YouTubeの肖像権侵害|被害者・投稿者の双方が知るべき知識と対処法

YouTubeの肖像権侵害|被害者・投稿者の双方が知るべき知識と対処法

YouTubeに自分の顔や姿が無断で映った動画が投稿され、「勝手に撮影された」「晒されている」「消してもらえない」と悩んでいませんか。

YouTubeでは、路上での撮影やライブ配信、検証動画などをきっかけに、肖像権侵害のトラブルが多く発生しています。

肖像権は、法律に明文規定があるわけではありませんが、判例によって確立された重要な人格権であり、YouTube動画であっても侵害が認められれば、削除請求や損害賠償請求が可能です。一方で、「公共の場所だから問題ない」「映り込みだからセーフ」と誤解したまま投稿し、加害者側が思わぬ法的リスクを負うケースも少なくありません。

本記事では、

・YouTubeで問題となる肖像権の基礎知識
・どのような場合に肖像権侵害が成立するのか
・被害者が動画を削除させる具体的な方法と慰謝料相場
・投稿者・YouTuberが負うリスクとトラブル回避策

について、被害者・投稿者の両方の視点から、弁護士がわかりやすく解説します。

YouTubeでの肖像権トラブルに直面している方、これから動画投稿を行う方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

YouTubeで問題となる「肖像権」とは?基礎知識を解説
【第1部:共通知識】YouTubeの肖像権侵害を理解する

YouTubeでは、日常風景の撮影やライブ配信、検証動画などをきっかけに、意図せず第三者の顔や姿が映り込むケースが多くあります。しかし、その映像が本人の意思に反して公開されると、肖像権侵害として法的トラブルに発展する可能性があります。

まずは、YouTubeにおける肖像権トラブルを正しく理解するために、肖像権の基本的な考え方と、混同されやすい権利との違いを整理していきましょう。

YouTubeで問題となる「肖像権」とは?基礎知識を解説
【第1部:共通知識】YouTubeの肖像権侵害を理解する

肖像権の定義(判例により認められた権利)

肖像権とは、自分の顔や姿を無断で撮影・公表されない権利をいいます。

日本の法律には「肖像権」という言葉の明文規定はありませんが、裁判例の積み重ねにより人格権の一内容として確立された権利です。

裁判所は、

・みだりに撮影されない自由
・撮影された画像・映像を無断で利用されない自由

を肖像権として保護しており、YouTube動画も当然その対象となります。

たとえ悪意がなくても、本人の同意なく顔がはっきり映る動画を公開すれば、肖像権侵害が成立する可能性があります。

「撮影したのは自分だから自由に使える」「公開された場所にいたのだから仕方ない」という考えは、必ずしも法的に正しいとは限りません。

プライバシー権・名誉毀損・パブリシティ権との違い

YouTubeトラブルでは、肖像権以外の権利侵害が同時に問題となることもあります。

それぞれの違いを理解しておくことが重要です。

①肖像権顔や姿を無断で撮影・公開されない権利実害や誹謗中傷がなくても成立する可能性があります
②プライバシー権私生活上の情報をみだりに公開されない権利自宅周辺、勤務先、行動履歴などが映ると問題になりやすいです
③名誉毀損社会的評価を低下させる表現がある場合に成立晒し動画、侮辱的テロップ、誤解を招く編集などが典型例です
④パブリシティ権有名人やインフルエンサーが、肖像の経済的価値を保護する権利一般人には原則として認められません。

YouTube動画では、肖像権+プライバシー権+名誉毀損が同時に問題となるケースも多く、被害が拡大しやすい点に注意が必要です。

YouTube投稿でトラブルが起きやすい理由

YouTubeで肖像権トラブルが多発する背景には、いくつかの特徴があります。

まず、撮影や配信のハードルが非常に低い点が挙げられます。

スマートフォン1台で誰でも簡単に撮影・配信ができるため、法的リスクを十分に理解しないまま動画を公開してしまう人が少なくありません。

次に、動画の拡散力が非常に高いという問題があります。

一度投稿された動画は、短時間で大量に視聴・保存・二次拡散され、削除しても完全に回収できない事態になりがちです。

さらに、「映り込みだから問題ない」「公共の場所で撮ったから大丈夫」「顔が一瞬だからセーフ」といった誤った認識が広く浸透していることも、トラブルを助長しています。

YouTubeでは、軽い気持ちで投稿した動画が、肖像権侵害として削除請求や損害賠償請求に発展するリスクが常にあることを理解しておく必要があります。

YouTubeで発生しやすい肖像権トラブルの具体例

YouTubeの肖像権トラブルは、「悪意のある晒し動画」だけでなく、日常的な撮影や配信の中で無意識に起こるケースも多く見られます。以下では、実際に相談が多い代表的なトラブル例を紹介します。

路上での無断撮影・映り込み

街中でのVlogや検証動画、ナンパ企画などでは、通行人の顔がはっきり映り込むケースが頻発します。

投稿者側は、「公共の場所での撮影だから問題ない」「通行人の映り込みは仕方ない」と考えがちですが、特定の人物が認識できる状態で映っていれば、肖像権侵害が成立する可能性があります。

特に、

・カメラが人物を追っている
・テロップやズームで強調している
・ネガティブな文脈で使用している

といった場合は、単なる映り込みとは評価されにくくなります。

学校・店舗・イベントでの撮影

学校や店舗、イベント会場で撮影された動画も、肖像権トラブルが多い分野です。

たとえば、

・学校行事で生徒の顔が無断で映る
・飲食店で客や店員の顔が映り込む
・イベント参加者の様子を許可なく公開する

といったケースでは、撮影場所が私的・管理された空間であることから、肖像権侵害が認められやすくなります。

「入店=撮影に同意した」「会場にいたのだから問題ない」というわけではなく、個々人の同意がない限り、無断公開はリスクを伴う点に注意が必要です。

子どもや従業員の映り込み

子どもが映る動画は、特に慎重な配慮が求められます。

子ども本人だけでなく、保護者の同意が必要となる場合もあり、無断公開は強く問題視される傾向があります。学校、保育園、公園などでの撮影は、トラブルに発展しやすい典型例です。

また、店舗スタッフやアルバイト、会社の従業員が業務中に映る場合も、「仕事中だから問題ない」とは限りません。

肖像の利用範囲を超えた公開として、肖像権侵害が認められる可能性があります。

晒し動画・攻撃的な編集

近年増えているのが、晒し系・炎上狙いの動画です。

たとえば、

・クレーム対応を受けた店員を晒す
・トラブル相手を名指しで批判する
・顔をアップにして嘲笑する

といった動画は、肖像権侵害に加え、名誉毀損や侮辱行為としても問題になる可能性があります。

特に、侮辱的なテロップや悪意のある切り取り、誤解を招く編集がある場合、慰謝料が増額される要因となることもあります。

ライブ配信での意図せぬ映り込み

YouTubeのライブ配信では、事前に編集ができないため、意図せず第三者が映り込むリスクが高まります。

たとえば、

・店内配信で客が映る
・路上配信で通行人が長時間映る
・自宅配信で家族が映り込む

といったケースでは、本人の意思に反してリアルタイムで公開されてしまう点が問題です。

「生配信だから仕方ない」という事情は、法的には免責理由にならないことが多く、配信者側にはより一層の注意が求められます。

【第2部:被害者向け】YouTubeで肖像権侵害された場合の対処
YouTubeで肖像権侵害が成立する判断基準

YouTube動画に自分の顔や姿が映っているからといって、すべてが直ちに肖像権侵害になるわけではありません。実際の判断では、複数の要素を総合的に考慮して、違法性の有無が判断されます。以下では、YouTubeで肖像権侵害が成立するかどうかを見極めるための、代表的な判断基準を紹介します。

【第2部:被害者向け】YouTubeで肖像権侵害された場合の対処
YouTubeで肖像権侵害が成立する判断基準

本人が特定できるか

肖像権侵害の判断でもっとも重要なのが、動画から特定の人物であると認識できるかどうかです。

たとえば、

・顔がはっきり映っている
・声や服装、体型などから本人とわかる
・名前やSNSアカウントが表示されている

といった場合は、本人特定性があると評価されやすくなります。

一方で、

・顔が完全にモザイク処理されている
・後ろ姿や遠景で誰かわからない

といった場合には、肖像権侵害が否定される可能性があります。

ただし、知人や関係者から容易に特定できる場合は、侵害が認められることもあるため注意が必要です。

動画のメインが対象者であるか

次に重要なのが、動画の中で対象者がどのような位置付けで扱われているかです。

動画の主目的が、

・特定の人物を映すこと
・その人物の言動を批評・評価すること

にある場合、単なる映り込みではなく、肖像の利用と判断されやすくなります。

反対に、

・背景として一瞬映っただけ
・主題とは無関係に偶然映った

程度であれば、違法性が否定される可能性もあります。

もっとも、ズーム・繰り返し表示・テロップ強調などがあると、メイン性が高いと判断されやすくなります。

撮影場所に公共性があるか

撮影場所が、道路や公園などの公共空間、不特定多数が立ち入れる場所であるかどうかも、判断要素の一つです。

公共の場所で撮影された動画は、私的空間での撮影より違法性が低く評価される傾向があります。

しかし、公共の場所であっても、肖像権が完全に否定されるわけではありません。

たとえば、

・特定人物を意図的に撮影している
・私生活の一場面を執拗に追っている

といった場合には、公共空間であっても肖像権侵害が認められる可能性があります。

対象者の許可を得ているか

撮影や公開について、

・事前に明確な同意を得ている
・利用目的・公開範囲を説明して了承されている

場合には、原則として肖像権侵害は成立しません。

一方で、

・撮影の同意はあるが公開の同意はない
・別の目的で撮影した映像を転用している

といったケースでは、同意の範囲を超えた利用として違法になる可能性があります。

特に、YouTubeのように不特定多数が閲覧でき、半永久的に残る媒体では、同意の有無が厳格に判断される傾向があります。

著作権侵害にあたるYouTube動画を削除させるための3つの方法

YouTubeで肖像権を侵害する動画を見つけた場合、放置すると拡散や二次被害が広がるおそれがあります。できるだけ早く、適切な手段で削除対応を進めることが重要です。以下では、被害者がとることのできる代表的な3つの削除方法を説明します。

投稿者への削除依頼

最初に検討すべきなのが、動画の投稿者に直接削除を依頼する方法です。

YouTubeのコメント欄やSNS、メールなどを通じて、無断で撮影・公開されていること

や肖像権侵害に該当する可能性があること、削除または非公開を求めていることを、冷静かつ具体的に伝えることがポイントです。

投稿者に悪意がない場合であれば、削除依頼に応じてもらえるケースも少なくありません。

ただし、感情的な言い回しや脅迫的な表現は、逆にトラブルを悪化させる原因となるため注意が必要です。

YouTubeへのプライバシー侵害の申立て

投稿者が削除に応じない場合や、連絡が取れない場合には、YouTubeの公式手続を利用します。

YouTubeでは、肖像権侵害を含むプライバシー侵害の申立て制度が用意されており、自分の顔や姿が映っていることや無断で公開されていることを申告することで、YouTube側に審査を求めることができます。

申立てが認められた場合、

・動画の削除

・一部非公開

・モザイク処理の指示

などの対応が取られることがあります。

ただし、申立てには、本人確認資料の提出や侵害箇所の具体的な説明が必要となるため、正確な対応が求められます。

裁判所に削除仮処分の申立て

緊急性が高い場合やYouTube側の対応でも解決しない場合には、裁判所を利用する方法があります。

削除仮処分とは、正式な裁判を起こす前に、動画の削除や公開停止を命じてもらう手続です。特に、晒し動画で名誉が著しく侵害されている、二次拡散が止まらない、仕事や生活に重大な支障が出ているといったケースでは、早期の仮処分が有効となることがあります。

もっとも、法的手続には専門的な判断が必要となるため、弁護士に相談した上で進めることが望ましいといえるでしょう。

YouTubeで肖像権侵害が認められるとどうなる?損害賠償請求における慰謝料相場

YouTubeで肖像権侵害が認められた場合、動画の削除だけでなく、慰謝料の請求が可能となることがあります。以下では、慰謝料の相場や増額要素などについて説明します。

肖像権侵害で認められる慰謝料の目安|数万円~数十万円程度

肖像権侵害における慰謝料は、精神的苦痛に対する賠償として認められるものです。

金額は一律ではなく、以下のような事情を総合的に考慮して判断されます。

・顔や姿がどの程度はっきり映っているか
・動画の公開期間や再生回数
・公開された文脈(中立的か、侮辱的か)
・被害者の社会的立場(一般人か、一定の知名度があるか)

一般的な目安としては、

数万円〜数十万円程度にとどまるケースが多い一方で、内容が悪質な場合には100万円前後の慰謝料が認められることもあります。

ただし、「映っただけ」で高額な慰謝料が必ず認められるわけではなく、個別具体的な事情が非常に重視される点に注意が必要です。

二次拡散・侮辱編集などがある場合の増額要素

以下のような事情がある場合、慰謝料が増額される方向で判断されやすくなります。

・晒し目的で投稿されている
・侮辱的・嘲笑的なテロップや編集がある
・虚偽の説明や誤解を招く演出がされている
・動画が削除されず、長期間公開されていた
・SNSやまとめサイトで二次拡散されている

特にYouTubeは、拡散力が高く、一度拡散されると完全な回収が困難である点が、被害の重大性として評価されやすい傾向があります。

また、投稿者が削除要請を無視したり、開き直った対応を取った場合には、悪質性が高いとして責任が重く評価される可能性もあります。

【第3部:加害者向け】YouTubeで肖像権侵害をしてしまった場合のリスクと対応
YouTube投稿者が知っておくべき肖像権の注意点

YouTubeで動画を投稿する側にとって、肖像権は知らなかったでは済まされない重要な法的リスクです。特に、映り込みや公共の場での撮影については、誤った理解が広まっており、トラブルの原因になっています。以下では、投稿者・YouTuberが必ず押さえておくべき肖像権の注意点を解説します。

【第3部:加害者向け】YouTubeで肖像権侵害をしてしまった場合のリスクと対応
YouTube投稿者が知っておくべき肖像権の注意点

「映り込みはOK」は誤解

「通行人が少し映っただけだから問題ない」と考える方は多いですが、映り込み=必ず合法というわけではありません。

たとえば、

・顔がはっきり確認できる
・特定の人物が何度も映る
・カメラが意図的に向けられている

といった場合は、単なる偶然の映り込みとは評価されにくくなります。

特に、編集でズームしたり、繰り返し映したりすると、映り込みではなく「利用」と判断される可能性が高まります。

公共空間の撮影でも違法になる可能性がある

道路や公園などの公共の場所で撮影した動画でも、肖像権侵害が成立する可能性は十分にあります。

公共空間では、ある程度の撮影が許容される傾向はありますが、

・特定の人物を狙って撮影している
・私生活の一場面を執拗に追っている
・不快感や羞恥心を与える形で公開している

といった場合には、違法性が認められやすくなります。

「外にいたのだから仕方ない」という理屈は、法的な免責理由にはなりません

子ども・一般人を不用意に撮影するリスク

子どもや一般人を撮影する場合は、特に慎重な対応が求められます。

子どもの場合、本人だけでなく保護者の同意が問題になる、将来にわたる影響が重視されるといった理由から、肖像権侵害が認められやすい傾向があります。

また、一般人についても、「有名人ではないから問題ない」「一般人だから多少映っても大丈夫」という考えは誤りで、むしろ一般人のほうが保護されやすい点に注意が必要です。

トラブルになりやすい動画ジャンル(晒し系・検証系・喧嘩撮影など)

以下のような動画ジャンルは、肖像権トラブルに発展しやすい傾向があります。

・晒し系動画
・クレーム・トラブル撮影
・検証・ドッキリ企画
・口論・喧嘩の撮影
・迷惑行為を含む動画

これらの動画は、再生数を稼ぎやすい一方で、被写体の人格権を侵害しやすく、法的リスクが非常に高いジャンルです。

肖像権侵害が顕在化すると炎上や収益化停止だけでなく、損害賠償請求につながる可能性があることを、投稿前に十分理解しておく必要があります。

肖像権侵害と見なされるとどうなる?YouTuberが負う法的リスク

YouTubeで肖像権侵害と判断された場合、単に動画を消せば済む問題ではありません。投稿者やYouTuberは、削除対応だけでなく、アカウントや金銭面で重大なリスクを負う可能性があります。以下では、肖像権侵害と見なされた場合に想定される主な法的リスクを説明します。

削除・公開停止請求

肖像権侵害が疑われる場合、まず行われるのが、被害者本人からの削除要請や非公開要請です。

この段階で誠実に対応すれば、トラブルが拡大せずに解決し、法的手続に進まずに済む可能性もあります。

しかし、削除要請を無視する、開き直った態度を取る、コメント欄で反論・挑発を行うといった対応をすると、悪質性が高いと評価されるおそれがあります。

その結果、

・YouTubeへの正式なプライバシー侵害申立て

・弁護士を通じた削除請求

・裁判所への削除仮処分申立て

へと進み、強制力のある措置を取られるリスクが高まります。

アカウント停止による収益化の剥奪

肖像権侵害は、YouTubeの利用規約・コミュニティガイドライン違反として処理されることがあります。

違反が認定されると、動画削除や警告(ストライク)の付与、一定期間の収益化停止といった措置が取られます。

さらに、警告が累積すると、

・チャンネル停止・アカウント削除

といった重大なペナルティにつながる可能性もあります。

YouTubeを収益源としている場合、過去動画の収益が一気に断たれる、事業としての継続が困難になるといった現実的な打撃を受けることも少なくありません。

損害賠償請求

肖像権侵害が成立した場合、被害者から損害賠償請求(慰謝料請求)を受ける可能性があります。

特に、晒し目的での投稿や侮辱的・攻撃的な編集、削除要請を無視しているなどの事情がある場合、慰謝料が増額される方向で判断されやすくなります。

金額自体は事案により幅がありますが、数十万円規模の請求を受けるケースは決して珍しくありません。

YouTuberが肖像権トラブルを防ぐための実務対応(加害者向け

YouTubeでの肖像権トラブルは、事前の配慮と基本的な対応を徹底することで、その多くを防ぐことが可能です。以下では、投稿者・YouTuberが実務上意識すべきポイントを、撮影の段階ごとに説明します。

撮影前に気を付けるポイント

撮影前の準備段階では、誰が映る可能性があるか、一般人や子どもが映り込まないかを事前に想定しましょう。

そして、特定の人物が映ることが想定される場合には、事前に撮影・公開の同意を得ること、撮影目的・公開範囲を明確に説明することが重要です。

また、学校・店舗・施設などで撮影する場合は、管理者や運営者の許可だけでなく、個人の同意が必要な場合があることも忘れてはいけません。

撮影中の配慮(アングル・モザイク)

撮影中は、カメラの向きや距離に細心の注意を払う必要があります。

具体的には、

・通行人の顔を正面から捉えない
・一定距離を保ち、近接撮影を避ける
・特定人物を追いかけるような撮影をしない

といった配慮が求められます。

また、映像だけでなく、声や会話内容から個人が特定できる場合も肖像権・プライバシー侵害となる可能性があるため注意が必要です。

編集でできるリスク軽減措置

編集段階は、肖像権リスクを大幅に下げられる重要な工程です。

たとえば、

・顔へのモザイク・ぼかし処理
・名前や特徴がわかる字幕の削除
・不要なシーンのカット

を行うことで、侵害リスクを抑えることができます。

特に、ズームやスロー再生、繰り返し表示といった編集は、対象者を強調する効果があるため慎重に判断する必要があります。

投稿前チェック(本人特定の有無)

動画を公開する前には、以下のポイントを踏まえた最終チェックを必ず行いましょう。

・第三者が特定できる形で映っていないか
・意図せずプライバシー情報が含まれていないか
・公開して問題のない文脈・表現になっているか

少しでも不安がある場合は、非公開にする、修正する、専門家に相談するといった判断が重要です。

「バズりそうだから」「今すぐ出したい」という理由で公開を急ぐことが、後の大きなトラブルにつながる可能性があることを意識しておきましょう。

YouTubeでの肖像権侵害を理由に苦情や削除依頼が来た場合の適切な対応

YouTubeに投稿した動画について、「肖像権を侵害している」「無断で撮影・公開されている」といった苦情や削除依頼が届いた場合、対応を誤るとトラブルが一気に深刻化するおそれがあります。以下では、投稿者・YouTuberがとるべき適切な対応を説明します。

まず確認すべきポイント(特定性・動画内容・意図)

苦情や削除依頼を受けた場合、まずは感情的にならず、事実関係を冷静に確認することが重要です。

具体的には、

・本当に本人が特定できる状態で映っているか
・動画のどの部分が問題とされているか
・編集やテロップに誤解を招く表現がないか

を確認しましょう。

この段階で、「自分に非はない」「クレームだろう」と決めつけるのは危険です。

客観的に見て侵害の可能性があるかを冷静に判断する必要があります。

肖像権侵害の可能性があるときはすぐに動画を非公開・削除する

少しでも肖像権侵害の可能性がある場合には、速やかに動画を非公開または削除する対応が望ましいといえます。

非公開・削除を行うことで、被害の拡大を防ぎ、悪質性の評価を下げるといった効果が期待できます。

「再生数が伸びているから」「収益が出ているから」という理由で対応を先延ばしにすると、

後に不利な事情として評価される可能性がある点に注意が必要です。

被害者には誠意をもって対応する

動画を非公開または削除した後は、被害者に対して誠意をもって対応することが重要です。

具体的には、無断で撮影・公開してしまったことに対する謝罪の意思を伝え、すでにどのような対応を行ったのかを簡潔に説明し、今後同様の事態を起こさないための再発防止策を示すことが、トラブルの沈静化につながる可能性があります。

一方で、削除依頼を無視したり、感情的に反論したり、コメント欄やSNSなど公開の場で被害者を批判するような対応は、問題をさらに悪化させる原因となります。このような対応を取ると、被害者側が弁護士に相談し、法的手続に踏み切る可能性が高まります。

トラブルを最小限に抑えるためにも、初期対応の段階から冷静かつ誠実な対応を心がけることが重要です。

不安があるときは早期に弁護士に相談する

動画の内容や対応方法について判断に迷う場合や相手方から「悪質な肖像権侵害である」と強く主張されている場合、高額な損害賠償請求を示唆されている場合には、早い段階で弁護士に相談することが有効です。投稿者自身の判断だけで対応を進めてしまうと、かえって事態を悪化させてしまうおそれがあります。

弁護士に相談することで、当該動画が肖像権侵害に該当する可能性があるのかを法的観点から判断してもらえるほか、削除や謝罪を含めた適切な対応方針について具体的な助言を受けることができます。また、必要に応じて、被害者とのやり取りを弁護士に任せることも可能です。

肖像権トラブルは、初動対応を誤らなければ、裁判に発展することなく穏便に解決できるケースも少なくありません。問題が大きくなる前に専門家の意見を仰ぐことで、精神的・金銭的な負担を最小限に抑えられる可能性が高まります。不安を感じた時点で、早めに弁護士へ相談することが重要です。

YouTubeでの著作権トラブルはグラディアトル法律事務所にお任せください

YouTubeでの著作権トラブルはグラディアトル法律事務所にお任せください

YouTubeでの肖像権侵害トラブルは、削除対応だけで終わらず、損害賠償請求や訴訟、アカウント停止などに発展することもあり、早期かつ適切な対応が重要です。しかし、一般の方や投稿者自身が、肖像権侵害に当たるかどうかを正確に判断し、相手方やYouTubeと適切に交渉することは容易ではありません。

グラディアトル法律事務所では、YouTubeをはじめとする動画・SNSに関する肖像権やプライバシー侵害の問題について、多数の相談・解決実績があります。被害者側の立場では、動画削除請求や仮処分、損害賠償請求まで一貫してサポートし、投稿者側の立場では、法的リスクを踏まえた対応方針の助言や、相手方との交渉対応を行っています。

肖像権トラブルは初動対応を誤ると、問題が長期化・深刻化しやすい分野です。YouTube動画を巡るトラブルでお困りの方は、一人で悩まず、早めに専門家へご相談ください。状況に応じた最適な解決策をご提案いたします。

まとめ

YouTubeでは、路上撮影やライブ配信、検証動画などをきっかけに、意図せず肖像権侵害のトラブルが発生することがあります。公共の場所で撮影した動画であっても、特定の人物がはっきり映り、本人の同意なく公開されていれば、肖像権侵害が認められる可能性があります。

被害者の立場では、投稿者への削除依頼やYouTubeへの申立て、必要に応じて法的手続を取ることが重要です。一方、投稿者・YouTuber側も、「映り込みは問題ない」と安易に考えず、撮影や編集、投稿前の確認を徹底する必要があります。

YouTubeでの肖像権トラブルは、早期対応が解決の鍵となります。被害に遭った場合も、削除依頼を受けた場合も、対応に不安があるときは、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力。数多くの夜のトラブルを解決に導いてきた経験から初の著書「歌舞伎町弁護士」を小学館より出版。 youtubeやTiktokなどでもトラブルに関する解説動画を配信している。

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