「危険運転致死傷罪の初犯で実刑になる可能性はどのくらいある?」
「危険運転致死傷罪の初犯だと量刑はどのくらいになる?」
「危険運転致死傷罪の初犯で実刑を回避するためのポイントとは?」
重大事故を引き起こす悪質な運転行為に対しては、「危険運転致死傷罪」が適用されます。
「初めての犯行(初犯)であれば、実刑は避けられるのではないか」と考える方もいるかもしれません。しかし実際には、初犯であっても重い刑罰が科される可能性は十分にあります。
令和6年版の犯罪白書によれば、危険運転致死罪では96.9%が実刑となっており、初犯か否かを問わず、極めて高い割合で実刑判決が下されているのが現実です。
ただし、初犯であれば、量刑判断において有利に考慮される余地もあります。たとえば、被害者との示談の有無や反省の態度、再犯防止に向けた取り組みなどを丁寧に積み重ねることで、より軽い処分を目指すことも不可能ではありません。
本記事では、
・危険運転致死傷罪における初犯の量刑相場 ・危険運転致死傷罪で実刑を回避するための具体的な対策 ・危険運転致死傷罪で逮捕された後の流れ |
などについて詳しく解説します。
初犯だからといって油断せず、適切な対処を講じることが、未来を守る第一歩となります。ぜひ最後までご覧ください。
目次
危険運転致死傷罪は初犯でも実刑になる可能性あり!
危険運転致死傷罪は、極めて悪質な運転行為によって人を死傷させた場合に適用される重い犯罪です。一般的に「初犯なら執行猶予がつくだろう」と思われがちですが、この罪については必ずしもそうとは限りません。
令和6年版の犯罪白書によれば、危険運転致傷罪における実刑率は「10.9%」、危険運転致死罪においては「96.9%」にも上ります。この統計は初犯・再犯の区別をしていないものですが、特に致死罪に関しては、ほとんどの被告人が実刑となっているのが現状です。
つまり、危険運転致死罪の場合は、初犯であっても実刑を免れるのは難しく、執行猶予が付くケースは非常に稀といえるでしょう。一方で、危険運転致傷罪については、約9割が執行猶予付きの判決となっており、初犯であればその可能性はより高くなると推測されます。
とはいえ、執行猶予の有無は、被害の程度や被告人の反省状況、示談の有無など個別事情によって大きく左右されます。「初犯だから大丈夫」と安易に考えるのは危険であり、適切な弁護活動を通じて、実刑回避に向けた対応を講じる必要があります。
危険運転致死傷罪の初犯の量刑相場
危険運転致死傷罪は、「致傷」と「致死」で量刑に大きな差があります。初犯であっても、その被害の程度によって受ける処罰の重さは大きく変わります。
令和6年版の犯罪白書によると、危険運転致傷罪では「懲役1年〜3年程度」の判決が多く、執行猶予が付されるケースが約89%にのぼります。このため、負傷事故であれば、初犯の場合は執行猶予付きの判決となる可能性が高いといえます。
一方で、危険運転致死罪になると事情は一変します。同じく犯罪白書によれば、危険運転致死罪における懲役刑の相場は「懲役3年〜10年程度」となっており、96.9%が実刑判決です。つまり、被害者が死亡している場合には、初犯かどうかにかかわらず執行猶予が付かないことがほとんどです。
なお、これらの統計は初犯と再犯を分けたものではありませんが、実務上は初犯であることが量刑判断において一定の酌量事情として考慮されることがあります。そのため、初犯であれば懲役(拘禁刑)年数が下限に近づく可能性はありますが、それでも致死事故での執行猶予は極めて困難です。
結論として、
・被害者が負傷した場合:初犯であれば執行猶予付きの「懲役1〜3年」が多い ・被害者が死亡した場合:初犯でも「懲役3〜10年」の実刑が基本 |
と理解しておく必要があります。
事故の内容やその後の対応によっても量刑は変わりますので、できる限り早い段階で法的なアドバイスを受けることが重要です。
危険運転致死傷罪の初犯で実刑を回避するためのポイント

危険運転致死傷罪は重大な結果を招く犯罪であり、特に致死の場合は初犯でも実刑が見込まれるほど厳しい罪です。しかし、状況によっては量刑が軽減されたり、実刑を回避できたりする可能性もあります。
以下では、危険運転致死傷罪の初犯で実刑回避を目指すために重要な3つのポイントを説明します。
危険運転致死傷罪の適用を争う
まず検討すべきは、「本当に危険運転致死傷罪が成立するのか」という点です。
危険運転致死傷罪が成立するには、以下のような「危険な運転行為」が必要とされます。
・酩酊状態での運転 |
・著しい速度超過 |
・故意の逆走 |
・信号無視など |
また、このような危険な運転行為により正常な運転が困難であったこと、運転者もそれを認識していたことが必要となるため、危険運転致死傷罪のハードルは非常に高いといえます。
もしも被疑者の行為が上記に該当しない場合には、より軽い「過失運転致死傷罪」などへの切り替えを主張できる可能性がありますので、当時の運転状況の詳細や事故の経緯を丁寧に検討することが重要です。
経験豊富な弁護士に依頼することで、適用罪名の妥当性を徹底的に争うことができ、実刑回避に向けた第一歩となります。
被害者との示談交渉
次に、実刑回避において極めて重要なのが、被害者との示談です。特に、致傷事故では、示談が成立しているか否かが執行猶予の有無に大きく影響します。
・謝罪文の提出 ・治療費や慰謝料の支払い ・今後の対応に関する誠意ある話し合い |
これらを通じて被害者の理解を得ることができれば、検察官や裁判官の心証に大きく影響を与え、寛大な処分に結びつくことがあります。
なお、示談交渉は加害者自身で行うと感情的なトラブルになるリスクが高いため、弁護士に依頼して丁寧かつ法的に適切な進め方をしてもらうことが推奨されます。
再犯防止に向けた具体的な取り組み
初犯であっても、裁判所は「今後同じことを繰り返さないか」という点に注目します。そのため、再犯防止に向けた取り組みを自発的に行うことは、実刑回避の大きな材料になります。
たとえば、次のような行動が有効です。
・事故後すぐに免許返納や運転自粛を宣言する |
・アルコール依存の疑いがある場合、専門機関で治療を受ける |
・交通安全講習や反省文の作成 |
・家族による監督体制の整備 |
これらの取り組みを早期に始めて記録として残し、裁判資料として提出することで、「再犯のおそれがない」と判断される可能性が高まります。
危険運転致死傷罪は初犯でも逮捕される可能性あり!逮捕後の流れ

危険運転致死傷罪は、重大な交通事故を引き起こした際に適用される重罪であり、初犯であっても逮捕される可能性は十分にあります。以下では、逮捕後にどのような流れで刑事手続が進んでいくのかを、一般的なケースに沿って解説します。
逮捕・取り調べ
警察は、事故状況や証拠に基づき危険運転の疑いがあり、逃亡または証拠隠滅のおそれがあると判断した場合、被疑者を逮捕することがあります。逮捕された場合、警察署に連行され、交通事故の経緯や当時の運転状況、飲酒・薬物の有無などについて詳細な取り調べを受けることになります。
取調べでは、不用意な発言が不利な証拠として使われるおそれがあるため、できる限り早期に弁護士のアドバイスを受けることが重要です。
検察官送致・勾留請求
逮捕後48時間以内に、警察は被疑者を検察官に送致(送検)します。検察官はさらに24時間以内に、裁判所に対して勾留を請求するかどうかを判断します。
初犯であっても、事故の重大性や証拠隠滅・逃亡のおそれがあると判断されれば、勾留される可能性は高いです。
勾留・勾留延長決定
勾留が認められた場合、原則として10日間、延長も含めると最大で20日間もの身柄拘束を受けることになります。その間、被疑者は引き続き警察署などの留置場で過ごすことになり、検察官や警察による追加の取り調べが行われます。
身柄拘束期間が長くなればなるほど、仕事や家庭への影響も大きくなりますので、弁護士に依頼して早期の身柄解放を求めていくことが大切です。
起訴または不起訴の決定
勾留期間の終了までの間に、検察官は、起訴するかどうかの最終判断を下します。
・起訴された場合:正式な裁判が開かれます。保釈請求が認められれば釈放されますが、否認や証拠隠滅のおそれがあると判断されると身柄拘束が続くこともあります。
・不起訴となった場合:刑事手続は終了し、即日釈放されます。
危険運転致死傷罪は重大犯罪であるため、致死事故であれば起訴される確率は非常に高く、致傷事故であっても軽視はできません。
危険運転致死傷罪の初犯で実刑回避を目指すならグラディアトル法律事務所に相談を

危険運転致死傷罪は、初犯であっても極めて重い刑罰が科される可能性のある罪です。特に、死亡事故の場合は、執行猶予が付かず実刑判決となるケースが多く、早期かつ的確な弁護活動が求められます。
グラディアトル法律事務所は、交通事故事案に精通した弁護士が在籍し、危険運転致死傷罪の弁護実績も豊富です。初動対応から適用罪名の見直し、被害者との示談交渉、再犯防止策の立案・支援まで、実刑回避を見据えた総合的なサポートを提供しています。
また、初犯の場合は、取り調べ対応や身柄拘束の早期解消も極めて重要な要素となります。勾留阻止や保釈請求に向けた迅速な行動が必要であり、そのためには刑事弁護に特化した弁護士の支援が不可欠です。
グラディアトル法律事務所では、緊急の相談や土日対応も行っており、ご家族からの問い合わせにも迅速に対応しています。弁護士が介入することで、被疑者本人の負担を軽減しつつ、裁判所や検察に対して有利な事情を適切に主張することが可能になります。
初犯であっても実刑を回避したい方は、早い段階で信頼できる弁護士に相談することが極めて重要です。危険運転致死傷罪での逮捕や起訴に不安を抱えている方は、ぜひグラディアトル法律事務所へご相談ください。
まとめ
危険運転致死傷罪は、初犯であっても実刑となる可能性がある非常に重い罪です。特に、死亡事故を起こした場合は、執行猶予が付かないケースが大半であり、早期の法的対応が重要となります。
実刑を回避するためには、危険運転致死傷罪の適用を争うことや被害者との示談、再犯防止策の実施などが重要なポイントになります。加えて、取り調べや裁判への備えも欠かせません。
不安を抱えながら一人で対応するのではなく、経験豊富な弁護士に相談し、適切なサポートを受けることが未来を守る第一歩となります。初犯であっても油断せず、まずはグラディアトル法律事務所までご相談ください。