荒らしの違法性!YouTubeコメント、5ch・ホスラブ・爆サイなどの掲示板の荒らし犯人を特定する方法

今や誰もが見ているYouTube。

視聴者数が格段に上昇したのと引き換えに、動画や配信の楽しい視聴を邪魔する、いわゆる「荒らし」も増えてきました。

5ちゃんねる、ホスラブ、爆サイなどの掲示板でも「荒らし」が横行しています。

今回は、こうした動画や配信の悩みのタネである荒らしに対して法的措置は取れるのか、弁護士が解説していきます。

「荒らし」とは?

「荒らし」とは、物事の順列を無作為に乱し奪うことを指す言葉で、インターネット上では、無関係な投稿を繰り返すなど、運営者や閲覧者に不快感を与え、通常の利用を妨害する行為をいいます。

英語では、Troll、Trollingなどと表現されています。

広い意味で捉えるならば、インターネットの利用において、マナーを守らず、当該ウェブサイトやコンテンツの作成者や閲覧者を不快にさせたり、作成の継続やユーザーによる閲覧を困難にさせたりするような投稿をすることなどをいいます。

これはYouTubeに限定されたものではなく、例えば、掲示板においてそのスレッドやレスに全く関係のない内容の投稿を繰り返し行う者や、ブログにブログの作成者に関する根も葉もない事実を繰り返しコメント欄に投稿する者など、その態様は多種多様です。

元々は、2ちゃんねる・5ちゃんねる、ホスラブ、爆サイなどの匿名掲示板において荒らしが行われることが多かったが、最近では、YouTubeコメントやツイキャスのコメントなどでも荒らしの被害が増えてきています

YouTubeコメントの荒らし・誹謗中傷

YouTubeとは?

YouTubeは、世界最大級の動画共有サイトです。

本記事執筆現在、YouTubeのアクティブユーザー数は20億人を超えていると言われています。こうしたユーザー数の拡大と同時に、YouTubeで配信をする人も増加し、今ではYouTuberと呼ばれる配信活動・動画投稿を定期的に行う人達がTV出演や企業の広告を行うなど世間的に知名度を得てきました。

YouTubeには、投稿された動画にユーザーがコメントをつける機能が搭載されています。

また、動画投稿だけでなく、YouTubeにおける配信について、その配信をリアルタイムで見ている視聴者が配信自体にコメントをつけることもできます。一般的に、YouTubeのコメント機能と言えば、上記動画・配信両方を含めて指すことになります。

YouTubeコメントにおける荒らしとは?

前述のように、「荒らし」とは、物事の順列を無作為に乱し奪うことを指す言葉で、インターネット上では、無関係な投稿を繰り返すなど、運営者や閲覧者に不快感を与え、通常の利用を妨害する行為です。

YouTubeのコメント欄においても、YouTube動画の内容とは無関係なコメントを繰り返したり、YouTuberや特定の個人を誹謗中傷するようなコメントがなされることがあり、これらは荒らし行為といえるでしょう。

「荒らし」について、法的観点からすると、大きく2つの種類に分けられます。

①いわゆる「誹謗中傷」にあたる等その投稿自体で法的措置が取れる荒らしと、②そうでない荒らしの2つです。

本記事では、②の個別のコメント投稿それ自体が誹謗中傷等に当たらない荒らしについて焦点を当てて解説をしていきますが、ここで、簡単に、①の誹謗中傷についても解説をします。

誹謗中傷とは、実は法的な用語ではありません。一般的意味としては、SNS等の投稿のうち、その対象となった人の権利が侵害されていると言えるほどに程度の酷いものを言います。

法的に整理するならば、誹謗中傷と呼ばれるものの多くは、名誉権が侵害される名誉毀損にあたるかどうか問題となる投稿です。こうした投稿については、名誉毀損に該当するならば、後述する発信者情報開示請求によって、その投稿1個をもって法的措置を取ることが出来ます。

また、そのコメント等の投稿が名誉毀損にあたらなくとも、例えば芸能人のブログに本名や住所を載せるものや、掲示板に無断で本人の写真を載せるものについては、前者はプライバシー権、後者は肖像権侵害として、権利を侵害する投稿にあたり、発信者情報開示の対象となる可能性が高いです。

どのような投稿が誹謗中傷等として権利侵害にあたるかについて、詳細は以下の記事に記載がありますので、ぜひそちらも御覧ください。

【名誉毀損判例】ネット上での誹謗中傷が名誉毀損にあたるとされた裁判例まとめ

 

荒らし・誹謗中傷コメント犯人特定・発信者情報開示請求の方法

ここからは、荒らしや誹謗中傷コメントの犯人特定にあたって取られる「発信者情報開示請求」が具体的にどんなものなのかについて説明します。

発信者情報開示請求とは、一般に、裁判所を通して、権利を侵害する投稿をした犯人を特定する方法のことを言います。執筆当時の法制度では、発信者情報開示請求は、大きく2段階に分けられます。IPアドレス等開示の仮処分手続と、発信者情報開示訴訟・裁判です。

IPアドレス等開示の仮処分手続

まず、掲示板やYouTubeといったサイトの管理会社に対して、裁判所を通じて、IPアドレス等の開示の仮処分手続を行います。この手続によって、主にIPアドレスという当該投稿者が使っていた通信事業者(NTTドコモ等)を特定するために必要な情報の開示を求めていきます。

この手続においては、裁判所及び相手方となる管理会社に対して、今回の誹謗中傷等にあたる投稿について、当該投稿がいかにして誹謗中傷等の権利侵害にあたるかを中心に主張をしていくことになります。

権利侵害にあたること等が裁判所から認められると、裁判所からIPアドレス等の情報を開示せよという命令が管理会社に対して出されます。開示された情報を基に、当該投稿者が投稿するにあたって使っていた通信事業者を特定し、次のステップに進みます。

発信者情報開示訴訟・裁判

仮処分等により開示されたIPアドレスなどから通信事業者(経由プロバイダ)を特定したら、通信事業者に対して契約者情報についての発信者情報開示請求訴訟をしていきます。

正確には、訴訟の前に会社に対して直接開示を求める手続が存在しますが、この開示請求においては通信事業者が発信者自身に開示に同意するか否かを確認するため、開示されない可能性が高いです。したがって、発信者情報開示の多くは、発信者情報開示請求訴訟といって次の段階の裁判所の手続を踏まざるを得ないことになります。

この手続きにおいても、IPアドレス等開示の仮処分手続と同様に、今回の誹謗中傷等にあたる投稿について、当該投稿がいかにして誹謗中傷等の権利侵害にあたるかを中心に主張をしていきます。

無事に主張が裁判所に認められ、裁判所から「開示せよ」という判決が出た場合には、通信事業者から当該投稿をした者の契約者情報、すなわち当該投稿者の名前、住所、電話番号等の個人情報が開示されます

こうして犯人が特定された場合には、開示された個人情報を用いて、和解交渉をしたり、さらに損害賠償請求の訴訟をしたりすることなどが考えられます。どの手段がベストかはケースバイケースになります。

荒らしの違法性と裁判例

インターネット上の荒らし行為について、YouTubeコメントや5ch・ホスラブ・爆サイなどの投稿内容それ自体が誹謗中傷や権利侵害性が認められるようなものであれば、前述の発信者情報開示請求の手続きにおいて、犯人の特定ができる可能性があります。

では、コメントや投稿の内容自体に権利侵害性が認められないような荒らし行為の場合、違法性はあるのでしょうか?

また、発信者情報開示請求により犯人が特定できるのでしょうか?

ここでは、投稿それ自体では、名誉権やプライバシー権等の権利侵害にあたらないものであっても、開示が認められた「荒らし」の判例(東京地裁判決平30年9月18日及び控訴審東京高裁判決平成31年2月13日)について紹介します。

荒らし事件の概要

本件における「荒らし」は、ネット上の電子掲示板(ガールズちゃんねる)において、約230件にものぼる数のゴキブリの画像を繰り返し投稿したというものです。

荒らしの違法性

上記荒らしの行為に対しては、掲示板運営会社が当該掲示板内を常にモニタリングしてゴキブリの画像を見つけ、削除するという対応を強いられました。それだけでなく、掲示板運営者が投稿者に対する大規模通信規制を行った結果、当該掲示板のユーザーの利用にも支障を来す事態になりました。

こうした事実の経緯を踏まえ、裁判所は、掲示板運営会社が投稿者の行為に対応することで、業務の円滑な運営が妨げられたために、営業権の侵害があったとして、権利の侵害を認め、違法だと判断しました。

このことから、ゴキブリの画像のような、それ自体が掲示板運営会社にとって名誉権等の権利侵害でなくても、繰り返し投稿し続けるような「荒らし」行為にまで至った場合には、発信者情報開示請求は認められうるということになります。

 3 権利侵害の明白性について
(1) 前記第2、1(2)のとおり、氏名不詳者は、本件各投稿を行っているところ、本件各投稿の内容は、いずれも、閲覧した多くの者が不快感を覚えるであろうゴキブリの画像であり、氏名不詳者は、平成30年1月15日から同月16日にかけて約230件に及ぶ同種の投稿を、本件掲示板の多くのトピックに分散して投稿している(甲7)。この行為は、原告による本件掲示板の運営に悪影響を与えること以外に合理的な目的を見いだしがたく、氏名不詳者の原告に対する害意に基づくものと認めることができる。

(2) 前記第3、1のとおり、本件各投稿により、原告は、これを削除等するため、多大な負担を被ることとなり、また、本件掲示板の閲覧者において、不快感を覚えた結果、本件掲示板を以後閲覧しなくなった者の存在も推認されるなど、原告の本件掲示板の運営が侵害されたと認めることができる。

(3) したがって、原告は、本件各投稿により、本件掲示板の運営による営業権という法律上の権利、利益を侵害されたといえる。また、本件各投稿の内容、態様及び本件に現れた事情からすれば、不法行為の成立を阻却する事由の存在をうかがわせる事情もない。

東京地判平30年9月18日より

YouTubeコメント・配信の荒らし犯人は特定できるか?

では、上記ゴキブリの荒らしの判例を参考に、YouTubeなど動画・配信の荒らしコメントに対して発信者情報開示請求はできるのか、説明します。

まず、前述したように、コメントの内容それ自体が誹謗中傷など、権利侵害性が認められるようなものであれば、発信者情報開示請求により犯人が特定できる可能性があります。

では、YouTubeコメントそれ自体では誹謗中傷等の権利侵害に当たらないものについて、犯人特定ができるのでしょうか?

誹謗中傷等の権利侵害に当たらないものについては、コメントそれ1個自体で発信者情報開示請求を認めさせることはできません。

もっとも、上記ゴキブリの荒らしの判例を参考にすると、動画投稿者や配信者が、掲示板運営者と同様の立場にあり、かつ、繰り返される荒らしのコメントによって動画投稿者ないし配信者の円滑な業務が妨げられたと認められれば、その荒らしの投稿者の開示が認められる可能性はあるといえるでしょう。

具体的には、YouTuber等の動画投稿者や配信者がその活動について利益を得ていること、YouTuber等の動画投稿者や配信者が当該投稿について削除権限を有していること、YouTuberらの動画投稿や配信にあたって荒らしに対応せざるを得なくなっていること、この荒らしによって視聴者が減少しているなどの事情があると、認められる可能性があるでしょう。

YouTubeコメント「荒らし」犯人の特定・発信者情報開示請求まとめ

この記事では、YouTubeコメントの「荒らし」や誹謗中傷犯人の特定・発信者情報開示請求について、そのコメントが誹謗中傷等の権利侵害にあたったり、そのコメントが動画投稿者や配信者の業務を妨害していると認められたりするときには、開示請求が認められうるということを解説しました。

もっとも、開示請求可能性についての具体的な判断については、法的に専門知識が要求されるところです。開示請求をして犯人特定し、平和な動画投稿や配信活動を取り戻したいとお考えの方は、一度弁護士に相談することをオススメ致します。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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