痴漢で任意同行を要請された!逮捕の可能性やその後の流れを解説

痴漢容疑の任意同行は拒否できる?逮捕の可能性や同行後の流れを解説
弁護士 若林翔
2026年06月26日更新

痴漢の容疑をかけられた場合、警察から任意同行を求められることがあります。

言葉どおり、任意同行に応じるかどうかは「任意」であるため、拒否することも可能です。

しかし、任意同行を拒否すると疑いが強まってしまうため、基本的には素直に応じることをおすすめします

とはいえ、何も準備していなければ、取調べで不適切な対応を取ってしまい、場合によっては逮捕される可能性もあります。

可能であればあらかじめ弁護士に相談し、取調べでの振舞い方などについてアドバイスを受けておくことが大切です。

グラディアトル法律事務所では、以下のような痴漢事件に関与し、解決してきた実績があります。

事案概要路上で女性の身体を触ったとして任意同行に応じ、逮捕されずに、在宅事件として捜査が進行。後日、別の強制わいせつ致傷事件で逮捕・勾留。2件が併合されて正式裁判になった。
結果被害者2名との示談交渉を進め、路上痴漢は50万円、強制わいせつは150万円で成立。執行猶予付き判決を獲得した。

本記事では、痴漢容疑の任意同行は拒否するべきか、応じるべきかについて解説します。

痴漢で任意同行したあとの流れなども詳しく記載しているため、最後まで目を通してみてください。

痴漢容疑で任意同行を求められたときは基本的に応じるべき

ケースバイケースですが、痴漢容疑で任意同行を求められたときは基本的に応じたほうがよいといえます。

ここでは、任意同行を拒否することの是非について解説します。

任意同行を拒否すること自体は可能

前提として、任意同行を拒否すること自体は可能です。

任意同行はその名のとおり「任意」による捜査であり、強制力をともないません

法律上も以下のように規定されています。

(質問)第二条 警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。
2 その場で前項の質問をすることが本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に附近の警察署、派出所又は駐在所に同行することを求めることができる。3 前二項に規定する者は、刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない

(引用:警察官職務執行法|e-Gov 法令検索

たとえば、警察官から「近くの交番まで来てもらえますか」と声をかけられた場合でも、理由に納得できないときや、ほかの用事があるときには断ることができます。

しかし、任意同行を拒否することで不利益を受ける可能性も否定できません

任意同行の要請に対する返答は、必要に応じて弁護士に相談するなど、慎重に判断することが重要です。

正当な理由なく拒否すると逮捕の可能性が高くなる

正当な理由がなく任意同行を拒否すると、逮捕される可能性が高くなります。

任意同行を拒否することで、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されやすくなるためです。

たとえば、「仕事の打ち合わせがある」「子どもの送迎に行かなければならない」などの理由があれば、任意同行を拒否しても構いません。

一方、感情的に反発したり、見え透いた嘘をついたりした場合は逮捕されやすくなります。

余計な疑いを賭けられないためにも、特別な事情がない限りは、任意同行に応じることをおすすめします。

どうしても任意同行に応じられない理由があるときは、余計な疑いをもたれないように、丁寧に事情を説明することが大切です。

痴漢容疑で任意同行に応じても逮捕されるとは限らない

任意同行に応じたとしても、必ず逮捕されるわけではありません。

任意同行はあくまで事情を聴くための手続きであり、逮捕を前提としているわけではないからです。

また、以下の要件を満たさない限り、警察は逮捕に乗り出すことができません。

逮捕の要件

つまり、警察署で取調べを受けた結果、嫌疑がないと判断されたり、逃亡・証拠隠滅のおそれがないと認められたりした場合には、そのまま帰宅できます。

ただし、数としては少ないものの、任意同行後に逮捕されることがあるのも事実です。

特に以下のようなケースでは、逮捕の要件を満たしやすくなるため注意してください。

  • 事件への関与を一貫して否定し続けている場合
  • 住所不定で定職についていない場合
  • 共犯者がいる場合
  • 被害者と接触するリスクがある場合

痴漢事件における任意同行の流れ

痴漢事件で任意同行を求められるタイミングには、主に以下の2種類があります。

任意同行を求められる2つのケース

ここでは、任意同行を求められたあとの流れをケース別に解説します。

痴漢現場で任意同行を求められた場合

被害者や周囲の人物に取り押さえられた場合は、現場に警察が駆けつけ、任意同行を求められることがあります。

警察官が到着すると簡単な聞き取りがおこなわれ、近くの警察署へと同行するケースが一般的です。

警察署に到着したあとは、取調室で本格的な事情聴取が始まります。

被疑者としての言い分や事件の経緯などを詳細に聞き取られることになるでしょう。

また、取調べと並行して身体検査や持ち物検査、指紋採取、写真撮影などがおこなわれることもあります。

なお、初犯で本人も罪を認めているような場合には、逮捕を避けられるケースがほとんどです。

後日、任意同行を求められた場合

犯行からしばらく経ったあとに、突然警察から任意同行を求められるケースもあります。

現場で声を上げられなかった被害者が後日被害届を提出したり、防犯カメラの映像から被疑者が特定されたりした場合に多いパターンです。

警察は、特定した被疑者に連絡を入れ、警察署への出頭を求めます

後日の任意同行を求められたときは、ある程度の証拠が揃っているとのと考えたほうがよいでしょう。

警察署では事件への関与や当時の状況について詳しく質問されますが、下手にうそをつくことは避けるべきです。

供述内容次第では、その場で通常逮捕に切り替えられる可能性もあります。

任意同行を求められた段階で、できるだけ早く弁護士に相談し、取調べでの対応方針について助言を受けておきましょう。

痴漢事件の任意同行後に逮捕されないための対処法

ここでは、痴漢事件の任意同行後に逮捕されないための対処法を4つ紹介します。

痴漢事件の任意同行後に逮捕されないための対処法

被害者との示談を成立させる

逮捕を回避したいのであれば、被害者との示談成立を目指すことが重要です。

示談で和解していることを示せば、「わざわざ逮捕して身柄を拘束する必要はない」と判断されやすくなります

また、不起訴になる可能性が大幅に高まる点も、示談を成立させるメリットといえるでしょう。

ただし、被害者と直接示談交渉するのはおすすめしません

そもそも連絡先を入手できないケースがほとんどであり、仮に接触できたとしても、恐怖心や怒りの気持ちをあおってしまうおそれがあります。

足元をみられて、高額な示談金を請求される可能性も否定できません。

適切な条件での示談を望むのであれば、弁護士に相談・依頼することが大切です。

暴行・暴言とみなされるような行動は避ける

任意同行中や取調べの最中に、暴行・暴言とみなされる行動を取ってはいけません。

職務執行中の警察官に対する暴行・暴言は、公務執行妨害罪に問われる可能性があるためです。

新たな罪が加わると、当然、逮捕される可能性も高くなってしまいます。

たとえ身に覚えのない疑いをかけられたとしても、警察官に怒鳴ったり、机を叩いたりするような行動は控えるべきです。

冷静さを失わず、毅然とした態度で取調べに臨むことが、結果的に自身を守ることにつながります。

証拠隠滅・逃走を図ろうとしない

逮捕を回避するためにも、証拠隠滅や逃走を図ろうとしてはいけません。

「証拠隠滅・逃亡のおそれがあること」は逮捕要件のひとつです。

たとえば、スマートフォンのデータを削除したり、警察との連絡を遮断したりすると逮捕される可能性が高まります。

そもそも、被疑者として警察に認知されている状況で、証拠隠滅や逃走を図るのは賢い選択ではありません。

データを削除しても復元される可能性が高く、時効まで逃走し続けることもほぼ不可能です。

むしろ捜査に協力する姿勢を示したほうが、在宅事件として処理される可能性が高まり、社会生活への影響も最小限に抑えられるでしょう。

軽率な発言を控える

取調べの場では、軽率な発言を控えることも心がけてください。

たとえば、「もう家に帰りたくない」「事件のことは誰にも知られたくない」といった発言は、逃亡の意思を示すものとして受け取られかねません。

また、取調べでの供述は供述調書として記録され、後の刑事手続きにおける重要な証拠となる点にも注意が必要です。

身に覚えのないことは否定し、答えたくない質問には黙秘権を行使してください。

また、取調べ後に供述調書の確認を求められるので、納得できない部分がある場合は必ず訂正してもらいましょう。

痴漢の任意同行について弁護士に相談するメリット

痴漢の任意同行について不安を抱えているのであれば、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

ここでは、弁護士に相談する2つの大きなメリットを紹介します。

痴漢の任意同行について弁護士に相談するメリット

任意同行に付き添ってもらえる

弁護士に相談・依頼するメリットのひとつは、任意同行に付き添ってもらえる点です。

警察官による取調べは密室でおこなわれるため、被疑者にとって大きな心理的負担となります。

その点、弁護士が同行してくれれば、警察署に向かう道中や取調べの直前に具体的なアドバイスを受けられます

たとえば、供述すべき内容や黙秘権を行使するタイミング、署名・押印を求められた際の判断基準などを事前に整理できるのです。

また、取調べ中に不安や疑問が生じた場合でも、休憩時間を利用して弁護士に相談することができます。

「任意」の範囲を超えた要請に抗議してもらえる

弁護士に相談・依頼していれば、「任意」の範囲を超えた警察官の要請に対して、適切に抗議してもらえます。

任意同行は本人の同意を前提とした手続きであり、強制力を持つものではありません。

しかし実際の現場では、「来てもらわないと困る」「拒否すれば逮捕せざるを得ない」などと半ば強制的に同行を迫られるケースも少なくありません

また、警察署に到着したあとの取調べにおいても、帰宅の意思を伝えても聞き入れてもらえず、長時間にわたって引き留められることがあります。

このようなケースでは、弁護士が法的根拠を示しながら抗議してくれるので、不当な身柄拘束を未然に防ぐことが可能です。

弁護士が任意同行をともなう痴漢事件を解決した事例

次に、グラディアトル法律事務所の弁護士が関与した痴漢事件の事例を2つ紹介します。

【新幹線内で痴漢を疑われ、任意同行となった事例】

事案概要新幹線に乗車中、前席の隙間に足を伸ばしていたところ、前席付近にいた女性から「痴漢です」と声をかけられた。男性は、故意に身体を触ろうとしたわけではないとして、容疑を否認。降車後に警察官が駆け付け、任意同行に応じた。
弁護士の対応故意は否定しつつも、仮に不用意な足の置き方で接触した可能性があるなら、謝罪や示談の申入れを検討したほうがよいことを伝えた
結果ー(相談・助言のみの対応)

【路上痴漢で任意同行となった事例】

事案概要路上で女性の身体を触ったとして、後日警察が自宅を訪問。任意同行に応じ、在宅事件となった。その後、別の強制わいせつ致傷事件で逮捕・勾留され、最終的に2件が併合されて正式裁判となった。
弁護士の対応刑事事件の流れや示談の重要性などについて説明。また、被害者2名との示談交渉を進め、路上痴漢は50万円、強制わいせつは150万円で成立させた。
結果懲役1年2月・執行猶予3年

痴漢が事件化した際は、個々のケースに合わせた対応が必要です。

自己判断で行動すると事態を悪化させるおそれがあるので、いち早く弁護士に相談してください。

痴漢の任意同行に関してよくある質問

最後に、痴漢の任意同行に関してよくある質問に回答します。

痴漢の任意同行に関してよくある質問

痴漢冤罪でも任意同行に応じるべき?

痴漢冤罪であっても、任意同行には応じることをおすすめします

現場での説明だけで疑いが晴れることは基本的にありません。

任意同行を拒否してその場を離れようとすれば、「逃亡を図った」とみなされ、逮捕されるリスクが高まります。

冤罪の疑いを晴らすためには、警察署で事実関係を丁寧に説明し、無実を主張することが重要です。

ただし、取調べでは誘導的な質問により、意図せず不利な供述をしてしまう可能性もあります。

冤罪を主張するのであれば、できるだけ早い段階で弁護士に相談し、取調べの対応方針を整理しておきましょう。

痴漢した日から任意同行を求められるまでの期間は?

痴漢した日から任意同行を求められるまでの期間は、数日から数ヵ月程度が一般的です。

事件を認知した警察は防犯カメラの解析や聞き込み、ICカード利用履歴の確認など地道な捜査を進めていきます。

被疑者の特定に時間を要するケースでは、事件発生から数ヵ月後に突然連絡がくることも珍しくありません

時効が成立するまでの間は、いつ任意同行を求められても不思議ではない状態が続きます。。

痴漢はどんな罪に問われる?

痴漢行為は、その態様や程度に応じて主に2つの罪に問われます

該当する行為の例刑罰時効
迷惑防止条例違反衣服の上から体を触るなど、比較的軽微な痴漢行為6ヵ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(東京都の場合)3年
不同意わいせつ罪衣服の中に手を入れる、下着の中に手を入れるなど、悪質性の高い痴漢行為6ヵ月以上10年以下の拘禁刑12年

初犯の場合、迷惑防止条例違反の量刑相場は20万円~30万円程度の罰金です。

不同意わいせつ罪なら、1年~3年の拘禁刑に執行猶予がつくケースが一般的といえるでしょう。

ただし、本人が素直に罪を認め、示談も成立しているような場合には、不起訴を獲得できる可能性も残されています。

痴漢の任意同行が不安なときはグラディアトル法律事務所に相談を!

本記事のポイントは以下のとおりです。

  • 拒否は可能だが、正当な理由がなければ逮捕の可能性が高まる
  • 任意同行に応じても必ず逮捕されるわけではない
  • 逮捕回避には示談が最重要
  • 任意同行の段階から弁護士のサポートを受けるのが効果的

痴漢の疑いで任意同行を求められた場合は、逮捕を回避するためにも、基本的には応じたほうがよいと考えられます。

しかし、その後の取調べ次第では逮捕される可能性もあるので、まずは弁護士に相談し、アドバイスを受けておくことが大切です。

グラディアトル法律事務所では、経験豊富な弁護士が24時間365日体制で相談を受け付けています

初回相談は無料、LINEでの相談にも対応しているので、事態が悪化する前にまずは一度お問い合わせください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力。数多くの夜のトラブルを解決に導いてきた経験から初の著書「歌舞伎町弁護士」を小学館より出版。 youtubeやTiktokなどでもトラブルに関する解説動画を配信している。

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