「無免許運転で捕まってしまった…どんな処罰を受けるのだろう」
「無免許運転は同乗者も罰せられるの?」
運転免許を持たずに自動車を運転する行為は、無免許運転に該当します。
無免許運転は重大な道路交通違反であるため、違反者には厳しい刑事処分・行政処分が下されることになるでしょう。
実際、無免許運転で検挙されてしまい、今後どのような処分を受けることになるのか、不安に感じている方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、無免許運転が成立するケースや罰則規定などを解説します。
違反点数や欠格期間についても詳しくまとめているので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
目次
無免許運転とは?
まずは、具体的にどのようなケースが無免許運転に該当するのか、詳しくみていきましょう。
無免許運転になるケース
無免許運転とは、運転免許を持たずに自動車や原動機付自転車を運転する行為のことです。
免許制度は運転技術や交通法規の知識を証明するためのものであり、これを無視した無免許運転は道路交通法で厳しく禁止されています。
具体的には、以下のようなケースで無免許運転が成立します。
なお、無免許運転は「故意犯」です。
免許が失効していることに気づいていない状態で車を運転した場合などは、罪の意識がないため、原則として無免許運転の罪には問われません。
無免許運転と免許不携帯の違い
無免許運転と免許不携帯は、どちらも道路交通法に違反する行為ですが、対象となる行為は大きく異なります。
無免許運転は、運転免許証を持っていない状態で車やバイクを運転する行為です。
一方、免許不携帯は運転免許証を持っているのに、携帯していない状態で運転する行為を指します。
たとえば、免許証が入った財布を家に忘れたまま運転したことが発覚した場合は、免許不携帯として検挙されてしまうわけです。
なお、免許不携帯の罰則は反則金3,000円と軽く、違反点数も加算されません。
無免許運転によって生じる法的責任と罰則
無免許運転をした場合、刑事責任と行政責任がそれぞれに発生します。
無免許運転では重たい処罰を受ける可能性が高いので、あらかじめ心構えをしておくようにしましょう。
刑事責任|3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
無免許運転が発覚すると、「3年以下の懲役(拘禁)刑または50万円以下の罰金」に処されます。
無免許運転は事故やトラブルに直結する重大な犯罪なので、比較的重い刑罰が規定されているのです。
初犯の場合は、略式起訴されて20~30万円程度の罰金刑になるケースが一般的といえるでしょう。
悪質性が高い場合や再犯の場合は、懲役(拘禁)刑の実刑になる可能性もゼロではありません。
行政責任|違反点数25点(免許取消)
無免許運転が発覚した場合の行政責任は、違反点数25点の加算です。
飲酒・薬物使用状態での運転に次いで、高い点数が規定されています。
違反点数25点が加算されると、一発で免許取り消しです。
さらに、過去の処分歴・累積点数に応じて欠格期間が設定され、少なくとも2年間は免許を取得できなくなります。
無免許運転は刑事処分だけでなく、行政処分としても極めて厳しい対応が取られる点に注意しておきましょう。
無免許運転の量刑相場
次に、無免許運転の量刑相場をみていきましょう。
無免許運転の初犯は罰金
無免許運転の初犯は、罰金になるケースが一般的です。
初犯であれば、それほど悪質性が高いとは判断されません。
無免許運転の刑罰は「3年以下の懲役(拘禁)刑または50万円以下の罰金」と定められているものの、いきなり懲役(拘禁)刑になることは考えにくいです。
基本的には略式起訴され、20万円~30万円前後の罰金に処されることになるでしょう。
無免許運転の2回目は罰金or懲役(拘禁)刑
無免許運転の2回目は、罰金だけでなく懲役刑(拘禁)刑になる可能性も出てきます。
再犯は「反省の態度がみられない」「更生の可能性が低い」と判断されやすく、量刑も重くなりがちです。
特に前回の違反行為からまもない場合は、懲役刑(拘禁)刑が選択されやすくなる点に注意しておきましょう。
たとえ罰金刑で済んだとしても、初犯のときより高額になることが予想されます。
なお、懲役刑(拘禁)刑になったとしても、実刑になる可能性は低く、基本的には執行猶予が付くはずです。
無免許運転の3回目は執行猶予付きの懲役(拘禁)刑
無免許運転の3回目で検挙された場合は、執行猶予付きの懲役(拘禁)刑になるものと考えてください。
判決の相場は、懲役(拘禁)刑6ヵ月・執行猶予3年程度です。
ただし、2回目で既に執行猶予付きの懲役(拘禁)刑を受けている場合、3回目は実刑判決になる可能性も出てきます。
なお、初めての実刑判決では、刑期を5ヵ月程度に設定されるケースが一般的です。
無免許運転の4回目は実刑
無免許運転の
4回目では、ほとんどのケースで実刑になるものと考えておきましょう。
特に執行猶予中の無免許運転が発覚した場合には、実刑判決が下されやすくなります。
ただし、執行猶予期間が過ぎて3年程度経過していれば、再び執行猶予が付く可能性も残されています。
そのため、決して投げやりになるのではなく、実刑回避に向けてしかるべき対策を講じることが重要です。
無免許運転による欠格期間とは?起算点や確認方法は?
無免許運転が発覚すると、運転免許の取消処分とともに「欠格期間」が適用されます。
欠格期間とは、一定期間、運転免許を再取得できない期間のことです。
過去3年以内の処分回数と累積違反点数に応じて、1~5年の欠格期間が定められています。
過去3年以内の免許停止・取消処分回数 | 欠格期間 | ||||
5年 | 4年 | 3年 | 2年 | 1年 | |
前歴なし | 45点以上 | 40~44点 | 35~39点 | 25~34点 | 15~24点 |
1回 | 40点以上 | 35~39点 | 30~34点 | 20~29点 | 10~19点 |
2回 | 35点以上 | 30~34点 | 25~29点 | 15~24点 | 5~14点 |
3回 | 30点以上 | 25~29点 | 20~24点 | 10~19点 | 4~9点 |
無免許運転の違反点数は25点なので、過去3年間の前歴がなく交通違反をしていない場合でも、2年間の欠格期間が適用されます。
なお、欠格期間は、公安委員会から通知される運転免許取消処分書で確認できます。
運転免許取消処分書を紛失した場合は、運転免許センターに問い合わせてみましょう。
無免許運転の車両提供者・同乗者に対する罰則
次に、無免許運転幇助の罰則を解説します。
無免許運転の車両提供者と同乗者に分けて、それぞれ詳しくみていきましょう。
車両を提供した場合
運転者が無免許であることを知ったうえで車両を提供した場合は、以下のような罰則を受ける可能性があります。
- ・刑事処分:3年以下の懲役(拘禁)刑または50万円以下の罰金
- ・行政処分:免許取消(最低2年間の欠格期間)
なお、運転者が無免許であることを知らなかった場合は、原則として処罰されることはありません。
ただし、「無免許かも知れない」と疑う余地があったのであれば、無免許運転幇助として処罰される可能性があるので、安心せず、弁護士に相談することをおすすめします。
同乗していた場合
無免許運転の車に同乗した場合も、刑事処分と行政処分の両方が科される可能性があります。
- ・刑事処分:2年以下の懲役(拘禁)刑または30万円以下の罰金
- ・行政処分:免許取消(最低2年間の欠格期間)
同乗者の刑事処分は、運転者や車両提供者と比較して軽く規定されているものの、懲役(拘禁)刑になる可能性もあります。
軽い気持ちで同乗するようなことは絶対にやめましょう。
なお、車両提供と同様、運転者が無免許であることを知らなかった場合は、原則として処罰の対象にはなりません。
無免許運転で逮捕される可能性はどの程度ある?
違反行為が無免許運転だけであれば、逮捕率もそれほど高くありません。
無免許運転は検挙された時点で証拠隠滅・逃亡が難しくなるので、身柄拘束の必要性はないと判断される傾向にあるのです。
基本的には、在宅のまま捜査が進められることになるでしょう。
ただし、交通事故を起こしていたり、ほかの犯罪と併発していたりした場合などは逮捕される可能性が高くなります。
無免許運転で検挙されたあとの流れ
無免許運転で検挙された場合、基本的には在宅事件となるため、警察からの呼び出しに応じるかたちで取り調べが進められます。
取り調べでは、無免許運転に至った経緯や反省の有無などについて質問されることになるでしょう。
その後は検察に送致され、取り調べを受けたのちに起訴・不起訴が決定します。
不起訴になればそこで事件処理が終了し、罪に問われることもありません。
起訴されると、刑事裁判に移行します。
ただし、無免許運転では略式起訴され、書類審理のみで罰金刑になるケースが一般的です。
なお、逮捕された場合は起訴・不起訴が判断されるまでに、最大23日間にわたる身柄拘束を受ける可能性があります。
無免許運転に関してよくある質問
最後に、無免許運転に関してよくある質問に回答します。
無免許運転で事故しても保険は使える?
無免許運転で事故を起こした場合、加害者本人は自動車保険の補償を受けられません。
多くの保険は、無免許運転などの意図的な交通違反に起因する事故を補償対象外としているためです。
違反者自身の治療費や車の修理費については、原則として自費になります。
一方、被害者救済の観点から、相手方や同乗者への賠償は全額または一部を補償してもらえるケースが一般的です。
未成年の無免許運転はどのように処分される?
未成年が無免許運転をした場合、少年法に基づいて処分が決定します。
具体的な処分内容は、以下のいずれかです。
- ◎ 不処分・審判不開始|教育的な働きかけのみで事件終了
- ◎ 保護処分|保護観察・少年院送致・児童自立支援施設等送致
- ◎ 知事または児童相談所長送致|児童福祉施設への入所・里親への委託など
- ◎ 検察官送致|成人と同様の刑事処分
たとえば、初犯で事故も起こしていない場合は、不処分や保護観察となる可能性が高いでしょう。
反対に、悪質性が高い場合や再犯の場合は、少年院送致や検察官送致となることもあります。
無免許運転は現行犯以外でも逮捕される?
無免許運転は現行犯での逮捕が多いものの、後日逮捕される可能性もあります。
たとえば、ひき逃げ・当て逃げがバレて無免許運転が判明した場合や、第三者からの通報があった場合などです。
また、任意の取り調べに応じなかった場合も、逃亡・証拠隠滅のおそれがあると判断され、逮捕に至ることがあります。
無免許運転の起訴率は?
無免許運転に限った起訴率は、公的データが存在しないので不明です。
ただし、無免許運転は数ある道路交通法違反のなかでも重大な違反行為とされています。
そのうえで、道路交通法違反全体の起訴率が約46.8%であることを踏まえると、無免許運転起訴率はさらに高くなるものと考えられます。(参照:検察統計調査「被疑事件の罪名別起訴人員、不起訴人員及び起訴率の累年比較」)
無免許運転でも前科はつく?
無免許運転で起訴されて有罪になると、前科がつきます。
【前科がつくデメリット】
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たとえ略式起訴の罰金刑になった場合でも、刑罰を受けたことには変わりないため、前科がつく点に注意してください。
無免許運転で検挙された場合、前科を回避するには、基本的に不起訴処分を目指すしかありません。
初犯であれば不起訴になる可能性も十分あるので、一刻も早く弁護士に相談し、アドバイスを受けることが大切です。
無免許運転で検挙された場合はグラディアトル法律事務所に相談を!
本記事のポイントは以下のとおりです。
- ◆ 無免許運転は免許を取得していない状態での運転に限らず、免許取消後・停止中・失効中の運転も含まれる
- ◆ 無免許運転の刑事罰は「3年以下の懲役(拘禁)刑または50万円以下の罰金」、行政罰は違反点数25点加算(最低2年間の欠格期間)
- ◆ 運転者が無免許と知りながら車両を提供した者や同乗した者にも刑事・行政処分が科される
- ◆ 無免許運転でも後日逮捕の可能性はあり、刑罰に処されると前科がつく
無免許運転は交通事故に直結する重大な犯罪であり、厳しい刑事処分が規定されています。
検挙されたときはできるだけ早く弁護士に相談し、不起訴獲得に向けた対策を講じるようにしてください。
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