トレントの開示請求は認められる?最新の判例の傾向から徹底解説!

トレントの開示請求は認められる?最新の判例の傾向から徹底解説!

「プロバイダから発信者情報開示に係る意見照会書って通知が来た…本当に身元が出るの? 何をすれば止められるの?」
「トレントはちょっと触っただけ。作品の“断片”しか関わってないのに、そんなに重い話なの?」

――こんな風に考えてる人、いませんか? 近年の裁判例では、BitTorrentに関する開示は認められやすく、しかも“ピースだけ”“最初の通信だけ”“知らなかった”といった言い訳が通りにくい傾向が出てきています。

この記事では以下について解説しています。

・開示が通りやすい最新傾向と、例外が限定的な理由を解説
・「ピース(断片)」のやり取りでも侵害と評価され得る仕組み
・ハンドシェイク等の初期通信も違法となる要件
・「アップロードを知らなかった」は通らないとされた判断

もし通知を受け取ったなら、独断で回答したり沈黙したりするのは危険です。

やり方次第で、責任期間の切り分けや推計DL数、1DL当たりの利益など“金額の土台”は変わり得ます。

一方で判断を誤ると、相手の主張だけが積み上がり、取り返しがつかなくなることも。まずはトレント案件に詳しい弁護士へ。

期限管理、証拠の扱い、交渉の優先順位まで、初動から伴走してもらうことが、被害拡大を防ぐいちばん現実的な一手です。

トレントの利用についての発信者情報開示請求については、以下のようにほとんどの事例で開示が認められ、誰がトレントを利用したかが特定されてしまいます。そのため、早期に弁護士に相談して対応するのがおすすめです。

直近の主なTorrentの発信者情報開示請求事件の判断一覧(令和7年9月12日時点)

【開示請求はほぼ通る】トレント使用者に対する開示請求の判例の傾向

近年の判例では、BitTorrent利用者への開示が高確率で認容

現状の流れを踏まえると、BitTorrentの発信者情報開示請求においては、開示されやすいと考えるべきです。
裁判例が積み上がり、どんな主張と証拠を出せば開示が通るかが整理されてきたためです。
実際、2023年1月30日の東京地裁判決など、トレント利用に関する開示を命じた例が複数あります。実務家の解説でも「近年は開示が通りやすい」との指摘が続きます。

開示請求が却下された例は少数であり、特殊事情がなければ認められる

もちろん却下の判決もゼロではありません。
ただ、それは調査ソフトの信頼性に強い疑いがあるなど、事情がかなり特殊なケースが中心です。
全体としては、要件がそろえば開示を認める例が多いのが実情です。
楽観視せず、開示前提での対応計画を考えるのが安全です。 

トレントの開示請求に関する判例とその結論

ピースのみを提供するビットトレントでも、権利侵害と認定(知財高裁令和6年6月26日)

「作品の一部、情報だけの提供なら大丈夫」という考えは通りません。
ピースのやり取りだけでも、全体の完成に手を貸す以上、送信可能化(公衆送信権侵害)に当たり得ると整理されつつあります。

知財高判令和6年6月26日では、以下のような判示がありました。

「送信されるデータが著作物性の認められる元のファイルの一部を構成するピースであり、かつ、これらピースを集積することで元のファイルに復元・再生することが可能なシステムの一環としてピースの送受信が行われていると認められる場合には、当該ピースの送信をもって公衆送信権の侵害があったと評価すべき。」

ハンドシェイクの時点での情報通信が発信者情報にあたると認定(東京地裁令和5年1月30日)

東京地裁の裁判例では、トレントに参加し、相手と接続確認を交わす段階の通信(ハンドシェイク等)も、発信者情報の開示対象になり得る前提で議論されています。
プロトコル全体の流れの中で、侵害行為に結びつく通信として位置づけられるからです。

東京地判令和5年1月30日では、以下のような判示がありました。

「本件発信者らは、Handshakeの時点において、不特定の者に対し、BitTorrentのネットワークを介して本件各動画に係る送信可能化権が侵害されその状態が継続していることを通知しているのであるから、本件発信者らによるHandshakeに係る情報は、プロバイダ責任制限法5条1項にいう「権利の侵害に係る発信者情報」に該当するものと解するのが相当である。」

「アップロードされると知らなかった」との反論は認定せず(知財高裁令和4年4月20日)

「送っているとは思わなかった」という言い分は、ほぼ通用しません。
高裁は、トレントの仕組み上、ダウンロード中から他人に提供できる状態になることは理解できた(少なくとも容易に理解できた)のに注意を怠ったとして、過失を認めました。

知財高判令和4年4月20日では、以下のような判示がありました。

「BitTorrentを利用してファイルをダウンロードした場合、同時に、同ファイルを送信可能化していることについて、認識・理解していたか又は容易に認識し得たのに理解しないでいたものと認められ、少なくとも、本件各ファイルを送信可能化したことについて過失があると認めるのが相当である。」

本件は金額面でも計算式が示され、権利者側からの高額な請求額を認めず、大幅に減額した損害額を判断した画期的な判決でもあります。

本判決について詳しい解説についてはコチラ

その他の最新トレント開示請求の判例一覧表

以上に紹介した判例の他にも、トレントの開示請求事件の多くで認容判決が出ています。
以下、直近のトレントの発信者情報開示請求の判例一覧表になります(※令和7年9月12日現在)。

直近のトレントの発信者情報開示請求の判例一覧表(令和7年9月12日時点)
No.年月日裁判所名事件番号判決
1令和7年4月25日東京地裁令5(ワ)70325号認容(開示)
2令和7年2月7日東京地裁令6(ワ)70111号認容
3令和7年1月23日東京地裁令6(ワ)70085号認容
4令和7年1月22日東京地裁令5(ワ)70070号認容
5令和6年10月31日東京地裁令6(ワ)70207号認容
6令和6年10月30日東京地裁令5(ワ)70491号認容
7令和6年10月10日東京地裁令5(ワ)70516号認容
8令和6年9月26日東京地裁令5(ワ)70256号認容
9令和6年9月18日東京地裁令6(ワ)70086号認容
10令和6年9月18日東京地裁令5(ワ)70375号認容
11令和6年9月6日東京地裁令5(ワ)70382号認容
12令和6年9月6日東京地裁令5(ワ)70257号認容
13令和6年8月30日東京地裁令5(ワ)70529号認容
14令和6年8月27日東京地裁令5(ワ)70069号認容

相談するならトレントを知り尽くした弁護士を見極めて依頼すべき

複数の作品の請求をまとめて解決できる

Bittorrentユーザーの実情として、1作品だけでなく色んな作品で利用しているケースが多いです。そのため1権利者から複数の作品を請求されることも。
しかし、経験のある弁護士なら、請求が複数でも、交渉を束ねて同時解決に持ち込めることがあります。
実務では、同種の請求を整理して“包括和解”で収め、総額を抑えた例もあります。

示談交渉で減額0円を目指せる

請求の根拠を丁寧に突けば、減額はもちろん、案件によっては“全額ブロック=0円”は可能です。示談を急がせる書面に押されて即同意すると、本来不要な金額まで払ってしまいかねないです。
トレント案件を多数行った弁護士なら、必ずしも示談金を支払う必要が無いケースに対してきちんと対応することができます。

逮捕を回避できる可能性が高い

刑事化の芽を早期の示談や適切な説明で潰せば、逮捕リスクを下げられます。
実務記事でも、トレントは逮捕事例が存在する一方、365日24時間で素早く動き、相手方と適切に交渉することの重要性が強調されています。
告訴前に先手で“被害回復”の筋道を作るかどうかが分かれ目です。

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まとめ

本件では以下の内容について解説してきました。

  • トレント案件の発信者情報開示は認容される傾向
  • 「ピース(断片)」のやり取りでも侵害と評価され得る
  • ハンドシェイク等の初期通信も違法となる
  • 「アップロードを知らなかった」は通らない

トレントの発信者情報開示は近年認められやすく、例外は調査の信頼性など特殊事情に限られます。

ピース(断片)やハンドシェイク段階でも関与が評価され、「アップロードを知らなかった」は通用しにくいのが実情です。

独断で回答・放置などの判断をすることは危険です。
判例のポイントを踏まえ、責任範囲の見直しや減額交渉で不利益を最小化するためにも、まずはトレント案件に詳しい弁護士へ相談しましょう。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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