますが、関係性がない相手や上下関係がある相手には突然の接触となり、同意がないと評価されることがあります。
重要なのは、行為そのものの強さではなく、相手が拒否できたかどうかにあります。

評価を左右するのは「状況」と「関係性」

実務では、以下のような要素が同意の有無を判断する際に重視されます。

  • 行為の前後のやり取り
  • 当事者間の関係性
  • 飲酒の有無
  • 年齢差や上下関係
  • 空間(個室・車内・職場・深夜帯)
  • 断りづらい事情の有無
  • メッセージやSNSでのやり取り
  • 後日の反応

特に問題になる場面を例示すると、以下のとおりです。

①飲み会・打ち上げ・合コン
雰囲気やノリで接触が生まれやすく、同意の境界が曖昧になりがちです。

②車内・タクシー・密室
逃げづらく拒否しづらい環境と評価されることがあります。

③職場・バイト先
上司・先輩・シフト権限など、関係性が影響しやすい場面です。

④恋愛関係・曖昧な関係
加害者側は好意があると誤認しやすく、認識のズレが起こりやすい場面です。

「軽い行為だから大丈夫」という基準は存在しない

不同意わいせつ罪では、行為の軽重で犯罪かどうかが決まるわけではありません。「キス程度」「ハグ程度なら問題ない」という基準はなく、接触が比較的軽くても、相手が自由に拒否できない状況や同意が曖昧な状況であれば処罰対象となる可能性があります。

特に、恋愛関係や飲み会などの場面では、加害者側が了承されていると受け取ってしまうことがありますが、相手にとっては断りづらかったり、同意を示す余地がなかったりすることは珍しくありません。実務では、相手の言葉だけでなく、表情や態度、場の雰囲気、関係性といった非言語の要素も考慮されます。

要するに、不同意わいせつ罪では「軽い行為=犯罪ではない」という前提はなく、同意の有無や状況の中で相手が拒否できたかどうかが重要視されるのが特徴です。

不同意わいせつ罪では「同意があったつもりだった」が通りにくい理由

不同意わいせつ罪では、加害者側に同意があったつもりだったという認識があっても、その認識だけでは同意の成立と評価されません。同意は「拒否されていない」という消極的な状態ではなく、相手が自由に意思を形成し、受け入れる意思を示していることが必要と考えられています。

不同意わいせつ罪では「同意があったつもりだった」が通りにくい理由

拒否がなかった=同意ではない

刑事実務では、拒否の明確な言葉がなかったからといって、同意があったとは扱われません

特に、恋愛関係や親しい関係性では、相手が沈黙したり、表情が固くなったり、部屋を出ようとしなかったりといった状況が見られても、それが即座に同意を意味するわけではありません。
ここには、「拒否できる状態だったかどうか」という評価が入るため、

  • 飲酒
  • 深夜の帰宅困難
  • 上下関係
  • 関係性の圧力
  • 空気や雰囲気

などの事情があれば、拒否が明示されなかったとしても同意が成立していないと判断されることがあります

どのような事情が「同意がなかった」と評価されるのか

同意の有無は、複数の事情を総合的に見て判断されます。実務では、以下のような状況だと同意がなかったと評価される可能性がありますので注意が必要です。

  • 相手が飲酒していた
  • 相手が眠気や疲労で判断が鈍っていた
  • 恋愛関係が曖昧だった
  • 職場や上下関係で断りづらかった
  • 密室や深夜帯で逃げ場がなかった
  • 一度拒否を示していた
  • 行為が急で意思確認の余裕がなかった

これらは、同意が明確に形成されていない状況と評価されることがあり、加害者側の雰囲気で進んだという認識だけでは説明できない部分です。
特に近年は、沈黙・硬直・無反応といった非言語的反応も捜査の評価対象になりやすくなっています。

後から争いになるケースの典型例

不同意わいせつ罪に関する相談で多いのは、当事者双方の認識差から生じる事後トラブルです。典型例としては、

  • 恋愛関係ではなかったのに好意の誤認があったケース
  • 飲み会の雰囲気の延長で接触したケース
  • 職場の評価関係が絡んだケース
  • その日は反応が曖昧だったが後日問題化するケース
  • SNSやLINEで後から拒否や不快感を示されるケース

などがあります。

特に、「その場では断られなかったが、翌日以降にSNSで抗議を受け、最終的に被害届や相談に発展した」というパターンは珍しくありません。これは、相手の拒否や違和感がその場で言語化されなかっただけで、同意があったとは評価できない典型例ともいえます。

下記の関連記事も併せてご覧ください。

不同意わいせつ罪と強制わいせつ罪の違い|刑法改正のポイント

不同意わいせつ罪は、2023年7月13日施行の刑法改正により新設された性犯罪で、従来の「強制わいせつ罪」「準強制わいせつ罪」が統合される形で生まれました。両者は名称が似ていますが、成立の考え方や構成要件、時効、刑罰などに大きな違いがあり、改正の背景を踏まえてそのポイントを押さえておくことが重要です。

刑罰の種類の変更

従来の強制わいせつ罪の法定刑は「懲役刑」でしたが、不同意わいせつ罪では「拘禁刑」が導入されています。

刑期の下限や上限(6月以上10年以下)は同じですが、拘禁刑は懲役刑と異なり刑務作業が義務付けられておらず、受刑者の特性に応じた処遇が可能になるとされています。
法改正では一律に重くしたのではなく、処遇の柔軟性を高める方向で体系が整理されたといえます。

構成要件の変更

両者の最も大きな違いは、犯罪成立の軸が暴行・脅迫から同意の有無へとシフトした点にあります。

強制わいせつ罪は、暴行または脅迫を用いたわいせつ行為が処罰対象でしたが、不同意わいせつ罪では、同意の形成・表明・全うが困難な状態(8類型)が構成要件として整理され、実質的に処罰対象が広がりました
社会的な立場や上下関係を利用した事案、飲酒や酩酊状態の事案、誤信利用の事案など、従来は立件が困難だった事例が制度的に処理されやすくなっています。

性交同意年齢の引き上げ

性行為に有効な同意が成立するとされる年齢(性交同意年齢)は、改正前は13歳でしたが、改正後は16歳に引き上げられました。

また、相手が13歳以上16歳未満であっても、行為者が5歳以上年上である場合には同意があっても処罰対象となる仕組みが採用されています。
未成年者の性行為に関する法的評価が厳格化されたことは、不同意わいせつ罪に限らず性犯罪全体の改正ポイントといえます。

公訴時効の延長

強制わいせつ罪の公訴時効は7年でしたが、不同意わいせつ罪は12年に延長されました。

性被害は、相談や申告に至るまで時間がかかるケースが多いため、制度的にその事情を考慮した構造になっています。
加害者側にとっては、過去の行為が長期間にわたり刑事責任を問われる可能性がある点で無視できない変更です。

配偶者間でも犯罪が成立することが明文化

従来も判例上は配偶者間で強制わいせつが成立し得るとされていましたが、条文には明文規定がありませんでした。

改正後は不同意わいせつ罪において配偶者間でも犯罪が成立することが明記され、解釈上の疑義が解消されています。
婚姻関係や交際関係にあることが同意の根拠にはならないことが制度的に明確化されたといえます。

下記の関連記事も併せてご覧ください。

不同意わいせつ罪で逮捕されたときの刑事手続きの流れ

不同意わいせつ罪で逮捕されたときの刑事手続きの流れ

不同意わいせつ罪で逮捕されると、警察による取調べが行われた後、検察官に送致されます。送致後、検察官は勾留請求を行うかどうかを判断し、裁判所が勾留を決定した場合には最長で10日間勾留されます。必要があると判断された場合にはさらに10日間の延長が認められ、最大20日間の身柄拘束が続くことがあります。

勾留中は、取調べが続き、示談の成立状況や供述内容、証拠の状況などを踏まえて、検察官が起訴するか、不起訴とするかを決定します。

不同意わいせつ罪は、同意の有無や状況の評価が争点になることが多く、示談が成立すれば不起訴となる余地が広がるケースもあります。

下記の関連記事も併せてご覧ください。

不同意わいせつ罪で早期釈放・不起訴・刑の減軽を目指すなら示談が重要

不同意わいせつ罪では、被害者との示談の有無が処分に大きく影響します。
示談が成立している場合、被害感情の回復や被害者意思の反映が期待できるため、早期釈放や不起訴処分が選択される可能性が高まりますので、早期に示談交渉に着手することが重要です。

不同意わいせつ罪の示談金相場は、一般的に50~100万円程度とされていますが、
①行為の内容や強度
②継続性・計画性
③被害の程度や生活への影響
④被害者の年齢や立場
⑤示談交渉のタイミングなどを踏まえて金額が決められる

そのため悪質なケースでは100万円を超えることもあります。

また、示談交渉において加害者本人が被害者に直接連絡を取ることは、トラブルや誤解を招くだけでなく、場合によっては別の犯罪(脅迫や口止めの疑いなど)を生じさせるリスクがありますので、必ず弁護士を窓口にして行うようにしてください。

不同意わいせつ罪で有罪になった場合の量刑傾向

不同意わいせつ罪で有罪となった場合の量刑は、事案ごとに大きく異なりますが、一般的な相場としては懲役(拘禁刑)1~3年程度とされています。また、執行猶予が付くケースも多く、適切な弁護活動が行われた場合には社会生活を維持しながら刑を受ける可能性も十分にあります。

量刑を左右する事情としては、行為の態様・動機・結果の重大性といった要素に加え、示談の有無、反省の程度、再犯防止への取り組み、前科の有無など情状面の要素も重要になります。特に、示談が成立している場合は、執行猶予獲得に有利に働くことが多く、刑事弁護上も重視される部分です。

下記の関連記事も併せてご覧ください。

不同意わいせつ罪に関する当事務所の解決事例の紹介

ここでは、不同意わいせつ罪に関して、当事務所が実際に対応した解決事例を紹介します。
事案ごとに状況や結果は異なりますが、どのような対応が処分結果に影響するのかを理解する参考になります。

【事例1】示談交渉により被害届を取り下げたケース

マッサージ店を経営する男性が、来店した女性客に対して施術中に胸や陰部に触れるなどのわいせつ行為を行い、後日被害女性から被害届が提出された事案です。

依頼者は、刑事処分を回避したいとの強い希望から弁護士に相談しました。弁護士は受任後すぐに被害者へ連絡を取り、謝罪の意を伝えるとともに示談交渉を開始しました。

当初、被害者側からは300万円の示談金が提示されましたが、依頼者の資力や反省状況を丁寧に説明し、粘り強く交渉を行いました。その結果、最終的に200万円(分割払い)で合意に至りました。

さらに、被害者の強い処罰感情に配慮し、

・マッサージ店の閉店
・今後同様の営業を行わない旨の誓約
・被害者との一切の接触禁止

といった再発防止策を示談条件として盛り込みました。

これらの誠実な対応が評価され、示談金の完済後、被害届は取り下げられました。結果として、刑事事件化を回避し、依頼者は前科を免れることができました。

【事例2】示談成立と身柄解放により不起訴となったケース

深夜の電車内で、酒に酔った状態のまま女性の衣服を引っ張り胸元を覗こうとした男性が、不同意わいせつ未遂の容疑で現行犯逮捕された事案です。

依頼者は一度釈放されたものの再逮捕され、10日間の勾留が決定されていました。仕事への影響や社会復帰の遅れを強く懸念し、弁護士に依頼しました。

弁護士はまず、勾留決定に対する準抗告を申し立て、
・深い反省の意思
・今後当該路線を利用しない生活環境の整備
・妻による身元監督体制
などを具体的に主張しました。

また並行して、被害者への謝罪と示談交渉を進め、70万円の示談金で合意を成立させました。さらに、示談成立の事実や再発防止策を検察官に丁寧に報告しました。

その結果、準抗告が認められ早期に釈放されるとともに、最終的には不起訴処分となりました。依頼者は前科を回避し、仕事への影響も最小限に抑えることができました。

【事例3】示談成立により不起訴(起訴猶予)となったケース

保険会社に勤務する男性が、自宅で女性に対してキスや身体接触を行い、強制わいせつの疑いで逮捕・勾留された事案です。

依頼者は当初、犯行を否認していましたが、その後事実を認めて深く反省するに至りました。弁護士は、依頼者の更生可能性を踏まえ、不起訴処分を目指した弁護活動を行いました。

具体的には、
・勾留に対する準抗告の申立て
・被害者への謝罪文の作成・提出
・被害者代理人との示談交渉
・勤務先や家族との連携による監督体制の構築

などを進めました。

最終的に、100万円の示談金を支払うことで示談が成立し、被害者との接触禁止などの条件も合意されました。

その結果、勾留満了後に釈放され、最終的には不起訴(起訴猶予)となりました。示談成立と反省態度が、処分判断に大きく影響した事例です。

【事例4】少年事件において複数の示談を成立させたケース

未成年の少年が、公園やマンション内で複数の女性に対してわいせつ行為を行い、一部では怪我を負わせた事案です。家庭裁判所送致が見込まれる中で、被害回復と処分軽減が大きな課題となっていました。

弁護士は、被害者本人だけでなく家族や代理人とも連絡を取り、それぞれの意向を丁寧に確認しました。そのうえで、

・謝罪
・接触禁止
・口外禁止
・宥恕条項

などを含む示談条件を整理し、示談書を作成しました。

また、示談金額についても慎重に交渉を重ね、最終的に

・強制わいせつ:100万円
・強制わいせつ致傷:200万円
での示談成立に至りました。

被害回復という点では一定の成果を得ることができましたが、少年については更生の必要性が高いと判断され、更生施設での指導を受けることとなりました。

【事例5】執行猶予を獲得したケース

路上での痴漢行為および強制わいせつ致傷で起訴された専門学生の事例です。被害女性を転倒させ、怪我を負わせたことから、実刑判決の可能性もある事案でした。

弁護士は逮捕直後から接見を重ね、精神的に不安定な依頼者を支えながら、今後の方針を整理しました。また、勾留に対する準抗告を申し立てるなど、身柄解放に向けた活動も行いました。

並行して、被害者2名との示談交渉を進め、それぞれ

・150万円
・50万円
で示談を成立させました。

公判では、
・示談成立による被害回復
・依頼者の深い反省
・家族による監督体制
などを丁寧に主張しました。

その結果、判決は懲役1年2月・執行猶予3年となり、実刑を回避することができました。早期の示談と継続的な弁護活動が、量刑に大きく影響した典型的な事例です。

【事例6】分割払いの示談により不起訴を獲得したケース

飲食店で知り合った女性に対してキスをしたとして、不同意わいせつの疑いで捜査を受けた会社員の事例です。検察送致が見込まれる段階で、示談成立と不起訴を目指して弁護士に依頼しました。

本件では、
・被害者の連絡先が不明
・処罰感情が読みづらい
・依頼者に資力の制約がある
といった複数の課題がありました。

弁護士は検察官を通じて被害者との連絡ルートを確保し、謝罪文の送付やZoom面談などを経て信頼関係の構築を図りました。

交渉の結果、総額100万円の示談金について、3回 の分割払いで合意しました。

示談成立後は速やかに検察庁へ報告を行い、処分判断に反映されるよう働きかけました。

その結果、最終的に不起訴処分となり、依頼者は前科を回避することができました。資力に制約がある場合でも、適切な交渉により解決が可能であることを示す事例です。

不同意わいせつ罪に関するよくある疑問(Q&A)

以下では、不同意わいせつ罪に関してよく寄せられる質問について、Q&A形式で紹介します。

拒否されていなければ同意があったことになりますか?

拒否が明示されていないからといって同意があったとは評価されません

不同意わいせつ罪では、相手が自由に拒否できる状況だったか、同意を形成できる環境だったかが重視されます。沈黙や硬直、雰囲気に合わせた対応は同意とは別です。

強制わいせつより処罰は重くなったのですか?

法定刑の上限と下限は従来と同じですが、暴行・脅迫を前提としない構成要件になったため、処罰対象が広がった点に違いがあります。

示談をすれば処罰されなくなりますか?

示談が成立しても必ず不起訴になるとは限りませんが、不同意わいせつ罪では示談が不起訴や執行猶予に大きく影響することがあります。早い段階での示談成立は弁護活動上重要です。

同意のないキスの慰謝料はいくらですか?

慰謝料額は行為態様、関係性、年齢、示談交渉の状況によって大きく変わります。同じキスであっても、職場や上下関係、飲み会、恋愛関係の有無で評価が異なります。

そのため、まずは弁護士に相談して、適正な金額を算定してもらいましょう

無理やりキスをしたら訴えられますか?

無理やりキスをした場合は、不同意わいせつ罪の成立が認められる可能性があります。強制力の有無だけで判断されるわけではなく、同意の有無が中心的な評価要素となります。

キスを無許可でしたらどうなる?

同意のないキスは、不同意わいせつ罪になる可能性があります。

不同意わいせつ罪では、恋愛関係や好意の有無が誤認されやすく、認識のズレによって刑事事件化するケースがあります。

キスだけで慰謝料は発生しますか?

慰謝料は行為の重大性や関係性、被害感情などを踏まえて決まるため、キスであっても慰謝料が発生することがあります。早期に示談をすることで刑事事件化を避けられる可能性もありますので、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

不同意わいせつ罪の相談はグラディアトル法律事務所へ

不同意わいせつ罪の相談はグラディアトル法律事務所へ

不同意わいせつ事件は、当事者間の認識のズレや同意の評価が中心となるため、捜査段階での対応や説明の仕方によって結果が大きく変わることがあります。特に、逮捕・勾留段階では取調べの内容が処分に直結しやすく、示談交渉のタイミングや方法も不起訴や執行猶予の獲得に影響するため、早い段階で刑事事件に精通した弁護士に相談することが重要です。

当事務所では、不同意わいせつ罪を含む性犯罪の弁護活動に多くの経験があり、早期の釈放支援、示談交渉による不起訴獲得、執行猶予の確保など、事案に応じた最適な対応策を提示しています。被害者への連絡は加害者本人から行うことができないため、弁護士が窓口となって交渉を行うことで、示談成立の可能性を高めることが可能です。

また、不同意わいせつ事件は社会的信用や職場・家族関係への影響も大きく、事案の行方によっては人生に重大な結果をもたらします。こうした事情に適切に対応するためには、弁護方針や処分見通しを整理しつつ、捜査機関とのやり取りや示談交渉を丁寧に進める必要があります。

相談は初回無料、24時間365日受付していますので、不同意わいせつ罪でお困りの方は早めにご相談ください。

まとめ

不同意わいせつ罪は、行為の軽重だけでなく同意や状況が重視される犯罪であり、恋愛関係や飲み会、上下関係など日常の場面で成立し得ることが特徴です。同意があったつもりという認識違いから刑事事件化するケースも少なくありません。

逮捕後の対応や示談の有無は不起訴や量刑に影響するため、早期に弁護士へ相談することが重要です。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力。数多くの夜のトラブルを解決に導いてきた経験から初の著書「歌舞伎町弁護士」を小学館より出版。 youtubeやTiktokなどでもトラブルに関する解説動画を配信している。

お悩み別相談方法

弁護プラン一覧

よく読まれるキーワード