「暴行罪で逮捕された」
「家族が警察に連れて行かれた」
そんな状況に直面したとき、多くの方が最初に感じるのは「このまま長く拘束されてしまうのではないか」という不安ではないでしょうか。
結論からお伝えします。暴行罪で現行犯逮捕された場合、その後の身柄拘束の期間を大きく左右するのは、逮捕からの72時間です。この72時間以内に勾留を阻止できれば、早期に釈放される可能性があります。
実際にグラディアトル法律事務所では、暴行罪で現行犯逮捕された方が、逮捕の翌日に釈放され、最終的に不起訴で終わった事例があります。早期釈放につながったのは、逮捕直後からの素早い初動でした。
この記事では、暴行罪で現行犯逮捕された後の流れと、早期釈放・不起訴を目指すために知っておくべきポイントを、実際の解決事例とあわせて解説します。
目次
暴行罪で現行犯逮捕されたら、72時間の動き方が重要
暴行罪で現行犯逮捕されたら、逮捕後72時間以内の動き方が、その後の身柄拘束の期間を大きく左右します。
なぜ逮捕後72時間なのか
これは、逮捕後72時間以内に、検察官が「身柄拘束を続ける必要があるか(勾留するか)」を判断するからです。

刑事訴訟法上、逮捕による身柄拘束は最長でも72時間までと定められています。この72時間以内に検察官が勾留を請求し、裁判官がこれを認めなければ、それ以上拘束を続けることはできません。勾留が認められなければ、被疑者は72時間以内に釈放されます。
つまり、ここで勾留を阻止できれば早期に釈放され、逆に阻止できなければ身柄拘束が一気に長期化するのです。
勾留された後の具体的な手続きや流れは2章でお伝えしますが、まずはこの72時間が早期釈放の分かれ目になる、という点を押さえてください。
初動が早かったことで逮捕翌日に釈放された事例
実際にグラディアトル法律事務所が扱った逮捕事例を紹介します。
飲食店でのトラブルにより暴行罪で現行犯逮捕されたものの、勾留を阻止できたことで逮捕翌日に釈放された事案です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 相談を受けたタイミング | 逮捕当日 |
| 弁護士の対応 | 勾留請求前に意見書・身柄引受書を提出 |
| 勾留請求 | なし(検察官が請求せず釈放) |
| 釈放のタイミング | 逮捕翌日の釈放に成功 |
| 最終処分 | 不起訴処分 |
事件の概要
依頼者は男性です。飲食店で友人とお酒を飲んでいたところ、閉店間際の対応をめぐって、友人と店側との間で口論が始まりました。依頼者自身は当初、そのやり取りを止めようとする立場でした。
ところが、仲裁に入る形でその場に加わってきた店舗関係者と接触したことをきっかけに感情的になり、その人物の頭部を手で叩いてしまいます。これにより、暴行罪の現行犯で逮捕されました。
弁護士の対応
依頼を受けた弊所の弁護士は、逮捕の当日に警察署へ接見に向かい、事件の経緯を確認します。
先ほどお話ししたとおり、暴行罪で早期釈放を目指すには、検察官による勾留請求を阻止できるかが重要です。そこで弁護士は、検察官が勾留を判断する前に、身柄を拘束し続ける必要がないことを法的な観点から説明した意見書と、勤務先の社長が責任をもって監督することを約束する身柄引受書を、検察庁へ提出しました。
あわせて検察官と連絡を取り、被害者との示談を進める意向も伝えています。
結果
勾留請求を阻止して、依頼者は逮捕の翌日に釈放
依頼者は逮捕の翌日に釈放され、勾留による長期の身柄拘束を避けられました。その後、示談の成立や弁護士が提出した資料も踏まえ、最終的に不起訴で終わっています。
本件で逮捕からの早期釈放、不起訴につながったポイントは、次の4つです。
- 相手にケガがなく、傷害罪ではなく暴行罪にとどまったこと
- 早期に被害者と示談が成立し、検察庁へ報告できたこと。暴行事件では、示談の成立が不起訴の判断に大きく影響します
- 勾留阻止に向けた初動が早く、逮捕翌朝には意見書・身柄引受書の提出と示談予定の連絡まで済ませていたこと
- 飲酒後のトラブルで起きた一回限りの暴行であり、継続的・重大な暴力ではなかったこと
本件のように、暴行罪で現行犯逮捕されても、逮捕の直後から弁護士が動き、勾留を阻止する書面の提出と示談交渉を速やかに進めれば、早期釈放と不起訴を目指すことができます。
暴行罪で現行犯逮捕された場合の流れ
暴行罪で現行犯逮捕されると、事件は「身柄事件」と「在宅事件」のどちらかの流れで進みます。
身柄事件とは、身柄を拘束されたまま捜査が進む事件で、起訴・不起訴が決まるまで最長23日間拘束されます。一方、早い段階で釈放されれば「在宅事件」となり、自宅で日常生活を送りながら捜査を受けられます。
どちらになるかは、1章で述べたとおり、逮捕後72時間以内の勾留の判断で決まります。それぞれの流れを見ていきましょう。
身柄事件となった場合の流れ
身柄事件は、現行犯逮捕→検察への送致→勾留→起訴・不起訴という流れで進みます。各段階には法律で定められた時間制限があり、全体で最長23日間です。

①現行犯逮捕〜送致|48時間以内に検察送致
暴行罪で現行犯逮捕されると、まず警察署で取り調べを受け、原則48時間以内に、事件と身柄が検察官へ引き継がれます。これを「送致」といいます。
この間、被疑者は留置場で身柄を拘束され、家族でも面会できません。会えるのは弁護士だけです。
②検察官の判断|24時間以内に勾留請求
事件の送致を受けた検察官は、24時間以内に、被疑者の身柄をさらに拘束する必要があるかどうかを判断します。拘束が必要と判断すれば、裁判所に「勾留」を請求します。
裁判官が勾留を決定すると、引き続き10日間の身柄拘束が認められます。逆に、勾留が請求されない、または裁判官が却下すれば、被疑者は釈放されます。
③勾留|原則10日+延長10日=最長20日
勾留が認められると、被疑者は原則10日間、身柄を拘束されます。
さらに、捜査の必要があると判断された場合は、検察官の請求により、最大10日間(合計20日)拘束が延長されることもあります。逮捕からの72時間とあわせると、起訴・不起訴が決まるまで、最長23日間にわたって拘束される計算です。
この間は、会社や学校に行くことはできません。拘束が長引くほど、勤務先や学校に事件を知られるリスクが高まり、社会生活への影響も大きくなります。
④起訴・不起訴の判断
勾留期間の満了までに、検察官が起訴するか不起訴にするかを判断します。
起訴されると刑事裁判にかけられ、有罪となれば前科がつきます。不起訴なら裁判は開かれず、前科もつきません。
暴行罪では、被害者との示談が成立しているかどうかが、起訴・不起訴の判断に大きく影響します。そのため、勾留期間中であっても、被害者との示談を進め、その成立を検察官へ報告できれば、不起訴となる可能性が高まります。
すぐに釈放されて在宅事件となった場合の流れ
逮捕後に勾留されなかった場合や、勾留されても早期に釈放された場合は、「在宅事件」となります。身柄は拘束されず、必要に応じて、警察や検察から呼び出しを受けて取り調べに応じる流れで捜査が進んでいきます。
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【在宅事件の流れ】
- 警察・検察から連絡を受け、指定された日に取り調べに出向く
- 必要に応じて、複数回の取り調べが行われる
- 捜査が終わると、検察官が起訴・不起訴を判断する
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在宅事件では、これまでどおり会社や学校に通うことができます。一方で、身柄事件のように「最長23日以内」といった処分までの期限が定められていないため、捜査が数か月に及ぶこともあります。
いつ処分が決まるか分からないまま日常生活を送ることになり、精神的な負担は大きいといえます。
暴行罪で現行犯逮捕される場合とは?
現行犯逮捕とは、現に犯罪を行っている者や、犯罪を行い終わった直後の者を、逮捕状なしで逮捕することです。
本来、人を逮捕するには、裁判官が発付する逮捕状が必要です。しかし、犯行中や犯行直後は、犯罪が行われたことと犯人が明白で、その場で逮捕する必要性も高いことから、例外的に逮捕状なしでの逮捕が認められています。
現行犯逮捕が認められるための要件
逮捕状なしで身体を拘束する以上、現行犯逮捕が認められる場面は限られています。一般に、次の要件を満たす必要があります。
- 現に犯行をしている、または犯行を終えた直後であること
- 犯罪が行われたことと、その者が犯人であることが明白であること
- 逃亡や証拠隠滅のおそれなど、逮捕の必要性があること
暴行事件は、現行犯逮捕されやすい犯罪の一つです。路上や飲食店など人目のある場所で起きることが多く、被害者や目撃者の通報によって、その場で加害者が取り押さえられるためです。たとえば、次のようなケースです。
- 路上や店内で相手を殴り、その場で通報された
- 駅や飲食店で相手を突き飛ばし、目撃者に取り押さえられた
- 近隣トラブルから暴力に発展し、犯行直後に警察官が駆け付けた
ただし、暴行があったというだけで、必ず現行犯逮捕されるわけではありません。誰が暴行したのか明らかでない場合や、犯行から時間が経過している場合には、現行犯逮捕が認められないこともあります。
犯行直後でなくても「準現行犯」として逮捕される場合がある
犯行直後とはいえない場合でも、犯人として追いかけられているなど一定の事情があれば、「準現行犯」として逮捕されることがあります。
刑事訴訟法212条2項は、次のいずれかにあたる者が、犯行を終えてから間がないと明らかに認められるときは、現行犯人とみなすと定めています。
一 犯人として追呼されているとき。
二 贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
三 身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
四 誰何(すいか)されて逃走しようとするとき。
少しかみ砕くと、犯人として追いかけられている、凶器や犯行に使った物を持っている、体や服に犯行の跡が残っている、職務質問されて逃げ出した、といった場合です。
暴行事件でも、その場で取り押さえられなかった加害者が被害者や目撃者に追いかけられていたり、殴った際の傷や返り血といった痕跡が残っていたりすれば、準現行犯として逮捕される可能性があります。
暴行罪で逮捕・勾留される割合(身柄率)は30.9%
暴行罪で身柄を拘束される割合(身柄率)は、30.9%(令和6年)です。過去3年の推移は、次のとおりです。
| 暴行罪の身柄率 | (参考)刑法犯全体 | |
|---|---|---|
| 令和6年 | 30.9% | 35.1% |
| 令和5年 | 32.6% | 35.9% |
| 令和4年 | 34.9% | 36.0% |
出典:法務省「犯罪白書」令和5年版〜令和7年版 各年「被疑者の逮捕と勾留」
身柄率とは、立件された人のうち、逮捕・勾留されたまま手続きが進められた人の割合のことです。いわば暴行罪で実際に逮捕・勾留される割合(逮捕率)を示すものといえます。
暴行罪の身柄率は概ね3割程度で、立件された人の3人に1人ほどにとどまります。つまり、現行犯逮捕されても全員がそのまま拘束され続けるわけではなく、早い段階で釈放され在宅事件として扱われる人も多くいるのです。
早期釈放を目指せる余地は十分にあるといえます。
暴行罪で起訴される割合は27.6%
暴行罪は、立件されても4人に3人ほどが不起訴で終わる犯罪です。実際に起訴される割合(起訴率)は、令和6年で27.6%にとどまっています。
| 暴行罪の起訴率 | (参考)刑法犯全体 | |
|---|---|---|
| 令和6年 | 27.6% | 37.7% |
| 令和5年 | 27.7% | 36.9% |
出典:法務省「犯罪白書」令和5年版〜令和7年版 各年「被疑事件の処理」
ここでいう「起訴」には、正式な裁判を求める公判請求と、書面審理だけで罰金を科す略式起訴の両方が含まれます。略式起訴とは、被疑者が罪を認めている軽微な事件について、法廷での裁判を経ずに、書面審理だけで罰金や科料を科す手続きのことです。
暴行罪の起訴の内訳(令和6年)を見ると、8割以上が略式起訴による罰金で、正式な裁判にかけられるのは1割台にとどまります。
| 人数 | 割合 | |
|---|---|---|
| 略式起訴 | 3,935人 | 85.3% |
| 公判請求(正式裁判) | 679人 | 14.7% |
もっとも、罰金も有罪である以上、前科がつくことに変わりはありません。前科を避けるには、起訴される前に不起訴を目指すことが重要です。
暴行罪と傷害罪の違い
暴行罪と傷害罪の違いは、相手にケガを負わせたかどうかです。
行為は同じでも、ケガの有無によって罪名が変わる
暴行罪と傷害罪は、殴る・蹴るといった暴力行為そのものは共通しており、その結果としてケガ(傷害)が生じたかどうかで罪名が分かれます。相手を殴っても無傷であれば暴行罪、打撲やすり傷を負わせれば傷害罪です。
実務では、ケガの有無は、医師の診断書によって判断されるのが一般的です。被害者が病院で「全治〇日」といった診断書の交付を受け、それが捜査機関に提出されれば、傷害罪として扱われる可能性が高くなります。
ただし、診断書があれば必ず傷害罪になるわけではありません。そのケガが本当にその暴行によって生じたものか(因果関係)が争われ、暴行罪にとどまることもあります。
暴行罪と傷害罪で法定刑は大きく異なる
罪名が暴行罪になるか傷害罪になるかで、法定刑は大きく異なります。
| 法定刑 | |
|---|---|
| 法定刑 | |
| 暴行罪 | 二年以下の拘禁刑若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料 |
| 傷害罪 | 十五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金 |
傷害罪は、拘禁刑の上限が2年から15年へと大幅に重くなり、罰金の上限も高くなります。
自分では「軽く小突いただけ」と思っていても、相手がケガを訴えれば、より刑の重い傷害罪として扱われるおそれがあります。自分のケースがどちらにあたるか不安な場合は、早めに弁護士に相談するとよいでしょう。
相談事例から見る、暴行罪の現行犯逮捕で弁護士へ依頼する3つのメリット
ここまで、「早期に動けば早期釈放・不起訴を目指せる」とお伝えしてきましたが、実際の事件は一様ではありません。すでに勾留されてしまったケース、被害者が話し合いに応じないケース、示談そのものが成立しないケースなど、局面はさまざまです。
弁護士に依頼するメリットは、こうした不利に見える局面でも、状況に応じた打ち手を残せる点にあります。ここでは、実際の相談事例とあわせて、弁護士に依頼する3つのメリットを紹介します。

勾留決定後、身柄拘束の長期化を防げる
弁護士に依頼することで、勾留された後でも、身柄拘束の長期化を防げる場合があります。
暴行罪で勾留されると、最長20日間にわたって身柄を拘束されます。満了前に釈放するには、身柄拘束を続ける必要がないことを検察官や裁判官に主張したり、被害者との示談を進めたりと、状況に応じた対応が必要です。こうした対応には、弁護士の力が欠かせません。
実際に、勾留が決まった後に相談を受け、満期前の釈放につながった事例を紹介します。
| 【事件の概要】 元交際相手とのトラブルから、暴行罪で後日逮捕・勾留された男性の事例です。このままでは、勾留が長期に及ぶおそれがありました。 【弁護活動】 依頼を受けた弁護士は、勾留中の依頼者を早期に釈放させるには、被害者との示談が欠かせないと判断します。 もっとも、本件で被害者は、「依頼者が暴行の事実を認めない限り、示談に応じない」という姿勢でした。そこで弁護士は依頼者に対し、暴行の事実があるのであれば、認めて謝罪することが示談や早期釈放につながりうると説明します。 そのうえで、弁護士は被害者と面談して要望や不安を丁寧に聴き取り、金銭の支払いに加えて、接触の禁止や写真・動画の削除といった条件も示談に盛り込み、交渉を進めて示談を成立させました。 【結果】 勾留期間の満了を待たず、依頼者が釈放。 |
いったん勾留されても、弁護士が迅速に対応することで、勾留の途中で釈放される場合があります。
被害者の不安に配慮した提案で、示談を目指しやすい
弁護士に依頼すると、金銭面だけでなく、被害者の不安に配慮した提案で示談をまとめられることがあります。
暴行罪では、被害者との示談が成立しているかどうかが、その後の処分に大きく影響します。しかし、被害者の感情から、当初は話し合いに応じてもらえないことも少なくありません。そうした場合でも、弁護士が不安や要望をくみ取り、再発防止策などもあわせて提案することで、示談に至ることがあります。
当初は話し合いに応じてもらえなかった被害者と、示談が成立した事例を紹介します。
| 【事件の概要】 ゴミ出しをめぐる近隣トラブルから、相手方2名に暴行を加えたとして逮捕された男性の事例です。もともと近所関係が悪かったこともあり、被害者側は当初、「もう話すことはない」と、話し合いに応じない姿勢でした。 【弁護活動】 依頼を受けた弁護士は、粘り強く連絡を重ねて、依頼者が謝罪の意思を持っていることを伝えました。その結果、当初は拒否的だった被害者側も、少しずつ話し合いに応じるようになります。 さらに、近隣同士で今後も生活が続くことから、解決金に加えて、防犯カメラやゴミ箱の設置といった再発防止策もあわせて提案し、被害者側の不安の解消に努めました。 【結果】 被害者側との示談が成立し、不起訴を獲得 |
このように、当初は示談が難しい状況でも、被害者の不安や要望をくみ取って提案を重ねることで、示談が成立することがあります。
処分の軽減・不起訴が期待できる
弁護士に依頼すると、不起訴に向けてできる限りの対応を尽くせます。
暴行罪では被害者との示談が重要ですが、被害者が応じず、示談できないこともあります。そうした場合でも、被害弁償や反省の意思を尽くし、それを弁護士が意見書として検察官に伝えることで、不起訴につながることがあります。
実際に、示談ができないなかで、不起訴となった事例を紹介します。
| 【事件の概要】 酒に酔った状態で駅員の腕をつかみ、足を蹴り、暴行罪で現行犯逮捕された男性の事例です。相手に怪我はなく翌日に釈放されましたが、警察から起訴の可能性は残っていると告げられていました。 【弁護活動】 まず、弁護士から被害者側へ被害弁償と謝罪を申し入れました。しかし被害者は、金銭による解決を望まず、被害届の取下げにも応じない姿勢でした。 さらに鉄道会社も、駅員への暴行事件の危険性を社会に知らせるためとして、刑事処罰を求めないという意思表示には応じられないとの意向で、示談による解決は望めませんでした。 そこで弁護士は、依頼者が謝罪と被害弁償を尽くしたことや、その反省の状況を、客観的な事実とともに意見書にまとめ、反省文を添えて検察官へ提出しました。 【結果】 被害弁償と反省の姿勢が考慮され、不起訴を獲得。 |
このように、被害者と示談ができない場合でも、被害弁償や反省の意思を尽くし、それを弁護士が客観的な事実とともに検察官へ伝えることで、不起訴を目指すことができます。
※こちらの記事でさらに詳しい内容を紹介しています。
【Q&A】暴行罪の現行犯逮捕でよくある質問
Q.会社や学校へは、暴行罪で現行犯逮捕されたことをどのように伝えればいいですか?
A. 伝えるべきかどうかも含め、状況によって異なるため、一概にはいえません。
早期に釈放されて在宅で捜査が進む場合は、これまでどおり通勤・通学でき、必ずしも事件を伝える必要がないこともあります。一方、勾留が長引けば欠勤・欠席が続き、事情を説明せざるを得ないこともあります。
どう対応するのが本人の不利益が少ないかは、弁護士に相談しながら判断するのがよいでしょう。
Q.本人以外でも弁護士に依頼できますか?
A. はい、ご家族など、本人以外の方からのご依頼・ご相談も可能です。
本人が逮捕・勾留されていると、本人自身が弁護士を探すことは困難です。そのため、ご家族が弁護士に相談し、接見を依頼するケースも多くあります。弁護士が本人と接見して意思を確認したうえで、正式に弁護人として活動を進めます。
Q.暴行罪の慰謝料・示談金の相場はいくらですか?
A. 一概にはいえませんが、10〜30万円程度となることが多いです。
示談金は、暴行の態様や、被害者の精神的苦痛の大きさ、処罰感情などによって変わります。怪我のない暴行では比較的低額にとどまることもありますが、被害者の不安が大きい場合などには、それに応じた金額になることもあります。
Q.暴行罪で私人逮捕はできますか?
A. はい、できます。現行犯逮捕は、警察官だけでなく一般の人でも行えます(刑事訴訟法213条)。そのため、暴行の被害者やその場に居合わせた人が、犯人を現行犯逮捕することも法律上は可能です。
ただし、逮捕にあたって過剰な実力を用いれば、逮捕した側が別の罪に問われるおそれもあるため、注意が必要です。
Q.先に手を出された場合も現行犯逮捕されますか?
A. はい、現行犯逮捕されることがあります。
相手の暴行に対してやむを得ず反撃した場合、正当防衛が成立すれば罪には問われません。しかし、正当防衛が認められるかどうかは、その場の警察官がすぐに判断できるものではないため、まずは現行犯逮捕されてしまうことがあります。
逮捕された後に、正当防衛にあたる事情を主張・立証していくことになるため、早い段階で弁護士に相談することが重要です。
Q.暴行罪は、現行犯以外で逮捕されることもありますか?
A. はい、あります。
その場で逮捕されなかった場合でも、防犯カメラの映像や目撃者の証言から犯人が特定されれば、後日、逮捕状にもとづいて逮捕されることがあります。
Q.被害届を取り下げてもらえば不起訴になりますか?
A. 有利に働きますが、必ず不起訴になるとは限りません。
暴行罪は、被害届が取り下げられても、検察官の判断で起訴される可能性は残るためです。ただし、被害届の取下げや示談は、被害者が処罰を強く望んでいないことを示す事情として、不起訴の判断に有利に働きます。逆に、取下げがなくても、被害弁償や反省を尽くすことで不起訴となることもあります。
Q.暴行罪で前科がついた場合、就職に影響しますか?
A. 影響する場合があります。
前科は、通常の就職活動で企業に知られることは多くありません。ただし、一部の資格や職業では、取得や就任が制限されることがあります。また、履歴書に賞罰欄がある場合、前科の記載が問題となることもあります。
なお、不起訴であれば前科はつきません。前科を避けるには、起訴される前の段階で、不起訴に向けた対応を進めることが重要です。
まとめ
暴行罪で現行犯逮捕された場合、その後を大きく左右するのは逮捕からの72時間です。この間に勾留を阻止できれば早期釈放の可能性が高まり、阻止できなければ起訴・不起訴が決まるまで身柄拘束が長期化します。
一方で、本記事で紹介したとおり、たとえ勾留されてしまっても、被害者が当初話し合いを拒んでいても、あるいは示談そのものが成立しなくても、弁護士が局面に応じた対応を尽くすことで、早期釈放や不起訴につながるケースもあります。
そのためには、逮捕の直後から弁護士が動き出せるかどうかが鍵になります。暴行罪で現行犯逮捕された方やそのご家族は、できるだけ早い段階で、ぜひグラディアトル法律事務所にご相談ください。
