「大麻を少し持っているだけだけど、逮捕されるのだろうか?」
「もし大麻所持で逮捕されたら、どんな流れになるの?初犯でも実刑?」
このような疑問や不安を抱えている方は少なくないでしょう。
警察庁のデータによれば、大麻事犯で検挙されるケースの約85%が「所持」によるものとされています。さらに、逮捕される確率(身柄率)も約54%とかなり高い水準です。
軽い気持ちで手を出してしまった、あるいは知人から預かっただけ…等のケースでも逮捕リスクは決して低くありません。
この記事では、大麻所持による逮捕の可能性について客観的なデータをもとに解説します。
さらに、万が一逮捕されたときの流れ、量刑の目安(実刑・執行猶予・懲役期間など)、弁護士ができることについても取り上げました。
大麻所持による逮捕リスクを理解し、早期に身柄解放する方法を知りたい方は、ぜひご一読ください。
◉本記事でわかること
- ■大麻所持で逮捕される確率と初犯者の割合
- ■逮捕後の流れと最大身柄拘束期間
- ■実刑になるのか執行猶予になるのかの目安
- ■身柄拘束を解く方法
- ■弁護士ができることと弁護士の選び方
大麻所持でお困りの方は、刑事事件に強いグラディアトル法律事務所へご相談ください。
目次
大麻は「所持」するだけでも逮捕される?
大麻は「所持」しているだけでも逮捕される可能性があります。
以下で、所持による検挙の割合、逮捕される確率、初犯の場合について詳しく解説します。
大麻事犯は「所持」による検挙が85%
大麻で警察に検挙されるケースの大半は「所持」によるものです。
令和5年における大麻事犯の「違反態様別の検挙件数」を確認してみましょう。
検挙件数 | 比率 | |
---|---|---|
総 数 | 8,034 | |
密輸入 | 74 | 1% |
所 持 | 6,837 | 85% |
譲渡し | 350 | 4% |
譲受け | 181 | 2% |
施 用 | 0 | 0% ※令和6年より規制 |
栽 培 | 225 | 3% |
その他 | 367 | 5% |
(出典:令和6年警察白書 統計資料を加工して作成)
統計データによれば、総検挙件数8,034件のうち、「所持」による検挙が6,837件と、全体の約85%を占めています。これは、密輸入や譲渡、栽培といった他の違反行為と比べても圧倒的に多い数字です。
大麻取締法違反の逮捕率(身柄率)は54%
大麻事犯で検挙されると、54.1%が逮捕されて身柄を拘束されています。
被疑者が逮捕される事件を「身柄事件」と呼びますが、大麻取締法違反は身柄事件の割合が他の犯罪と比較して高い犯罪です。
以下の表は、令和4年の犯罪統計資料から、大麻取締法違反と刑法犯全体の身柄率を比較したものです。
総数 | 警察で逮捕・身柄付き送致 | 検察庁で逮捕 | 身柄率 | |
---|---|---|---|---|
大麻取締法 | 7,753 | 4,190 | 2 | 54.1% |
(参考)刑法犯 | 1,818,646 | 89,480 | 165 | 34.3% |
(出典:法務省|令和5年版 犯罪白書 「検察庁既済事件の身柄状況(罪名別)」(法務省)を加工して作成)
大麻取締法違反の身柄率は54.1%であり、刑法犯全体の34.3%と比べて約20%も高いです。
「所持だけなら逮捕はされないだろう」と考えることはできません。
初犯でも逮捕される可能性がある
大麻所持は、初犯であっても逮捕される可能性があります。
実際に、令和5年に大麻取締法違反で検挙された6,703人のうち、実に5,119人が初犯者でした。これは検挙者全体の約76.4%にあたります。
令和5年 | |
---|---|
検挙人員 | 6,703 |
うち初犯者数 | 5,119 |
比率(%) | 76.4% |
大麻事犯では、「初犯だから逮捕されない」と考えることはできません。
初犯であっても、証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断されれば、逮捕される可能性は十分にあります。
大麻所持で逮捕された場合の流れ
大麻所持で逮捕されると、その後は法律に基づいて手続きが進められていきます。
逮捕後の流れについて詳しく見ていきましょう。

【24時間〜48時間】警察の取調べが行われる
大麻所持で逮捕されると、まず警察署で取調べを受けることになります。
取調べは、逮捕から最大48時間にわたって実施され、事件に関する書類や証拠と共に被疑者の身柄を検察官に送致するかが決まります。
取調べでは、大麻を所持していた経緯や入手ルート、共犯者の有無などが詳しく聞かれるでしょう。取調べにどう対応するかがその後の手続きに影響を与えるため、すぐに弁護士への連絡が必要です。
【72時間以内】検察官によって勾留・釈放が決まる
警察での取調べが終わると、次は検察官による取調べです。
検察官は警察からの送致を受けてから24時間以内(つまり逮捕されてから合計72時間以内)に、その人を引き続き拘束する必要があるかどうかを判断します。
ここで身柄拘束が必要と判断されると、裁判官に対して「勾留請求」が行われます。
刑事裁判にかけるために、被疑者の身柄を拘束するための手続きのこと。
検察官が勾留を請求するのは、被疑者に「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」があると判断した場合に行われます。
大麻事犯では、検察官が勾留請求した場合の認容率は「90%」を超えています。
裁判官が、勾留請求を認めると、原則として10日間、身柄拘束が続きます。
もし検察官が勾留請求しない、または裁判官が請求を認めなかった場合は、被疑者は釈放されて、在宅事件として捜査が続けられます。
再逮捕・再勾留されるケースもある
大麻事件では、しばしば、捜査中で別の容疑が明らかになり、その別容疑で「再逮捕」され、再び勾留手続きが進められることがあります。
再逮捕されると、その事実について再び逮捕後の手続き(警察の取り調べ、検察の取り調べ、勾留請求など)が繰り返され、勾留が決定されれば、さらに最大20日間の身柄拘束が続くことになります。
【最大23日】起訴・不起訴が決まる
裁判官によって勾留が決定されると、勾留期間中に、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるかどうか、つまり「起訴」するか「不起訴」にするかを決定します。
大麻所持の場合、所持量がごくわずかであったり、前科前歴がなく再犯の可能性が低いと判断されたりすれば、「起訴猶予」という形で不起訴になるケースがあります。不起訴になれば、裁判は開かれず、自宅に戻れるでしょう。
一方、起訴されると公開の法廷で刑事裁判が開かれます。保釈が認められない限り、裁判が終わるまで身柄拘束が続く可能性が高いです。
大麻所持で逮捕されると実刑?執行猶予?
大麻所持で逮捕・起訴されても、必ずしも「実刑」になるわけではありません。
実際には「執行猶予付き」の判決が言い渡されるケースが多いです。
有罪判決による刑の執行が一定期間猶予される制度。執行猶予期間中は、刑務所に入らずに通常の社会生活を送ることができる。再犯などを起こさずに、猶予期間が満了すると、刑の言渡しの効力が失われる。
判決が実刑になるか執行猶予になるかは、所持していた大麻の量、大麻に関わった期間や態様、常習性、営利性、本人の反省、再犯の可能性などを考慮して、裁判官が判断します。
大麻所持の場合、大麻の量が微量だったり、前科・前歴がなかったりすると、執行猶予付き判決となる可能性が高いです。実際、統計データでも、大麻取締法違反で懲役刑の判決を受けた人のうち、86%に執行猶予が付いています。
(全部)執行猶予 | 実刑 | |
---|---|---|
大麻取締法 | 1,867 | 295 |
比率 | 86% | 14% |
(出典:令和5年版 犯罪白書 「薬物犯罪‐処遇」(法務省)を加工して作成)
ただし、 営利目的が認められたり、所持量が多かったり、あるいは同種の前科があったりすれば、実刑となるリスクは十分にあります。
大麻所持で逮捕されると懲役何年?
大麻所持で逮捕された場合の懲役年数は、法律で定められた刑の範囲内で、個別の事案ごとに判断されます。
したがって、「大麻所持の刑罰が法律でどのように規定されているか(法定刑)」と「実際の裁判でどのような刑が言い渡されているか(量刑目安)」の2つを知ることで、ある程度の見通しを立てることができます。
大麻所持の法定刑
大麻所持の法定刑は、麻薬及び向精神薬取締法(麻向法)によって、以下のように定められています。
営利目的あり | 営利目的なし | |
---|---|---|
大麻の所持 | 1年以上10年以下の懲役、情状により300万円以下の罰金を併科 | 7年以下の懲役 |
大麻所持の法定刑は、営利目的があったかによって大きく異なります。
営利目的がない場合(自分で使用する目的で大麻を所持していた場合など)は「7年以下の懲役」です。
一方、営利目的で大麻を所持していた場合は、より重く処罰され、「1年以上10年以下の懲役」です。さらに情状(状況や事情)によっては「300万円以下の罰金」が併せて科される(懲役刑と罰金刑の両方が科される)可能性があります。
大麻事犯の量刑目安
もっとも、法定刑はあくまでも「刑の上限・下限」を定めたものです。
実際には、様々な要素が考慮されて、法定刑の範囲内で、処断刑(実際に言い渡される懲役刑)」が決まります。
以下の表は、令和5年に大麻事犯で懲役刑となった人の「刑期別の人員分布」を示したものです。
6月未満 | 6月以上1年未満 | 1年以上2年未満 | 2年以上3年未満 | 3年超え | |
---|---|---|---|---|---|
実人員 | 26人 | 1,397人 | 455人 | 257人 | 27人 |
比率 | 1% | 65% | 21% | 12% | 1% |
(出典:令和5年版 犯罪白書 「薬物犯罪‐処遇」(法務省)を加工して作成)
大麻事犯には様々な態様がありますが、大麻事犯の85%は「所持」によるものです。
したがって、(営利目的がなければ)基本的には「6月〜2年未満」の刑期になる可能性が高いと考えてよいでしょう。
一方で、営利目的であれば刑は重くなる可能性があります。
たとえば、所持していた大麻を譲渡・譲受していたり、栽培していたりすると、3年超えの刑期も十分に考えられます。
→大麻の逮捕率は54%?逮捕される4つのケースと早期釈放する方法
逮捕後、身柄拘束を解く方法は?
大麻所持で逮捕された後、身柄拘束を解くための方法は、逮捕からの段階によって異なります。逮捕直後、勾留決定後、そして起訴後の3つの段階に分けて、身柄拘束を解く方法を説明します。

逮捕から72時間以内|勾留を阻止する
逮捕されてから72時間以内であれば、「勾留」を阻止できる可能性があります。
この期間に勾留を阻止することができれば、逮捕による身柄拘束は最大でも72時間で終了します。
勾留を阻止するためには、検察官や裁判官に対して、「証拠隠滅のおそれ」や「逃亡のおそれ」といった勾留要件を満たさないことを具体的に主張することが必要です。例えば、安定した住居や職業があり、家族のサポートがあることなどを示せば、逃亡のおそれがないことを主張できます。
弁護士は、被疑者本人と接見し、家族からの身元引受書や就労状況を示す資料などを揃え、検察官に勾留請求しないよう、あるいは裁判官に勾留請求を却下するよう働きかけていきます。
勾留決定後|準抗告によって勾留決定を争う
勾留が決定されてしまった場合も、まだ諦める必要はありません。
「準抗告(じゅんこうこく)」という手続きによって、勾留決定の取り消しを求めることができます。
準抗告とは、勾留決定の判断に誤りがある場合や、勾留決定時にはなかった新たな事情が生じた場合に、改めて裁判所に判断を求める手続きです。例えば、身元引受人がいて勾留の必要性がない場合や、健康上の問題がある場合などが、新たな事情として考慮されることがあります。
弁護士による準抗告が認められれば、勾留決定が取り消され、身柄が解放される可能性があります。
起訴後|保釈請求をする
勾留期間が満了し、検察官によって起訴された後は、「保釈」を請求することができます。保釈とは、保証金を裁判所に納めることなどを条件に、裁判が終わるまでの間、一時的に身柄拘束が解かれる制度です。
弁護士を通じて保釈請求し、裁判所によって保釈が許可されれば、保釈保証金を納付することで釈放される可能性があります。大麻所持の場合、保釈保証金の額は「150万円から200万円程度」が一般的です。
→大麻事件の保釈金の相場は?保釈の条件や保釈までの流れを解説
大麻所持で逮捕されたとき弁護士ができること
大麻所持で逮捕された場合、弁護士は被疑者・被告人の状況に応じて、様々な弁護活動を行います。 大麻を所持したことを認めるのか、あるいは否認するのかでも異なりますが、いずれにせよできる限り早期の相談が必要です。
大麻所持で逮捕されたとき、弁護士ができることを見ていきましょう。

大麻所持を認めるなら、不起訴・執行猶予を目指す
大麻所持の事実を認めるなら、弁護士は主に不起訴処分(特に起訴猶予)や執行猶予付き判決の獲得を目指す「情状弁護」を行います。
大麻事件は、通常の刑事事件とは異なり、示談による解決ができません。そのため、本人の反省や、再犯防止の取り組みを示すことが量刑を左右するポイントになります。
そこで弁護士としては、家族による監督、就労先の確保、薬物依存治療のための医療機関への通院など、被告人にとって有利な事情を作り出し、検察や裁判官に対して主張していきます。加えて、早期の身柄解放(勾留阻止や保釈請求)に向けた活動も並行して行い、社会生活への早期復帰をサポートします。
不起訴、執行猶予付き判決を得ることができれば、社会生活への影響を最小限に抑えられるでしょう。
大麻所持を否認するなら、証拠関係を争う
一方で、大麻所持の事実を否認する場合、まずはその理由を確認します。
「自分の大麻ではない」「これが大麻だと知らなかった」など、様々なケースが考えられますが、いずれにしても無罪・不起訴処分の獲得を目指し、証拠の信用性を徹底的に争っていきます。
・物的証拠(指紋鑑定、DNA鑑定など)や関係者の供述は信用できるものか
・本人が大麻だと知って、自分の意思で所持していたことを裏付ける証拠はあるか など
薬物事件では、客観的な証拠が存在するケースも多く、無罪を争うことは決して簡単ではありません。 しかし、薬物事件の弁護経験が豊富な弁護士であれば、一見不利に見える状況からでも粘り強く証拠関係を争い、不起訴処分や無罪判決を得られる可能性があります。
例えば、当事務所グラディアトル法律事務所においても、覚せい剤事件ではありますが、尿検査で陽性反応が出た方からご相談をいただき、最終的に不起訴処分を獲得した事例があります。
大麻所持で逮捕されたときの弁護士の選び方
ここまで、大麻所持で逮捕されたら弁護士へ依頼することが大切だとお伝えしました。
しかし、弁護士なら誰でも良いわけではありません。医師に「内科・外科」といった専門領域があるのと同様に、弁護士にも得意・不得意があります。
特に、大麻事件では、違法薬物の専門知識が必要なので、大麻事件を扱ったことがない弁護士に依頼しても、良い結果は期待できません。弁護士を選ぶときは、以下のようなポイントを確認してください。

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まとめ
記事のポイントをまとめます。
1.大麻は「所持」だけでも逮捕リスクが高い
大麻事犯の検挙の約85%が「所持」によるものであり、逮捕される確率(身柄率)も約54%と高い水準です。検挙者の約76%が初犯であり、初犯だからといって逮捕されないとは限りません。
2.大麻所持で逮捕された後の流れ
逮捕されると、
② 検察官による勾留請求/釈放判断(~72時間)
③ 勾留決定(原則10日間、最大20日間)
④ 起訴判断
という流れで手続きが進み、最大で23日間身柄が拘束される可能性があります。別容疑での再逮捕・再勾留により、拘束期間がさらに長期化するケースもあります。
3.執行猶予の可能性が高いが、実刑リスクもある
大麻所持で起訴されても、約86%は執行猶予付き判決です。
しかし、営利目的、所持量が多い、前科があるなどの場合は実刑判決(約14%)のリスクがあります。
4.懲役期間の目安
法定刑は、単純所持で7年以下の懲役、営利目的所持で1年以上10年以下の懲役(+罰金)です。実際の量刑は、単純所持の場合、6ヶ月以上2年未満となるケースが多いですが、営利目的があれば重くなります。
5.逮捕されたとき弁護士ができること
弁護士は、「勾留阻止」「準抗告」「保釈請求」などによって早期の身柄開放を目指します。同時に、大麻を所持したことを認めるのか、あるいは否認するのかなどの状況に応じて、最善の弁護活動を行います。
6.弁護士選びは薬物事件の実績と迅速さが重要
大麻事件の結果は、担当する弁護人によって大きく変わってきます。
薬物事件を解決するには、専門知識が不可欠なので、薬物事件の解決実績が豊富で、迅速に対応してくれる弁護士を選ぶことが大切です。
以上です。
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