「トレントを使ったことがあるけれど、逮捕されるのではないか」
「開示請求の意見照会書が届いた。このまま警察が来るのだろうか」
と不安になっている方もいるでしょう。
トレント(BitTorrent)を利用したからといって、必ず逮捕されるわけではありません。
しかし、トレントではファイルをダウンロードすると同時に、そのデータの一部がほかの利用者へ共有される仕組みになっています。
そのため、自分では「ダウンロードしただけ」のつもりでも、著作権侵害として刑事事件に発展することがあります。
特に、すでに意見照会書や損害賠償請求が届いている場合、警察から連絡を受けた場合には、その後の対応が重要です。
早い段階で適切に対応すれば、刑事告訴や逮捕を回避できる可能性もあります。
グラディアトル法律事務所では、これまで200件以上のトレント関連事件に対応してきました。
本記事では、その経験をもとに、トレントで逮捕されるケースや刑事事件になるまでの流れ、逮捕・前科を避けるためにできることをわかりやすく解説します。
トレントを利用したことに不安を感じている方は、今後の対応を判断するための参考にしてください。
トレントを利用しても必ず逮捕されるわけではない
トレントを利用して著作権を侵害したとしても、必ず逮捕されるわけではありません。
逮捕されずに捜査が進み、警察から事情を聞かれるだけで終わるケースもあります。
ただし、「逮捕されない=何も処分を受けない」という意味ではありません。
まずは、逮捕と刑事処分を分けて考えることが大切です。
著作権侵害が成立しても逮捕されないケースはある
レントによる著作権侵害が発覚したからといって、警察がすぐに自宅へ来て逮捕するとは限りません。
逮捕するかどうかは、事件の内容だけでなく、逃げるおそれや証拠を隠すおそれがあるかといった事情も踏まえて判断されます。
そのため、住所や勤務先がはっきりしている、警察からの呼び出しにきちんと応じているといった事情があれば、逮捕せずに捜査が進むことも多いのが実情です。
ただ、「初めてだから大丈夫」「普通に仕事をしているから逮捕されない」とまではいえません。
多数の作品を長期間にわたって共有していたなど、利用状況によっては逮捕の可能性も出てきます。
どのようなケースでリスクが高くなるのかは、次章で詳しく説明します。
逮捕されずに任意捜査・書類送検となることもある
逮捕されない場合、普段の生活を続けながら警察の捜査を受けることがあります。
いわゆる「任意捜査」です。
たとえば、警察から電話があり、指定された日に警察署へ行って事情を聞かれるといったケースです。
その後、捜査した内容が検察官へ送られることもあり、これが一般に「書類送検」と呼ばれています。
ここで気をつけたいのは、書類送検は「事件が終わった」という意味ではないことです。
その後は検察官が事件の内容を確認し、起訴するか、不起訴にするかを判断します。
「逮捕されていないから大丈夫だろう」と考えて警察への対応を軽く見てしまうと、後から取り返しのつかない事態になることもあります。
警察から連絡が来たのであれば、その段階から今後の処分を見据えて対応したほうがよいでしょう。
逮捕されなくても起訴・前科の可能性はある
逮捕されることと、前科がつくことは同じではありません。
たとえば、最後まで逮捕されずに捜査が進んだとしても、検察官に起訴され、その後に有罪となれば前科がつきます。
一方、逮捕された場合でも、最終的に不起訴となれば前科はつきません。
そのため、トレント事件で本当に避けたいのは、逮捕だけではないはずです。
仕事や家族への影響を考えれば、できるだけ刑事事件を大きくせず、起訴や前科まで避けることが大きな目標になります。
そのためには、警察から連絡が来てから慌てて動くのではなく、意見照会書や損害賠償請求が届いた段階から、その先に刑事事件へ発展する可能性も考えて対応しておくことが大切です。
トレント利用で刑事事件化・逮捕のリスクが高まるケース

トレントによる著作権侵害がすべて刑事事件になるわけではありません。
ただし、次のようなケースでは、刑事告訴や逮捕につながるリスクが高くなります。
- 多数の作品を繰り返しアップロード・共有している
- 長期間にわたりトレントを利用している
- 開示請求を受けた後も利用を続けている
- 営利目的など悪質性が高い
- 権利者が刑事告訴に積極的である
自分に当てはまるものがないか、順番に確認していきましょう。
多数の作品を繰り返しアップロード・共有している
一度だけ利用したケースと、多数の作品を繰り返し共有していたケースとでは、当然ながら後者のほうが悪質とみられやすくなります。
トレントでは、ダウンロードしたファイルのデータがほかの利用者にも共有されます。
そのため、利用回数や対象となった作品が多いほど、著作権侵害の規模も大きくなりやすいということです。
実際にどの程度利用していたのかは、権利者が刑事告訴をするかどうかを判断する材料にもなります。
多数の作品について開示請求を受けている場合には、単発の利用と比べて刑事事件化のリスクも高くなるため、より慎重な対応が必要です。
第一アップローダー・シーダーとして作品を最初に共有している
トレント利用のなかでも、特に逮捕リスクが高いと考えられるのが、作品のデータを最初に流通させる「第一アップローダー(シーダー)」です。
第一アップローダーが作品を共有すると、ほかの利用者がそのデータを受け取り、さらに別の利用者へと共有していきます。
つまり、違法なファイル共有を広げる「起点」になるため、単にほかの利用者からダウンロードしたケースよりも悪質性が高いと評価されやすい立場といえるでしょう。
実際に2026年7月には、トレントサイト「Nyaa」でテレビドラマのデータを最初に流通させ、多数の作品も共有していた第一アップローダーが著作権法違反の疑いで逮捕されています。
自分で作品をトレント上に流し始めた心当たりがある場合には、通常の利用者以上に刑事事件化や逮捕のリスクを意識し、早めに弁護士へ相談したほうがよいでしょう。
長期間にわたりトレントを利用している
利用期間の長さも、刑事事件に発展するリスクを考えるうえで無視できません。
数年前から継続してトレントを利用し、何度もファイルを共有していたとなれば、単発的な利用よりも悪質と判断される可能性があります。
また、長期間利用している方の場合、自分が把握している作品以外についても権利者から開示請求を受けることがあります。
一通の意見照会書だけを見て判断せず、これまでどの程度利用してきたのかも含めて整理しておいたほうがよいでしょう。
開示請求を受けた後も利用を続けている
プロバイダから意見照会書が届けば、少なくとも著作権者側がトレントでの共有を把握し、利用者の特定に動いていることがわかります。
それにもかかわらず利用を続ければ、著作権侵害を指摘された後も同じ行為を繰り返していたと受け取られかねません。
「まだ警察から連絡は来ていないから」とトレントを使い続けるのは避けるべきです。
意見照会書が届いた時点で利用をやめ、今後の対応を考える必要があります。
営利目的など悪質性が高い
トレントを使って利益を得ていたなど、営利目的が認められるケースも注意が必要です。
もちろん、営利目的でなければ刑事事件にならないわけではありません。
しかし、著作物を大量に共有して利益を得ていたような事情があれば、単に個人で視聴する目的だったケースよりも悪質と判断されやすくなります。
また、権利者から警告を受けた後も共有を続けるなど、「著作権を侵害しているとわかっていながら続けていた」とみられる事情がある場合も、刑事告訴や逮捕のリスクを考えて早めに動いたほうがよいでしょう。
権利者が刑事告訴に積極的である
同じようなトレント利用でも、権利者によって対応は異なります。
損害賠償を求める民事上の対応を中心とする権利者もいれば、刑事告訴まで視野に入れて厳しく対応する権利者もいます。
そのため、「知人は示談金を払って終わったから、自分も逮捕されることはない」とは判断できません。
作品や権利者が違えば、その後の対応も変わる可能性があります。
すでに意見照会書や損害賠償請求が届いているのであれば、これまでの利用状況だけでなく、相手方がどのような対応を取る傾向にあるのかも踏まえて方針を決めることが大切です。
「ダウンロードしただけ」でもトレントでは著作権侵害になる!

「自分は作品を投稿していないから大丈夫」と思っている方もいるかもしれません。
しかし、トレントでは、ファイルをダウンロードするのと同時に、そのデータをほかの利用者へ送信する仕組みになっています。
そのため、自分ではダウンロードしただけのつもりでも、実際にはアップロードにも関わっている可能性があります。
トレントはダウンロードと同時にアップロードも行われる

一般的なダウンロードでは、Webサイトなどから自分の端末へファイルを受け取ります。
これに対してトレントでは、利用者同士でファイルのデータをやり取りします。
自分が受け取ったデータの一部を、今度はほかの利用者へ送信する仕組みになっているためです。
つまり、映画や漫画、アニメなどをトレントで入手した場合、その作品をダウンロードする一方で、ほかの利用者がダウンロードできる状態にしていることがあります。
権利者に無断で著作物をアップロードすれば、公衆送信権などの著作権を侵害する可能性があります。
「見るためにダウンロードしただけ」という感覚と、実際にトレント上で行われていることにはズレがある点に注意が必要です。
本人にアップロードした認識がなくても問題になる
「アップロードされる仕組みだとは知らなかった」という場合、すぐに著作権法違反の犯罪が成立するとは限りません。
刑事責任を問うには、原則として故意が必要だからです。
ただし、「知らなかったと言えば刑事責任を免れられる」というわけでもありません。
トレントをどのように利用していたのか、ソフトの表示や設定を認識していたか、利用期間や回数はどの程度だったかなど、さまざまな事情からアップロードについて認識していたかが判断されます。
特に、長期間にわたって繰り返し利用している場合には、単に「仕組みを知らなかった」と説明するだけでは済まないこともあります。
警察から事情を聞かれた際に、焦って記憶と違うことまで話してしまうと、後から説明を修正するのが難しくなります。
アップロードの認識がなかったのであれば、当時どのようにトレントを利用していたのかを整理したうえで対応することが大切です。
関連コラム:トレントはダウンロードのみも違法!バレるリスクと対処法を一挙紹介
意見照会書・開示請求が届いてもすぐに逮捕されるわけではない

プロバイダから突然、発信者情報開示に関する意見照会書が届くと、「もう警察にも知られているのでは」「近いうちに逮捕されるのでは」と不安になるかもしれません。
しかし、意見照会書が届いたことと、刑事事件として捜査されていることは別の話です。
この段階で慌てる必要はありませんが、今後の対応は慎重に考える必要があります。
意見照会書が届いた段階では刑事告訴されたとは限らない
意見照会書は、著作権者などから発信者情報の開示を求められたプロバイダが、契約者に対して「情報を開示してよいか」などの意見を確認するために送る書面です。
意見照会書が届いた段階では、権利者はまだトレントを利用した人物を特定できていません。
つまり、開示請求によって利用者を特定しようとしている段階であり、損害賠償請求や刑事告訴が問題になるのはその先です。
ただ、だからといって放置してよいわけではありません。
権利者が発信者を特定した後、損害賠償を請求したり、刑事告訴に踏み切ったりする可能性があるためです。
意見照会書が届いた時点は、今後の対応を考える一つのタイミングといえます。
発信者情報が開示されても直ちに逮捕されるわけではない
開示請求によって氏名や住所などが権利者に伝わったとしても、それだけで警察に逮捕されるわけではありません。
発信者情報開示は、権利者が著作権侵害をした人物を特定し、損害賠償請求などを行うために利用される民事上の手続きです。
情報が開示されたこと自体が、逮捕を意味するものではありません。
実際には、発信者が特定された後、権利者から通知書や損害賠償請求書などが届き、示談について話し合うケースもあります。
この段階で適切に示談を進められれば、刑事告訴を避けられる可能性もあります。
反対に、相手からの連絡を無視しているうちに状況が悪化することもあるため、「まだ警察から連絡がないから大丈夫」と考えるのは避けたほうがよいでしょう。
開示請求を放置すると刑事事件化のリスクが高まる可能性がある
意見照会書が届いたものの、「返事をしなければ自分の情報は開示されないだろう」と、そのままにしてしまう方もいます。
しかし、意見照会書を無視したからといって、開示を止められるわけではありません。
本人が開示に同意しなくても、法律上の要件を満たしていれば、発信者情報が開示されるからです。
意見照会書や権利者からの通知が届いたのであれば、「逮捕されるまで待つ」のではなく、刑事事件になる前にできることがないかを検討することが大切です。
特に、複数の作品について開示請求を受けている場合などは、早めに弁護士へ相談したほうがよいでしょう。
関連コラム:トレントでAVをDL後、開示請求が来た時の対処法【弁護士直伝】
トレント利用が発覚してから逮捕・刑事処分までの流れ

トレントの利用が発覚しても、すぐに逮捕されるわけではありません。
権利者による利用者の特定から始まり、刑事告訴や警察の捜査を経て、逮捕に至ることがあります。
大まかな流れは次のとおりです。
- 権利者がIPアドレスなどを把握する
- プロバイダに発信者情報開示請求が行われる
- 発信者が特定され、損害賠償を請求される
- 刑事告訴を受け、警察の捜査が始まる
- 事情聴取や家宅捜索が行われ、逮捕されることがある
- 検察官が起訴・不起訴を判断する
いま自分がどの段階にいるのかを知っておくと、この先に起こり得ることや、取るべき対応も見えてきます。
権利者がIPアドレスなどを把握する
トレントを利用すると、ファイルを共有している端末のIPアドレスなどが、ほかの利用者から確認できる状態になります。
そこで、著作権者や調査会社などがトレント上で作品の共有状況を調査し、著作権を侵害していると考えられるIPアドレスなどを把握します。
ただし、IPアドレスだけでは、実際にトレントを利用した人物の氏名や住所まではわかりません。
そこで、次の発信者情報開示請求へ進みます。
プロバイダに発信者情報開示請求が行われる
IPアドレスなどを把握した権利者は、プロバイダに対して発信者情報の開示を求めます。
このとき、プロバイダから契約者のもとへ届くことがあるのが「発信者情報開示に係る意見照会書」です。
前章で説明したとおり、この時点では、権利者が利用者を特定しようとしている段階です。
意見照会書が届いたからといって、すでに逮捕が迫っているわけではありません。
一方で、ここから利用者が特定されれば、権利者から直接請求を受ける可能性が出てきます。
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発信者が特定され権利者から損害賠償請求を受ける
開示請求によって氏名や住所などが判明すると、権利者から損害賠償を求める通知が届くことがあります。
ここで注意したいのは、損害賠償を請求されている段階と、刑事事件として捜査されている段階は別だということです。
ただ、まだ警察が動いていないのであれば、刑事事件になる前に示談交渉を進められる余地があります。
権利者との間で解決できれば、刑事告訴を避けられる可能性もあるため、この段階でどう対応するかは非常に大切です。
刑事告訴され警察による捜査が始まる
権利者が刑事責任を追及する場合には、警察などへ刑事告訴することがあります。
刑事告訴を受けたからといって必ず逮捕されるわけではありませんが、ここからは民事上の損害賠償だけでなく、刑事事件としての対応も必要になってきます。
この段階まで進んでいるのであれば、「逮捕されるかどうか」だけではなく、不起訴に向けて何ができるかまで考えて動かなければなりません。
事情聴取・家宅捜索・逮捕が行われることがある
捜査が進むと、警察から事情聴取を受けたり、自宅の家宅捜索を受けたりすることがあります。
家宅捜索では、トレントの利用状況を確認するため、パソコンやスマートフォン、外付けHDDなどが押収されることもあります。
ただし、家宅捜索を受けたからといって、その場で必ず逮捕されるわけではありません。
捜査に協力しながら普段の生活を続ける「在宅事件」として進むケースもあるからです。
起訴・不起訴の処分が決まる
警察による捜査を経て事件が検察官へ送られると、最終的に起訴するか、不起訴にするかが判断されます。
不起訴になれば刑事裁判には進まず、前科もつきません。
一方、起訴されて有罪となれば、逮捕されていなかった場合でも前科がつきます。
だからこそ、トレント事件では「逮捕されなければ大丈夫」と考えるのではなく、できるだけ早い段階から不起訴まで見据えて動くことが大切です。
特に、まだ刑事告訴されていない段階であれば、権利者との示談によって刑事事件への発展を防げる可能性があります。
意見照会書や損害賠償請求が届いた時点で、早めに弁護士へ相談するとよいでしょう。
トレント利用で実際に逮捕・摘発された事例
トレントによる著作権侵害は、実際に逮捕や書類送検につながった例があります。
対象となっているのも、アニメや漫画、音楽、ゲームなど身近な作品です。
ここでは、実際に摘発された事例を紹介します。
アニメ動画を無断公開して著作権法違反で逮捕された事例
トレントを使ってアニメやテレビ番組などを無断公開し、著作権法違反の疑いで逮捕された事例があります。
警察は、トレント上で違法に公開されている動画を確認し、IPアドレスやアカウント情報などから利用者を特定しました。
この利用者は約170作品を公開していたとされ、警察の調べでは被害総額は約18億円に上るとみられています。
さらに、自ら編集した動画を販売し、利益も得ていました。
トレントを利用しただけで一律に逮捕されるわけではありません。
しかし、大量の作品を公開していたり、販売して利益を得ていたりすれば、悪質性が高いとして逮捕につながることがあります。
人気漫画を違法アップロードして摘発された事例
講談社や集英社の漫画作品をファイル共有ソフトで無断公開し、著作権法違反の疑いで書類送検された事例もあります。
この事例では、警察のサイバーパトロールから違法アップロードが発覚しました。
「権利者から直接警告されていないから見つかっていない」とは限りません。
ネット上での共有状況から著作権侵害が発覚し、警察の捜査につながることもあるということです。
また、漫画やアニメなどの権利者は、発信者情報開示請求によって利用者を特定し、損害賠償請求などを行うこともあります。
アーティストの音源を違法アップロードして告訴された事例
ファイル共有ソフトを利用し、アーティストの音源を無断で公開していた複数の利用者が摘発された事例もあります。
警察のサイバー犯罪対策部門による捜査で違法アップロードが確認され、利用者が送致されました。
音源の権利侵害については、権利者側から告訴も行われています。
音楽についても、購入したCDや正規に入手した音源だから自由に共有できるわけではありません。
自分で楽しむために入手した音源でも、トレントを通じて不特定多数の人がダウンロードできる状態にすれば、刑事事件に発展する可能性があります。
実際に、ファイル共有ソフト「BitTorrent」を使ってCDアルバムの音源などを公開した男性が検挙された事例もあるため注意しましょう。
PCゲームを違法アップロードして検挙された事例
PCゲームやアニメ動画などをファイル共有ソフトで違法にアップロードし、検挙された事例もあります。
このケースでは、著作権を持つ複数の会社から相談を受けた警察が調査を行い、ネット上で違法アップロードを確認しました。
その後、データを最初に公開した人物だけでなく、ファイル共有に関わった利用者も検挙されています。
つまり、「自分が最初に作品をアップロードしたわけではない」というだけで、刑事責任を免れられるとは限りません。
トレントの仕組みを通じて著作物の共有に関われば、捜査の対象になる可能性があります。
トレントサイト「Nyaa」でテレビドラマを無断公開して逮捕された事例
2026年7月には、トレントサイト「Nyaa」を通じてテレビドラマを無断でアップロードしたとして、相模原市の男性が著作権法違反の疑いで京都府警に逮捕されました。
男性は、テレビドラマの動画ファイルを権利者に無断でアップロードし、不特定多数の人がダウンロードできる状態にした疑いを持たれています。
この事例からもわかるように、トレントによる著作権侵害は過去の問題ではなく、現在も実際に逮捕者が出ています。
「周りにも使っている人がいる」「これまで何も起きなかった」という事情があっても、今後も問題にならないとは限りません。
トレントの利用について心当たりがある場合には、利用を続けず、意見照会書や警察からの連絡が届いた段階で早めに対応することが大切です。
トレントの著作権侵害で科される刑事罰と前科

トレントで著作物を無断でアップロードすると、著作権法違反として刑事罰を受ける可能性があります。
また、「逮捕されるかどうか」と「前科がつくかどうか」は別の問題です。
ここでは、トレント利用で問われる刑事罰と前科の関係を整理します。
違法アップロードによる著作権法違反の刑事罰
トレントを通じて映画や漫画、音楽などを無断でアップロードし、著作権者の公衆送信権などを侵害した場合、10年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。
ただ、トレントを一度利用しただけで、必ず上限に近い刑を受けるわけではありません。
実際の処分は、共有した作品の数や利用期間、営利目的の有無、被害の大きさ、前科の有無など、それぞれの事情を踏まえて決まります。
比較的軽い事案では罰金刑となることもあります。
しかし、犯行の規模が大きい、営利目的で繰り返していたなど悪質性が高ければ、拘禁刑を含む重い処分を受ける可能性もありますので注意が必要です。
逮捕されても不起訴なら前科はつかない
「トレントで逮捕されたら前科がつく」と思われがちですが、逮捕された時点では前科はつきません。
逮捕は、警察などが被疑者の身柄を拘束して捜査するための手続きです。
その後、検察官が事件を起訴せず、不起訴になれば刑事裁判には進みません。
つまり、不起訴になれば有罪判決を受けることもないため、前科はつきません。
そのため、すでに逮捕されてしまった場合でも、「もう前科は避けられない」と諦める必要はありません。
被害者である権利者との示談など、不起訴に向けてできることを行っていきましょう。
逮捕されなくても起訴・有罪になれば前科がつく
一方、最後まで逮捕されなかったとしても、前科がつくことはあります。
警察から呼び出しを受けて事情聴取を受け、そのまま在宅で捜査が進むケースでも、事件が検察官へ送られ、起訴されることがあるためです。
そしてその後、有罪となれば前科がつきます。罰金刑も同じです。
「罰金を払って終わっただけだから前科ではない」と誤解している人も多いですが、罰金刑も有罪判決の一つなので前科になります。
トレント事件では、逮捕を避けることだけに目を向けるのではなく、その先の不起訴まで見据える必要があります。
まだ刑事告訴されていないのであれば告訴を防ぐ、すでに捜査が始まっているのであれば不起訴を目指すなど、いまの段階に応じた対応を取ることが大切です。
警察から連絡が来た・家宅捜索を受けた場合にすべきこと

警察から突然電話が来たり、朝、自宅に警察官が来て家宅捜索が始まったりすれば、焦ってしまうのも無理はありません。
ただ、この段階で慌てて対応すると、後から不利になることがあります。
警察が動き始めた場合には、次の3点を意識してください。
- 自己判断で供述せず、まず弁護士に相談する
- PC・スマホのデータを削除・初期化しない
- 家宅捜索や事情聴取には弁護士の助言を受けて対応する
それぞれ、具体的にみていきましょう。
自己判断で供述せず、まず弁護士に相談する
警察から「トレントについて話を聞きたい」と連絡が来ると、「きちんと説明すればわかってもらえる」と考え、そのまま事情聴取に応じてしまう方もいるでしょう。
しかし、何をどこまで話すべきかは、事件の状況によって変わります。
特に、トレントの仕組みやアップロードについての認識などは、著作権法違反が成立するかを考えるうえでも無視できません。
もちろん、嘘をつくべきではありませんが、記憶が曖昧なことまで推測で答えたり、警察官の質問に合わせて事実と違うことを認めたりする必要もありません。
警察から連絡を受けたら、事情聴取を受ける前に弁護士へ相談し、自分の利用状況を整理しておくとよいでしょう。
PC・スマホのデータを削除・初期化しない
「トレントのデータが残っていたらまずい」と考えて、ファイルを削除したり、パソコンやスマートフォンを初期化したりするのは避けてください。
警察が捜査を始めた後にデータを消せば、証拠を隠そうとしたのではないかと疑われ、逮捕の必要性を判断する際にも不利な事情となるおそれがあるからです。
また、データの中には自分に不利なものだけでなく、実際の利用状況や当時の認識を説明する材料が含まれている場合もあります。
不安だからといって自分で端末の中身を整理するのではなく、そのままの状態にして弁護士へ相談してください。
家宅捜索や事情聴取には弁護士の助言を受けて対応する
家宅捜索を受けた場合、パソコンやスマートフォン、外付けHDDなどが押収されることがあります。
そしてその後、警察署へ呼ばれて事情を聞かれることもあるでしょう。
こうした状況になると、
「次は逮捕されるのではないか」
「会社や家族に知られるのではないか」
と不安になり、目の前の対応だけで精いっぱいになりがちです。
だからこそ、家宅捜索を受けた後は、できるだけ早く弁護士に相談し、この先どのような捜査が予想されるのかを確認しておくことが大切です。
弁護士に相談すれば、事情聴取で気をつけることを事前に確認できるほか、逮捕を避けるためにどのような事情を警察へ伝えるべきか、権利者との示談を進めるべきかといった対応も検討できます。
すでに警察が動いているからといって、できることがなくなったわけではありません。
今後の捜査や刑事処分を見据えて、早い段階から対応していきましょう。
トレントで逮捕・前科を避けるために早期の示談交渉が重要

トレント事件では、権利者との示談が逮捕や前科を避けるうえで大きな意味を持ちます。
特に、まだ刑事告訴されていない段階であれば、先に話し合いを進めることで刑事事件への発展を防げる可能性があります。
「まだ警察から連絡がないから」と待つのではなく、動ける段階で対応を始めることがポイントです。
刑事告訴される前に示談できれば刑事事件化のリスクを下げられる
意見照会書が届いた段階や、権利者から損害賠償を請求されている段階では、まだ刑事告訴されていないケースがほとんどです。
この段階で権利者と示談し、損害を賠償したうえで謝罪するなどして解決できれば、示談の条件として刑事告訴をしないことを約束してもらえる可能性があります。
つまり、告訴される前に話をまとめられれば、そもそも警察の捜査や逮捕を心配しなければならない状況を避けられるのです。
トレント事件で「早めに相談したほうがよい」といわれるのは、このためです。
示談成立後に刑事告訴を取り下げてもらえる可能性がある
すでに刑事告訴されていても、示談を諦める必要はありません。
トレントによる著作権侵害は、原則として著作権者などの告訴がなければ起訴できない「親告罪」です。
そのため、起訴される前に示談が成立し、告訴を取り下げてもらえれば、起訴を避けられます。
ただ、告訴を取り下げてもらえるかどうかは権利者の判断です。
示談金を支払えば当然に応じてもらえるわけではありません。
だからこそ、単に金額の話をするだけでなく、謝罪や再発防止も含めて相手方と交渉し、告訴の取下げまで示談内容に盛り込めるかがポイントになります。
高額な示談金・損害賠償請求の減額交渉もできる
トレント事件では、刑事事件への対応と同時に、権利者から損害賠償を請求されることがあります。
請求書に高額な金額が書かれていると、「払わなければ逮捕されるのでは」と焦って、そのまま支払いたくなるかもしれません。
しかし、相手から請求された金額をそのまま支払わなければならないとは限りません。
弁護士に依頼すれば、作品数や共有状況、請求額の根拠などを確認したうえで、適正な解決額について交渉できます。
ただし、刑事告訴を避けることを優先するのであれば、単純に示談金をできるだけ下げればよいとも限りません。
トレント事件では、金額だけを見るのではなく、刑事告訴をしないという条件まで含めて解決することが大切です。
逮捕や前科を避けたいのであれば、民事上の損害賠償と刑事事件のリスクを切り離さず、両方を見据えて示談を進める必要があります。
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グラディアトル法律事務所が対応したトレント事件の解決事例
グラディアトル法律事務所では、トレントによる著作権侵害について数多くの相談・依頼を受けてきました。
なかには、複数の作品をダウンロードしていたケースや、複数の権利者から開示請求を受けたケースもあります。
ここでは、実際の解決事例を3つ紹介します。
複数の権利侵害が判明したものの77万円で包括和解した事例
相談者は、BitTorrentでAV動画をダウンロードしたところ、プロバイダから発信者情報開示に関する意見照会書が届きました。
ご依頼後に相手方と交渉を進めると、当初問題となった1作品だけでなく、同じメーカーの作品について合計9件の権利侵害が判明しました。
そこで、1作品だけを33万円で解決するのではなく、追加請求のリスクも考え、77万円で包括和解することを選択しました。
結果として、同じメーカーの複数作品についてまとめて解決することができました。
刑事告訴をしない条件を盛り込み77万円で包括和解した事例
相談者は、過去4~5年ほど断続的にトレントを利用しており、プロバイダから意見照会書が届いたことをきっかけにご相談いただきました。
今回指摘された作品以外にも心当たりがあったため、弁護士が追加請求の可能性まで見据えて相手方と交渉。
その結果、同じ権利者が著作権を持つ作品を対象として77万円で包括和解しました。
さらに、解決金を支払えば刑事告訴を行わないことも和解内容に盛り込み、刑事事件への発展を防いだうえで解決しています。
100作品以上を対象として88万円で包括和解した事例
相談者は、BitTorrentを利用して複数のAV動画をダウンロードしており、プロバイダから意見照会書が届きました。
今回指摘された作品だけでなく、ほかにも多数の作品をダウンロードした心当たりがあり、追加請求を受けることを心配されていました。
そこでグラディアトル法律事務所では、1作品だけを解決するのではなく、今後の請求リスクまで考えて交渉を進めました。
最終的には、100作品以上を対象として解決金88万円で包括和解が成立。
多数の作品に心当たりがあるケースでも、将来の追加請求まで見据えて解決できた事例です。
トレントの逮捕リスクで不安ならグラディアトル法律事務所へ

トレント事件は、意見照会書への対応だけで終わるとは限りません。
複数作品について追加請求を受けたり、対応を誤れば刑事告訴に発展したりすることもあります。
グラディアトル法律事務所では、これまで数多くのトレント事件に対応してきました。
その経験を活かし、目の前の請求だけでなく、逮捕や前科を避けることまで見据えた解決を目指します。
トレント関連事件を200件以上解決した実績
グラディアトル法律事務所には、トレント関連事件を200件以上解決してきた実績があります。
トレント事件では、権利者によって請求の仕方や示談への対応が異なります。
また、1作品だけを解決すればよいケースもあれば、過去に利用した多数の作品について追加請求まで考えなければならないケースもあります。
こうした判断は、実際に多くの案件を扱ってきたからこそできるものです。
これまでの対応経験をもとに、相手方の動きや追加請求の可能性も考えながら、できるだけ不安を残さない解決を目指します。
関連コラム「トレント開示請求は弁護士へ相談!示談交渉で減額0円を目指せる理由」
逮捕回避と示談・損害賠償の双方を見据えて対応
グラディアトル法律事務所では、請求された金額を減らすことだけを目的に交渉するわけではありません。
トレント事件で本当に気になるのは、「刑事告訴されないか」「逮捕や前科を避けられるか」という点ではないでしょうか。
そこで、事件の状況に応じて、損害賠償額を交渉しながら、刑事告訴をしないことを示談条件に盛り込むなど、刑事事件への発展を防ぐことまで考えて交渉します。
実際に、刑事告訴をしない条件を含めた包括和解を成立させた事例もありますので、安心してお任せください。
365日24時間相談可能・LINE相談にも対応
「意見照会書が届いた」「警察から連絡が来た」といった状況では、これから何が起こるのかわからず、不安なまま過ごしている方も少なくありません。
グラディアトル法律事務所では、365日24時間ご相談を受け付けており、LINEからの相談にも対応しています。
トレント事件は、早い段階だからこそ取れる選択肢があります。
「まだ警察は動いていないから大丈夫」と一人で抱え込まず、まずは現在の状況をお聞かせください。
まとめ
トレントを利用したからといって、必ず逮捕されるわけではありません。
しかし、著作権侵害が発覚すれば、損害賠償を請求されるだけでなく、刑事告訴を受けて警察の捜査が始まる可能性もあります。
だからこそ、「まだ警察から連絡がないから大丈夫」と考えて放置するのはおすすめできません。
意見照会書や権利者からの通知が届いた段階であれば、刑事事件になる前に示談を進められる余地があります。
グラディアトル法律事務所には、トレント事件を数多く解決してきた実績があります。
逮捕や前科への不安はもちろん、追加請求を受ける可能性まで含めて対応しますので、トレントの利用に心当たりがある方は、お早めにご相談ください。
