大麻取締法改正で大麻使用が罰則対象に!改正内容をわかりやすく解説

大麻取締法改正で大麻使用が罰則対象に!改正内容をわかりやすく解説
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弁護士 若林翔
2025年05月16日更新

「大麻取締法が改正されたみたいだけど、何が変わったのかよくわからない」

「今、大麻を使用するとどんな罪に問われるの?」

2024年12月に「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」が成立し、大麻の取り扱いが大幅に変更されました。

しかし、法改正は難解な部分も多く、具体的に何が変わったのか正しく理解できている人は多くないでしょう。

なかには、実際に大麻の所持・使用がバレてしまい、今後どのような法的措置がとられることになるのか、気になっている人もいるかもしれません。

そこで本記事では、大麻取締法等の改正による変更点をわかりやすく解説します。

刑罰の内容やCBD商品への影響なども記載しているので、大麻の取り扱いに関して疑問を持っている人は参考にしてみてください。

大麻取締法等の改正で何が変わった?改正内容のポイント

2024年12月に「大麻取締法」と「麻薬及び向精神薬取締法」が改正されました。

法改正のポイントを大きく3つに分けて解説していきます。

大麻取締法等の改正ポイント

大麻の「使用」に対して罰則が適用されるようになった

大麻取締法等の改正により、大麻の「使用」に対して罰則が適用されるようになりました。

法改正以前も大麻の所持や譲渡などは規制されていましたが、使用に関しては罰則がありませんでした。

しかし、法改正後は大麻が「麻薬」として位置付けられ、「麻薬及び向精神薬取締法」に基づく罰則が適用されることとなったのです。

具体的には、大麻を使用した場合に「1ヵ月以上7年以下の懲役」が科されることになっています。

さらに、営利目的での使用に対しては「1年以上10年以下の懲役もしくは情状により300万円以下の罰金またはその両方」が科せられます

関連コラム:大麻は懲役6ヶ月〜1年が目安!量刑相場・懲役を防ぐ方法を解説

大麻の所持・譲渡・栽培などが厳罰化された

大麻取締法等の改正によって、大麻の所持・譲渡・栽培などが厳罰化されました。

まず、大麻の所持・譲渡・譲受・輸出入・製造に関しては、規制する法律が「大麻取締法」から「麻薬取締法」に変更されたことで、罰則が重くなっています

 法改正前
(大麻取締法に基づく罰則)
法改正後
(麻薬取締法に基づく罰則)
所持・譲受・譲渡1ヵ月以上5年以下の懲役1ヵ月以上7年以下の懲役
営利目的での所持・譲受・譲渡1ヵ月以上7年以下の懲役
(情状により200万円以下の罰金も併科)
1年以上10年以下の懲役
(情状により300万円以下の罰金も併科)
輸出入・製造1ヵ月以上10年以下の懲役1年以上10年以下の懲役
営利目的での輸出入・製造1ヵ月以上10年以下の懲役
(情状により300万円以下の罰金も併科)
1年以上20年以下の懲役
(情状により500万円以下の罰金も併科)

大麻の栽培に関しては「大麻草の栽培の規制に関する法律」(旧大麻取締法)で規制されたままですが、以下のように厳罰化が図られています

 法改正前法改正前
栽培1ヵ月以上7年以下の懲役1年以上10年以下の懲役
営利目的での栽培1ヵ月以上10年以下の懲役
(情状により300万円以下の罰金も併科)
1年以上20年以下の懲役
(情状により500万円以下の罰金も併科)

関連コラム:大麻犯罪で科される刑罰|実刑・執行猶予の可能性があるケースを解説

医薬品の解禁や栽培規制の緩和などの措置もとられた

大麻取締法等の改正により、大麻に由来する医薬品の解禁や栽培規制緩和などの措置もとられています。

具体的には、「医薬品医療機器等法の承認を受けた大麻草」から製造された医薬品の使用が新たに認められるようになりました

大麻草の栽培も産業利用や医薬品原料の抽出を目的としたものに限り、免許制で認められている点に注意してください。

  • ・第一種大麻草採取栽培者免許:産業用途で大麻を栽培する場合の免許
  • ・第二種大麻草採取栽培者免許:医薬品の原料として大麻を栽培する場合の免許

免許を取得せずに大麻を栽培した場合は、違法行為として罰則が科せられます。

大麻取締法等が改正された背景

ここでは、大麻取締法等が改正された背景を解説します。

主に2つのポイントがあるので、詳しくみていきましょう。

大麻取締法等が改正された背景

大麻から製造された医療品に対するニーズの高まり

大麻取締法等が改正された背景には、大麻から製造された医薬品に対するニーズの高まりが大きく影響しています。

従来、日本では大麻に由来する医薬品の使用・交付が禁止されていました。

しかし、難治性てんかんや慢性疼痛など、既存の治療法では対処が難しい疾患に対する大麻の有効性が立証され、海外での実績も増えていました

そのなかで、患者や医療現場からも大麻由来医薬品の利用を求める声が上がるようになり、規制が見直されることになったのです。

多発する若年層の大麻乱用

多発する若年層の大麻乱用が多発していたことも、大麻取締法等が改正された理由のひとつです。

若い世代を中心とした大麻の広がりは、社会問題として深刻化していました。

たとえば、法改正前年の2023年では、大麻事件の検挙人数が6,703人で過去最多を更新しており、30代未満が7割以上を占めています。(参考:大麻事犯における検挙人員及び30歳未満の割合|厚生労働省

インターネットやSNSを通じて大麻に関する情報が簡単に入手できるようになり、若年層の間で「大麻は安全」という誤った認識が広がっていたのです。

上記の状況を受け、若年層の健康被害や再犯防止の観点から法改正が実施され、大麻の使用・譲渡などが厳しく規制されるようになりました。

大麻取締法等の改正法はいつから施行されている?

大麻取締法等の改正法は2段階に分けて施行されています。

  • ・2024年12月12日:罰則の強化や医薬品の解禁などに関すること
  • ・2025年3月1日:大麻草の栽培や管理方法などに関すること

大麻の使用や所持などに関しては、2024年12月12日を境に適用される法律や罰則が変わるものと考えておきましょう。

大麻取締法等の改正に関してよくある質問

ここでは、大麻取締法等の改正に関してよくある質問に回答していきます。

大麻取締法等の改正に関してよくある質問

法改正以前は大麻使用が取り締まりの対象外だった?

法改正以前は、大麻の使用を規制する法律がなく、取り締まりの対象外でした。

つまり、「大麻を使用した」という事実を理由に逮捕されたり、処罰されたりすることはなかったのです。

とはいえ実務上は、法規制の対象となっていた「所持」や「譲受」などを根拠に取り締まりがおこなわれていたため、大麻の使用者が野放しにされていたわけではありません。

関連コラム:大麻の「使用」と「所持」は何が違う?内容や刑罰、証拠の違いを解説

法改正がCBDに与える影響は?

大麻取締法等の改正は、CBD製品にも大きな影響をもたらしています。

ポイントは、大麻を規制する基準が「部分規制」から「成分規制」に変更されたことです。

  • ・部分規制:花穂・葉・未成熟の茎などから抽出された製品が違法となる
  • ・成分規制:THCの含有量が残留限度値を超えて検出された製品が違法となる

法改正後も、成分規制の基準を満たしたCBD製品は合法的に使用できます。

一方で、基準を満たさない製品が市場に出回っている可能性も否定できません。

THCが基準値を超える製品は「麻薬」に分類され、所持や使用が発覚すると重い罰則が科されるので十分注意しておきましょう。

海外での大麻使用は合法?

確かに、海外では大麻の使用が合法とされている国や地域が存在します。

たとえば、カナダやウルグアイなどでは嗜好目的の大麻使用も合法です。

しかし、日本人が海外で大麻を使用した場合は、日本の法律で処罰される可能性があります

渡航先に関わらず、大麻は絶対に使用しないでください。

大麻使用に関する事件はグラディアトル法律事務所に相談を!

大麻使用に関する事件を起こしたときは、一刻も早く弁護士に相談してください。

大麻取締法等の改正により大麻の規制は強化されており、初犯であっても実刑になる可能性があります。

少しでも不起訴や執行猶予の可能性を高めたいのであれば、弁護士のサポートが必要不可欠です。

実際、グラディアトル法律事務所では数々の大麻事件を解決に導いてきた実績があります。

24時間365日、経験豊富な弁護士が相談を受け付けているので、困ったときはいつでもお問い合わせください。

初回相談は無料、LINEでの相談にも対応しているため、お気軽にどうぞ。

関連コラム:大麻事件の弁護士費用はいくら?種類・相場や弁護士の探し方を解説

まとめ

本記事のポイントは以下のとおりです。

【大麻取締法等の主な改正内容】

◆ 大麻の「使用」に対して罰則が適用
◆ 大麻の所持・譲渡・譲受・輸出入・栽培が厳罰化
◆ 医薬品の解禁や栽培規制の緩和

【大麻取締法等が改正された背景】

◆ 大麻から製造された医療品に対するニーズが高まっていたから
◆ 若年層の大麻乱用が多発していたから

【大麻の取り扱いに関する注意点】

◆ THCの含有量が基準値を超えるCBD製品は違法
◆ 海外での大麻使用は処罰される可能性がある

大麻事件に関する悩み・不安はできるだけ早く弁護士に相談し、早期解決を目指しましょう。

グラディアトル法律事務所では、土日祝日や夜間の相談にも対応しているので、いつでもご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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