尿検査で薬物がバレる可能性のあるケース4つとバレた後の流れを解説

尿検査で薬物がバレる可能性のあるケース4つとバレた後の流れを解説
弁護士 若林翔
2025年07月28日更新

「尿検査で覚醒剤や大麻などの違法薬物がバレることはある?」

「警察で尿検査を求められた場合、拒否しても大丈夫?」

「尿検査で違法薬物の使用がバレるとその後はどうなるの?」

職場の健康診断、学校の検診などさまざまなタイミングで尿検査をする機会があると思います。尿検査は、自分の健康状態を把握できる重要な機会ですが、違法薬物を乱用している方にとっては「尿検査で違法薬物の使用がバレてしまうのではないか」と不安になることもあるかもしれません。

一般的な尿検査であれば違法薬物のチェック項目はありませんので、違法薬物の使用がバレる心配はありません。しかし、警察の尿検査、救急外来でのスクリーニング、ドーピングチェックなどが行われると違法薬物の使用がバレて、逮捕される可能性がありますので注意が必要です。

本記事では、

・尿検査で違法薬物の使用がバレる可能性のある4つのケース
・尿検査で違法薬物の使用がバレるとどうなる?
・尿検査で違法薬物の使用がバレたときに弁護士に依頼するメリット

などについてわかりやすく解説します。

尿検査で違法薬物がバレれると、逮捕勾留により長期間の身柄拘束を受け、起訴されればほぼ確実に有罪になってしまいますので、すぐに薬物犯罪に詳しい弁護士に依頼することが大切です。

目次

一般的な尿検査であれば薬物使用がバレる心配はない

職場や学校で尿検査をすることになったとしても、一般的な尿検査であれば違法薬物の使用がバレることはありません。

職場の健康診断や学校検診で行われる尿検査は、主に潜血、尿蛋白、白血球、尿糖などの基本的な項目がチェックされるだけですので、覚醒剤や大麻などの違法薬物の有無については、チェック項目には含まれていません。

そのため、尿検査の直前に違法薬物を使用したとしても、職場の健康診断や学校検診で行われる尿検査で違法薬物の使用がバレる心配はないでしょう。

例外的に尿検査で薬物使用がバレる可能性のある4つのケース

例外的に尿検査で薬物使用がバレる可能性のある4つのケース

職場の健康診断や学校検診で行われる尿検査であれば違法薬物の使用がバレることはありませんが、以下のような尿検査だと例外的に違法薬物の使用がバレる可能性があります。

警察の尿検査

警察の職務質問により薬物使用の疑いが生じると、警察署に任意同行され、尿の任意提出が求められます。

提出された尿は、違法薬物の有無を調べるための鑑定が行われますので、それにより違法薬物の使用がバレてしまうでしょう。

このように警察の尿検査は、一般的な尿検査とは異なり違法薬物の有無を調べるために行われるものになりますので、尿検査が実施されれば、薬物使用がバレてしまいます。

救急外来でのスクリーニング

意識障害に陥った状態で救急外来に連れてこられた場合、病院では意識障害に陥った原因を調べるために尿検査が行われることがあります。

救急外来で行われる尿検査は、「トライエージ」と呼ばれる薬物一式をスクリーニングするキットが用いられるため、それにより違法薬物の使用がバレてしまう可能性があります。

違法薬物の陽性反応が出た場合、警察に通報するかどうかは病院側の裁量に委ねられていますが、通報されれば、意識を回復後警察の取り調べを受けることになります。

特殊な職業に従事している

薬物中毒を欠格条件とする以下のような職業に就いている方は、薬物中毒者でないことを証明するために医師の診断書の提出が求められています。

・調理師
・美容師
・柔道整復師
・医師・歯科医師
・看護師
・薬剤師
・歯科衛生士

このような職業に従事している方は、診断書を作成するための尿検査を行った際に、違法薬物の使用がバレてしまう可能性があります。

ドーピングチェック

スポーツ選手などは、所属する団体による抜き打ちのドーピングチェックを受けることがあります。ドーピングチェックで尿検査が行われ、違法薬物の陽性反応が出ると、違法薬物の使用がバレてしまうでしょう。

警察の尿検査を拒否すれば薬物使用はバレない?

警察の尿検査を拒否すれば薬物使用はバレない?

警察の尿検査は拒否することができるのでしょうか。

警察の尿検査は任意であるため拒否することができる

警察の尿検査は、基本的には任意ですので、警察から尿の提出を求められたとしても、拒否することができます。

しかし、警察から尿の提出を求められたということは、何らかの違法薬物を使用した疑いがかけられている状況になります。このような状況で尿検査を拒否しても、しつこく尿検査に応じるよう説得されますので、簡単にはその場を離れることはできません。

令状に基づく強制採尿は拒否できない

警察の尿検査を拒否し続けると、薬物使用の疑いがさらに深まり、警察は、最終的に強制採尿のための令状を請求します。

強制採尿令状が発行されると、任意の尿検査のように拒否することはできませんので、医師により尿道にカテーテルが挿入され、強制的に尿が採取されてしまいます。採取した尿は、警察による鑑定にまわされ、違法薬物の有無が検査されます。

このように尿検査を拒否しても最終的には強制採尿が行われてしまいますので、薬物使用の疑いをかけられてしまったときは、尿の任意提出に応じた方がよいでしょう。

関連コラム:覚醒剤事件で任意同行を求められるケースと応じた後の流れを解説

尿検査で薬物使用がバレるとどうなる?

尿検査で薬物使用がバレるとどうなる?

尿検査で違法薬物の使用がバレてしまうとどうなるのでしょうか。以下では、尿検査で薬物の陽性反応が出た後の流れについて説明します。

違法薬物の陽性反応が出ると薬物使用の現行犯として逮捕

尿検査により違法薬物の陽性反応が出た場合、数日から数週間以内に違法薬物を使用したことがほぼ確実となります。

そのため、警察は、違法薬物使用の現行犯として被疑者を逮捕する可能性が高いです。

逮捕後は警察署での取り調べ

警察により逮捕されると警察署内の留置施設で身柄拘束され、警察による取り調べを受けます。薬物犯罪では、入手経路などの全容解明に向けた厳しい取り調べが行われますので、自分の認識とは異なる内容の供述調書が作成されないように注意が必要です。

薬物犯罪は証拠隠滅のおそれがあるため勾留される可能性が高い

逮捕の期間は、最長72時間ですが逃亡または証拠隠滅のおそれがある場合には、勾留による身柄拘束が継続します。勾留による身柄拘束期間は、延長も含めると最長で20日間にも及びますので、被疑者の心身にとって大きな負担となるでしょう。

なお、薬物犯罪は、違法薬物を簡単に処分することができ、関係者との口裏合わせも容易であることから、証拠隠滅のおそれが非常に高いといえます。そのため、逮捕された事件のほとんどが勾留されているのが実情です。

最終的に検察官が起訴または不起訴の判断をする

検察官は、勾留期間が満了するまでの間に起訴または不起訴の判断を行います。

薬物犯罪で起訴されると99%以上の事件が有罪になりますので、実刑を回避するには執行猶予付き判決を獲得することが重要なポイントになります。

関連コラム:麻薬で逮捕されたらどうなる?逮捕されるケースや流れ、リスクを解説

尿検査で違法薬物がバレてしまったときに弁護士に依頼するメリット

尿検査で違法薬物がバレてしまったときに弁護士に依頼するメリット

尿検査で違法薬物がバレてしまったときは、以下のようなメリットがありますので、すぐに弁護士に依頼することをおすすめします。

早期に警察署に駆けつけて取り調べのアドバイスができる

尿検査で違法薬物がバレてしまうと、ほとんどのケースで逮捕となります。逮捕されると警察による厳しい取り調べを受けますが、十分な知識がない状態で取り調べに臨むのは不利な供述調書をとられてしまうリスクがあるため危険です。

そのため、逮捕後はすぐに弁護士と面会して取り調べに対するアドバイスをしてもらうようにしましょう。弁護士から取り調べに対する心構えや具体的な対応方法を教えてもらえれば、初めての取り調べでも適切に対応できるはずです。

起訴後は迅速に保釈請求を行い、身柄解放を実現できる

尿検査で違法薬物がバレて逮捕・勾留されてしまったとしても、起訴後であれば保釈請求をすることで身柄解放を実現できる可能性があります。

保釈請求には、家族・職場の上司、友人などの身元引受人と保釈金の準備が必要になりますが、弁護士に依頼すれば、捜査段階から保釈請求に必要な身元引受人と保釈金の手配をしてくれますので、起訴後迅速に保釈請求を行うことができます。

なお、保釈金を準備するのが難しいという場合には、日本保釈支援協会による保釈金の立替制度を案内することもできます。

執行猶予の獲得や刑の減軽に向けたサポートができる

尿検査で薬物の陽性反応が出ると、違法薬物を使用した確実な証拠となりますので、起訴されれば有罪は避けられません。

弁護士に依頼すれば、執行猶予の獲得や刑の減軽に向けたサポートを受けられますので有利な処分を獲得できる可能性が高くなります。特に、薬物犯罪に関しては再犯防止に向けた取り組みが重要になりますので、薬物犯罪に詳しい弁護士に依頼するようにしましょう。

関連コラム:薬物事件に強い弁護士を選ぶ8つのポイントとは?解決事例や費用も紹介

尿検査で違法薬物がバレたときはすぐに弁護士に依頼!弁護士の頼み方

尿検査で違法薬物がバレてしまうとその場で逮捕されてしまいます。被疑者本人は、自由に外部と連絡が取れませんので、知り合いの弁護士などがいなければ自分で弁護士を選ぶことができません。そのため、薬物犯罪に強い弁護士を選ぶには、本人の家族や恋人などが弁護士事務所に連絡することが大切です。

以下では、刑事事件における弁護士の頼み方について説明します。

項目当番弁護士国選弁護人私選弁護人
費用1回に限り無料
(弁護士会が負担)
原則無料(国が負担)有料(自己負担)
依頼できる人本人または家族、友人本人本人または家族、友人
呼べるタイミング逮捕された後勾留された後いつでも
弁護活動の範囲・取り調べに対するアドバイス・逮捕後の流れの説明・家族への伝言制限なし※事件化前の対応や逮捕後勾留前の対応は不可制限なし
指名の可否不可不可可能

私選弁護人

私選弁護人とは、その名のとおり自分で選んで依頼した弁護士をいいます。

私選弁護人を依頼する場合、弁護士費用がかかるというデメリットがありますが、好きなタイミングで、好きな弁護士を選ぶことができるというメリットがありますので、薬物犯罪に強い弁護士に依頼したいなら私選弁護人として依頼した方がよいでしょう。

逮捕された本人では、薬物犯罪に強い弁護士を調べて連絡をするというのは困難ですので、警察から薬物犯罪で逮捕されたという連絡が来たときは、本人のご家族や恋人の方が薬物犯罪に強い弁護士を探して、依頼するようにしてください。

なお、経済的な事情から私選弁護人を頼むことができないという場合には、以下のような制度を利用して弁護士を頼むことができます。

当番弁護士

当番弁護士とは、警察に逮捕された被疑者が無料で1回、弁護士を呼んで相談することができる制度です。当番弁護士の派遣は、本人だけでなく家族でも依頼することができます。逮捕中の本人が依頼する場合は、警察官などに「当番弁護士を呼んでください」と伝えれば、警察から弁護士会に連絡が行き、担当の弁護士が派遣されます。

ただし、当番弁護士は、1回相談して終わりですので、その後も継続して弁護をしてもらうには、私選弁護人になってもらうか、勾留後に国選弁護人になってもらう必要があります。

なお、当番弁護士として派遣される弁護士は、当番弁護士名簿に登録されている弁護士からランダムに選ばれますので、本人や家族はどの弁護士に依頼するかを選べません。そのため、薬物犯罪の経験に乏しい弁護士が派遣されるケースもありますので注意が必要です。

国選弁護人

国選弁護人とは、刑事事件の被疑者や被告人が、経済的な理由により弁護士を選任できない場合に、国が費用を負担して弁護士を選任する制度です。

国選弁護人が選任されるのは、勾留された後のタイミングですので、逮捕中は国選弁護人を利用することができません。また、当番弁護士と同様、どの弁護士が選任されるかがわかりませんので、選任された弁護士が薬物犯罪の経験が乏しいというケースもあります。

薬物の尿検査に関するQ&A

以下では、薬物の尿検査に関するよくある質問とその回答を紹介します。

薬物の尿検査に関するQ&A

尿検査で薬物の陽性反応が出るのはどのくらいの期間?

尿検査で薬物の陽性反応がでるのは、薬物を使用したときから数日から2週間程度といわれています。

ただし、薬物の種類によっては2週間を超えても尿検査で陽性反応が出る場合もあります。

尿検査の鑑定結果はいつわかる?

警察での尿検査は、科学捜査研究所などの専門的な機関で行われますので、鑑定結果が出るまで、1~2日程度かかります。

鑑定結果が出るまでの間は、在宅捜査で警察から任意の事情聴取を受けることになります。薬物を使用した認識がある方は、鑑定結果が出る前にいそいで弁護士に相談するべきでしょう。

病院の尿検査で違法薬物が検出されたら必ず通報される?

病院での尿検査の結果、麻薬成分が検出された場合、麻薬取締法により医師には都道府県知事に対する届出義務が課されていますので、警察に通報される可能性があります。

他方、それ以外の違法薬物に関しては、法律上の届出義務がありませんので、警察に通報するかどうかは医師の裁量に委ねられています。

薬物犯罪で逮捕されたときはすぐにグラディアトル法律事務所に相談を

グラディアトルの強み 相談はこちら

薬物犯罪で逮捕されてしまったときは、薬物犯罪に強い弁護士によるサポートが不可欠となりますので、まずはグラディアトル法律事務所までご相談ください。

当事務所では、薬物犯罪の弁護に関する豊富な経験と実績がありますので、薬物犯罪で早期釈放や執行猶予を獲得するためのポイントを熟知しています。早期にご依頼いただければ、早い段階から再犯防止に向けた取り組みを進めることができますので、より有利な処分を獲得できる可能性が高くなるでしょう。

また、当事務所では刑事事件に関してスピード対応を心がけていますので、最短で即日対応が可能です。身柄拘束されている場合には、すぐに警察署に駆けつけて面会を実施しますので、一刻も早く当事務所までご相談ください。

さらに、相談は24時間365日受け付けておりますので、早朝・夜間や土日祝日であっても関係なく対応可能です。初回法律相談を無料で対応していますので、薬物犯罪に関する相談をご希望の方は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

まとめ

職場や学校で行われる一般的な尿検査であれば違法薬物の使用がバレる心配はありません。しかし、警察から違法薬物の疑いをかけられてしまうと、尿検査を拒否するのは事実上困難ですので、尿検査から違法薬物の使用がバレてしまう可能性が高いです。

尿検査から鑑定結果が出るまでの間には、数日程度の期間がありますので、違法薬物を使用した心当たりがある方は、すぐにグラディアトル法律事務所までご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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