競馬情報詐欺の返金方法と交渉を有利にするポイント2つを弁護士が解説

「高額な競馬情報を買ったのに全くの的外れ。それどころか、さらに高額な請求をされた」

上記に心当たりがある場合は、競馬情報詐欺の被害に遭われている可能性が高いです。正当な手順を踏むことで返金の確率がグッと上がりますが、手順を誤れば、詐欺グループに逃げられ泣き寝入りすることにもなりかねません。

当記事では、

  • 競馬情報詐欺の返金を実現するまでの流れ
  • 返金交渉を有利に進めるためのポイント
  • 競馬情報詐欺で返金を勝ち取った判例
  • 競馬情報詐欺を弁護士に依頼するメリット
  • 弁護士以外の相談窓口

上記について、詳しく解説します。

競馬情報詐欺における返金実現までの流れ

競馬情報詐欺における返金回収までの流れ

競馬情報詐欺で返金を実現するまでの流れについて、以下で詳しく解説します。

弁護士に相談する

競馬情報詐欺に強い弁護士に相談することで、返金成功率はグッと上がります。また、相談窓口として電話やメールを設置されていることが多いですが、前述の通り、競馬情報詐欺は迅速な行動が求められますので、タイムラグのない電話での相談をおすすめします。

  補足)予め証拠を用意しておくと手続きがスムーズ

証拠が多くあることに越したことはないですが、乱雑に保管していると、有効な証拠データの見極めに時間を要してしまいます。そのため、弁護士に相談する前に証拠データは事前に整理しておきましょう。

競馬情報詐欺グループの名前・住所を特定

弁護士のみが利用できる「弁護士照会」で、加害者(詐欺グループ)の名前や住所を特定することが可能です。ただ、情報が何もない場合だと弁護士照会を以てしても特定が困難なので、最低でも相手の連絡先は押さえておくようにしましょう。

内容証明郵便の送付

相手の住所が特定できれば、次に返金を求める旨を記した書類を加害者側に郵送します。ここで利用されるのが内容証明郵便という方法で、返金請求に確固たる意志があることを相手側に伝える目的で利用されます。また、内容証明郵便はポスト投函ではなく、本人に直接手渡しが原則なので、相手が受け取ったかどうかの判断材料にもなります。

詐欺グループの口座凍結

証拠となるデータが揃っている、且つ銀行口座の取引履歴が残っている場合は、振り込め詐欺救済法に則って、相手口座を凍結する措置を行います。これにより、相手側は口座が利用できなくなりますので、凍結解除を求めて返金交渉に応じる確率が上がります。ただ、相手側も振り込め詐欺救済法による口座凍結は熟知していますので、時間との勝負になることは覚えておきましょう。

返金交渉

内容証明郵便の送付、口座凍結をした後に、競馬情報詐欺師側から連絡が来て、交渉が開始されることが多いです。

最も円満な解決としては、こちらが提示した内容で加害者側が全面的に非を認めることです。晴れて合意となれば、支払額や支払方法、支払期限などをまとめた和解契約書に双方が署名し、締結となります。相手側が支払いを認めた証拠になりますので、返金交渉としては理想的な決着になります。

もっとも、多くの事例では、被害額全額から何割か減額する交渉が行われます。

訴訟をするとなると費用や時間がかかるため、早期解決の観点から被害金額よりは低い金額で合意をして返金してもらうことも多いです。

訴訟を提起する

加害者側が交渉に応じない、または和解内容に合意を得られない場合は、訴訟を提起し裁判で争うことになります。

訴訟提起後は和解により解決する場合、判決により解決する場合があります。

民事訴訟に発展する場合は、別途弁護士費用が発生することになります。また、裁判は1〜2年間の期間がかかることが多く、時間と費用の両面でコストがかかります。

強制執行手続き

勝訴後は、判決に則って加害者側に支払い義務が生じますが、一向にお金が支払われないケースもあります。

その際は、強制執行手続き(債務名義)を行い、相手側の財産を差し押さえる方法に移行します。ですが、差し押さえる財産がない場合は満額返金が難しい場合もありますので注意が必要です。

競馬情報詐欺で返金交渉を有利にする2つのポイント

競馬情報詐欺で返金交渉を有利にする2つのポイント

競馬情報詐欺の返金交渉を優位に進めるにあたり、2つのポイントに留意する必要があります。

【ポイント1】迅速な行動

行動は早ければ早いほど良いです。なぜなら、詐欺グループは少しでも不利な状況になると、一度会社を畳んでまた別の会社を立ち上げる行動に出るため、そうなれば返金請求は非常に厳しいものになるためです。

少しでも多く返金請求するためにも、迅速な行動を心がけましょう。

【ポイント2】競馬情報詐欺に関する証拠はできるだけ多く用意

証拠は多いに越したことはありません。言うまでもなく、証拠の有無が返金請求に大きく影響しますので、以下を参考に証拠物の確認をしてみてください。

  電話・対面時の録音(通話・会話など)

これまでに通話・会話の内容を録音しているのもがあれば、聞き取れるかどうかを事前に確認しておきましょう。録音データが無いという場合でも、これまでの通話履歴(通話した時間・日にちなど)や担当者の名前など、分かる範囲でメモしておくことが大切です。

  メールやLINE・SNSの記録

詐欺のやり取りを記録したメールやLINE・SNS等は物的証拠として非常に重要なデータになりますので、可能な限り集めておきましょう。また、弁護士に相談する際に時系列順でまとめておくと返金請求がスムーズになるので、事前に整理しておくことをおすすめします。

  クレカ、領収書(レシート)、通帳などの取引明細

上記で解説した詐欺グループとのやり取りに関するデータも、重要な証拠であることに間違いありませんが、金銭のやり取りがあったことを証明できないと返金請求は困難です。

例えば、被害総額が300万円で全額返金を目指す場合は、300万円の取引があったことを証明する証拠物が必要だということです。

さらに、取引明細には金額以外に「会社名(名前)」「取引日時」「口座番号」といった多くの証拠データが残されているケースが多いので、絶対に捨てないようにしましょう。

競馬情報詐欺の返金を認めた判例2つ

最後に、実際に競馬情報詐欺で返金を勝ち取った判例を見てみましょう。

【判例1】被害総額約4,500万円の返金事例

競馬で負け込んでいたところ、「競馬情報料を払ってくれれば、勝ち馬情報を教えます。」「会員のグレードがあがるほどいい情報が得られます。」「インサイダーのレースがある。」などといった勧誘を受け、競馬情報詐欺師に情報料をを支払ってしまいました。

その後も、「情報元から金を取り戻すには、弁護士費用として200万円を用意して欲しい。」「送金を受けるためには、弁護士に対する裏工作費用が必要だ。」などと言われ、お金を支払ってしまいました。

被害総額は約4,500万円です。

その後、被害者親族に発覚したところで弁護士に依頼することとなり、競馬情報詐欺師に対して、返金訴訟を提起しました。裁判所は、被害者の主張を認め、競馬情報詐欺師に対して、被害額のほぼ全額と弁護士費用450万円(被害金額の1割)の支払を命じました。

〔1〕確実な勝ち馬情報など存在しないことは、日本中央競馬会(JRA)及び国民生活センターの告知から明らかであるにもかかわらず、被告らは、原告に対し、インサイダーのレースがある、確かなレースがある、馬券代や弁護士費用が必要である、情報元が代わったので新たな費用が必要だなどと虚偽の事実を述べて原告に送金させていること、

〔2〕三万円程度から徐々に一〇〇万円以上にエスカレートした情報料を請求し、総支払額が四五〇〇万円と極めて高額となっていること、

〔3〕原告にクレジットカードを現金化させたり、強迫的なメールを送信するなどしていること、

〔4〕被告らが競馬攻略情報の有効性について主張立証しておらず、原告に対して競馬攻略情報の正当性及び有用性の具体的な説明を行った形跡も一切窺われないこと

等の事情からすれば、被告らの行為は典型的な競馬詐欺であって、その違法性は明白である。

横浜地判平成26年8月27日

【判例2】被害総額約5,300万円の返金事例

競馬情報サイトのメルマガに登録したところ、少額コースを皮切りに何百、何千万のコースを紹介されるようになりました。

「5名の方に特別な情報が得られる権利が当たり、あなたも当選しました」「40万円のコースにアップすると、より高額の配当が得られますよ」「最低1200万円回収保証」「平均1500万円回収」等の勧誘をされました。

また、国民相談センターを装う競馬情報詐欺師の仲間から、「競馬情報で悪い会社が多いので騙されないようにして欲しい。」「調べましたが、この会社なら大丈夫です」「2000万円とか高額な賞金を獲得した人が大勢います」「もしこの会社で上手くいかなかった場合は、国民相談センターが代金を回収しますから大丈夫ですよ」などと言われて、信じて大金を支払ってしまいました。

結局、総額約5,300万円ものお金を支払ってしまいました。最終的に不的中が続いたり、相手側の対応がそっけなくなったことで詐欺に遭ったと自覚し、弁護士に依頼しました。

裁判の結果、実損額全額(5,300万円)の損害を認め、一部請求である2,000万円全額のの支払命令が下されました。

〔1〕被告あすなろサポートは、競馬投資サイト「ワールドトレード」へ原告を誘引、無料メルマガに登録させてメールを送り,実際には競馬は不確定要素の強いギャンブルであり、確実に儲かる情報など存在しないにも拘らず、恰もそれがあるように装い、競馬を用いた投資により資産が増やせると競馬に疎い原告を欺罔し、まず45,000円コースの申込をさせた。

〔2〕その後、被告あすなろサポート従業員のP7が、原告に電話をし、恰も競馬には特別な情報が存在し、被告あすなろサポートはその情報を入手しているため確実に的中する、高額配当を保証する等と虚偽事実を申し向けて執拗に勧誘、差額を振込ませて上級コースにさせた後、P7、P8が次々とよりグレードの高いコースないし会員になれば、より高額配当が確実に得られると電話やメールで欺罔を繰り返して、原告の利欲を煽り、被告あすなろサポート及び被告ゲイン口座宛て次々と振込ませ、原告から合計5300万円を騙取したものであり、これら一連の行為は組織的で悪質な詐欺行為である。 

東京地判平成26年9月3日

競馬情報詐欺の返金は弁護士に依頼するのがおすすめな3つの理由

競馬情報詐欺の返金を弁護士に依頼するのがおすすめな3つの理由

競馬情報詐欺被害に遭った場合、返金してもらいたいと思うのは当然の話ですが、返金の方法は大きく分けて「自力で交渉」「弁護士に依頼」の2種類になります。

この2つの大きな違いは「費用がかかるかどうか」です。自力で交渉が成功した場合は、かかるお金が実質0円なので「お金をできるだけかけたくない」方にはオススメと言えます。ですが、自力交渉の場合、相手方が返金交渉に応じてくれないことがほとんどなので、結論として「弁護士一択」となります。

弁護士への依頼がおすすめな理由は、以下の通りです。

【理由1】法的な観点で具体的なアドバイスを受けることができる

詐欺被害に遭った直後は「何としても返金してほしい」という感情面が先走ってしまいがちですが、そのまま突撃してしまうのは相手側の思うつぼです。加害者は、その感情を言葉巧みに利用してくるだけでなく、さらにその感情を煽って、「高圧的に返金を迫られた」と訴えてくるケースもあります。このような理由からも、自力交渉はリスクが高いと言わざるを得ないでしょう。

その点、弁護士は法律の観点から「どのような流れで適切な返金交渉ができるのか」という部分の追求に長けているので、リスクを減らしながら返金交渉を進めることが可能になります。

とはいえ、弁護士はどこでもいいわけではありません。皆それぞれ得意・不得意があるように、弁護士にも得意分野・不得意分野があります。今回は競馬情報詐欺がテーマとなりますので、競馬情報詐欺に強い弁護士に依頼することが重要です。

【理由2】手続きや返金交渉を丸投げできる

競馬情報詐欺における返金完了までの流れを簡単に説明すると、

  • 書面の作成・郵送
  • 返金交渉の準備・返金交渉の代理人対応
  • (場合によっては)慰謝料請求も進める
  • 交渉が難航し訴訟に発展した場合の対応

少なく見積もってもこれだけの準備や手続きを行う必要があり、相応の労力・時間を要します。その点、弁護士に依頼すれば上記全ての手続きを丸投げできるので、時間・労力以外に精神的負担の軽減も可能、まさに一石三鳥と言えるでしょう。

【理由3】弁護士だけが持つ特別な調査力

弁護士には、「弁護士法第23条の2に基づく照会制度(通称:弁護士照会)」という独自の調査権を持っており、この制度により詐欺グループの詳細な情報を調べることが可能になります。通常、詐欺グループは会社情報を曖昧にしていることが多く、調査に長引けば長引くほど逃げられてしまう恐れがあるため、迅速な対応が求められます。せっかく有力な証拠を揃えていても請求相手が不在では意味がありませんので、弁護士照会は非常に大きなメリットであると言えるでしょう。

競馬情報詐欺の被害額が少ない場合には返金の相談は消費者センターや警察への相談がおすすめ

弁護士に依頼し返金交渉を進める場合、弁護士費用が発生します。被害額が高額である場合は、返金額と相殺させて実質的な黒字計上も可能ですが、一方で、少額の被害額だと、弁護士費用が相殺できず赤字になってしまうケースもあります。

そのような場合には、競馬情報詐欺の返金についての相談は、警察または消費者生活センターへの相談がおすすめです。

  警察に相談

警察への相談は無料です。さらに被害届を提出・受理されれば刑事事件として社会的制裁を科すことが可能です。一方で、警察に相談しても被害額が返金されることはありません。警察はみあくまで刑事事件として取り締まることを目的としているので、仮に加害者に罰金が科せられたとしても、そのお金は国に入ります。「加害者に社会的制裁を科したい」という点では有効ですが、「被害額を返金してほしい」が主となる場合は、民事訴訟に強い弁護士に軍配が上がるでしょう。

  消費者生活センターに相談

無料で相談可能で法律上の観点から返金に関するアドバイスやサポートを受けられるという点ではメリットですが、良くも悪くも無料相談窓口の域を出ない、というのが正直なところです。言い方を変えると、消費者生活センターは、競馬情報詐欺に関する相談や返金請求のサポートをしてくれますが、明確な違法性だと認められない限り、返金請求に関する手続き・交渉に関しては自力で行うことになります。

また、消費者生活センターの営業時間は「平日9:00~17:00」となっており、時間外は非対応となる点も注意が必要です。

まとめ|競馬情報詐欺でお困りの方はグラディアトル法律事務所へ

競馬情報詐欺に遭った場合の返金方法について解説しました。

競馬情報詐欺の性質上、迅速な行動が求められる上、返金交渉には複雑な準備・手続きを要します。また、確実性の高い返金を目指すなら競馬情報詐欺に強い弁護士に依頼することがおすすめです。

グラディアトル法律事務所では、競馬情報詐欺の返金交渉や訴訟などを数多く取り扱っております。

弁護士とのLINEでの無料相談も行っておりますので、お困りの際は、是非弊所にご相談ください。

Bio

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。
東京弁護士会所属(登録番号:50133)
男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。