リツイート(リポスト)で名誉毀損が成立?判例と対処法を弁護士が解説

リツイート(リポスト)で名誉毀損が成立?判例と対処法を弁護士が解説

「リツイート(リポスト)って、発言したのは自分じゃないよね」

「自分が書いた内容じゃないから、名誉毀損は成立しないはず…」

こんなふうに考えている人は要注意です。

リツイート(リポスト)は、ボタン1つでできる手軽な行為ですが、リツイートした人自身も民事上の名誉毀損の責任を負うことがあります。

実際に、コメントを付けずにリツイート(リポスト)しただけの行為に対して、数十万円の損害賠償を命じる判例も出ています。

この記事では、

  • リツイート(リポスト)が名誉毀損になる理由
  • 実際の裁判例で認められた損害賠償の金額
  • リツイートで誹謗中傷を投稿してしまったときの対処法
  • 自分が誹謗中傷の被害を受けたときにできること

について、ネット誹謗中傷案件を多く取り扱う弁護士が解説します。

リツイートをめぐるトラブルでお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。

リツイート(リポスト)は民事上の名誉毀損となりうる

リツイート(リポスト)であっても、内容次第で民事上の名誉毀損が成立し、損害賠償を請求される可能性があります。 自分で書いた投稿でなくても、他人の名誉を傷つける投稿を拡散した時点で、リツイートした人自身の発言として扱われるためです。

2章で紹介しますが、実際にコメントを付けずにリツイートしただけの行為に損害賠償の支払いを命じた裁判例もあります。

リツイート(リポスト)でも名誉毀損が成立する理由

リツイート(リポスト)が名誉毀損になるのは、リツイートそのものが「リツイートした人自身の発言」として扱われるためです。

たとえば、フォロワー1万人のアカウントが「○○さんは横領している」という投稿をリツイートすれば、その瞬間に1万人のフォロワーに同じ内容が届きます。元の投稿を見ていなかった人にも情報が広がる以上、リツイートによって新たな被害が発生していると評価されるのです。

そのため、元の投稿者と別に、リツイートした人にも損害賠償責任(不法行為責任)が発生する可能性があります。

リツイート(リポスト)の内容が「事実であるか」は関係ない

リツイート(リポスト)した内容が事実かどうかは、名誉毀損の成立には関係ありません。

刑法230条1項は、名誉毀損罪について「事実の有無にかかわらず」と定めており、民事の名誉毀損も同じ考え方で扱われるからです。名誉毀損で問われるのは、対象者の社会的評価が下がったかどうかであり、投稿内容の真偽ではありません。

「事実なら言ってもいいのでは?」と感じる人もいるかもしれません。しかし、法律上、名誉毀損で守られているのは「人の社会的評価」、すなわち対象者が社会から受ける客観的な評価そのものです。

法律はこの「評判が下がる」という結果を問題にしているため、内容の真偽は名誉毀損が成立するかどうかとは別の話になります。

名誉毀損(民事)になる可能性が高いリツイート(リポスト)の例

民事上の名誉毀損になりやすいのは、特定の人について「○○さんが××した」というような具体的な事実を含むリツイート(リポスト)です。

たとえば次のような投稿のリツイートが該当します。

  • 「○○さんが不倫しているらしい」
  • 「○○社の社長は前科がある」
  • 「○○という飲食店は食材を使い回している」
  • 「○○さんは反社とつながっている」

逆に、「○○さんはなんかムカつく」「○○の店員、態度悪すぎ」というような感想や悪口だけで、具体的な事実が書かれていない投稿のリツイートは、名誉毀損には該当しないと考えられます(※ただし、別途「侮辱」として責任を問われる可能性はあります)。

リツイート(リポスト)による名誉毀損が問題となった裁判例

実際にリツイート(リポスト)が名誉毀損となった裁判例を2つ紹介します。

リツイートで33万円の損害賠償が認められた判例(大阪高判令和2年6月23日)

事案の概要ジャーナリストが、元自治体首長について第三者が投稿した「年上の幹部に生意気な口をきいて自殺に追い込んだ」という文章をコメントなしでリツイートし、名誉毀損で訴えられた
判決損害賠償33万円(慰謝料30万円+弁護士費用3万円)

出典:裁判所|裁判例検索「大阪高判令和2年6月23日

本件は、ジャーナリストが、元自治体首長について「年上の幹部に生意気な口をきいて自殺に追い込んだ」という投稿をリツイートし、名誉毀損で訴えられたという事案です。

ジャーナリスト側は、「単純リツイートを読む者は、それを「元ツイート者の投稿」として受け取ることになるのであるから、(略)単純リツイートからリツイート主の賛成・反対の意図は読み取れない」などと主張していました。

しかし、裁判所はこの主張を採用せず、単純リツイートした者がその投稿について不法行為責任を負うと判断しています。

そのうえで、フォロワーが約18万人いて、リツイートにより誹謗中傷が広範囲に拡散したことなどが考慮され、最終的に33万円(慰謝料30万円+弁護士費用3万円)の損害賠償を命じる判決が出されました。

リツイートで22万円の損害賠償が認められた判例(東京高裁令和4年11月10日)

事案の概要医師が、ジャーナリストを揶揄する漫画家のイラスト付きツイートなどをコメントなしでリツイートしたところ名誉毀損で訴えられた
判決損害賠償22万円(慰謝料・弁護士費用)

出典:裁判所|裁判例検索「東京高判令和4年11月10日

本件は、医師が、ジャーナリストを揶揄するイラスト付きツイートをコメントなしでリツイートし、名誉毀損で訴えられたという事案です。

もともとは、漫画家がジャーナリストについて「枕営業大失敗!!」などといった趣旨のイラスト付きツイートを複数投稿していました。医師はそのうちの1つをコメントなしでリツイートしており、ジャーナリストによって、漫画家とリツイートした医師の双方が名誉毀損で訴えられました。

裁判所は、ツイートの投稿者である漫画家に110万円の賠償を命じたほか、コメントなしでリツイートした医師についても、リツイートが元ツイートの内容に賛同する意思を示す表現行為と認められるとして、不法行為責任を認めています。

さらに、原審判決の翌日にも同様の内容のツイートをあえてリツイートしていた行為についても問題となり、合計22万円の損害賠償が認められました。

X(旧Twitter)の「いいね」によって名誉感情の侵害が認められた事例も

リツイート(リポスト)だけでなく、「いいね」を押した行為が名誉感情の侵害にあたるとして、損害賠償が認められた事例もあります。

東京高判令和4年10月20日では、国会議員がジャーナリストを揶揄・中傷する第三者のツイート25件に「いいね」を押した行為について、社会通念上許される限度を超える侮辱行為にあたるとして、55万円の損害賠償が命じられています。

出典:東京高判令和4年10月20日判例タイムズ1511号138頁

ただし、これは「フォロワー11万人の国会議員という影響力の大きい人物」が「25回もいいねを押した」という、かなり特殊なケースです。

一般のユーザーが軽い気持ちで「いいね」を押しただけで、すぐに同じ判断が出るわけではありませんが、リツイート(リポスト)ではなく「いいね」だから安全という認識は持たない方がよいでしょう。

特定の人物を継続的に中傷する投稿に対して繰り返し「いいね」を押すような行為は、リツイート同様に法的責任を問われる可能性があります。

リツイート(リポスト)で刑事上の名誉毀損罪に問われた事例はない?

ここまで、リツイート(リポスト)で民事上の名誉毀損が成立する可能性があるとお伝えしましたが、リツイート単独で刑事上の名誉毀損罪に問われた事例は、現時点では確認できませんでした。

ただし、これは法律上罪に問えないという意味ではありません。条件が揃えば、リツイートにも名誉毀損罪が成立する可能性は十分にあります。

実務上、刑事責任が問われにくいのは、名誉毀損罪が親告罪(被害者からの告訴がなければ起訴できない犯罪)であることが大きく関係していると考えられます。

通常、被害者がまず責任を追及したいのは、誹謗中傷の元になる投稿をした本人です。

そのため、告訴の対象も元の投稿者になるケースが多くなります。また、リツイートそのものも元の投稿に比べると悪質性が低いと評価されやすいため、実際に刑事事件として立件されるケースは少ないといえます。

ただ、悪質なリツイートを繰り返し、被害者から告訴されて刑事責任が認められれば、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性もあります。

刑法 第230条
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。

【加害者向け】リツイート(リポスト)で名誉毀損にあたる投稿してしまったときの対処法

自分がリツイートした投稿が名誉毀損にあたるかもしれないと気づいたら、被害が広がる前に早めの対処が必要です。

具体的な対処法は次の2つです。

【加害者向け】リツイート(リポスト)で名誉毀損にあたる投稿してしまったときの対処法

該当のリツイート(リポスト)を削除する

まず最初にすべきは、該当のリツイート(リポスト)を削除することです。

リツイートが残ったままだと、自分のフォロワーに対して投稿が表示され続けて、被害がさらに広がってしまいます。まずは、これ以上の拡散を止めることが重要です。

削除の方法は、自分のリツイート画面から「リツイートを取り消す」を選ぶだけで完了します。引用リポストの場合は自分の投稿として削除します。

通常は削除さえすれば、それ以上の問題に発展しないことが多いです。

炎上したらすぐに弁護士に相談する

もしも、リツイート(リポスト)をきっかけに炎上したり、被害者から連絡を受けたりした場合は、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。

このとき、自分で謝罪したり弁明したりするのは避けたほうがよいでしょう。被害者に謝罪のDMを送った結果、そのDMがスクリーンショットで公開されたり、弁明した投稿が拡散されて、一気に批判が広がってしまうようなリスクもあります。

弁護士に相談すれば、弁護士が代理人として被害者と直接やり取りしてくれるため、本人が感情的なやり取りに巻き込まれずに済みます。

被害者から損害賠償を請求されている場合は、請求額が妥当かを判断してもらい、減額交渉や示談を進めることも可能です。

【被害者向け】名誉毀損にあたるリツイート(リポスト)と見つけたときできること

自分に対する誹謗中傷がリツイート(リポスト)で拡散されているのを見つけたとき、被害を抑えるために被害者側ができることは、主に次の3つです。

【被害者向け】名誉毀損にあたるリツイート(リポスト)と見つけたときできること

名誉毀損にあたるリツイート(リポスト)の削除依頼

まず取り組みたいのは、誹謗中傷を含むリツイートの削除依頼です。リツイートが残っているかぎり、被害が広がってしまうためです。

削除依頼の方法には、リツイートをした本人に直接求める方法と、X(旧Twitter)などのSNS運営会社に通報する方法などがあります。

それでも削除されない場合や、より確実に進めたい場合は、弁護士に依頼するのが現実的です。弁護士名義で削除依頼するだけでも、本人や運営会社は応じやすくなります。

時間と費用をかけてでも確実な削除を求めるなら、裁判所に対して投稿削除の仮処分を申し立てる方法もあります。

※X(旧Twitter)の削除方法は以下で詳細に解説しています。

発信者情報開示請求により名誉毀損をした投稿を特定

削除だけでは被害が回復しない場合や、相手の悪質性が高い場合は、発信者情報開示請求によって、リツイートをした人の身元を特定することも可能です。

ただし、発信者情報開示請求は手続きが非常に複雑で、ログ保存期間という時間制限もあります(通常3か月程度)。頑張れば1人でできるといった類のものではないため、発信者情報開示請求まで考えるなら、弁護士への依頼は必須となります。

※X(旧Twitter)の開示請求は以下で詳細に解説しています。

損害賠償請求・刑事告訴

リツイート(リポスト)をした人を特定できたら、損害賠償請求や刑事告訴を検討します。

損害賠償請求は、慰謝料や弁護士費用などを請求する民事の手続きです(民法709条)。名誉毀損による精神的苦痛を理由に、加害者に対して金銭で賠償を求めていきます。

一方、刑事告訴は、加害者に刑事罰を科すことを目的として警察に処罰を求める手続きです。「金銭による賠償だけでは納得できない」と考えて刑事告訴に踏み切るケースもありますし、民事上の示談交渉のなかで、刑事告訴の可能性に触れながら進めていくケースもあります。

いずれにしても、専門的な知識と判断が必要になるため、弁護士に相談しながら進めましょう。

リツイート(リポスト)による名誉毀損はグラディアトル法律事務所へご相談ください

リツイートによる名誉毀損はグラディアトル法律事務所へご相談ください

X(Twitter)をめぐるトラブルでお困りの方は、グラディアトル法律事務所にご相談ください。

弊所は、インターネット上の誹謗中傷・名誉毀損トラブルに力を入れている法律事務所です。事務所の代表弁護士自身もHPやSNSで多くの情報を発信しており、インターネットにおける名誉毀損・誹謗中傷などのトラブルを知り尽くしています。

設立当初から多くのネット関連のトラブル案件を扱っており、加害者・被害者の双方から多くの相談を受けているため、それぞれの立場に応じた最適な対応が可能です。

初回相談は無料です。「自分はどう対応すべきか知りたい」「弁護士に依頼すべきか迷っている」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

リツイート(リポスト)は手軽な行為ですが、内容によっては民事上の名誉毀損が成立し、損害賠償を請求される可能性があります。

本記事で紹介したように、実際にコメントなしのリツイートだけで数十万円の損害賠償を命じた裁判例も出ており、「いいね」を押した行為が問題となったケースもあります。

刑事責任については、リツイート単独で問われた事例は現時点では確認されていないものの、条件が揃えば名誉毀損罪が成立する可能性は十分にあるため、決して軽視はできません。

リツイートで投稿してしまった場合も、誹謗中傷を受けている場合も、自分だけで対応するのは難しい問題です。加害者・被害者のどちらの立場でも、トラブルでお困りの際はグラディアトル法律事務所へご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力。数多くの夜のトラブルを解決に導いてきた経験から初の著書「歌舞伎町弁護士」を小学館より出版。 youtubeやTiktokなどでもトラブルに関する解説動画を配信している。

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