生成AIの児童ポルノでも逮捕リスクあり!実際の事例や判例から解説

生成AIの児童ポルノでも逮捕リスクあり!実際の事例や判例から解説
弁護士 若林翔
2026年07月10日更新

「生成AIで作った児童の画像でも逮捕されるのだろうか」

最近、このような疑問を持つ方が増えています。

画像生成AIの進化により、本物の写真と見分けがつかないほど精巧な画像を誰でも作れるようになりました。その一方で、AIで作成した児童の性的な画像について、どこまでが違法なのかはあまり知られていません。

実際に2025年には、生成AIで作成した児童の性的画像を販売したとして逮捕者が出ており、警察も関心を強めています。

ただし、生成AIで児童のような画像を作った場合に、すべてが児童ポルノにあたるわけではありません。

実在する児童をもとに作成したケースと完全に架空のキャラクターを生成したケースでは、法律上の評価が異なる可能性があるからです。

また、この分野は比較的新しい論点です。今後の裁判例や運用によって考え方が変わる可能性もあります。

そこで本記事では、生成AIの児童ポルノで逮捕される可能性があるケースや実際の摘発事例、最高裁判例との関係についてわかりやすく解説します。

【結論】生成AIの児童ポルノでも逮捕される可能性はある

生成AIで作成した画像だからといって、必ずしも法律の対象外になるわけではありません。

画像の内容や利用方法によっては、児童ポルノ禁止法違反やわいせつ物頒布等罪などに問われる可能性があります。

まずは、どのようなケースで犯罪が成立し得るのかを見ていきましょう。

【結論】生成AIの児童ポルノでも逮捕される可能性はある

実在する児童をモデルにしたAI画像は児童ポルノにあたる|児童ポルノ禁止法違反

生成AI画像でも、実在する児童をもとに作成されたものであれば、児童ポルノにあたる可能性があります。

児童ポルノ禁止法は、18歳未満の実在する児童を性的な対象として描いた画像などを規制する法律です。

たとえば、実在する子どもの写真をAIに読み込ませ、その画像を裸体や性的な姿に加工したケースが考えられます。

このような場合、もとの画像に実在の児童が存在するため、児童ポルノ禁止法の対象になる可能性があります。

実際の捜査でも、「AIで作ったかどうか」ではなく、「実在する児童が描かれているか」が重要なポイントになります。

そのため、SNS上にある児童の写真や知人の子どもの写真などを利用して性的な画像を生成する行為は、極めてリスクが高いといえるでしょう。

架空のAI児童でも投稿・販売すれば犯罪|わいせつ物頒布等罪

実在する児童とは無関係の、完全に架空のAI画像であれば、直ちに児童ポルノ禁止法違反になるとは限りません。

しかし、それで安心できるわけではありません。

画像の内容によっては、刑法のわいせつ物頒布等罪が問題になる可能性があります。

わいせつ物頒布等罪とは、わいせつな画像や動画などを販売したり、インターネット上で公開したりする犯罪です。

たとえ実在する児童ではなくても、性的な画像を生成して販売したり、不特定多数が閲覧できる状態にしたりした場合には捜査対象になることがあります。

実際に2025年には、生成AIで作成した児童の性的画像を販売したとして逮捕された事例も報じられています。

生成AIを利用した画像であっても、公開方法や利用方法によっては刑事責任を問われる可能性があるため注意が必要です。

生成AIの児童ポルノで摘発・逮捕された事例

生成AIと児童ポルノをめぐる問題は、まだ新しい分野です。

しかし、すでに警察による摘発事例が出始めています。

ここでは、実際に報道された事例をもとに、どのような行為が問題視されたのかを見ていきましょう。

AIで性的に加工した児童の写真が児童ポルノと認定された事例

【事案の概要】

2026年6月、名古屋地裁は、女子児童の写真をAIで性的に加工した「性的ディープフェイク画像」を所持していた元小学校教員に対し、懲役3年6月の実刑判決を言い渡しました。

この事件では、実在する児童の写真をAIで裸体のように加工した画像が、児童買春・児童ポルノ禁止法上の「児童ポルノ」にあたるかが争点となりました。

判決で裁判所は、「一般人から見れば裸を誤信させる精巧なもの」と指摘し、児童ポルノに該当すると判断しています。

性的ディープフェイク画像について、児童ポルノの所持を認めた司法判断は初めてとみられています。

出典:毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20260604/k00/00m/040/187000c

【コメント】

この事例で注目すべきなのは、「AIで作成した画像だから児童ポルノにはならない」という考え方が通用しなかった点です。

裁判所が問題視したのは、AIを利用したこと自体ではなく、実在する児童の写真をもとに性的な画像を作成していたことでした。

生成AIに関する法整備や判例はまだ発展途上ですが、少なくとも実在する児童の画像を利用した性的ディープフェイクについては、児童ポルノ禁止法違反として処罰されるリスクが高いと考えられます。

生成AIで作られたわいせつ画像を販売して書類送検された事例

【事案の概要】

2025年9月、生成AIで作成された女性のわいせつ画像をポスターにして販売したとして、19歳の大学生がわいせつ図画頒布などの疑いで書類送検されました。

報道によると、大学生は海外サイトから入手した生成AI画像を利用し、「AI美女」などとうたってネットオークションに出品していたとされています。

約300点を販売し、売上は約28万円にのぼったと報じられています。

警視庁は、わいせつ画像を販売した行為がわいせつ図画頒布にあたるとして捜査を行いました。

出典:時事通信
https://www.jiji.com/jc/article?k=2026060401022&g=soc

【コメント】

この事例で重要なのは、画像が生成AIで作られたものであっても、販売や公開の方法によっては犯罪が成立する可能性があることです。

この事件では児童ポルノ禁止法違反ではなく、刑法上のわいせつ図画頒布罪が問題となりました。

つまり、実在する児童が関係していなくても、性的な画像を販売したり、不特定多数に公開したりすれば刑事責任を問われる可能性があります。

生成AIをめぐる議論では「実在の人物かどうか」が注目されがちです。

しかし、それだけで安全とはいえません。

生成AI画像であっても、その利用方法によっては犯罪になることを示した事例といえるでしょう。

生成AIの児童ポルノで逮捕される可能性が低いケース

ここまで見てきたように、生成AIを利用した画像であっても、内容や利用方法によっては犯罪になる可能性があります。

しかし、生成AIで児童のような画像を作成した場合に、すべてが違法になるわけではありません。

現時点の法律や判例を前提にすると、逮捕される可能性が比較的低いと考えられるケースもあります。
ただし、この分野はまだ新しい論点です。

今後の法改正や裁判例によって判断が変わる可能性がある点には注意が必要です。

生成AIの児童ポルノで逮捕される可能性が低いケース

完全に架空の児童を生成したケース

生成AIが一から作り出した、実在しない児童の画像については、児童ポルノ禁止法の対象外と考えられています。

児童ポルノ禁止法は、実在する18歳未満の児童を保護することを目的とした法律だからです。

そのため、特定の子どもの写真を利用せず、実在の人物とも結び付かない架空のキャラクターを生成した場合には、児童ポルノ禁止法違反が成立する可能性は低いでしょう。

ただし、その画像を販売したり公開したりした場合には、別の犯罪が問題になる可能性があります。

「児童ポルノにはあたらない」と「違法ではない」は必ずしも同じ意味ではないため注意が必要です。

アニメや二次元イラストを生成したケース

アニメ風のキャラクターや二次元イラストを生成した場合も、通常は児童ポルノ禁止法の対象にはなりません。

実際、これまでの裁判例や実務でも、漫画やアニメのキャラクターは原則として「実在する児童」にはあたらないと考えられています。

そのため、二次元イラストをAIで生成しただけで、直ちに児童ポルノ禁止法違反になる可能性は低いでしょう。

もっとも、極めてわいせつ性の強い画像を公開したり販売したりした場合には、わいせつ物頒布等罪などが問題になる余地があります。

児童ポルノの問題と、わいせつ物に関する規制は別の問題として考える必要があります。

成人をモデルに「児童風」に生成したケース

成人の写真をもとに、AIで若く見えるよう加工したケースも考えられます。

この場合、モデルとなった人物が18歳以上であれば、児童ポルノ禁止法違反が成立する可能性は低いと考えられます。

児童ポルノ禁止法は、見た目だけではなく、実際に18歳未満の児童が描かれているかどうかを重視しているからです。

ただし、見た目だけでは成人か児童かの判断が難しい画像もあります。

また、捜査機関が画像の作成経緯を詳しく調べる可能性もあるでしょう。

そのため、「成人をモデルにしたから絶対に問題ない」と考えるのは危険です。

少なくとも現時点では、実在する成人がモデルであることを客観的に説明できるかが重要になると考えられます。

生成AIの児童ポルノと最高裁判例|「実在する児童」の考え方

生成AIで作られた画像が児童ポルノにあたるかを考えるうえで、重要になるのが「実在する児童が描かれているか」という点です。

この点について参考になるのが、最高裁令和2年1月27日決定です。

この判例は生成AIに関するものではありません。

しかし、児童ポルノに該当するかどうかを判断する際の重要な基準を示しています。

最決令和2年1月27日の事案概要

この事件では、被告人が実在する児童の裸体写真を素材として利用し、画像編集ソフトでコンピューターグラフィックス(CG)画像を作成していました。

作成されたCG画像は、不特定多数に提供する目的でパソコン内に保存されていました。

被告人側は、「CG画像であって写真そのものではない以上、児童ポルノにはあたらない」と主張しました。

そこで問題となったのが、実在する児童の写真をもとに作られたCG画像が、児童ポルノ禁止法上の児童ポルノにあたるかという点でした。

最高裁が示した「児童ポルノ」に該当する基準

最高裁は、「実在する児童の姿態を描写したものであれば、写真だけでなくCG画像であっても児童ポルノにあたる」と判断しました。

判決では、児童ポルノ禁止法の対象となるのは「実在する児童の姿態を描写したもの」であり、実在しない児童を描写したものは含まれないと明確に述べています。

その一方で、実在する児童の写真をもとにCG化した画像については、元の児童の姿態が表現されている以上、児童ポルノに該当すると判断しました。

つまり、画像が写真なのかCGなのかは決定的なポイントではありません。

重要なのは、その画像が実在する児童を描写しているかどうかです。

生成AI画像との関係|どこまでなら児童ポルノにあたらないと考えられるか

この判例の考え方を前提にすると、完全に架空の児童を生成AIで作成した場合は、児童ポルノ禁止法の対象外となります。

なぜなら、最高裁は「実在しない児童の姿態を描写したものは児童ポルノに含まれない」と明確に述べているからです。

一方で、実在する児童の写真を取り込んでAIで加工した場合や、実在する児童をもとに画像を生成した場合には、児童ポルノと判断される可能性があります。

実際に2026年には、実在する女児の写真をAIで性的に加工したディープフェイク画像について、児童ポルノ該当性を認めた裁判例も登場しました。

もっとも、生成AIに関する裁判例はまだ多くありません。

現時点では、「実在する児童との結び付きがあるかどうか」が重要な判断要素になると考えられますが、今後の裁判例や法改正によって考え方が変わる可能性もあります。

生成AIの児童ポルノの問題を弁護士に相談するメリット

生成AIと児童ポルノをめぐる問題は、比較的新しい分野です。

そのため、インターネット上には不正確な情報も少なくありません。

「AIで作った画像だから大丈夫」「実在の児童が写っていなければ違法ではない」といった説明を見かけることもありますが、実際はそれほど単純ではありません。

生成AI画像の扱いに不安がある場合は、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

児童ポルノ禁止法違反にあたるか整理できる

生成AI画像に実在する児童が関係している場合、児童ポルノ禁止法違反が問題になる可能性があります。

しかし、どのような場合に「実在する児童を描写した画像」と評価されるのかは、判断が難しい場合があります。

実際に、生成AIやディープフェイクをめぐる裁判例はまだ多くなく、一般の方が正確に判断することは難しいでしょう。

弁護士に相談すれば、画像の作成方法や利用状況を踏まえて、児童ポルノ禁止法違反にあたる可能性があるのかを整理できます。

早い段階でリスクを把握できれば、画像の削除や公開停止など、適切な対応を取ることも可能です。

わいせつ物頒布等罪など別犯罪リスクも確認できる

生成AI画像が児童ポルノにあたらない場合でも、それで問題が終わるとは限りません。

実際に、生成AIで作られたわいせつ画像を販売したとして、わいせつ図画頒布罪で摘発された事例もあるからです。

また、画像の内容や利用方法によっては、名誉毀損罪、プライバシー侵害、著作権侵害など、別の法的問題が生じる可能性もあります。

弁護士に相談すれば、児童ポルノ禁止法だけでなく、関連する法律も含めて総合的にリスクを確認できます。

自分では気付いていなかった問題点が見つかることも少なくありません。

自己判断によるリスクを避けられる

生成AI画像に関する問題で警察から連絡を受けたり、自宅の捜索を受けたりした場合は、早急な対応が必要です。

供述内容や対応を誤ると、不利な証拠として扱われる可能性もあります。

弁護士に相談すれば、取調べへの対応方法や今後の手続きの流れについてアドバイスを受けられます。

また、逮捕の可能性があるのか、不起訴処分を目指せるのかといった見通しについても説明を受けることができます。

生成AIに関する刑事事件は新しい分野だからこそ、自己判断ではなく、専門家の助言を受けながら対応することが重要です。

生成AIの児童ポルノの問題はグラディアトル法律事務所にご相談ください

生成AIの児童ポルノの問題はグラディアトル法律事務所にご相談ください

ここまで解説してきたように、生成AIと児童ポルノをめぐる問題は、従来の刑事事件とは異なる難しさがあります。

実在する児童の写真を利用したケースと、完全に架空の画像を生成したケースでは法的判断が異なります。

また、児童ポルノ禁止法だけでなく、わいせつ物頒布等罪など別の犯罪が問題になることもあります。

さらに、この分野はまだ新しい論点であり、裁判例や捜査実務も発展途上です。

そのため、経験の乏しい弁護士では適切に対応することが難しい場合があります。

グラディアトル法律事務所では、刑事事件に関する豊富な経験をもとに、生成AIをめぐる法的トラブルについてもご相談をお受けしています。

警察から連絡があった方はもちろん、

・自分の行為が違法になるのか知りたい
・生成した画像が児童ポルノにあたる可能性があるのか不安
・捜索や取調べにどう対応すればよいか分からない
・逮捕や起訴を回避したい

といったご相談にも対応可能です。

刑事事件は、初動対応によって結果が大きく変わることがあります。

少しでも不安がある場合は、一人で悩まず、まずはグラディアトル法律事務所までお気軽にご相談ください。

まとめ

生成AIで作成した画像であっても、内容や利用方法によっては逮捕される可能性があります。

特に、実在する児童の写真を利用して性的な画像を生成した場合は、児童ポルノ禁止法違反に問われるおそれがあります。

実際に、性的ディープフェイク画像について児童ポルノ該当性を認めた裁判例も登場しています。

一方で、完全に架空の児童を生成したケースなどでは、現時点では児童ポルノにあたりませんが、販売や公開の方法によっては、わいせつ物頒布等罪など別の犯罪が成立することもあります。

生成AIと児童ポルノをめぐる問題は、まだ新しい法律問題です。

自分だけで判断することは危険なため、不安がある場合は早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力。数多くの夜のトラブルを解決に導いてきた経験から初の著書「歌舞伎町弁護士」を小学館より出版。 youtubeやTiktokなどでもトラブルに関する解説動画を配信している。

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