過失運転致死傷罪の時効は何年?逃げ切れない理由と今すぐすべき対応

過失運転致死傷罪の時効は何年?逃げ切れない理由と今すぐすべき対応
弁護士 若林翔
2025年08月29日更新

「交通事故を起こして現場から逃げてしまったが時効まで逃げ切ることはできる?」

「過失運転致死傷罪の時効は何年?」

「交通事故を起こしたときに時効待ち以外にとるべき行動とは?」

交通事故を起こしてしまい過失運転致死傷罪に問われる可能性がある場合、「時効まで逃げ切れないか…」と考えてしまう方もいるかもしれません。たしかに、過失運転致死傷罪には時効があるため、事故から5年(負傷させた場合)または10年(死亡させた場合)が経過することで罪に問われなくなりますが、実際には交通事故を起こして逃げ切ることはほぼ不可能です。

そのため、事故後現場から逃げてしまったときは、時効まで何もせずに待つのではなく、早期に自首や示談などの行動をとることが需要になります。

本記事では、

・過失運転致死傷罪の公訴時効・消滅時効の違いや期間
・過失運転致死傷罪の関連犯罪の時効
・過失運転致死傷罪を犯した方が今すぐに取るべき対応

などをわかりやすく解説します。

事故を起こしてしまった方やその家族の方は、ぜひ参考にしてください。

過失運転致死傷罪の時効には2種類ある|公訴時効と消滅時効

過失運転致死傷罪の時効には2種類ある

交通事故によって人を死傷させてしまった場合、過失運転致死傷罪が適用されます。過失運転地司法罪には、以下のように刑事および民事上の時効がありますので、まずはそれぞれの違いを正しく理解しておくことが大切です。

公訴時効とは?|刑事事件の時効

公訴時効とは、刑事事件において検察官が裁判所に起訴できる期限のことです。つまり、一定期間が経過すれば、その事件について刑事裁判を行うことができなくなるという制度です。

刑事事件の性質や罪の重さによって時効期間は異なり、重大な犯罪ほど時効期間が長くなるのが特徴です。時効が完成すれば、その事件について起訴されることはなくなり、刑事責任を問われることもありません。

消滅時効とは?|民事事件の時効

消滅時効とは、民事事件で損害賠償請求ができる期間のことをいいます。交通事故で人を傷つけたり死亡させたりしてしまった場合、被害者やその遺族から損害賠償請求を受ける可能性があります。

この損害賠償請求にも期限があり、それが「消滅時効」です。民事上の請求権も一定期間の経過により消滅してしまうため、消滅時効が成立すれば加害者は、被害者に対する賠償責任を免れることができます。

過失運転致死傷罪の公訴時効期間は5年または10年

過失運転致死傷罪の公訴時効期間は5年または10年

過失運転致死傷罪の公訴時効は、事故の結果が「致傷」と「致死」のどちらであるかによって異なります。

・過失運転致傷罪(負傷させた場合):5年
・過失運転致死罪(死亡させた場合):10年

たとえば、自動車の運転中に前方不注意で歩行者をはねて怪我をさせた場合は、負傷にとどまるため5年が公訴時効期間になります。一方で、事故によって被害者が死亡した場合には、より重い結果が生じていることから公訴時効期間は10年に延びます。

なお、公訴時効のカウントは、事故が発生した日(=犯行日)から始まります。時効が完成するまでに犯人が特定され、起訴に至れば、その後は時効によって処罰を免れることはできません。

過失運転致死傷罪に関連する犯罪の公訴時効

過失運転致死傷罪に関連する犯罪の公訴時効

交通事故に関連する犯罪は、過失運転致死傷罪だけではありません。以下のような関連犯罪にも、それぞれ異なる公訴時効が設けられています。

危険運転致死傷罪|10年または20年

飲酒運転や無免許運転、あおり運転など、著しく危険な運転によって人を死傷させた場合は、危険運転致死傷罪に問われます。

この罪の公訴時効は以下のとおりです。

・危険運転致傷罪(負傷させた場合):10年
・危険運転致死罪(死亡させた場合):20年

危険運転致死傷罪は法定刑が重いため、過失運転致死傷罪よりも時効が長く設定されています。

救護義務違反|7年

事故を起こした際に、負傷者を救護する義務を怠った場合(いわゆる「ひき逃げ」)、道路交通法違反(救護義務違反)に該当します。

救護義務違反の公訴時効は7年です。

たとえ事故自体が軽微でも、その場から立ち去ると重い刑罰が科されることになります。ひき逃げは道徳的にも社会的にも厳しく非難される行為であり、検挙率も非常に高いです。

無免許過失運転致死傷罪|7年または10年

無免許で自動車を運転し、死傷事故を起こした場合には、無免過失運転致死傷罪が適用されます。この罪の公訴時効期間も結果により異なります。

・無免許過失運転致傷罪(負傷させた場合):7年
・無免許過失運転致死罪(死亡させた場合):10年

無免許運転は、社会的責任が大きいため、過失運転致死傷罪よりも時効が長くなる場合があります。

過失運転致死傷罪の消滅時効期間は5年または20年

過失運転致死傷罪の消滅時効期間は5年または20年

交通事故により人を負傷または死亡させてしまった場合、民事上の損害賠償責任が生じますが、損害賠償請求にも時効があります。過失運転致死傷罪に関する損害賠償の消滅時効は以下のように定められています。

・損害および加害者を知ったときから5年
・交通事故の発生から20年

たとえば、ひき逃げの事案だと加害者の身元が特定できないため、すぐには5年の時効はスタートしませんが、事故から20年が経過してしまうと加害者を特定できなかったとしても時効になってしまいます。

過失運転致死傷罪で時効待ちはリスクが高い!ひき逃げの検挙率は72.1%

過失運転致死傷罪について、「発覚しなければ時効まで逃げ切れるのでは」と安易に考えるのは非常に危険です。実際には時効が成立する前に検挙される可能性が高く、特に死亡事故やひき逃げに至った場合はほとんどのケースで逮捕・起訴に至っています。

令和6年版の犯罪白書(法務省)によれば、ひき逃げ事件の検挙率は72.1%となっています。さらに、死亡事故に限定すると検挙率は90%を超えるとされており、逃げ切ることはほぼ不可能です。

また、事故後に現場を離れると「救護義務違反」が適用され、もともとの過失運転致死傷罪よりも重い法定刑が科される可能性があります。つまり、逃げることで状況が悪化するということです。

時効待ちのリスクは非常に高く、社会的信用や人生そのものを失うおそれもあるため、決しておすすめできません。

過失運転致死傷罪を犯したときに時効待ち以外にすべきこと

過失運転致死傷罪を犯したときに時効待ち以外にすべきこと

事故を起こしてしまったときは、逃げずに適切な対応をとることが重要です。以下では、過失運転致死傷罪を犯したときに時効待ち以外にすべき対応を説明します。

自首(任意出頭)をする

事故を起こして逃走してしまった場合でも、自ら警察に出頭することで「自首」として扱われる可能性があります。自首は刑法上の任意的な刑の減軽事由となる行為であり、量刑判断において有利に働くことがあります。また、自首が成立しない場合でも自らの意思で出頭したという事実は、量刑判断において有利に働きます。

逃走を続けて逮捕されるよりも、自ら出頭して誠実な姿勢を示すほうが、社会的評価や刑事処分の面でもよい結果につながりやすいといえるでしょう。

被害者との示談をする

被害者がいる場合は、早期に被害者と示談を成立させることが重要です。特に、不起訴処分や執行猶予を得るには、被害者の処罰感情や被害回復の有無が大きな要素になります。

示談が成立し、被害者が加害者を許している場合は、検察官が起訴を見送ることもありますので、早期に示談交渉を進めることが望ましいでしょう。

刑事事件に強い弁護士に依頼する

過失運転致死傷罪を含む交通事故事件では、弁護士の支援を受けることで、より適切かつ戦略的な対応が可能になります。

弁護士は、自首や出頭のタイミング、被害者との示談交渉、警察・検察との対応、裁判への備えなどあらゆる場面でサポートしてくれます。

経験豊富な刑事弁護士に依頼すれば、不起訴の獲得や刑の軽減など、実際に大きな違いが生まれることもあります。

過失運転致死傷罪を犯したときは時効待ちではなくグラディアトル法律事務所に相談を

事故を起こしてしまった方にとって、「どうすれば今後の人生を立て直せるのか」「このまま逃げ続けるべきか」といった悩みや不安は尽きないものです。しかし、逃げることは状況を悪化させるだけであり、早期に適切な対応を取ることが重要です。

グラディアトル法律事務所では、過失運転致死傷罪をはじめとする交通事故事件に豊富な実績をもつ弁護士が、迅速かつ丁寧にサポートいたします。

「自首・出頭に弁護士に同行してほしい」「被害者と示談したい」「起訴前にできるだけ有利な対応をとりたい」「家族が逮捕されたので至急対応したい」などあらゆるご相談に対応可能です。刑事事件は初動対応が非常に重要です。迷っている時間が不利益につながることもあるため、時効を待つのではなく、今すぐご相談いただくことをおすすめします。

刑事弁護に強いグラディアトル法律事務所が、あなたとご家族の未来を守る力になります。どうぞ安心してご相談ください。

まとめ

過失運転致死傷罪には、公訴時効(刑事)と消滅時効(民事)の2つの時効が存在します。刑事時効は致傷の場合で5年、致死の場合で10年です。民事の損害賠償請求は、加害者を知ったときから5年または事故から20年で時効となります。

しかし、実際には時効を迎える前に逮捕・起訴されるケースが多く、特に死亡事故やひき逃げでは高い検挙率を誇ります。逃げ切れるという考えは非常に危険であり、逃走することでかえって重い処罰が科されるリスクもあります。

事故を起こした場合は、早期に自首し、被害者と示談をし、弁護士に相談することが何よりも重要です。時効待ちではなくまずはグラディアトル法律事務所までご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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