住居侵入罪における示談の効果とは?示談交渉の流れやポイントを解説

住居侵入罪における示談の効果とは?示談交渉の流れやポイントを解説
  • 関連する弁護プラン:
弁護士 若林翔
2025年07月24日更新

「住居侵入罪で示談をするとどのような効果がある?」

「住居侵入罪の示談金相場はどのくらい?」

「住居侵入罪で示談をする場合、どのような方法で行えばいい?」

住居侵入罪で警察の捜査を受けたり、逮捕されてしまうと前科がついてしまうのではないかと不安に感じる方も多いでしょう。このようなケースでは、被害者との「示談」が非常に重要な意味を持ちます。

被害者との示談が成立すれば、不起訴処分となる可能性が高まり、前科を回避できる可能性が高くなりますので、速やかに被害者との示談交渉に着手することが重要です。

本記事では、

・住居侵入罪における示談の意味と効果

・住居侵入罪で示談が成立しやすいケースと難航しやすいケース

・住居侵入罪で被害者が示談に応じてくれないときの対処法

などについて詳しく解説します。

住居侵入罪を犯したものの逮捕や前科を回避したい、少しでも処分を軽くしたいと希望される方は、ぜひ最後までご覧ください。

住居侵入罪で不起訴処分の獲得を目指すなら示談が重要!

住居侵入罪は、他人の住居や建物などに正当な理由なく侵入した場合に成立する犯罪です。住居侵入罪は、窃盗や強盗、盗撮など他の犯罪の手段として利用されることの多い犯罪ですので、住居侵入罪が発覚すれば逮捕・起訴されて、前科がついてしまうリスクがあります。

このようなリスクを回避し、不起訴処分を獲得するには、被害者との示談が重要です。

被害者との示談が成立すれば、検察官は、被害感情が沈静化し、当事者間で解決済みであるとして、不起訴処分(起訴猶予)の判断に傾く可能性が高くなります。また、仮に起訴されたとしても、示談が成立しているという事情は有利な情状として考慮されますので、罰金刑や執行猶予付き判決により実刑を回避できる可能性が高くなります。

このように住居侵入事件では、被害者と示談できるかどうかが重要なカギといえるでしょう。

関連コラム:住居侵入罪とは?成立要件や刑罰、逮捕されたときの対処法を解説

住居侵入罪の示談金相場|10~20万円程度

住居侵入罪の示談金相場|10~20万円程度

住居侵入罪における示談金の相場は、被害の程度や被害者の処罰感情によっても異なりますが、一般的には10万円〜20万円程度が目安とされています。

たとえば、庭や敷地に誤って立ち入ったといった軽微なケースでは、示談金が10万円以下にとどまることもあります。一方で、被害者に精神的苦痛を与えたケースや、夜間に無断で敷地内に侵入したような事案では20万円を超える示談金が提示される場合もあります。

実際の示談金は、具体的な事案によって異なりますので、ご自身の事案における示談金がいくらになるのか気になる方は、弁護士に相談してみるとよいでしょう。

関連コラム:住居侵入の示談金はいくら?高額になるケースや払えないときの対処法

住居侵入罪で示談が成立しやすいケース

住居侵入罪で示談が成立しやすいケース

住居侵入罪の中でも以下のような事案に関しては、比較的示談がスムーズに成立する傾向があります。

被害が軽微なケース

庭や玄関先などに一時的に立ち入っただけといった、被害が比較的軽微なケースでは、被害者も処罰感情が強くなく、示談に応じてもらえる可能性が高いといえます。

被害者と面識があり、関係性が良好なケース

友人や職場の同僚の家を訪れた際に無断で敷地に入ってしまったといった場合、相手との関係が悪化していなければ、誠意ある謝罪を通じて示談に応じてもらえることがあります。

お互いに面識がある者同士だと、今後の関係性も考慮して穏便に解決したいと考える傾向があります。

被害者が個人ではなく法人であるケース

侵入した場所が店舗や会社の敷地であり、被害者が法人である場合、示談の可否は個人的な感情よりも、企業としての方針や損害の有無に基づいて判断される傾向があります。

このような場合、示談に関しては事務的に処理されますので、被害者が個人の場合に比べて示談が成立しやすいといえます。

住居侵入罪で示談交渉が難航しやすいケース

住居侵入罪で示談交渉が難航しやすいケース

住居侵入罪の事案の中でも以下のような事情がある場合には、示談交渉が難航する可能性が高くなります。

被害者が強い処罰感情を有しているケース

被害者が、強い恐怖心や怒りを抱いている場合、示談交渉に応じてもらうのは非常に困難です。特に、夜間や不在時に侵入されたようなケースでは、「自分の安全が脅かされた」と感じて強い処罰感情を抱く傾向があります。

また、被害者が一人暮らしの女性だと精神的ショックが大きくなりやすく、「許せない」「絶対に罰してほしい」と考えることも少なくありません。こうした感情を抱いている場合、加害者の謝罪や示談金の提示だけでは許してもらえず、示談を拒否される大きな要因となります。

処罰感情が強い場合は、弁護士が被害者の気持ちを丁寧にくみ取りながら、冷静に事情を説明し、時間をかけて誠意を伝える交渉が必要です。

他の犯罪目的で侵入したケース

住居侵入罪は、他の犯罪の手段として利用されるケースも多く、そのようなケースだと事件の悪質性が増大するため、示談のハードルが一気に上がります。

たとえば、以下のようなケースでは、示談が難航することが多いでしょう。

・ストーカー目的での侵入

・窃盗目的での侵入

・わいせつ目的での侵入

・DVや嫌がらせを目的とした侵入

これらのケースでは、被害者が「再犯の危険性」を強く感じたり、精神的苦痛が長期間にわたって継続したりするため、加害者側の謝罪や金銭的な補償では償えないと感じやすくなります。

このような場合でも、刑事弁護の経験豊富な弁護士に依頼することで、反省の意思や再犯防止策を適切に説明することにより、被害者の理解が得られやすくなるでしょう。

具体的な被害が発生しているケース

住居侵入により、実際に金銭的・精神的な損害が発生している場合、被害者が示談に応じるハードルはさらに高くなります。

たとえば、以下のような状況では、単なる謝罪だけでの解決は困難です。

・物品が壊された、盗まれた

・侵入の際に玄関や窓などが破損した

・侵入後に継続的な恐怖や不安を抱えて精神的苦痛を訴えている

・侵入後に引っ越しを余儀なくされた

このような事案では、示談金も高くなる傾向があり、示談金の相場を大きく超える金額を提示しなければ交渉が成立しないこともあります。

住居侵入罪で被害者が示談に応じてくれないときの対処法

住居侵入罪で被害者が示談に応じてくれないときの対処法

住居侵入罪で被害者が示談に応じてくれない場合でも、以下のような方法により不起訴処分を獲得できる可能性があります。

弁護士に示談交渉を任せる

当事者本人が直接謝罪しようとすると、かえって被害者の警戒心を強めてしまうことがあります。そのため、当事者本人では示談が難しいというときは、弁護士に示談交渉を任せた方がよいでしょう。

刑事事件に強い弁護士であれば、被害者の処罰感情にも配慮しながら示談交渉を進めることができますので、相手に不快な感情を与えずに話し合いを行うことが可能です。特に、刑事事件の示談経験が豊富な弁護士なら、さまざまなケースを経験していますので、示談成立が困難なケースであっても過去の経験に基づいて適切に対応することができます。

弁護士の専門性や経験は、示談の結果を大きく左右しますので、被害者との示談交渉を任せるなら刑事事件に強い弁護士がおすすめです。

示談交渉の経過をまとめた報告書を検察官に提出

弁護士が介入しても、被害者の処罰感情が強い事案では示談ができないことがあります。

しかし、このような事案でも、誠実に交渉に取り組んだ記録を弁護士が作成し、検察官に提出することで、起訴・不起訴の判断の際に有利な事情として考慮してもらうことができます。

たとえば、適正な示談金を提示して真摯に謝罪をしているにもかかわらず、被害者側が法外な示談金を要求しているために示談が成立しないという場合には、加害者側の姿勢を評価して、不起訴処分にしてもらえる可能性も十分にあるでしょう。

また、このような報告書を提出したことをきっかけに検察官から被害者に働きかけがあり、示談がまとめるといったケースもあります。

そのため、示談が成立しないからといってすぐに諦めるのではなく、真摯な態度で交渉を続けることが重要です。

住居侵入罪の示談交渉の流れ

住居侵入罪の示談交渉の流れ

住居侵入罪の示談交渉は、当事者同士ではトラブルの原因となりますので、基本的には弁護士を入れて行うべきです。以下では、弁護士に依頼した場合の示談交渉の流れを説明します。

捜査機関に被害者と示談したい旨を申し入れる

被害者の連絡先がわからない場合、まずは弁護士から捜査機関に対して「被害者と示談をしたい」旨の申し入れを行います。

捜査機関が被害者に連絡し、示談に関する意思確認をする

弁護士から示談の申し入れがあると、捜査機関は被害者に連絡し、加害者側から示談の申し入れがあったことを伝えます。その際に、被害者側の示談の意向や連絡先開示の可否が確認されます。

被害者の連絡先が開示される

被害者が示談に応じる意向を示し、連絡先を開示することに同意した場合、捜査機関から被害者の連絡先が開示されます。

ただし、被害者の連絡先は、弁護士に限って開示される情報ですので、加害者本人に伝わることはありません。

被害者との示談交渉を開始する

弁護士は、開示された情報を元に被害者と連絡をとり、謝罪や示談金などの提示を行います。

すぐに許してくれない場合でも粘り強く交渉することで、被害者が示談に応じてくれる可能性もあります。そのため、被害者との示談交渉は、刑事事件に強い弁護士に依頼した方がよいでしょう。

合意がまとまれば示談書の作成をする

被害者との間で合意に至ったときは、示談内容を書面にまとめた示談書を作成します。

きちんと書面を残しておくことで、示談内容を明確にできるとともに今後のトラブルを予防することができます。

示談金を支払う

示談書の取り交わし後、示談金の支払いを行います。

これによって示談は終了となります。

関連コラム:住居侵入の示談金はいくら?高額になるケースや払えないときの対処法

住居侵入罪の示談交渉を弁護士に依頼するメリット

住居侵入罪の示談交渉を弁護士に依頼するメリット

住居侵入罪で示談を成立させ、不起訴処分や処分の軽減を目指すうえでは、弁護士のサポートが非常に重要です。弁護士に示談交渉を依頼することで、以下のような具体的なメリットがあります。

捜査機関を通じて被害者の連絡先を入手できる

加害者本人が直接、被害者の連絡先を教えてもらうことは、プライバシー保護や再被害防止の観点から原則として認められていません。しかし、弁護士であれば、捜査機関(警察・検察)を通じた正当なルートで、被害者の連絡先を入手することが可能になります。

弁護士は法律上の守秘義務を負っており、捜査機関としても安心して情報を開示しやすいため、被害者との連絡の架け橋となれるのです。これにより、加害者本人では実現できない形で、示談交渉の第一歩を踏み出すことができます。

弁護士が窓口となることで被害者が示談交渉に応じやすくなる

住居侵入事件の被害者は、多くの場合「また何かされるのでは」と不安を抱えています。そうした中で、加害者本人からの直接の連絡は、かえって被害者の恐怖感を強めてしまうおそれがあります。

その点、第三者である弁護士が窓口となることで、被害者の心理的負担を軽減できるという大きな利点があります。弁護士は、被害者に対して感情的にならず、冷静かつ丁寧に事情を説明し、謝罪と賠償の意思を誠実に伝えることができます。

適正な条件で示談ができる

示談交渉の中でトラブルになりやすいのが、示談金の額や支払い条件に関する認識のずれです。加害者本人が示談を試みると、相場より高額な示談金を提示してしまったり、逆に被害者の心情に配慮しない条件を押しつけてしまったりすることがあります。

弁護士であれば、過去の事例や裁判例に基づき、妥当かつ公平な条件を提案することが可能です。また、条件の交渉や文面の調整についても、プロとしての視点から最適なアドバイスが受けられるため、後々のトラブルを避けることができます。

法的に問題のない示談書を作成できる

示談が成立した場合、その内容を書面化した「示談書」が重要な役割を果たします

しかし、法律の知識がないまま自己流で作成した示談書は、後に内容の不備や効力の欠如を指摘され、せっかくの示談が証拠として認められないというリスクもあります。

弁護士に依頼すれば、被害者・加害者双方の権利を守りつつ、法的に問題のない、正確かつ明確な示談書を作成することが可能です。また、検察官に提出する際の形式や書式にも熟知しているため、より処分の軽減を狙った有効な資料を整えることができます。

住居侵入罪の示談交渉はグラディアトル法律事務所にお任せを

住居侵入の示談交渉はグラディアトル法律事務所へ

住居侵入罪で早期の示談成立を目指すなら、刑事事件に強い弁護士に依頼することが重要です。

グラディアトル法律事務所では、住居侵入やその他の刑事事件に関する豊富な実績を有し、迅速かつ丁寧な対応で多くの依頼者をサポートしてきました。刑事事件の中でも示談交渉は、初動対応が結果に大きく影響します。当事務所では、平日・休日を問わずスピード対応を心がけており、突然の逮捕や任意同行といった緊急事態にも柔軟に対応可能ですので、一刻も早く当事務所までご連絡ください。

住居侵入罪は、対応を誤ると前科がつき、社会生活に大きな影響を与える可能性があります。だからこそ、経験と実績に裏打ちされたグラディアトル法律事務所にご相談ください。被害者との関係性や事件の経緯に応じて、最適な示談交渉の戦略をご提案いたします。

グラディアトルへのお問い合わせはこちら

まとめ

住居侵入罪では、示談の成立が不起訴処分や刑の軽減につながる大きな鍵となります。被害者の処罰感情や事件の内容に応じて、示談が成立しやすい場合と難航する場合がありますが、弁護士に依頼することで、より有利な解決が期待できます。

住居侵入罪で示談をお考えの方は、グラディアトル法律事務所までお気軽にご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

お悩み別相談方法

弁護プラン一覧

よく読まれるキーワード