【図解】侮辱罪の慰謝料の相場は?判例や減額方法も弁護士が解説!

【図解】侮辱罪の慰謝料の相場は?判例や減額方法も弁護士が解説!
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弁護士 若林翔
2025年06月11日更新

「侮辱罪の慰謝料っていくら請求されるの?」
「示談金の相場ってどれくらい?減額できる方法はあるの?」
こんな風に感じていませんか?

侮辱罪による慰謝料や示談金の相場は、一般的に1~10万円程度とされていますが、ケースによっては50万から100万円程度になることもあります。特に、侮辱行為が繰り返された場合や、被害者の社会的地位が高い場合、請求額が増加する傾向にあります。

また、SNSや匿名掲示板での投稿でも、相手が特定されることで法的責任を問われるケースが増えています。過去の投稿が問題視されることもあるため、注意が必要です。

このようなリスクを避けるためには、早期に弁護士に相談することが重要です。弁護士は、慰謝料の減額のみならず、交渉方法や落としどころの提案まで、あらゆるサポートを提供します。

それでは、侮辱罪の慰謝料・示談金の相場や高くなるケース・判例、減額方法などについて解説していきます!

この記事の著者若林翔弁護士

侮辱罪(侮辱行為)の慰謝料相場は1万円~10万円

侮辱罪の慰謝料は比較的安め

慰謝料の相場は1万円~10万円とされ、法的なトラブルの中では比較的安い金額です。

なお、侮辱行為が悪質で、相手がその言動で強い精神的苦痛を受けたと認められる場合、さらに高額になる可能性もあります。

侮辱罪以外の誹謗中傷の慰謝料相場について知りたい方はコチラ

関連コラム:「ネットの誹謗中傷の慰謝料額・損害賠償額の相場は?」

もっとも、示談交渉においては相場より高い金額を提示されることも

被害者代理人との示談交渉では、50万円から~100万円程度の慰謝料・示談金を提示される可能性もあります。

その理由はケースによって様々ですが、相手の代理人弁護士は交渉のプロですから、その場で最も効果的な理由を提示してくることでしょう。

慰謝料の提示に疑問があれば、弁護士に相談がオススメ

提示された慰謝料・示談金が相場よりも高すぎるケースがあります。

ご自身で交渉するとしても、一度弁護士に相談し、相場からかけ離れていないか、このケースで適正な慰謝料額かどうか、専門的な判断を求めることをおすすめします。     

実際、弁護士の介入により、当初の相手の提示額から100万円以上の減額されるケースもありました。

高すぎる慰謝料提示にお困りの方も、一度弁護士への相談をおすすめします。


相場よりも高く請求される可能性がある3つの要素

相場よりも高く請求される可能性がある3つの要素

侮辱罪による慰謝料請求は一般的に1万円~10万円の範囲が多いものの、状況によってはこれを大きく上回る請求がなされることもあります。

軽い言葉のつもりが、繰り返しの侮辱や被害者の社会的立場、精神的苦痛の深刻さによっては高額な賠償責任を負うリスクが高まります。

特に、同じ相手に対する侮辱が続けば、こうしたケースは単なる「言い過ぎ」では済まず、刑事告訴や損害賠償の巨額化という最悪の結末を招きかねません。

相場よりも高く請求される可能性のある3つのケースを紹介します。

侮辱行為が単発でなく多数なされている

1つ目は、同じ相手に対して侮辱的発言や行動が、複数回にわたって行われたケースです。

複数の侮辱行為が同時になされたり、一定の期間繰り返し行われたりした事実は、慰謝料の増額要因として非常に重視されており、被害者の精神的苦痛が蓄積されることで請求額が高くなる傾向があります。

例えば職場の同僚やSNS上のフォロワーに対して侮辱的な言葉を何度も投げかけると、被害者は慢性的なストレスや不安を感じることになり、裁判所もその事情を重視します。

実際に多数の侮辱行為を同時に行った場合や反復して侮辱行為がなされた場合、相場の10万円を大きく超え、数十万円以上の慰謝料が認められる事例も報告されています。

SNS等拡散性が高く、大きく社会的評価が低下する

2つ目は、侮辱的言動が広く公にされた場合、つまり多数の人に見られる形での発言や投稿のケースです。

SNSやブログ、掲示板などで公開範囲の広い侮辱は、被害者が受けるダメージが大きく、法的責任も重く問われます。

特に、いわゆる「いいね」やシェア、リポスト等が多い場合、被害者の名誉が広範囲に傷つけられたとして慰謝料額の増額が認められます。

被害者が子どもや有名人で、被害状況が深刻になる

3つ目は、被害者が子どもであったり、企業の経営者や公務員、有名人であったりなど、侮辱の被害者の被害状況が深刻となることが想定される人物であるケースです。

その侮辱行為が社会的信用を著しく傷つけたと判断され、慰謝料請求が相場を大幅に上回ることがあります。

なぜなら、これらの人物は侮辱行為が精神的ダメージ経済的損失に直結するため、裁判所も慰謝料を高めに判断する傾向にあります。


侮辱罪で高額な慰謝料(70万円)が認められた判例

 侮辱罪については、侮辱罪が成立した上で慰謝料請求が認められた事案は少ないです。これは、裁判上では侮辱罪は不起訴となることが多いからです。もっとも、その多くは示談が成立しているために、不起訴となります。

もっとも、高額な慰謝料が認められたケースもあります。

以下では、侮辱罪の慰謝料としては高額な70万円という慰謝料が認められた、実際の裁判例(横浜地判川崎支部令和2年5月26日)を紹介します。

■ 侮辱行為の概要

被告は、原告が在日韓国・朝鮮人であると推測されることを理由に、以下のような差別的かつ侮辱的な内容の記事をブログに投稿しました。

・原告の名前を「通名」と決めつけ、「在日専用の犯罪用氏名」などと表現。
・「チョーセン・ヒトモドキ」「寄生生物種」等、容姿・民族性・人格に関する中傷的表現を多数用いた。
・本件記事は「在日と在日犯罪」というカテゴリに分類され、在日韓国・朝鮮人を全体として犯罪と結び付ける意図を含んでいた。

裁判所は、これらの記載を「在日韓国・朝鮮人に対する差別的意識を煽るものであり、人格権を侵害する違法な侮辱行為である」と認定しました。

■ 認められた慰謝料額

慰謝料額:70万円

■ 慰謝料が70万円と認定された主な理由

・侮辱的・差別的な表現が多数含まれており、原告の容姿・知的能力・民族性等を根拠なく攻撃。日本の地域社会からの排除を煽動する趣旨が認められました。
・インターネット上で不特定多数が閲覧可能な形で投稿されており、情報の拡散可能性が高く、悪質性が高いと判断されました。
・原告は当時中学3年生という多感な時期に、インターネット上でこのような攻撃を受けており、精神的苦痛の程度は極めて大きいと判断されました。
・一方で、被告は比較的早期に反省と謝罪の意を示し、ブログを非公開にしたことが慰謝料算定上の減額する判断に繋がりました。

関連コラム:「侮辱罪にあたる言葉は?刑事告訴や損害賠償請求に役立つ実例30選!」


侮辱罪(侮辱行為)の慰謝料を減額するためには

侮辱罪(侮辱行為)の慰謝料を減額するためには

慰謝料を減額するためには適切な対応が不可欠です。

放置したり感情的に対抗すると、請求額がさらに膨らみ、刑事手続きへ発展するリスクも高まります。

早期の謝罪や誠意ある対応、被害者との示談交渉、そして専門家である弁護士の介入が減額のカギです。

できる限り早期の謝罪と誠意ある対応

侮辱行為が発覚した際、最も重要なのは速やかに被害者に謝罪し、誠意ある対応を示すことです。

早期に謝罪し、再発防止を約束することで被害者の感情的な高まりを抑えられ、示談交渉も円滑に進みやすくなります。

上記の裁判例でも、慰謝料減額要因として早期の謝罪とブログの非公開が減額要素とされました。

被害者との示談交渉、訴訟の回避

示談が成立すれば、慰謝料額は相場よりもかなり低く抑えられることも珍しくありません。

慰謝料問題を大きく悪化させないためには、被害者本人と直接交渉するか、代理人を通じて示談交渉を行うことが極めて有効です。

示談により訴訟を回避し、被害者の希望する慰謝料金額の上昇を回避しつつ、ご自身の訴訟による金銭面や時間的負担も大幅に軽減できます。

被害者が和解に応じる条件として、謝罪や投稿の削除、今後の行動の改善が求められることが多いです。

弁護士の介入による減額交渉

慰謝料請求を受けた際に最も強力な味方となるのが弁護士です。

専門知識と交渉力で被害者側との話し合いを有利に進め、慰謝料の減額や示談成立を目指します。

弁護士が入ることで、法的根拠に基づいた適正な請求額への調整や、不当な請求の排除が可能となり、慰謝料減額に繋がるケースが多いです。


グラディアトル法律事務所の侮辱罪の慰謝料減額事例

●元職場について書き込みをし、訴訟提起され裁判にて争った結果、330万円(訴額)から77万円(判決)に減額できた事例

依頼者はデリヘルキャストの方。

退職後、勤めていたデリヘルの匿名掲示板のスレッドに、複数の悪口投稿をしました。

当該投稿は名誉権を侵害するとして、発信者は、被害者から裁判手続きにて発信者情報の開示を受けてしまいました。

発信者である依頼者は損害賠償請求訴訟(請求額330万円)を提起されました。

依頼者に訴状が届き、弊所に慰謝料交渉及び裁判代理の依頼をしていただきました。

裁判にて認否・反論を行う中、裁判上の和解協議も進められましたが、依頼者の意向の下、判決まで争いました。

慰謝料を77万円とする、当初から大幅減額での判決を勝ち取ることができました。


慰謝料・示談金の減額では、示談を目指そう

侮辱罪による慰謝料請求に直面した際、慰謝料の減額を目指す最も現実的かつ効果的な方法が示談成立です。

示談は裁判を避け、被害者との話し合いによって金銭面・精神面の負担を軽減する手段として非常に有効です。

示談成立により訴訟が回避できる

示談成立によって最大のメリットは、裁判を回避できる点です。

裁判となると弁護士費用や時間的コストが膨らみ、精神的ストレスも増大します。

示談による和解は双方の合意に基づき成立するため、慰謝料額や支払い条件の調整も柔軟に行えます。

加えて、裁判記録が残らず、社会的信用の失墜を防げることも大きな利点です。

裁判は公開の場であり、侮辱行為の内容がさらに広まる恐れもあるため、示談成立によってプライバシーを守ることができます。

示談はリスク回避の最善策といえます。

示談交渉は誠意ある謝罪から

示談交渉を進める際は、まず被害者の感情を尊重し、誠意ある謝罪から入ることが重要です。

被害者側の要求を正確に把握し、無理のない条件で合意点を模索します。

一方で、慰謝料等の相場を把握し、言いなりにならないことも重要です。

被害者の要望を聞くだけでは、交渉にはなりません。

交渉の際は感情的にならず、冷静かつ論理的に対応することがポイントです。

示談書作成により、刑事告訴回避をより確実に

示談書は示談内容を文書化し、双方の合意を証明する重要な書類です。

示談の内容としては、慰謝料の金額だけでなく、被害者から刑事告訴をしないことも明記できます。

ご自身が求める内容を、示談書において法的に有効な形で表現するためには、専門家である弁護士の助言を得るのがオススメです。

示談不成立時の慰謝料増額、訴訟移行のリスク

示談が成立しなかった場合、慰謝料請求は裁判へと移行し、請求額が増加するリスクが高まります。

裁判では証拠の提出や法廷での主張が求められ、精神的負担も格段に増します。

さらに、刑事告訴に発展する可能性も否定できません。

最悪の事態を防ぐためにも、示談交渉は最後まで諦めず、さらに、専門家の支援を受けながら進めることがリスク回避には不可欠です。

関連コラム:「誹謗中傷・発信者情報開示の弁護士費用(調査費用)を相手に請求できた判例まとめ」


侮辱罪・侮辱行為に悩んだ時は弁護士に相談を!

侮辱罪・侮辱行為に悩んだ時は弁護士に相談を!

侮辱罪や侮辱行為に巻き込まれた場合、適切な対処を怠ると大きな法的リスクを背負うことになります。

法的知識のないまま軽率に対応すると、慰謝料の高額請求や刑事告訴につながりかねません。

そこで専門の弁護士に相談することで、問題の全体像を正確に把握し、慰謝料の減額等の損害拡大防止が可能になります。

慰謝料額・示談金額を適正な金額に収めることができる

侮辱罪案件において、誰もが示談でおさめて日常に帰りたいと思うところですが、そこにつけ込まれ、法外な慰謝料・示談金を提示されることがあります。

慰謝料相場等の専門知識のある弁護士による交渉を行えば、そのようなことも回避できます。

自身の行為の法的なリスクについて、専門的な判断ができる

弁護士は依頼者の言動や状況を精査し、慰謝料請求や刑事告訴といった法的なリスクを客観的かつ専門的に判断します。

これに加えて、具体的な対処法や今後の方針を提示し、計り知れない不安を軽減させてくれます。

前科回避のための戦略的対応

侮辱罪は刑事罰が科される可能性があり、前科が付くと社会生活に深刻な影響を及ぼします。

弁護士は刑事手続きの流れを熟知し、早期の示談成立や不起訴処分獲得のための戦略的な働きかけを行います。

検察や裁判所との交渉を通じて、前科回避や刑罰軽減を実現することも可能です。

プライバシー保護と秘密裏の解決

侮辱罪の問題は社会的信用の喪失を招く恐れがあるため、プライバシー保護が非常に重要です。

弁護士は、公開裁判を避けるためにも、秘密裏の示談による解決を優先し、メディアへの情報漏洩を防ぐ対応を徹底します。

また、示談で終われば、家族や職場に一切知らせることなく事件終了させることも可能です。

秘密保持義務を遵守した弁護士のサポートを受けることで、依頼者のプライバシーと社会的信用の両方を守りながら、問題解決に導くことができます。

まとめ

  • 侮辱罪の慰謝料は通常1万~10万円だが、悪質性や拡散性、被害者の属性により高額化する
  • 示談交渉や早期の謝罪により、慰謝料を減額できる場合が多い
  • 弁護士に依頼することで、有効な示談を進めることができ、慰謝料の相場に見合った対応や前科回避、秘密裏の解決が期待できる

不用意な言動が大きな損害や法的責任を生む前に、冷静な対応が大切です。
慰謝料を適正に収め、トラブルを最小限に抑えるためにも、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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