住居侵入罪は親告罪?告訴なしでも処罰されるのかを弁護士が解説

住居侵入罪は親告罪?告訴なしでも処罰されるのかを弁護士が解説
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弁護士 若林翔
2025年07月24日更新

「知人の家に軽い気持ちで入っただけなのに、警察沙汰になってしまった…」

「被害者は告訴していないと言っているのに、なぜ逮捕されたのか分からない…」

「告訴がなければ罪に問われないのでは?」

住居侵入罪は、正当な理由なく他人の住居等に立ち入った場合に成立する犯罪です。犯罪には、被害者による告訴がなければ起訴できない「親告罪」と告訴がなくても起訴ができる「非親告罪」があり、住居侵入罪は、非親告罪に該当します。

そのため、被害者の告訴がなくても逮捕・起訴される可能性があります。

もっとも、非親告罪であっても被害者との間で示談が成立すれば、逮捕・起訴されるリスクは減少しますので、罪を犯してしまったときはすぐに示談交渉に着手するべきです。

本記事では、

・住居侵入罪は親告罪?親告罪と非親告罪の違いとは?
・非親告罪の住居侵入罪でも被害者との示談が重要な理由
・非親告罪の住居侵入罪を犯したときの示談交渉を弁護士に依頼すべき3つの理由

などについて詳しく解説します。

逮捕や前科を避けたい方、今後の対応に不安を抱える方は、ぜひ最後までご覧ください。

住居侵入罪は親告罪?親告罪と非親告罪の違いとは?

住居侵入罪は親告罪?親告罪と非親告罪の違いとは?

犯罪には、「親告罪」と「非親告罪」の2つの種類があります。どちらに該当するかによって起訴・不起訴の可能性が大きく変わってきますので、両者の区別をしっかりと理解しておくことが大切です。

親告罪と非親告罪の違い

親告罪と非親告罪の違いは、被害者等の告訴がなくても起訴できるかどうかです。告訴とは、被害者やその関係者が「この行為は犯罪であり、加害者を処罰してほしい」との意思を、警察や検察などの捜査機関に対して正式に伝える手続きです。

親告罪は、被害者等による告訴がなければ検察官は事件を起訴することができませんので、罪を犯したとしても告訴がなければ処罰されることはありません。

他方、非親告罪は、被害者等による告訴がなくても起訴される可能性があります。

告訴と被害届の違い

「被害届を出された=告訴された」と思っている方も多いですが、両者は法的に異なります。

被害届は、「犯罪が起こった」と警察に知らせるための届出です。必ずしも犯人の処罰を求めているとは限りません。

告訴は、明確に「犯人を処罰してほしい」と求める行為で、被害届とは異なり、加害者への処罰意思が含まれているのが特徴です。

親告罪の場合は、「被害届」では足りず「告訴」がなければ処罰されませんが、非親告罪では、被害届のみで逮捕・起訴される可能性があります。

住居侵入罪は非親告罪であるため告訴がなくても起訴される可能性あり

住居侵入罪は、非親告罪です。

そのため、被害者による告訴がなくても、警察や検察が事件として扱い、逮捕・起訴することができます。

つまり、以下のようなケースでも刑事処分に至る可能性があるということです。

・空き家だと思って敷地に入ったが、実際には居住者がいた
・元交際相手の自宅に無断で入った
・アパートの共用部分に許可なく立ち入った

このような場合、被害者が「処罰を望んでいない」と伝えても、警察の判断で逮捕・送検される可能性も否定できません。住居侵入罪では、「告訴がない=不起訴になる」とは限らないことを理解しておく必要があります。

関連コラム:住居侵入罪とは?成立要件や刑罰、逮捕されたときの対処法を解説

非親告罪であっても住居侵入罪を犯したときは被害者との示談が重要

「非親告罪なら被害者との示談なんて無意味では?」と思う方もいるかもしれません。しかし、非親告罪でも以下のような理由から被害者との示談には重要な意味を持ちます。

被害者との示談により逮捕・起訴のリスクを軽減できる

住居侵入罪は非親告罪に分類されるため、被害者が告訴していなくても、捜査機関の判断で起訴される可能性があります。しかし、そのような場合であっても、被害者との示談が成立していれば、刑事処分に与える影響は非常に大きくなります。

たとえば、示談がまとまれば、被害届を取り下げてもらえる可能性があります。被害届の取下げは、被害者の処罰意思がなくなったことを推認させる事情となりますので、それにより捜査が終了することがあります。

また、被害者から「処罰を望まない」という意思が書面で示されれば、それが検察官の判断材料となり、「訴追の必要性はない」として不起訴処分になる可能性が高まります。

特に、前科がなく、被害の程度も軽微な場合には、示談の有無が処分結果を左右することも少なくありません。

起訴されたとしても量刑上有利な事情として考慮される

仮に不起訴に至らず、起訴されてしまったとしても、示談の効果が消えるわけではありません。むしろ、その後の裁判手続きにおいて、量刑判断に大きく影響を与える要素となります。

被害者との間で被害回復がなされていることは、裁判所にとって「被告人に有利な事情」として扱われます。その結果、執行猶予付きの判決が選択されやすくなったり、罰金だけで済む略式手続で解決されたりと、実刑を避けられる可能性も出てきます。

このように、たとえ非親告罪であっても、被害者との示談は加害者にとって大きな意味を持ちます。早期に誠意ある対応を取り、示談に向けた行動を起こすことが、将来の結果を大きく左右するのです。

関連コラム:住居侵入罪における示談の効果とは?示談交渉の流れやポイントを解説

非親告罪の住居侵入罪を犯したときの示談交渉を弁護士に依頼すべき3つの理由

非親告罪の住居侵入罪を犯したときの示談交渉を弁護士に依頼すべき3つの理由

非親告罪の住居侵入罪を犯した場合、早期に被害者との示談をまとめることが重要になりますが、それには弁護士のサポートが不可欠です。以下では、示談交渉を弁護士に依頼すべき3つの理由を紹介します。

被害者が示談交渉に応じやすくなる

加害者本人が被害者に直接連絡しても、被害者が警戒してしまい話し合いに応じてもらえないケースも少なくありません。また、当事者同士の交渉だと感情的になり別のトラブルに発展するリスクもあるため、当事者同士の接触は避けた方がよいでしょう。

弁護士に依頼すれば、加害者に代わって弁護士が示談交渉に対応しますので、被害者は安心して示談交渉に臨むことができます。当初は警戒して示談を拒否していた相手でも、弁護士が窓口になれば交渉がスムーズに進み、示談成立となる可能性が高まります。

連絡先がわからない被害者との示談交渉も可能

住居侵入罪は、お互いに面識がない者同士であるケースも多く、示談交渉したくても相手の連絡先がわからないということもあります。自宅がわかっているからといって、自宅を訪問するのは相手に恐怖心を与えるだけですので、絶対にやめましょう。

弁護士に依頼すれば、捜査機関を通じて示談の意向を伝えることができ、被害者が応じてくれれば被害者の連絡先を入手することもできます。これにより連絡先がわからない被害者との示談交渉も可能になります。

相場を踏まえた適正な示談金により解決できる

住居侵入事件の被害者と示談をする際には、示談金の支払いが必要になります。

住居侵入事件における示談金相場は、10~20万円程度が一般的です。しかし、住居侵入罪以外にも窃盗、盗撮、ストーカーなどの被害が生じている場合には、示談金の額は高額になる可能性があるなど、具体的な状況によって金額は大きく変動します。

弁護士に依頼すれば、過去の経験に基づいて適正な金額を提示することができますので、被害者の納得を得ながらも経済的な負担を抑えることが可能です。

関連コラム:住居侵入の示談金はいくら?高額になるケースや払えないときの対処法

住居侵入罪の弁護はグラディアトル法律事務所にお任せを

住居侵入罪の弁護はグラディアトル法律事務所にお任せを

住居侵入罪は非親告罪であり、被害者の告訴がなくても刑事処分に発展する可能性がある犯罪です。しかし、被害者との示談交渉など弁護士による適切な対応があれば、非親告罪であっても逮捕・起訴を避けられる可能性があります。それには、迅速な対応が不可欠となりますので、事件後すぐに弁護士に依頼することが重要です。

グラディアトル法律事務所には、刑事事件を得意とする弁護士が多数在籍しており、住居侵入罪に関する経験も豊富ですので、住居侵入罪の弁護は当事務所にお任せください。

逮捕後はできるだけ早く本人と面会し、状況を確認したうえで必要な対応を取ります。ご希望があれば即日の接見にも対応しています。また、被害者との示談交渉は弁護士が代わりに行うため、ご本人が直接連絡する必要はありません。逮捕・勾留の回避や早期釈放に向けた対応、不起訴を目指す活動にも力を入れています。

住居侵入罪は、初犯なら罰金や不起訴で済む可能性もありますが、対応を誤ると正式に起訴されて裁判になるリスクもあります。「初めてだから大丈夫」と安易に判断せず、早めに弁護士へ相談することが大切です。

当事務所では初回の相談を無料で受け付けています。「これが犯罪か分からない」「警察から連絡が来た」といった段階でも問題ありません。刑事事件はスピードが重要ですので、少しでも不安があればすぐにご相談ください。

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https://www.gladiator.jp/criminal-case/contact/

まとめ

住居侵入罪は非親告罪であり、告訴がなくても逮捕・起訴される可能性がある犯罪です。

ただし、被害者との示談が成立すれば、不起訴や処分の軽減が期待できます。

加害者として処分を避けたい場合には、できるだけ早期に弁護士へ相談し、示談交渉や刑事手続きへの対策を講じることが重要です。

住居侵入に関するトラブルでお悩みの方は、グラディアトル法律事務所までお気軽にご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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