仮想通貨(暗号資産)詐欺の返金方法を弁護士が解説【2021年最新版】

近年,仮想通貨(暗号資産)についての詐欺被害,消費者被害が急増しています。

ビットコイン(Bitcoin)、イーサリアム(Ethereum)やリップル(XRP、ripple)などの仮想通貨(暗号資産)が急激に値上がりし,市場規模が拡大することにより,仮想通貨(暗号資産)やその投資への世間の関心が高まってきています。

ビットコイン(Bitcoin)をはじめとする仮想通貨(暗号資産)価格が大きく上昇し、上昇前から保有していた人が多額の儲けを出し、「億り人」と呼ばれる仮想通貨(暗号資産)によって資産1億円以上を達成した人も数多く出現し、世間を騒がせました。

2021年には、ビットコイン(Bitcoin)の価格が700万円を超えるなど、仮想通貨(暗号資産)市場は引き続き盛り上がりをみせています。

これに付随するように,詐欺業者の仮想通貨(暗号資産)の世界への参入も増えてきています。
既に、仮想通貨(暗号資産)の取引所経営者が詐欺罪で逮捕される事件や,仮想通貨(暗号資産)の販売業者が消費者庁から特定商取引法違反により業務停止命令をうける事件などが起こっております。

・絶対に儲かる
・ICO(Initial Coin Offering)が確実である
・元本保証があるから安心だ
・友人を紹介すれば紹介報酬を得られる


などと,甘い言葉に騙されて投資した結果,「投資したお金が返ってこない。」「相手と連絡が取れなくなった。」というような被害が増えてきております。

2021年6月3日、国民生活センターは、情報商材や暗号資産(仮想通貨)のトラブルが、10~20歳代の若者に増えているとして注意喚起をしました。

国民生活センター「情報商材や暗号資産(仮想通貨)のトラブル」より引用

本記事では、仮想通貨(暗号資産)について簡単に解説をしつつ、仮想通貨(暗号資産)詐欺の手口、返金方法、仮想通貨(暗号資産)詐欺の逮捕事例等について、解説をしていきます。

なお、仮想通貨(暗号資産)と並んで、増えてきているという情報商材詐欺の返金方法等については、以下の記事をご参照ください。

仮想通貨(暗号資産)とは?

一般に仮想通貨(暗号資産)とは、不特定の相手と物品の購入などができる財産的価値であり、法定通貨のような国家による信用の裏付け、強制通用力を持たないものをいいます。

現在では、改正資金決済法において、仮想通貨は暗号資産として定義がされています。

第二条 この法律において「暗号資産」とは、次に掲げるものをいう。ただし、金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第三項に規定する電子記録移転権利を表示するものを除く。
一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

資金決済に関する法律

仮想通貨(暗号資産)は、お金と同じように不特定の人との間で売買や債務の弁済に使用できるが、国による裏付けのない通貨です。

ブロックチェーンと呼ばれる技術に裏付けされており、ネットワークに接続された複数のコンピュータにより電子データが共有されることにより、改ざんが極めて困難であり、透明性や信用性の高いものとなっております。

法定通貨は、コインや紙に、国家が信用を与えることにより、他のものと交換できるなどの価値が与えられていますが、仮想通貨(暗号資産)では、信用を与える国家のような通貨の価値をコントロールする存在がおらず、国家に依存しない通貨であるという特徴もあります。

ブロックチェーンの技術や仮想通貨(暗号資産)の技術については、世界的に注目を集めており、各国政府や大企業も注目をし、独自の通貨の開発も始まっています。

このように、仮想通貨(暗号資産)自体は、非常に優れた技術であり、未来の発展にも期待がされている分野です。

しかし、現在では、仮想通貨(暗号資産)を利用した詐欺が横行しているのも現実です。

仮想通貨(暗号資産)詐欺の手口

仮想通貨(暗号資産)詐欺の手口としては、「確実に儲かる」「毎月配当が受け取れる」などと利益がでると断定的に言われ、お金やビットコインなどを預けたものの、実際には利益が出ない、配当がなされないなどの手口が多いです。

ビットコインやビットコイン以外のアルトコイン、草コインと呼ばれるマイナーなコインへの投資を持ちかけ、「私にお金を預けてくれれば仮想通貨に投資をして必ず利益を出す」などと申し向ける手口があります。この手口は、出会い系サイトやマッチングアプリで出会った人から持ちかけられることが多いです。

また、ICO(イニシャル・コイン・オファリング Initial Coin offering )と呼ばれる仮想通貨(暗号資産)のトークンを新規発行にすることよる資金調達方法を利用した手口も多いです。「まだ一般には知られていないコインだが、大物政治家や芸能人なども注目していて、取引所への上場は確実で、上場したら値段が10倍以上になる」などと申し向ける手口です。しかし、実際には、上場がなされず、または上場がされたとしても価格がほとんど上がらない、価格が上がったとしても出金(現金化)ができないなどの問題が生じています。

また、仮想通貨(暗号資産)で確実に稼ぐ方法などの情報商材を販売し、バックエンドの商品として仮想通貨の自動売買ツールを売りつけるという手口もあります。

仮想通貨(暗号資産)詐欺の返金方法

仮想通貨(暗号資産)詐欺の被害にあってしまった場合の返金請求の法的根拠としては、どのようなものがあるでしょうか?

ビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)が物であると考えると、仮想通貨(暗号資産)の所有権に基づく返還請求権というものも考えられそうです。

しかし、現状では、東京地裁の裁判例でビットコインが所有権の客体とならないと判断しており、この方法は否定される可能性が高いです。

ビットコインは,「デジタル通貨(デジタル技術により創られたオルタナティヴ通貨)」あるいは「暗号学的通貨」であるとされており(甲7),本件取引所の利用規約においても,「インターネット上のコモディティ」とされていること(甲1),その仕組みや技術は専らインターネット上のネットワークを利用したものであること(甲7,乙1)からすると,ビットコインには空間の一部を占めるものという有体性がないことは明らかである。

省略

上記で検討したところによれば,ビットコインが所有権の客体となるために必要な有体性及び排他的支配可能性を有するとは認められない。したがって,ビットコインは物権である所有権の客体とはならないというべきである。

東京地判平成27年8月5日

仮想通貨(暗号資産)詐欺の返金の法的根拠としては、不法行為に基づく損害賠償請求が考えられます。

仮想通貨(暗号資産)についての投資を持ちかける行為などが、詐欺に該当する場合や、前述した資金決済法に違反するような場合には、投資勧誘行為自体が不法行為に該当すると考えられるからです。

また、仮想通貨(暗号資産)の投資に関する契約などの債務不履行に基づく損害賠償請求という根拠も考えられます。

(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

民法

上記の法的根拠に基づき、損害賠償請求をして、仮想通貨(暗号資産)詐欺の返金を求めるのがよいでしょう。

仮想通貨(暗号資産)については、複雑な知識を必要とすることも多いので、弁護士に依頼をして返金請求をしていくのが良いかと思います。

仮想通貨(暗号資産)詐欺の逮捕事例

仮想通貨(暗号資産)詐欺は、詐欺罪や資金決済法違反で逮捕されることがあります。

加害者である仮想通貨(暗号資産)詐欺師が逮捕されれば、示談交渉の過程で被害金の返金を受けることができる可能性があります。

ここでは、仮想通貨(暗号資産)詐欺の逮捕事例を見てみましょう。

仮想通貨の投資持ち掛け944万円詐取 容疑で男逮捕

仮想通貨の投資名目で現金とビットコイン計944万円をだまし取ったとして、京都府警下鴨署は20日、詐欺の疑いで、京都市南区の会社員の男(30)を逮捕した。

逮捕容疑は2018年5~9月、左京区の不動産会社社長の男性(35)に対し「仮想通貨を扱う会社が上場する話がある。上場前に仮想通貨を買えば絶対にもうかる」とうそを言い、現金726万円とビットコイン218万円相当を5回にわたって口座などに送金させて詐取した疑い。

下鴨署によると、男は投資家を装って男性と知り合い、「5~10倍の高配当が得られる」などと架空の投資話を持ち掛けていた。「受け取った金は残っていない。詐欺に問われても仕方がない」と容疑を認めているという。

京都新聞2020,10,20 https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/385925

この件では、仮想通貨を扱う会社が上場するので、今投資をすれば絶対に儲かる、高配当が得られると断定的な判断を提供するも、実際にはそのような話はなく、詐欺罪で逮捕されています。

資金決済法違反容疑 男3人逮捕

当時の「仮想通貨交換業」の登録を受けていないのに、3年前、知人男性に仮想通貨(暗号資産)の「リップル」を販売したとして、男3人が今日、県警に資金決済法違反の疑いで逮捕されました。

逮捕されたのは、大阪市の会社役員、〇〇容疑者30歳と、西宮市の配送業、〇〇容疑者31歳、それに有田川町の会社員、〇〇容疑者30歳の3人です。警察の調べによりますと3人は、内閣総理大臣による当時の「仮想通貨交換業」の登録を受けていないにもかかわらず、平成30年6月25日頃、共謀の上、和歌山市内のホテルで同世代の知人男性に、仮想通貨(暗号資産)である「リップル」の代金として現金100万円を支払わせ、この年の7月16日頃、男性にリップルを引き渡して販売したとして、資金決済法違反の疑いが持たれています。

当時3人は、大阪府の投資関係会社の代表取締役や取締役でした。購入した男性が、去年の秋頃に警察に相談して発覚したもので、警察の調べに対し〇〇容疑者と〇〇容疑者は容疑を認めていますが、〇〇容疑者は「業務として販売していたわけではない」などと容疑を否認しているということです。県内では他にも「リップル」に関する同様の相談が寄せられていて、警察では3人に余罪がないかなど調べています。

WTVニュース 2021,5,26 https://www.tv-wakayama.co.jp/news/detail.php?id=63988

この件では、資金決済法違反で逮捕されています。

仮想通貨(暗号資産)の販売等を行う事業者は、資金決済法上の登録をしなければならないにもかかわらず、この登録をせずに仮想通貨(暗号資産)の販売を行なったとして、逮捕されています。

仮想通貨(暗号資産)詐欺についてのまとめ

ここ最近、仮想通貨(暗号資産)業界は非常に盛り上がりを見せており、将来の技術発展や社会への貢献が期待される技術です。

しかし、仮想通貨(暗号資産)の盛り上がりに付け込む悪い輩も後を絶ちません。

正しい知識をつけて、誰でも、簡単、確実に稼げる話、甘い話なんて無いのだと頭と心に刻んで、騙されないようにご注意ください。

仮想通貨(暗号資産)の詐欺被害や消費者被害にあったかも!?と
心当たりのある方は,弁護士による無料相談をおすすめします。

Bio

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。
東京弁護士会所属(登録番号:50133)
男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。