SNSのなりすまし被害とは?違法性・対処法・予防策を弁護士が解説

SNSのなりすまし被害とは?違法性・対処法・予防策を弁護士が解説
弁護士 若林翔
2025年11月17日更新

「第三者が自分になりすましてSNSアカウントを作成している」

「SNSのなりすまし被害に遭ったときの対処法を知りたい」

「SNSのなりすまし被害を防止するにはどうしたらいい?」

SNSの普及に伴い、近年深刻化しているのがなりすまし被害です。X(旧Twitter)、Instagram、Facebook、LINEなど、私たちが日常的に利用するSNSで、第三者が本人になりすましてアカウントを作成し、虚偽の投稿や不正な勧誘を行う事例が後を絶ちません。被害に遭うと、プライバシーを侵害されるだけでなく、名誉毀損や信用失墜、さらには金銭的被害や仕事上のトラブルにまで発展するリスクがあります。

しかし、実際に被害を受けた方の多くは「アカウント削除の申請はどうすればいいのか」「犯人を特定することは可能なのか」「損害賠償を請求できるのか」といった点で迷われています。特に、SNS事業者は海外企業であることが多く、一般の方が独力で迅速に対応するのは困難です。そのため、早期に法的手段を検討し、必要に応じて弁護士に相談することが重要となります。

本記事では、

・SNSなりすましの定義と代表的な手口
・SNSのなりすまし被害を放置することによる危険性
・被害に遭ったときの具体的な対処法

などを詳しく解説します。

SNSのなりすましに不安を感じている方やすでに被害を受けて対応に悩んでいる方にとって有益な内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

SNSのなりすましとは?

X(旧Twitter)、Instagram、Facebook、LINEなどのSNSで、第三者が本人になりすましてアカウントを作成し、虚偽の投稿や不正な勧誘を行う事例が後を絶ちません。以下では、SNSのなりすましの典型的な手口と放置する危険性を説明します。

SNSのなりすましの定義と典型的な手口

SNSのなりすましとは、他人になりすましてアカウントを作成・利用し、虚偽の情報を発信する行為を指します。なりすまし被害は個人だけでなく、企業や団体も対象となることがあり、被害が拡大すると社会的信用の失墜や金銭的損害に直結する深刻な問題です。

SNSにおけるなりすましには、主に以下のような手口があります。

①偽アカウントの作成本人と同じプロフィール画像や名前を用いてアカウントを作り、あたかも本人であるかのように振る舞うケースです。知人やフォロワーが騙されやすく、偽情報の拡散につながります。
②虚偽情報や誹謗中傷の投稿被害者が実際には行っていない行為を捏造したり、人格を貶める発言を繰り返したりすることで、名誉毀損や信用低下を狙うものです。
③フィッシング詐欺・詐取行為なりすましアカウントを使って「お金を振り込んでほしい」「ログイン情報を入力してほしい」といった偽の誘導を行い、金銭や個人情報をだまし取る事例もあります。
④アカウントの乗っ取り正規のアカウントのパスワードを不正に取得し、本人になりすまして投稿やDM送信を行うケースです。不正アクセス禁止法に違反する違法行為です。

SNSの利用者が多い現代では、これらの手口が日常的に行われており、誰でも被害者になる可能性があります。

SNSのなりすましを放置する危険性

SNSのなりすましを放置すると、次のような深刻なリスクが生じます。

①名誉や信用の失墜虚偽の投稿が広まることで、友人・知人・取引先などから誤解され、社会的評価が大きく損なわれます。特に、企業や著名人にとっては致命的な影響が生じる可能性があります。
②経済的損害なりすましアカウントを用いた詐欺によって、金銭被害が発生することがあります。また、企業では顧客離れやブランドイメージの低下につながることもあります。
③プライバシー侵害や二次被害勝手に写真を利用される、性的な虚偽情報を流されるなど、精神的な苦痛も深刻です。さらに、なりすましアカウントからのDMを信じた第三者が被害に遭う「二次被害」が発生するケースも少なくありません。

このように、SNSのなりすましは単なる嫌がらせではなく、現実生活や社会的信用に直接悪影響を及ぼす危険な行為です。そのため、早期に発見し、速やかに対処することが求められます。

SNSのなりすまし被害に遭ったときの対処法

SNSのなりすまし被害に遭ったときの対処法

SNSのなりすまし被害に遭遇したときは、感情的になって放置するのではなく、証拠の確保と適切な手続きが重要です。被害の拡大を防ぎ、加害者に責任を追及するために、以下のステップを踏んで対応することをおすすめします。

なりすましアカウントの削除申請

まずは、SNSの運営会社に対して削除申請や通報を行うようにしましょう。

X(旧Twitter):なりすまし報告フォームを通じて削除要請が可能
Instagram:本人確認書類の提出を求められる場合あり
Facebook:本人確認のうえ「なりすましアカウント報告」から申請

申請の際には、被害を示すスクリーンショットやURLを保存し、証拠として提出すると削除対応が早まる傾向にあります。

なりすまし犯人を特定するための発信者情報開示請求

SNS運営会社が削除に応じても、加害者を特定しなければ根本的な解決には至りません。そのために有効なのが、発信者情報開示請求です。

・SNS運営会社から発信者のIPアドレスやログイン記録を取得する(仮処分)
・開示されたIPアドレスから、プロバイダに対して契約者情報を請求する(訴訟)

SNSのログ保存期間は、3~6か月程度と短いケースが多いため、迅速に手続を取ることが極めて重要です。

実際に裁判所へ仮処分を申し立てるには、専門的な法的知識が必要になるため、弁護士に依頼することが望ましいでしょう。

なりすましにより損害が生じたときは損害賠償請求

なりすましによって名誉が傷つけられたり、取引先との信用を失ったり、金銭的被害を受けた場合には、損害賠償請求を行うことが可能です。

・名誉毀損や侮辱による慰謝料請求
・詐欺行為による金銭的損害の賠償請求
・企業が被った営業上の損害についての請求

損害額を証明するためには、被害を受けた事実や売上への影響などを具体的に示す必要があります。法的手続きを視野に入れる場合は、専門家によるサポートが不可欠です。

なりすましが犯罪に該当するときは刑事告訴

なりすまし行為の内容が悪質で、刑法上の犯罪に該当する場合には、刑事告訴を検討すべきです。

虚偽の事実を投稿→名誉毀損罪・侮辱罪
・金銭や個人情報をだまし取る詐欺罪・電子計算機使用詐欺罪
・アカウント乗っ取り不正アクセス禁止法違反

警察に被害届を出す際にも、投稿のスクリーンショットや加害者特定のためのログ情報が重要な証拠となります。民事と並行して刑事告訴を行うことで、加害者への抑止力を高めることができます。

SNSなりすましによる主な被害例

SNSのなりすましは、単なる迷惑行為にとどまらず、被害者の生活や社会的信用を大きく揺るがす深刻な問題です。以下では、代表的な被害例を取り上げ、その危険性を説明します。

他人になりすましてSNSで投稿

偽アカウントを作成し、本人になりすまして虚偽の投稿を行うケースです。

①虚偽の事実を拡散「借金を踏み倒している」「不倫している」など、事実無根の内容を投稿されると、名誉や社会的評価を大きく損ないます。
②性的・わいせつな投稿性的な発言や画像を本人の名で発信されると、深刻なプライバシー侵害となり、仕事や家庭生活にも悪影響を及ぼします。

このような行為は、名誉毀損や侮辱に該当する可能性が高く、早急な対応が求められます。

SNSアカウントの乗っ取り

正規のアカウント自体を不正に乗っ取り、本人になりすまして投稿やDM送信を行うケースです。

①友人やフォロワーへの詐欺行為「お金を貸してほしい」「副業に投資してほしい」といったメッセージを送り、金銭をだまし取る事例があります。
②スパム拡散フィッシングサイトや詐欺広告のリンクを大量に拡散され、被害者自身が加害者のように誤解されることもあります。

不正アクセス禁止法違反にあたり得る重大な犯罪であり、被害者だけでなく周囲の人も巻き込まれる点が特徴です。

フィッシング詐欺

なりすましアカウントを利用して、ログイン情報やクレジットカード番号などをだまし取るフィッシング詐欺も横行しています。

①銀行・企業・有名人になりすます公式アカウントと似た名前やアイコンを使い、信頼させたうえで個人情報を入力させる手口です。
②偽キャンペーンや懸賞の告知「フォローすると抽選でプレゼント」といった偽企画を行い、応募者から個人情報を収集するケースもあります。

こうした被害は金銭的損失に直結しやすく、また不正に取得された情報が闇サイトなどで転売されるおそれもあります。

SNSなりすましは違法?適用される可能性のある犯罪

SNSなりすましは違法?適用される可能性のある犯罪

SNSでのなりすましは「遊び半分のいたずら」と軽視されがちですが、内容によっては刑法や特別法に違反する犯罪行為に該当します。以下では、SNSのなりすましにより成立する可能性のある代表的な犯罪類型を説明します。

名誉毀損罪

他人の名誉を傷つける虚偽の情報をSNSに書き込み、社会的評価を下げた場合には名誉毀損罪が成立する可能性があります。

たとえば、実際には不倫をしていない人に対して「不倫を繰り返している」などと投稿したり、犯罪歴を捏造して広めたりする行為です。

このようなケースでは、3年以下の懲役・禁錮(拘禁刑)または50万円以下の罰金に処される可能性があります。

摘示した事実が真実であるかどうかにかかわらず、公然と名誉を毀損したと認められれば処罰の対象となります。

侮辱罪

具体的な事実を示さなくても、相手を誹謗中傷するような投稿を繰り返せば侮辱罪が適用されることがあります。

たとえば、なりすましアカウントで「無能」「気持ち悪い」といった悪口を拡散する行為です。名誉毀損とは異なり、侮辱罪は、具体的な事実を摘示していないのが特徴です。

軽い気持ちでやってしまう方も少なくありませんが、2022年の法改正により罰則が強化され、1年以下の懲役・禁錮(拘禁刑)もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料が科される可能性があります。

詐欺罪・電子計算機使用詐欺罪

金銭や情報をだまし取る目的でなりすましを行えば、詐欺罪や電子計算機使用詐欺罪に問われることになります。

典型例としては、友人になりすまして「至急お金を振り込んで」と依頼したり、公式アカウントを装って偽のログインページに誘導し、IDやパスワードを入力させたりするケースです。

これらの行為は、非常に悪質で、いずれも10年以下の懲役(拘禁刑)に処される可能性があります。

偽計業務妨害罪・威力業務妨害罪

企業や団体になりすまして虚偽情報を流布し、業務を妨害する行為も犯罪です。

たとえば、企業公式アカウントを装って「この店舗は閉店します」と虚偽の情報を投稿し、顧客を混乱させた場合などが該当します。

この場合、実際の損害が発生していなくても「業務を妨害する目的」が認められれば、3年以下の懲役(拘禁刑)または50万円以下の罰金に処されることがあります。

不正アクセス禁止法違反

SNSアカウントを不正に乗っ取る行為は、不正アクセス禁止法違反にあたります。

典型例は、フィッシングメールを使ってログイン情報を入手し、勝手にログインして投稿するケースです。

この場合、3年以下の懲役(拘禁刑)または100万円以下の罰金という重い刑罰が科される可能性があります。乗っ取りによって被害者本人だけでなく、フォロワーや取引先にまで被害が広がることが多いため、警察も摘発を強化している分野です。

SNS(X:twitter)なりすましをされて開示請求が認められた事例

SNSのなりすまし被害は、投稿が拡散されるスピードが速いため、証拠の保全と迅速な法的対応が極めて重要です。以下では、実際にX(旧Twitter)で発信者情報開示が認められた当事務所の解決事例を紹介します。

事案の概要

依頼者は、X(旧Twitter)上において第三者からなりすまし行為・誹謗中傷・肖像権侵害の被害を受けていました。具体的には、性別に関する虚偽の事実や、存在しない盗撮・動画販売行為を捏造した投稿が拡散され、依頼者の名誉が著しく毀損されました。依頼者のプロフィール上には事実と異なる情報が記載されていたわけではないにもかかわらず、虚偽情報が拡散したことで、生活の平穏が大きく損なわれました。さらに、加害者による投稿が原因で、依頼者の正規アカウントが凍結されるという二次被害も発生していました。Xにおけるログ保存期間は約60日と短いため、迅速な対応が求められる事案でした。

当事務所の対応

当事務所では、依頼者からの相談を受けて、速やかに以下のような対応を開始しました。

①発信者情報開示仮処分の申立てとログ保存請求2022年6月8日に依頼者と委任契約を締結し、直ちにX社に対してログ保存請求を実施しました。さらに、2022年6月18日には東京地方裁判所へ発信者情報開示仮処分命令の申立てを行いました。
②裁判所での審尋期日申立てから約1か月後の2022年7月19日に審尋が行われ、当事務所は依頼者の被害状況を具体的に主張・立証しました。
③仮処分決定と情報開示その結果、2022年7月21日には仮処分決定が下され、X社から発信者情報の一部(IPアドレス等)の開示を得ることに成功しました。

この事例では、相談からわずか1か月半で仮処分決定に至り、加害者特定につながる重要な情報を確保できました。SNSなりすまし事案では、証拠保全と迅速な法的対応が被害回復の鍵となります。

SNSのなりすまし被害を予防するための対策

SNSのなりすまし被害を予防するための対策

SNSでのなりすまし被害は、被害に遭ってから対処するよりも、事前の予防策を徹底することが重要です。以下では、一般の利用者でも取り組みやすい具体的な方法を紹介します。

認証バッジの取得

X(旧Twitter)やInstagramなど一部のSNSでは、本人確認済みのアカウントに「認証バッジ」が付与されます。認証バッジがあることで、利用者が「公式の本人アカウント」であると認識でき、なりすましアカウントの拡散を防止しやすくなります。

企業や著名人だけでなく、個人でも条件を満たせば申請可能な場合がありますので、積極的に活用するとよいでしょう。

不正ログインを防ぐための二段階認証の活用

アカウントの乗っ取りによるなりすましを防ぐには、二段階認証の設定が有効です。

パスワード入力に加えてSMSや認証アプリによるコード入力を求めることで、第三者が不正にログインするリスクを大幅に下げられます。特に、過去に流出したパスワードを使い回している場合は、必ず導入すべき対策です。

定期的なパスワードの変更

単純なパスワードや長期間変更していないパスワードは、総当たり攻撃や過去の情報流出データから推測される危険性があります。定期的にパスワードを更新し、英数字・記号を組み合わせた強固なパスワードを設定しましょう。

さらに、複数のサービスで同じパスワードを使い回さないことも重要です。

SNSのなりすまし被害に遭ったときはグラディアトル法律事務所に相談を

SNSのなりすまし被害に遭ったときはグラディアトル法律事務所に相談を

SNSのなりすまし被害は、放置すれば被害が拡大し、信用毀損や名誉毀損のおそれがあります。特に、虚偽情報が拡散すると、日常生活や仕事への影響は計り知れません。このような被害を最小限に抑えるには、早期の専門家への相談が不可欠です。

グラディアトル法律事務所では、なりすましや誹謗中傷案件を多数取り扱っており、豊富な経験をもとに迅速な対応を行っています。SNS事業者のログは通常3~6か月程度しか保存されないため、加害者の特定にはスピードが重要です。当事務所は、相談を受け次第ただちにログ保存請求や発信者情報開示請求を行い、証拠を確保します。また、その後は、損害賠償請求や刑事告訴まで一貫してサポートできる体制を整えています。

さらに、過去の事例に基づくノウハウを活かし、依頼者の状況に応じた最適な解決策をご提案します。

なりすまし被害に直面した際は、決して一人で抱え込まず、速やかに弁護士へご相談ください。迅速な初動こそが、被害回復への最短ルートとなります。

まとめ

SNSのなりすまし被害は、名誉毀損や業務妨害など重大な違法行為につながります。放置すれば被害は拡大し、加害者の特定も困難になります。被害に遭った際は、まず証拠を保存し、迅速に専門家へ相談することが不可欠です。

グラディアトル法律事務所では、発信者情報開示請求や損害賠償請求などをスピーディーに対応し、被害回復に尽力します。なりすましでお困りの方は、ぜひ当事務所へご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力。数多くの夜のトラブルを解決に導いてきた経験から初の著書「歌舞伎町弁護士」を小学館より出版。 youtubeやTiktokなどでもトラブルに関する解説動画を配信している。

お悩み別相談方法

相談内容一覧

よく読まれるキーワード