弁護士 若林翔
占い詐欺をする悪質なサイトの手口には、たくさんの共通点があります。
- 「無料の占い・鑑定だと思って始めたのに、気づけば課金を続けさせられている」
- 「宝くじが当たる、恋愛運が上がるなどの甘い言葉に釣られてポイントを購入させられ続けている」
- 「ここで占いを止めると病気になる、運気が下がるなどと不安感を煽られて止められない」
このような占い詐欺サイトから大金を騙し取られる人が後をたちません。その中には、７０００万円以上の金額の被害にあっている人もいます。
グラディアトル法律事務所の弁護士は、占い詐欺について数多くのご相談を受け、返金請求等の対応を行ってきました。
この記事では、悪質な占い詐欺サイトに騙されないよう、弁護士の経験に基づき、その手口を実際に使われたメール文例なども紹介しながら徹底解説をします。
占い詐欺とは
占い詐欺とは、占いにより不安感を煽ったり、宝くじが当たる等の甘い言葉で誘惑したりして、正常な判断能力を奪い、占いサイトのメッセージ送信代金名目等により金銭を騙し取るものです。
占い詐欺では、WEBサイト、SNS、スマホゲームなどの広告で占いサイトに被害者を集め、無料を謳っているものの、結局は、サイト利用料やメッセージ送信料などの名目でお金を騙し取ろうとします。
占い詐欺は、お金を騙し取ることが目的なので、実際には占い師や鑑定士は存在しないことが多いです。
占い詐欺の運営者である詐欺師は、出会い系詐欺などの出身者が多く、その手口にも共通点が多いです。
占い詐欺の手口６つ
占い詐欺を行っている業者は多いですが、その手口は、共通しています。
占い詐欺をする悪質サイトの目的は、メッセージ送信料などの名目で、利用者のお金を騙し取ることです。
占いをしようとか、占いを当てようとか真っ当なことは考えていません。
いかにして、利用者を占いサイトに誘い込み、お金を使わせ、止めさせないか、そのためのテクニックが、占い詐欺の６つ手口なのです。
占い詐欺の手口を頭に入れて、騙されないようにしましょう！
手口①：「無料」占いを入口にして誘い込む
占い詐欺は、まずは「無料占い」「無料鑑定」を餌にして、占いサイトに誘い込む手口を使います。
WEB、SNS、スマホゲームなどに、「無料占い」「無料鑑定」「無料診断」などの広告から始まり、最後には占い詐欺に引っかかってしまう人が多いです。
無料占いの方法としては、以下のような方法があります。
- 初回占い無料
- 会員登録時に３００ポイント分を無償プレゼント
- 登録後3日間は無料
占い詐欺師の目的は、お金を騙し取ることなので、「無料占い」で終わらせず、あの手この手を使ってお金を騙し取ろうとしてくるので、注意してください。
また、占い詐欺の無料登録で、氏名・生年月日・メールアドレス等の個人情報の登録をしてしまうと、個人情報が別の詐欺会社にわたり、詐欺メールなどの迷惑メールが多数届くようになります。
「無料より高いものはない！」騙されないでください。
「無料占い」「無料鑑定」と言っていたのにお金がかかるメッセージ送信などを求めてきたら、占い詐欺サイトの可能性大！そこで止めましょう。
手口②：「あなたは特別」と思わせる甘い餌で勧誘する
占い詐欺では、「あなたは特別」と思わせるようなメッセージを送り、占いに興味を持たせる手口を使います。
- 「あなたは数万人に一人の【天晶金運】の持ち主です。」
- 「あなたは７億円の宝くじが当たる星のもとに生まれてきました。」
- 「あなたが大きな幸福をつかむビックチャンスが今来ています」
- 「あなたは今まで占ってきた中で１番の強運の持ち主です。」
- 「私が鑑定をした全員が高額当選をしている。あなたはその鑑定を受けられる最有力候補です。」
などと甘い言葉を投げかけ、あたかも自分が強運の持ち主で、特別に、凄腕の占い師の占いや鑑定を受けることができ、宝くじの当選などの幸運を手にできるような印象を抱かせます。
しかし、実際には、全員に同じようなメッセージを送っています。
占い詐欺師の目的は、あくまでもお金を騙し取ることなので、たくさんの人に、甘い言葉を投げかけるのです。
「あなたは特別」「金運が上がる」「宝くじが当たる「恋愛運が上がる」などの甘い言葉に注意しましょう！
「重大な危機が訪れている」「悪霊が」などの不安感を煽る言葉にも注意しましょう。
手口③：占いや鑑定と称して言葉や文字を何度も送らせる
占い詐欺では、メッセージ送信や返信に料金がかかるため、占いや鑑定に必要な情報や金運等を上げるための呪文などと称して、何度もメッセージを送らせる手口を使います。
- 「思い浮かべた数字を一桁ずつ送ってください。」
- 「宝くじで当選したい金額を思い浮かべながら【キラオ】と送ってください。」
- 「宝くじが何種類あるか思い浮かべながら【5.56】と送ってください。」
- 「幸福をつかむ決意ができたら「決意表明」と１文字ずつ送って下さい。」
- 「【星】【月】【太陽】どれかを選んで送って下さい。」
などと、あの手この手を使って、メッセージを送信させます。
占い詐欺では、メッセージ送信１通あたり１５００円前後の金額がかかることが多く、このようなやり取りを続けていくうちに、知らず知らずに高額を騙し取られているという被害事例が多いです。
無意味な言葉や呪文を送らせる。メッセージをたくさん送らせるために１文字ずつ送らせるなどは占い詐欺サイトの典型的な手口です。
惑わされないで！
手口④：期待感や不安感などを煽られ止められない
占い詐欺では、メッセージの送信を続けさせ、占を止めさせないために、期待感や不安感などを煽るという手口を使います。
- 「７億円の宝くじを当選させるには事前に金運を上げる呪文が必要」
- 「あと少しのやりとりで宝くじを買う許可が出る」
- 「今止めるとこれまでの努力が無駄になる。あと少しだから」
- 「５０００万円以上の高額当選を確実にするには最後まで鑑定を受ける必要がある」
- 「途中で止めると幸運が逃げて不幸になる」
このように、占い詐欺サイトは、金運、恋愛運、健康運が上がるなどと期待感を持たせ、そのためには最後まで続けることが必要などとやり取りを継続させます。
説得力を持たせるために、「宝くじが当たった人の通帳」であるとして多額の数字が入った通帳の写真が送られてくることもあります。
また、途中で止めると運が下がり不幸になる、前世の悪い因縁が襲ってくる、癌になるなど不安感や恐怖感を煽り、止めさせないようにしてきます。
占い詐欺サイトは、多額のお金を支払わせるために、占いをやめさせないためにあの手この手を使ってきます。
期待感や不安感を煽られても信じないで！
手口⑤：複数の占い師が登場する
占い詐欺では、一人の占い師だけではなく、次々と複数の占い師が出てきてメッセージのやり取りをさせられる手口が多いです。
これは、悪質な占い詐欺サイトがより多くのメッセージ送信料を騙し取るための手口です。
最初に登録した個人情報を使用して、別の占い師の名前を使って、類似の占い詐欺を次々と仕掛けていくのです。
最初の占い師から「順調に金運が上がってきています。」などと、あたかも効果が出ているようなメッセージが送られてきて、満足をしてしまった被害者が、別の名前の占い師に引っかかってしまうのです。
占い師から、別の権威ある占い師を紹介されることもあります。
- 「たまたま特級鑑定士の資格をもつ占い師のスケジュールが空いた」
- 「鑑定を受けた全員に宝くじの高額当選をさせた鑑定士が１週間だけ日本にいる」
などと言って、別の占い師を紹介します。
もっとも、悪質な占い詐欺サイトは、詐欺ですので、実際に複数の占い師がいるのではなく、運営会社が複数の占い師キャラを使い分けているのです。
複数の占い師・鑑定士が登場することも占い詐欺サイトの典型的な手口です。
複数のキャラを使い分けて、少しでも多くのお金を騙し取ろうとしています。惑わされないで！
手口⑥：実際には占い師は存在せず、コピペメールを送っている
占い詐欺では、実際に高名な占い師など存在せず、また一人一人に対する占いはしておらず、運営会社が名前等だけを変えたほとんどコピペのメールを送るという手口を使っています。
実際に、高名な占い師であれば、しっかりと調査をすればその情報が出てくることが多いですが、占い詐欺で登場する占い師の情報は出てきません。そもそも、存在しないからです。
占い詐欺サイトで、占い師として使われている名前は偽名です。
占い詐欺サイトで、占い師として使われている写真も、フリー素材の写真や俳優さんなどの顔写真を加工しているものが使われていることがあります。
また、占い詐欺サイトでの複数の被害者に送られてきたメールの内容がほとんど同じような内容であり、実際には占いをしていません。
令和４年の判例においても、鑑定士は存在しないとして詐欺に該当する判断したものがあります。
被告会社には、原告をして、実在しない鑑定師があたかも実在すると欺罔し、錯誤に陥らせて、原告に上記ポイントを購入・費消させた不法行為が成立する。
岡山簡裁令和４年５月３１日判決より引用
実際には占い師や鑑定士はいません！
メールを送っているのはサクラのバイトの人で、占い師でもなんでもありません。信じないで！
「あなたは特別な強運の持ち主です」とか言いながら、同じメールをみんなに送ってます。
占い詐欺被害が増加中！手口を知って自己防衛しよう
占い詐欺は、割と昔からある詐欺の手法ですが、コロナにより急増し、被害が拡大しています。
占い詐欺の被害にあわないように、他人事と思わずに、その手口について学ぶなどの自衛が重要です。
国民生活センターへの相談件数は、２０１９年以前は、年間約１５００件程度でしたが、２０２０年は２１３１件、２０２１年度は２３９０件、２０２２年は２４００件ペースです。
国民生活センターの相談事例において、１００万円以上の高額請求がされているケースは４割程度あるとのことです。グラディアトル法律事務所への相談事例でも数約万円の高額請求をされている事例もあります。
本記事で紹介した占い詐欺の６つの手口を理解して、占い詐欺に騙されないようにしましょう。
- 占い詐欺に騙されているかも？
- 占いサイトに使ったお金を返金してほしい
などの相談があれば、グラディアトル法律事務所では、弁護士による無料相談を実施していますので、お気軽にご相談ください。
また、占い詐欺サイトの被害金の返金方法等についての詳細は、以下の記事をご参照ください。
