副業詐欺・情報商材詐欺でクーリングオフ期間経過後の返金成功事例

副業詐欺・情報商材詐欺の被害にあってしまい返金請求を希望していたものの、クーリングオフ期間が過ぎてしまっていた事例で、弁護士の返金交渉により返金に成功した事例を紹介します。

事件の概要|友人の紹介で副業詐欺・情報商材詐欺の被害に

今回の相談者は、20代の会社員女性です。

相談者は、お金を使いすぎてしまい、金銭的に困っていました。

そんなとき、友人から知り合いに副業で儲かる方法を教えてくれる凄い男性がいると聞きます。

すぐに友人にお願いをして、相談者はその男性とカフェで会うことにしました。

男性はSNSを利用した副業で稼いでおり、男性の販売する講座に申し込めばその方法を教えてくれるといいます。そして、その費用には50万円かかるというのです。

相談者はもちろん50万円もの大金を持っていなかったため、支払えないことを伝えました。また、金額も大きいことから、一旦帰って親に相談したいと正直に話しました。

ところが、契約をするかどうかこの場で決めなればいけないと言われてしまいます。そして、今すぐ50万円を金融機関で借りて契約することも勧められてしまいます。

相談者は押しに弱い性格だったため、お金を借りてきて契約してしまいました。

後日、せっかく契約したので講座をいくつか受けてみたものの、やはり50万円は高いのでお金を返してほしいと考えなおします。

そこで、ネットで詐欺被害の返金に強い弊所を見つけてくださり、弊所にご相談いただきます。

解決までの道のり|弁護士による返金交渉

今回のようにカフェで商材等を販売する行為は、「訪問販売」にあたります。

訪問販売は、書面を受けとった日から数えて8日以内であれば、クーリングオフをすることができます。

第二条 この章及び第五十八条の十八第一項において「訪問販売」とは、次に掲げるものをいう。

一 販売業者又は役務の提供の事業を営む者(以下「役務提供事業者」という。)が営業所、代理店その他の主務省令で定める場所(以下「営業所等」という。)以外の場所において、売買契約の申込みを受け、若しくは売買契約を締結して行う商品若しくは特定権利の販売又は役務を有償で提供する契約(以下「役務提供契約」という。)の申込みを受け、若しくは役務提供契約を締結して行う役務の提供

第八条 主務大臣は、販売業者若しくは役務提供事業者が第三条、第三条の二第二項、第四条第一項、第五条第一項若しくは第二項若しくは第六条の規定に違反し若しくは前条第一項各号に掲げる行為をした場合において訪問販売に係る取引の公正及び購入者若しくは役務の提供を受ける者の利益が著しく害されるおそれがあると認めるとき、又は販売業者若しくは役務提供事業者が同項の規定による指示に従わないときは、その販売業者又は役務提供事業者に対し、二年以内の期間を限り、訪問販売に関する業務の全部又は一部を停止すべきことを命ずることができる。この場合において、主務大臣は、その販売業者又は役務提供事業者が個人である場合にあつては、その者に対して、当該停止を命ずる期間と同一の期間を定めて、当該停止を命ずる範囲の業務を営む法人(人格のない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下同じ。)の当該業務を担当する役員(業務を執行する社員、取締役、執行役、代表者、管理人又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役、代表者、管理人又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下同じ。)となることの禁止を併せて命ずることができる。

引用:特定商取引に関する法律(e-gov)

まず、弁護士は、契約内容やクーリングオフ期間内かを確認するために契約書を確認させていただきました。契約書を確認したところ、クーリングオフ期間は既に経過していました。

そこで、弁護士は他に契約解除できる方法を考えるため、相談者が契約を締結した経緯を聞くことに。

相談者の話を聞いて、今回の契約締結までの流れに問題があると考えます。

訪問販売においては、消費者が無理やり契約されるのを防止するため、事業者に禁止行為がいくつか定められています。

今回については、相談者が契約を断る意思を示したにもかかわらず、お金を借りて契約するように勧めた行為が特定商取引法の第三条の二と第六条三項に当たると判断しました。

(契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘の禁止等)

第三条の二 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売をしようとするときは、その相手方に対し、勧誘を受ける意思があることを確認するよう努めなければならない。

(禁止行為)

第六条 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、次の事項につき、不実のことを告げる行為をしてはならない。

3 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約を締結させ、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない。

引用:特定商取引に関する法律(e-gov)

そして、禁止行為にあたる旨を事業者に告げ、返金の交渉をすることにします。すぐに返金に応じてくれる様子はなかったので、弁護士は何度も連絡をとって粘り強く交渉しました。

交渉の結果、一部であれば返金するとの返事をもらいまます。

相談者が既に商材の一部を使用していたため、使用していない部分についての返金を認めてくれたのです。

最終的に、相談者がこれ以上争うことを望まなかったので、契約金の一部返金ということで事件は終了となりました。

解決のポイント

最近はクーリングオフという言葉が広まり、クーリングオフ期間に契約解除できることを知っている方は多いでしょう。ですが、クーリングオフ期間を過ぎた場合、どうすればいいかわからない方が多いのではないでしょうか。

クーリングオフ期間を過ぎてしまうと、無条件で契約を解除し返金してもらうことはとても難しいです。しかし、法律のプロである弁護士に相談すれば、今回のように返金対応をしてもらえることもあります。

今回の事件は、相談者がすぐに弁護士に相談したため、適切な手段を判断してすぐに交渉することができました。相談者がすべての講座を受講する前に相談に来て交渉を進めることができたので、一部返金が認められたのです。

時間がたってしまうほど返金対応してもらうことはどんどん難しくなっていきます。

契約して日が浅いうちに弁護士に相談してみることが大切です。

今回のように不当な契約をしてしまい困っている方は、お早めに弊所にご相談ください。

情報商材詐欺の手口と返金方法の詳細は、以下の記事もご参照ください。

Bio

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。
東京弁護士会所属(登録番号:50133)
男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。