無免許運転の罰金はいくら?相場や分割払いの可否を弁護士が解説

無免許運転の罰金はいくら?相場や分割払いの可否を弁護士が解説
弁護士 若林翔
2025年07月30日更新

「無免許運転で捕まってしまった…どんな罰則を受けるのだろう」

「罰金になったとしても支払えるだけの余裕がない…」

無免許運転で起訴されて有罪になると、拘禁刑または罰金刑に処されます

初犯であれば罰金刑で済むケースが多いですが、基本的には数十万円の支払いを求められるため、経済的なダメージは決して小さくありません。

実際、無免許運転での罰金刑が見込まれるなかで、どの程度の負担が生じるのか不安に感じている方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、無免許運転の罰金相場について解説します。

分割払いの可否や納付できない場合の処分内容なども詳しくまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

無免許運転に科せられる罰則

まずはじめに、無免許運転に科せられる罰則を解説します。

無免許運転に科せられる罰則

刑事罰は「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」

無免許運転の刑事罰は「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」です。

無免許運転は交通事故を引き起こす重大な犯罪行為であるため、道路交通法違反のなかでも重い刑事罰が規定されています。

なお、無免許運転では行政罰も受ける点に注意してください。

違反点数25点が加算され、免許は一発で取り消しです。

また、行政処分歴や累積点数に応じて、最低でも2年間の欠格期間が適用され、その間は免許を取得できなくなります。

初犯なら罰金刑になることが多い

無免許運転の初犯は、罰金刑になるケースがほとんどです。

無免許運転では重い刑事罰が定められているものの、初犯であれば悪質性が低いと判断されるため、拘禁刑になることは基本的にありません

多くの場合は略式起訴により、公開の裁判が省略され、書面審理のみで罰金刑が確定します。

ただし、初犯であっても交通事故を起こした場合や、ほかの犯罪と併発している場合などは拘禁刑になる可能性も否定できません。

また、罰金刑で済んだとしても前科はついてしまいます。

無免許運転の罰金相場は20万円~30万円程度

無免許運転の初犯で検挙された場合、罰金相場は20万円から30万円程度です。

再犯であれば、30万円から50万円程度の罰金刑になることもあります。

そのほか、罰金刑の金額が変動する主な要因は以下のとおりです。

罰金刑の金額が変動する主な要因

上記のような事情を総合的に考慮したうえで、裁判官が最終的な量刑を言い渡します。

もちろん、無免許運転の態様次第では罰金刑にとどまらず、拘禁刑に処される可能性もゼロではありません。

無免許運転における罰金の支払方法

ここでは、無免許運転における罰金の支払方法を詳しくみていきましょう。

無免許運転における罰金の支払方法

指定された金融機関または検察庁で支払う

無免許運転による罰金は、指定された金融機関または検察庁の窓口で支払う必要があります。

クレジットカード払いやATM・コンビニでの支払いには対応していません

送付された納付書の指示をよく確認し、早めに手続きを済ませることが大切です。

原則として現金一括払い|分割払いは特別な事情がある場合に限る

無免許運転の罰金は、原則として現金一括払いです。

経済的なダメージがなければ刑罰としての意味が薄れてしまうので、分割払いは基本的に認められません。

ただし、生活保護受給者や経済的に著しく困窮している人など、特別な事情がある場合に限っては、分割払いを許可してもらえる可能性があります。

支払いが難しい場合は早めに検察庁へ相談し、対応策を検討することが重要です。

無免許運転の罰金を納付しないとどうなる?

次に、無免許運転の罰金を納付しなかった場合の流れについて解説します。

無免許運転の罰金を納付しなかった場合の流れ

1.支払督促を受ける

無免許運転の罰金を納付しなかった場合は、検察庁から支払督促を受けます。

納付通知に記載された期限が過ぎたころに督促状が届くはずです。

督促状には、納付すべき金額・期日が明記されています。

指定された期日までに支払えば特段ペナルティも発生しないので、急いで対応するようにしましょう。

2.強制執行がおこなわれる

無免許運転の罰金を納付せず、支払督促も無視した場合は強制執行がおこなわれます。

具体的には、以下のような財産が差押えの対象になります。

  • ・預貯金
  • ・現金(66万円未満の現金は対象外)
  • ・給与(原則として手取りの4分の1)
  • ・動産(自動車・貴金属・有価証券など)
  • ・不動産(自宅・土地・マンションなど)

差し押さえられた財産は現金化され、罰金の支払いに充てられます。

大切な財産を失ってしまうおそれがあるので、罰金の支払いを放置することは絶対にやめましょう。

3.労役場に留置される

強制執行で差し押さえられる財産がない場合は、労役場に留置されることになるでしょう。

日当換算で労働をおこない、その対価が罰金の支払いに充てられます

労役場での日当は、5,000円に設定されているケースが一般的です。

たとえば、罰金が30万円の場合は「30万円÷5,000円=60日間」の労役に従事しなければなりません。

労役場での生活はプライバシーへの配慮がほとんどなく、軽作業を繰り返すだけの日々が続きます。

もちろん会社にもいけなくなるので、社会生活への影響は計り知れません。

無免許運転の罰金に関してよくある質問

最後に、無免許運転の罰金に関してよくある質問に回答します。

無免許運転の罰金に関してよくある質問

車両提供者や同乗者も罰金刑になることがある? 

無免許運転では、車両を提供した人や同乗者も罰金刑になる可能性があります

運転者が無免許であることを知りながら車を貸したり、同乗したりする行為は、道路交通法違反として刑事罰の対象となるためです。

たとえば、無免許運転者に車を貸した場合は「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」、同乗した場合は「2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」が科されます。

また、車両提供者や同乗者は、行政罰として免許取消(最低2年の欠格期間)になる点にも注意が必要です。

罰金の通知がこないのはなぜ?

無免許運転で検挙されたにもかかわらず罰金の通知がこない理由としては、主に以下の2点が考えられます。

  • ・手続きが遅れている
  • ・不起訴になっている

通常、罰金の通知は略式命令や有罪判決が確定してから数週間程度で自宅に届きます。

しかし、事件が多発している場合は手続きを後回しにされることもあり、通知が届くまでに1ヵ月以上かかるケースも珍しくありません

また、不起訴になった場合は、そもそも罰金刑に処されることもないので、罰金の通知は届きません。

不起訴になったかどうか気になる方は、検察庁に問い合わせてみるのもよいでしょう。

罰金刑でも前科はつく?

無免許運転で罰金刑になった場合でも前科はつきます

罰金刑も刑事罰の一種なので、「前科」として記録されることに変わりありません。

前科がつくと、職業・資格の制限を受けたり就職活動で不利になったり、さまざまな不利益を受けることになります。

罰金刑を支払うことよりも前科がつくことのほうが、今後の社会生活に及ぼす影響は大きいといっても過言ではありません。

そのため、無免許運転で検挙された場合は、不起訴処分の獲得に向けて全力を尽くす必要があるのです。

無免許運転の罰金に関する悩みはグラディアトル法律事務所に相談を!

本記事のポイントは以下のとおりです。

  • ◆ 無免許運転の刑事罰は「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」であり、初犯の場合は20万円~30万円程度の罰金刑になることが多い
  • ◆ 罰金刑の金額は、交通事故の有無や反省の態度、無免許運転に至った経緯などによって変動する
  • ◆ 罰金は指定された金融機関や検察庁の窓口で、原則現金一括払いで納付するが、特別な事情があれば分割払いも認められる
  • ◆ 支払督促後も罰金を納付しない場合は強制執行に移行し、差し押さえられる財産がなければ労役場留置となる
  • ◆ 運転者だけでなく、車両提供者や同乗者も罰金刑の対象となる

無免許運転で罰金刑になると、経済的負担が生じるだけでなく、前科もついてしまいます。

その後の社会生活に与える影響は甚大なので、不起訴獲得に向けて一刻も早く動き出しましょう。

グラディアトル法律事務所では、経験豊富な弁護士が24時間・365日体制で相談を受け付けています

初回相談は無料、LINEでの相談にも対応しているので、少しでも不安に感じていることがあるのなら、お気軽にお問い合わせください。

 

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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