YouTubeは、誰でも気軽に動画を投稿できる魅力的なプラットフォームです。しかしその一方で、音楽・映像・画像・イラスト・文章・ゲーム画面など、あらゆる素材に著作権が存在するため、著作権侵害のトラブルが非常に起こりやすい場でもあります。特に近年は、YouTubeの利用者数が増え、動画編集が一般化したことで、クリエイター同士の著作権トラブルが急増しています。
たとえば、市販の音楽をBGMに使用した動画や、テレビ番組・映画の一部を転載した切り抜き動画、他人の動画をまとめた再編集動画などは、投稿者が「大丈夫だろう」と思っていても、著作権侵害として削除されるケースがあります。また、ゲーム実況やライブ配信のようなグレーゾーンも多く、どこからがYouTubeの著作権侵害に該当するのか判断が難しいのが実情です。
さらに、著作権侵害として通報された側には、チャンネルへの警告(いわゆる「ストライク」)が付与され、最悪の場合はアカウント停止に至ることもあります。一方で、著作権を侵害された側(著作権者)も、誤った通報をすると「虚偽申立て」として法的責任を問われる可能性があります。つまり、被害者側も加害者側も、正しい知識と慎重な対応が求められるのです。
本記事では、まずYouTubeの著作権侵害の典型例やボーダーラインを実例とともに解説し、さらに実際に起きた著作権トラブルの判例を取り上げます。そのうえで、状況に応じた適切な対処法を、以下のように、「被害者向け」と「加害者向け」に分けて詳しく説明します。
▼本記事の構成(読むべきパートがひと目でわかる)
【第4章〜第6章:著作権を侵害された「被害者側」向け】
・YouTubeで著作権侵害を通報する方法
・削除通知やContent IDの仕組み
・通報時に気を付けるべき「虚偽申立て」のリスク
【第7章〜第8章:通報や警告を受けた「加害者側」向け】
・著作権侵害の警告や動画削除が行われた後の流れ
・チャンネル停止を防ぐための異議申し立ての方法と注意点
YouTubeで著作権侵害が疑われる場面は幅広く、単なる誤解や勘違いで起こるケースも少なくありません。適切な対応をとることで、チャンネル運営を守ることも、権利侵害に適切に対処することも可能です。
YouTubeの著作権トラブルで困っている方は、ぜひ本記事を参考に、正しい知識と対処法を身につけてください。
YouTubeの著作権侵害とは?著作権侵害に該当する代表的なケース
YouTubeでは、音楽・映像・画像・文章など多くの素材に著作権があり、許可なく使うと著作権侵害にあたります。まずは、YouTubeで特に問題になりやすい典型的な著作権侵害のケースを確認しましょう。
音楽やBGMを無断で使用したケース
YouTubeでよくある著作権侵害が、市販の音楽や有名アーティストの楽曲を無断で使用するケースです。
たとえ数秒の使用でも著作権侵害となる可能性が高く、バックで小さく流しているだけでも検出されることがあります。
音楽は、JASRACやNexToneが管理していることも多く、YouTubeのContent IDが自動検出する仕組みが整備されているため、著作権侵害が発覚しやすい分野です。
関連コラム:YouTubeの音楽著作権を徹底解説|無断使用のリスクとトラブル予防法
テレビ番組や映画の映像を転載したケース
テレビ番組・ドラマ・映画・スポーツ中継などの映像を切り抜いて転載する行為は、著作権侵害の典型例です。
「短いシーンだから」「画質を落としているから」などの理由ではセーフにはなりません。
違法アップロードされた映像を再編集して投稿する行為もアウトで、YouTube側の削除対応も非常に厳しい分野です。
他人の動画を編集・まとめ動画として再投稿したケース
他人が作成した動画をダウンロードし、まとめ動画や切り抜き動画として別のチャンネルにアップロードする行為は、著作権侵害および著作者人格権の侵害にあたる可能性があります。
著作権者本人から許諾を得ていない限り、
・「解説を加えているから大丈夫」
・「自分なりに編集している」
といった理由でセーフになることは基本ありません。
画像・イラスト・漫画などを動画に使用したケース
写真・イラスト・漫画のコマなども著作物であり、無断使用すると著作権侵害になります。
特に、
・X(旧Twitter)やInstagramの画像
・漫画の1コマ
・イラスト投稿サイトの作品
などは、投稿者が著作権を持っているため、許可なく利用するとトラブルになりやすい分野です。また、画像検索で出てきた素材を安易に使うのも危険です。
ゲーム実況やライブ配信での著作権侵害
ゲーム実況はYouTubeでも人気ジャンルですが、ゲーム画面やBGMにも著作権があります。
多くのゲーム会社は「ガイドライン」を公開していますが、
| ・配信を禁止しているタイトル |
| ・特定シーンの公開を禁止しているタイトル |
| ・商用利用を禁止しているタイトル |
など、ルールはメーカーごとに異なります。
また、ライブ配信中に店内音楽やテレビ音声が入ってしまうケースでも著作権侵害が発生する場合があります。
関連コラム:ゲーム配信の著作権を徹底解説|弁護士監修の合法配信チェックリスト
これはセーフ?YouTube著作権侵害のボーダーラインを実例で解説
YouTubeには明確な著作権侵害のケースだけでなく、判断が難しい「グレーゾーン」も存在します。ここでは、投稿者が特に迷いやすい代表的なケースを取り上げ、セーフ/アウトの目安を説明します。

映画やアニメの一部シーンを引用したレビュー動画はセーフか?
結論:ほとんどのケースでアウト(著作権侵害)です。
映画・アニメの一部シーンをそのまま動画に使用する行為は、レビュー目的であっても原則として著作権侵害になります。
引用として認められるには、
| ・必要最小限の切り抜きであること |
| ・主=解説、従=引用の関係が明確 |
| ・出典を明示 |
といった条件がありますが、実際にはYouTube動画でこの要件を満たすのは困難です。
数秒でも、画質を落としても、画面を小さくしても違法であると考えた方がよいでしょう。
BGMや効果音を一部使用した場合は?
結論:短時間でもアウトになる可能性が高いです。
音楽は著作権管理が厳しく、
| ・数秒の使用 | ・小音量の使用 | ・一部だけ切り抜く |
といったケースでもContent IDに検出されます。
特に、市販の音源や有名アーティストの楽曲は確実に検出されるため、「少しだけだから大丈夫」という考えは通用しません。効果音も著作物であることが多く、利用規約で制限されている場合がありますので注意が必要です。
フリー素材やAI生成画像を使っていれば大丈夫?
結論:利用規約・ライセンス次第でアウトになることがあります。
フリー素材やAI生成画像であっても、以下のような制限がある場合は著作権侵害にあたります。
| ・商用利用NG |
| ・クレジット表記が必須 |
| ・二次利用・加工が禁止 |
| ・再配布に当たる使い方が禁止 |
AI生成画像も、学習データに依存するため、著名キャラに酷似することによる権利侵害のリスクや生成物の著作権が不明確といった注意点があります。「フリー素材=何でもOK」ではない点に注意しましょう。
論文・記事・ブログなどの文章をナレーション化して朗読する動画は?
結論:文章をそのまま読み上げるのは著作権侵害になります。
文章には著作権があるため、
| ・記事やブログの全文朗読 |
| ・多量の引用 |
| ・ほぼそのままの言い換え |
といった行為は著作権侵害となる可能性が高いです。
ただし、要約して自分の意見を加える解説動画であれば、著作権侵害に当たらない場合があります(とはいえ、元記事とほぼ同じ内容を音声化しただけの動画は危険です)。
スクリーンショットやSNS投稿を引用した考察動画は?
結論:無断転載は著作権侵害。条件を満たせば引用が認められる可能性はある。
Twitter(X)やInstagram投稿には著作権があり、スクショを貼る行為は無断転載にあたります。
ただし、以下の引用要件を満たせば合法と認められる余地があります。
| ・主=動画の解説、従=引用画像 |
| ・必要最小限にとどめる |
| ・改変しない |
| ・出典を明示する |
しかし、実務では、投稿者本人から「勝手に使われた」と通報されることも多く、引用の主張が必ず通るわけではありません。
【判例紹介】実際にあったYouTube著作権侵害トラブル
YouTubeの著作権侵害は、単なる動画削除にとどまらず、損害賠償や刑事事件に発展することもあります。以下では、実際に著作権侵害が問題となった最近の判例を紹介します。これらを知ることで、どのような行為が違法と判断されるのか、どこまでが危険ラインなのかを理解することができます。
| 判決年月日 | 事案の概要 | 裁判所の判断 |
| 知財高裁令和7年10月16日判決 | 原告らがYouTubeに投稿した動画について、被告がGoogleの各種通知フォーム(著作権侵害通知フォーム・プライバシー侵害通知フォーム・名誉毀損通知フォーム)を使って「著作権侵害・プライバシー侵害・名誉毀損に当たる」と通報した。原告らはこれを「虚偽申立てによる不法行為」と主張し、損害賠償(慰謝料・逸失利益等)の支払いを求めた。原審は請求を棄却し、原告らが控訴した。 | 控訴審も原審の判断を支持し、原告らの請求を棄却した。通知フォームの選択が誤っていても、Google側に一定の審査がある以上、直ちに不法行為にはならないと判断。パブリシティ権・プライバシー・名誉毀損のいずれも「専ら不当な目的」で通知したとは認められないとし、被告の通知行為は違法ではないと結論付けた。 |
| 知財高裁令和6年3月28日判決 | 医学的啓発目的のアニメーション映像(書籍付録DVDの一部)が、YouTube上で原告名の表示なく公開されたとして、原告が著作権(公衆送信権)侵害・著作者人格権(氏名表示権)侵害を主張し損害賠償を請求。原審は一部認容。原告が控訴。 | 映像は「映画の著作物」に当たり、著作者は原告だが、著作権は映画製作者(被控訴人)に帰属するため、著作権侵害の損害は否定。他方、YouTubeでの無表示公開により氏名表示権侵害を認定し、慰謝料80万円+弁護士費用8万円=計88万円を認容。 |
| 東京地裁令和5年8月24日判決 | 原告は、自身のYouTube動画(原告動画)に含めた写真が理由で、被告社団から著作権侵害申立てを受け公開停止となったため、「虚偽申立て」に当たるとして慰謝料等165万円を請求。争点は、被告社団が当該写真の著作権者かどうか。 | 写真は撮影者Cが被告社団に代金(7万円)で譲渡しており、著作権は被告社団に帰属。Dが毎日新聞に写真提供した事実も、被告社団の許諾前提であり帰属を覆さない。よって原告動画は写真を無断利用しており、被告社団のYouTube申立ては虚偽ではないとして原告の請求を棄却。 |
| 東京地裁平成30年3月19日判決 | 原告は自作映画の共同著作者・映画製作者であり著作権者だとして、被告(監督)によるYouTubeアップロード等は公衆送信権・氏名表示権・公表権侵害に当たる、マスターテープ不引渡しは所有権侵害に当たるとして、上映等差止めと577万5000円の損害賠償を請求。 | 原告が映画の全体的形成に創作的に寄与した事実は認められず共同著作者に当たらない。映画製作者(発意と責任を有し経済・法的主体となる者)にも当たらないため著作権帰属は否定。本件マスターテープの所有権帰属も認められない。よって差止め・損害賠償の各請求は棄却。 |
【被害者側(著作権を侵害された人)向け】
YouTubeで著作権侵害を通報する2つの方法と手続きの流れ
YouTubeで著作権を侵害された場合、著作権者は自分のコンテンツを守るために通報手続きを行うことができます。以下では、一般的に利用される「削除通知」と「Content ID申立て」の2つの方法について、それぞれの特徴と流れを説明します。
著作権侵害による削除通知

削除通知は、個人クリエイターから企業まで幅広く利用されるもっとも一般的な通報方法です。権利者本人、または正式に委任された代理人が行い、YouTubeによる審査を経て動画の削除やストライク付与が行われます。通報者の氏名(または法人名)が投稿者側に通知される点には注意が必要です。
| 【削除通知の手続きの流れ】 ①YouTubeヘルプ内の「著作権侵害申立てフォーム」にアクセスする ②権利者情報(氏名・法人名・連絡先)を入力する ③侵害された著作物の内容・説明を記載する ④著作権を侵害している動画のURLを入力する ⑤侵害している理由や具体的な状況を説明する ⑥虚偽申立てを行わない旨の宣誓にチェックし、送信する |
削除通知が認められれば動画は削除され、投稿者にはストライクが付与される可能性があります。
投稿者が不服を申し立てる場合は、異議申立て手続きが行われ、最終的に法的手続きへ進むこともあります。
Content IDの申立て

Content IDは、YouTubeが大規模な著作権者向けに提供している自動検出システムです。
権利者が自社コンテンツを登録すると、YouTubeがアップロードされた動画と照合し、無断使用を自動的に検出します。削除だけでなく、「収益化」や「視聴制限」など、権利者が選択した対応が自動で行われます。
企業・音楽レーベル・放送局など、一定規模の権利者が利用できる仕組みです。
| 【Content IDの利用の流れ】 ①YouTubeのContent IDプログラムに参加申請を行い、審査を受ける ②著作物(音源・映像・画像など)をコンテンツファイルとしてYouTubeに登録する ③YouTubeが既存動画と自動で照合し、無断利用を検出する ④権利者が設定した方針(ブロック・収益化・追跡)に基づいて自動対応される ⑤ダッシュボードで検出結果を確認し、必要に応じて個別の対応を行う |
Content IDは大量の著作物を扱う企業にとって非常に効率の良い管理手段であり、手動で通報する手間が省ける点が大きなメリットです。
削除通知とContent IDの使い分け
削除通知は、個別の侵害への迅速な対応に適しており、個人クリエイターや中小規模の権利者に向いています。
一方でContent IDは、大量のコンテンツを継続的に監視したい企業やメディアに向く方法です。
同じ著作権侵害でも、目的や権利者の立場に応じて使い分けることで、より効果的に著作権を保護できます。
YouTubeで著作権侵害の通報をする際に抑えておくべきポイント
YouTubeの著作権侵害を通報する際、通報者側には正しい知識が求められます。特に、「通報者情報が相手に開示されること」や「第三者でも通報できるのか」といった部分は誤解されやすく、トラブルにつながることもあります。以下では、通報前に必ず確認しておきたい3つのポイントを紹介します。

通報者の名前が投稿者に知られる
YouTubeの削除通知では、通報者の氏名(または法人名)が相手に必ず通知されます。匿名での通報はできません。
これは、著作権侵害の通報が法的手続きにつながる可能性があるため、通報者と投稿者双方の手続きの透明性を確保するための規定です。
| 【投稿者に開示される情報】 ・氏名(個人の場合は本名) ・法人の場合:法人名 ・担当者名 ・メールアドレス ・申立て内容 |
住所まで必ず開示されるわけではありませんが、異議申立て手続きに入った場合は、裁判手続きに向けて住所が通知されることもあります。
投稿者がトラブル化しそうな相手である場合は、弁護士を通じて申立てを行う選択肢も検討すべきです。
第三者でも著作権侵害の通報ができる
YouTubeには、著作権侵害への対応として「削除申請(著作権侵害による削除通知)」と「通報(報告)機能」の2つがあり、それぞれできる人と効力が大きく異なります。
まず、削除申請は法的手続きに準じた扱いのため、著作権者本人または正式な代理人でなければ利用できません。
申請が通れば、動画が削除され、投稿者にストライクが付与されることもあります。反通知が提出されれば法的手続きに進む可能性もあるため、制度としての強制力が非常に高いのが特徴です。
一方で、YouTubeの「報告(通報)」機能は、視聴者を含む第三者でも利用できる仕組みです。動画下部のメニューから「報告」を選択することで、著作権侵害の疑いをYouTubeに知らせることができます。
第三者による報告であれば、匿名で通報でき、氏名が相手に開示されないといったメリットがありますが、削除申請ほどの確実性はありません。つまり、通報はあくまで「YouTubeに知らせるだけ」の仕組みであり、権利者の正式な要求ではありません。そのため、確実に動画を削除したい場合は削除申請を行う必要があります。
削除されるまでにかかる時間の目安
著作権の削除通知を送信しても、すぐに動画が削除されるわけではありません。YouTubeが内容を確認し、適切な処理を行うため、通常はある程度の時間がかかります。
| 【削除までの一般的な目安】 ・早い場合:数時間〜1日程度 ・通常:2〜7日程度 ・複雑なケース:1〜2週間かかる場合がある |
審査が完了すると、
| ・動画の削除 ・投稿者へのストライク付与 ・通報者への処理完了メール |
が実施されます。
Content IDの自動検出の場合は即時に処理されることもありますが、削除通知は人間のレビューが入るため、通常は一定のタイムラグがあると理解しておきましょう。
被害者がYouTubeの著作権侵害の通報をする際に注意すべき虚偽申立てのリスク
YouTubeで著作権侵害を通報する際は、権利者側にも慎重な判断が求められます。もし誤った内容で通報すると「虚偽申立て」とみなされ、通報者の責任が問われるおそれがあるからです。以下では、虚偽申立てとは何か、どのようなリスクがあるのか、通報前に確認すべき点を説明します。
著作権侵害の虚偽申立てとは?
虚偽申立てとは、本来著作権がないまたは侵害されていないにもかかわらず、著作権侵害として通報することを指します。
たとえば、以下のようなケースが該当します。
| ・自分が権利者でないのに削除申請を行った |
| ・引用で合法的に使われているコンテンツを「侵害」と主張した |
| ・許諾していたのに後から「侵害だ」と通報した |
著作権侵害の通報は、権利者としての正当な権利ですが、内容を十分に精査することなく安易に削除申請をすると、虚偽申立てのリスクが生じますので注意が必要です。
虚偽の著作権侵害の通報をした場合の法的責任(名誉毀損・業務妨害など)
虚偽申立てを行うと、通報者側が以下のような法的責任を負う可能性があります。
①名誉毀損の責任
「著作権侵害をした」と誤って主張することで、投稿者の社会的評価を傷つけた場合、名誉毀損にあたるリスクがあります。
②業務妨害の責任
虚偽申立てによって動画が削除されたり、収益化が停止した場合、「虚偽の情報により業務を妨害した」と評価されることがあります。
③損害賠償請求を受ける可能性
ストライク付与やチャンネル停止につながった場合、投稿者が被害を受けたとして損害賠償を求めることもあります。
④YouTubeアカウントの制限・停止
YouTubeのポリシー上、虚偽申立ては重大な違反であり、アカウント停止などの措置を受ける可能性もあります。
通報時に確認すべきポイント(引用・出典・使用許諾の有無)
虚偽申立てを避けるためには、通報前の事実確認が不可欠です。
以下の点を必ずチェックしましょう。
①自分が権利者であるかを確認する
著作権が誰にあるのか、共同著作物ではないかなどを確認します。
②許諾を出していないか・利用規約で許可されていないか
過去に自分が同意しているケースもあるため注意が必要です。
③引用として適法に利用されていないか
| ・主従関係 | ・必要最小限 | ・出典明記 |
など、引用の要件を満たしている場合は「合法な利用」です。
④そもそも自分の作品といえるのか
AI生成物・二次創作・共同管理の作品は誤解が生じやすく要注意です。
⑤削除申請と通報を正しく選ぶ
強い効力がある削除申請は誤りが許されません。疑い段階なら、まずは第三者でも行える通報(報告)を検討するのも選択肢の一つです。
【加害者側(通報・警告を受けた人)向け】
YouTubeから著作権侵害の警告を受けたときに起きること
YouTubeで著作権侵害が認定されると、動画が削除されるだけでなく、チャンネル全体に大きな影響が及ぶことがあります。以下では、著作権侵害による警告(ストライク)を受けた際に、どのような措置が行われるのかを紹介します。

動画の削除
著作権侵害が確認されると、問題となった動画は、YouTubeによって削除されます。
削除後は、動画ページにアクセスしても「著作権侵害の申し立てにより削除されました」という表示が出るだけになり、視聴はできません。
削除されるタイミングは申立て内容によって異なりますが、削除通知が妥当と判断されれば、数時間〜数日ほどで削除されるのが一般的です。
また、削除と同時に以下の情報が投稿者へ通知されます。
| ・どの権利者から申立てがあったか ・動画がなぜ削除されたのか ・ストライクの有無 ・必要に応じて異議申立てが行える旨 |
「動画が消えただけ」と思って軽視すると、次の段階でさらに大きな影響を受けるため注意が必要です。
YouTubeチャンネルへの警告|3回累積でアカウント停止
著作権侵害による削除通知が認められると、多くの場合、チャンネルに著作権ストライク(警告)が付与されます。
このストライクは、チャンネル運営にとって非常に重大なペナルティです。
| 【ストライクの仕組み】①1回目のストライク一時的にアップロード制限・ライブ配信停止などがかかる90日間で無効になる(違反がなければ自動消滅) ②2回目のストライク制限がより厳しくなる1回目から短期間で重ねると、チャンネルの信用が大きく低下 ③3回目のストライクチャンネルが完全に停止(削除)される |
ストライクが3回に達した時点で、チャンネルは復活できず、動画・登録者・収益化設定もすべて失われます。
特に、収益化を行っているチャンネルは、ストライク1つでも収益減少や停止につながることが多く、早急な対応が必要です。
ライブ配信の強制停止
著作権侵害の警告があると、ライブ配信にも以下のような制限がかかる場合があります。
| ・一定期間、ライブ配信ができなくなる |
| ・過去のライブアーカイブが非公開または削除される |
| ・モバイルでのライブ機能が制限される |
ライブ配信は著作権トラブルが発生しやすい分野で、店内の音楽が入る、映像作品が映り込む、ゲーム配信の禁止シーンを放送するといった「意図しない侵害」も多く見られます。
ライブ配信は、リアルタイムでコントロールしにくいため、1回のミスが重大なペナルティに直結する点に注意が必要です。
YouTubeの著作権侵害による削除や警告に対して異議申し立てを行う方法
動画が著作権侵害として削除されたり、ストライクが付いた場合でも、投稿者がその判断に納得できないというケースもあります。そのようなときは、YouTube上で行える「異議申し立て」によって、削除理由の再審査を求めることができます。以下では、異議申し立ての仕組みと手順、注意点を紹介します。
YouTube著作権侵害の異議申し立てとは?
異議申し立てとは、「この削除やストライクは不当である」とYouTubeまたは著作権者に対して主張し、判断の見直しを求めるための手続きです。
異議申し立ては、次のような場合に利用されます。
| ・実際には自分のオリジナル作品である |
| ・著作権者から使用許諾を得ている |
| ・引用の要件を満たしている |
| ・著作権者の誤認や自動検出の誤作動で削除された |
異議申し立ては、YouTube上で簡単に行うことができますので、削除理由に明確な誤りがあると判断した場合に適した方法です。
異議申し立てフォームの使い方
異議申し立ては、削除された動画の管理画面(YouTube Studio)から行います。
特別な書類や証拠を提出する必要はなく、オンライン上で理由を入力して送信する形式です。
| 【異議申し立ての流れ】 ①YouTube Studio にログイン「コンテンツ」タブから該当動画を選択します。 ②「異議申し立て」ボタンをクリック削除理由や著作権情報が表示されるページに移動します。 ③異議申し立ての理由を記入以下のような、異議申し立ての理由を記入する。 ・「許諾を得ているため、著作権侵害には当たりません」 ・「引用の範囲内で使用しており、適法です」 ・「オリジナル作品であり、侵害指摘は誤りです」 ④送信する記載内容は著作権者に通知され、再審査が行われます。 |
異議申し立てをする際の注意点

異議申し立ては気軽に送れる一方、誤った主張をすると状況が悪化する可能性もあります。以下の点には注意が必要です。
①事実に基づいた主張を行う
「なんとなく納得できない」という理由で送ると、審査で却下されるだけでなく、悪質と判断されるおそれがあります。
②引用や許諾の根拠を簡潔に書く
異議申し立ては短い文章で行うため、
・どこから許可を得たか
・なぜ引用として適法なのか
などを端的に示すことが重要です。
③審査には時間がかかる
著作権侵害の申立人が、30日間の回答期限の間に回答しない場合、著作権侵害の申立ては自動的に取り下げられ、著作権侵害の警告が解除されます。
YouTubeでの著作権侵害のトラブルを弁護士へ相談すべきケース
YouTubeの著作権トラブルは、動画削除だけで済むこともありますが、状況によっては収益停止、チャンネル削除、損害賠償請求など深刻な問題に発展することもあります。特に、著作権侵害の判断は専門性が高いため、投稿者・権利者のどちらであっても、一定の段階を超えたら弁護士に相談することが適切です。以下では、弁護士に相談すべき代表的なケースを紹介します。
通報や削除申立てが不当だと思うとき
著作権侵害をしていないにもかかわらず、
| ・動画が削除された ・ストライクが付与された ・通報者が明らかに権利者ではない ・引用や許諾の範囲内なのに侵害と判断された |
といった場合、弁護士に相談することで「本当に著作権侵害が成立するのか」を専門的に分析してもらえます。不当な申立てであると判断されれば、異議申し立てのサポートや通報者への撤回要求、必要に応じて損害賠償請求などの対応を任せることができます。
警告が累積してチャンネル停止のリスクがあるとき
著作権ストライクは、3回累積するとチャンネルが完全に停止します。これは、YouTube運営を収益源としているクリエイターにとっては致命的です。
そのため、以下のような状況では早めの相談が必要です。
| ・すでに1〜2回ストライクを受けている |
| ・追加の著作権申立てが届いている |
| ・ストライク内容が誤りだと思われる |
| ・収益化停止の可能性が出ている |
弁護士に相談をすれば内容を精査した上で、異議申し立ての作成、著作権者との交渉、不当なストライクの撤回請求などを行うことで、チャンネル停止を防げる可能性があります。
虚偽通報や損害賠償問題に発展したとき
著作権侵害の申立てが虚偽だった場合、投稿者に大きな損害が発生することがあります。
たとえば、
| ・ストライクによる収益停止 |
| ・動画削除による広告収入の減少 |
| ・企業案件の中止 |
| ・名誉毀損・風評被害 |
これらが発生した場合、虚偽申立てを行った相手に対して損害賠償請求が可能です。
反対に、通報者側(被害者側)も、虚偽申立てを疑われる場合は法的責任を問われる可能性があるため、早い段階で専門家に相談する必要があります。
差し止めや損害賠償請求を検討しているとき
著作権者側にとって、動画の削除だけでは問題が解決しない場合があります。悪質な転載が繰り返されていたり、無断利用によって本来得られるはずだった収益が奪われていたりする場合には、法的に差し止めや損害賠償を求めることが可能です。
このような法的対応には、専門的な判断が欠かせませんので、弁護士のサポートが不可欠です。弁護士に相談することで、請求の可否や手続きの進め方、相手方への通知の方法などを整理でき、権利を適切に守るための最適な方法を選択することができます。
著作権侵害が明らかで、被害が拡大していると感じる場合は、早めに法律専門家の助言を求めることが重要です。
まとめ

YouTubeの著作権侵害は、動画の削除やストライクだけでなく、収益化停止やチャンネル削除、さらには損害賠償問題へと発展することもある深刻なトラブルです。著作権者・投稿者のどちらの立場でも、適切な対応をとるためには、正確な法律知識と慎重な判断が欠かせません。
もしも「通報が不当ではないか」「虚偽申立ての被害を受けている」「差し止めや損害賠償を検討したい」など、対応に迷う場面があれば、早めに専門家へ相談することが重要です。
グラディアトル法律事務所では、著作権問題やインターネットトラブルに詳しい弁護士が、状況に合わせた最適な解決策を提案しています。YouTubeのトラブルでお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
