コカイン所持や使用は懲役刑?懲役刑を回避するための4つのポイント

コカイン所持や使用は懲役刑?懲役刑を回避するための4つのポイント
弁護士 若林翔
2025年04月06日更新

「コカインの所持や使用の罪はどのような刑罰が科される?」

「コカインの所持や使用で起訴されると懲役刑になる?」

「コカイン犯罪で懲役刑を回避する方法はある?」

コカインは、麻薬取締法で規制されている違法な薬物です。麻薬取締法では、コカインの所持や使用などを処罰対象としていますので、コカインの所持や使用が発覚すれば、逮捕・起訴されて、有罪判決となる可能性が非常に高いです。

また、コカインに関する犯罪の法定刑には、罰金刑が存在しないため、有罪になれば懲役刑が科されてしまいます。執行猶予が付かなければそのまま刑務所に収監されてしまいますので、執行猶予を獲得できるかどうかが重要なポイントになります。

コカイン犯罪で懲役刑の実刑判決を回避するには、どのような対応が必要になるのでしょうか。

本記事では、

・コカインの所持や使用で重い懲役刑が科される可能性のある事情
・コカインの所持や使用で無罪判決を獲得できる可能性のあるケース
・コカインの所持や使用で懲役の実刑判決を回避するための4つのポイント

などについてわかりやすく解説します。

コカイン犯罪で懲役の実刑判決を回避するには、コカイン犯罪に強い弁護士のサポートが不可欠となりますので、逮捕されたときはすぐに弁護士に依頼するようにしてください。

コカインの所持や使用は懲役刑|コカイン犯罪の罰則

コカインの所持や使用は懲役刑|コカイン犯罪の罰則

コカインの所持や使用は、麻薬取締法違反となり、懲役刑の刑罰が科されます。以下では、麻薬取締法で規制されているコカイン犯罪の類型と刑罰について説明します。

行為態様営利目的の有無法定刑
コカインの所持、施用、譲渡・譲受営利目的なし7年以下の懲役
営利目的あり1年以上10年以下の懲役※情状により300万円以下の罰金が追加
コカインの輸入・輸出、製造営利目的なし1年以上10年以下の懲役
営利目的あり1年以上の懲役※情状により500万円以下の罰金が追加

コカインの所持|7年以下の懲役

コカインの所持は、麻薬取扱者、麻薬診療施設の開設者または麻薬研究施設の設置者でなければ行うことができません。これらに該当しない人がコカインを所持した場合、コカインの所持罪が成立し、7年以下の懲役に処せられます。

なお、営利目的でコカインの所持をした場合、刑罰重くなり、1年以上10年以下の懲役に処せられ、情状によって300万円以下の罰金が追加されることもあります。

コカインの使用|7年以下の懲役

医療用の精神刺激薬としてコカインを施用(使用)することは認められています。

しかし、そのような正当な施用方法以外でコカインを施用した場合、コカインの施用罪が成立し、7年以下の懲役に処せられます。

なお、営利目的でコカインの施用をした場合、刑罰重くなり、1年以上10年以下の懲役に処せられ、情状によって300万円以下の罰金が追加されることもあります。

コカインの製造|1年以上10年以下の懲役

コカインの製造は、麻薬製造業者または麻薬製剤業者でなければ行うことができません。

これらの業者に該当しない人がコカインを製造した場合、コカインの製造罪が成立し1年以上10年以下の懲役に処せられます。

なお、営利目的でコカインの製造をした場合、刑罰が重くなり1年以上の懲役に処せられ、情状によって500万円以下の罰金が追加されることもあります。

コカインの譲渡・譲受|7年以下の懲役

コカインの譲渡・譲受は、麻薬営業者でなければ行うことができません。

これに該当しない人がコカインの譲渡・譲受をすると、コカインの譲渡・譲受罪が成立し、7年以下の懲役に処せられます。

なお、営利目的でコカインの譲渡・譲受をした場合、刑罰重くなり、1年以上10年以下の懲役に処せられ、情状によって300万円以下の罰金が追加されることもあります。

コカインの輸出入|1年以上10年以下の懲役

麻薬取締法により許可された人以外がコカインの輸出または輸入をすると、コカインの輸出・輸入罪が成立し、1年以上10年以下の懲役に処せられます。

なお、営利目的でコカインの輸出・輸入をした場合、刑罰が重くなり1年以上の懲役に処せられ、情状によって500万円以下の罰金が追加されることもあります。

関連コラム:麻薬で逮捕されたらどうなる?逮捕されるケースや流れ、リスクを解説

コカインの所持や使用で重い懲役刑が科される可能性のある事情

コカインの所持や使用で重い懲役刑が科される可能性のある事情

コカインの所持または使用罪で有罪になると、法定刑の範囲内で刑罰が言い渡されますが、以下のような事情があるケースでは、一般的なケースよりも長い懲役刑が科される可能性があります。

コカインの所持量が多い

コカインに関する犯罪は、コカインの所持量に応じて刑が重くなる傾向にあります。

特に、自分で使用するコカインの量を超えているような場合には、営利目的での所持を疑われてしまいますので、「7年以下の懲役」ではなく「1年以上10年以下の懲役」が法定刑になる可能性があります。

大量のパケや秤を所持していた

大量のパケや秤を所持していた場合、営利目的が疑われてしまいますので、コカインの単純所持罪に比べて重い懲役刑が科される可能性があります。

なぜなら、大量のパケや秤は、第三者に売りさばくための道具ですので、自分で使用するためにコカインを所持しているだけでは必要がない道具だからです。

コカインの所持だけでなく使用もしていた

コカインの所持だけでなく、コカインの使用もしていた場合は、コカインの所持罪とコカインの使用罪が別々に成立します。

コカインの所持罪と使用罪のそれぞれで起訴され、有罪になれば「併合罪」として処理されますので、重い罪について定めた刑の長期にその半分を加えたものが懲役刑の長期となります。すなわち、10年6月以下の懲役刑まで科すことが可能になるのです。

このように複数のコカイン犯罪が成立するケースでは、単一の罪を犯すよりも重い懲役刑が科されてしまいます。

同種の前科がある

薬物犯罪は、再犯率の高い犯罪になりますので、何度も同じ犯罪を繰り返してしまう傾向があります。そのため、コカインの所持や使用で逮捕・起訴された人が過去に同種前科がある場合には、前回の裁判で科された懲役刑よりも長期の懲役刑が科される可能性が高いです。

たとえば、コカインの所持または使用の罪に関して、前回の裁判で懲役1年6月執行猶予3年だったとしても、2回目になれば懲役2年の実刑判決になる可能性があります。

国外から国内に持ち込んだコカインだった

コカインに関する犯罪の中でもコカインの輸出入および製造は、コカイン犯罪を増やす要因になるため、特に厳しく処罰されています。

コカインの使用または所持罪の法定刑が7年以下の懲役であるのに対して、コカインの輸出入または製造罪の法定刑が1年以上10年以下の懲役であることからも、厳しい取り締まりがなされていることがわかると思います。

そのため、コカインの使用または所持ではなく、コカインの輸出入や製造があったと認定されてしまうと、より重い懲役刑が科されることになるでしょう。

コカインの所持や使用で懲役刑ではなく無罪判決を獲得できる3つのケース

コカインの所持や使用で懲役刑ではなく無罪判決を獲得できる3つのケース

コカイン犯罪で起訴されると99%以上の事件が有罪になってしまいます。しかし、コカインの所持または使用があったとしても、以下のような事情がある場合には、無罪判決を獲得できる可能性があります。

コカインの使用が故意ではない

尿からコカインの陽性反応が出ると、基本的にはコカインの使用罪で起訴されて、有罪になってしまいます。

しかし、コカインの使用罪は、自らの意思でコカインを摂取したことが成立要件になっていますので、コカイン摂取が故意でない場合には、無罪になります。たとえば、飲み物にコカインが入れられているのを知らずに飲んでしまったような場合であれば、そのことを証明できれば無罪判決を獲得できる可能性があります。

ただし、通常は自らの意思で摂取したと考えられますので、故意ではないという立証は容易ではありません。

尿の採取過程に問題があった

コカインの使用罪で起訴された場合、主に尿の鑑定結果を証拠として有罪・無罪が判断されます。

尿の鑑定結果からコカインの陽性反応が出たとしても、尿の採取過程に問題があり、尿が他人のものにすり替えられている、他人の尿が混ざった可能性があるようなケースでは、被告人がコカインを使用したかどうかについて合理的な疑いが生じますので、無罪判決が言い渡される可能性があります。

違法捜査があった

刑事裁判においては、違法捜査によって入手した証拠を使用することができないという原則があります。これを「違法収集証拠排除法則」と呼びます。

たとえば、本人が同意していないにもかかわらず所持品検査が行われた、無令状で自宅に立ち入ってコカインを押収したような場合には、違法捜査があったとして、コカインを所持していたとしても、無罪判決が言い渡される可能性があります。

コカインの所持や使用で懲役の実刑判決を回避・執行猶予を獲得するための4つのポイント

コカインの所持や使用で懲役の実刑判決を回避・執行猶予を獲得するための4つのポイント

コカインの単純所持や使用の罪で起訴されたとしても初犯であれば執行猶予になる可能性が高いです。以下では、コカインの所持や使用で懲役の実刑判決を回避するための4つのポイントについて説明します。

営利目的がないこと

コカイン犯罪は、営利目的の有無に応じて法定刑が分けられており、営利目的がある方が重く処罰されます。

コカインの所持や使用で逮捕・起訴されたとしても、営利目的が認定されなければ、懲役の実刑判決を回避し、執行猶予を獲得できる可能性があります。営利目的は、本人の主観だけではなく、以下のような客観的事情を踏まえて判断されますので、このような事情がないことが重要なポイントになります。

・コカインの所持量が多い
・コカインを小分けにしたパケを多数所持している
・専用の計量器を所持している
・新品の注射器を多数所持している
・メッセージアプリでコカインの譲渡に関するやり取りをしている

初犯であること

コカインなどの薬物犯罪は、初犯であれば執行猶予が付く可能性が高いですが、同種の前科がある場合には、執行猶予が付かない懲役の実刑判決になる可能性が高いです。

そのため、コカインの所持や使用で懲役の実刑判決を回避するなら、初犯であることも重要なポイントの一つになります。

ただし、前科があったとしても薬物とは無関係な前科(例:窃盗、傷害など)であれば、執行猶予を獲得できる可能性がありますので、同種前科であるかどうかも重要です。

関連コラム:コカインの初犯の量刑相場|実刑や執行猶予の可能性がある事情を解説

薬物依存の治療に取り組むこと

コカインは、覚醒剤と同様に神経を興奮させる作用がありますが、効果の持続時間が15~30分程度と短い性質があります。そのため、より多くの快感を得るために1日に何度もコカインを使用するようになることから、薬物依存に陥る可能性が高いです。

薬物依存の状態では、執行猶予を付けたとしても再びコカインに手を出す可能性があるため、裁判官も執行猶予付き判決には消極的になってしまいます。そのため、懲役の実刑判決を回避するには、薬物依存の治療に取り組むことが重要です。

コカインの所持や使用で逮捕・勾留されても、起訴後なら保釈請求で身柄を解放してもらうことができますので、身柄解放後はすぐに専門の医療機関を受診して、薬物依存の治療を開始するようにしてください。

家族などによる監督が期待できること

コカインは依存性の高い薬物ですので、コカインとの関係を断ち切るには本人の意思だけでは難しいケースもあります。より確実に薬物との関係を絶つには、家族などが本人を監督、サポートしてあげることが重要です。

そのため、本人の周囲に監督が期待できる家族、友人、職場の上司などがいるかどうかも懲役の実刑判決を回避するための重要な要素となります。

コカインの所持や使用で逮捕されてしまったときはグラディアトル法律事務所に相談を

コカインの所持や使用で逮捕されてしまったときはグラディアトル法律事務所に相談を

コカインの所持・使用罪は、被害者がいないため示談による解決は望めません。また、コカインは、その依存性の高さから繰り返し犯罪を行ってしまうケースが多く、実刑判決を言い渡される可能性も高い犯罪だといえます。

そのため、コカインの所持や使用で逮捕されてしまったときは、早い段階で薬物犯罪に強い弁護士に相談して、適切な対応をしてくことが重要になります。

グラディアトル法律事務所では、コカインなどの薬物犯罪の弁護に関して豊富な経験と実績を有していますので、懲役の実刑を回避するためのポイントを熟知しています。薬物依存状態にある場合は、早期に身柄解放実現し、治療や更生に向けた取り組みにつなげることができますので、まずは当事務所までご相談ください。

また、当事務所では刑事事件に関してスピード対応を心がけていますので、最短で即日対応が可能です。身柄拘束されている場合には、すぐに警察署に駆けつけて面会を実施しますので、一刻も早く当事務所までご相談ください。

さらに、相談は24時間365日受け付けておりますので、早朝・夜間や土日祝日であっても関係なく対応可能です。初回法律相談を無料で対応していますので、コカイン事件に関する相談をご希望の方は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

関連コラム:麻薬事件を弁護士に依頼する4つのメリットと弁護士選びのポイント

まとめ

コカインの所持や使用は、麻薬取締法により厳しく規制されていますので、コカインの所持や使用が発覚すると、高い確率で逮捕・起訴され、有罪になってしまいます。懲役の実刑となれば長期間刑務所に収容されることになりますので、それを避けるには、早い段階から弁護士によるサポートを受けることが重要です。

コカインの使用や所持で逮捕されてしまったときは、薬物犯罪に強いグラディアトル法律事務所までお気軽にご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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