Facebookの開示請求とは?投稿者特定の手順と特定後の対応を解説

Facebookの開示請求とは?投稿者特定の手順と特定後の対応を解説
弁護士 若林翔
2026年02月03日更新

「Facebookで悪質な投稿をした本人を特定したい」

「Facebookの投稿者を特定する開示請求の手続きの流れを知りたい」

「Facebookの投稿者が特定された後はどのような責任追及ができる?」

Facebook上で、誹謗中傷やプライバシー侵害、なりすましなどの被害を受けた場合、投稿者の特定を求める「発信者情報開示請求」という手続きによって、加害者を特定できる可能性があります。

しかし、Facebookを運営するMeta社は海外企業であり、裁判所を通じて手続きを進める必要があるなど、個人で行うには非常にハードルが高いといえます。また、開示請求が認められるには一定の条件があり、すべてのケースで投稿者を特定できるわけではありません。

本記事では、

・Facebookで開示請求が通りやすいケース
・実際に投稿者を特定するまでの具体的な手順
・法改正により導入された「発信者情報開示命令制度」による迅速化のポイント

などについて詳しく解説します。

SNSでの誹謗中傷や嫌がらせに悩んでいる方は、早期に正しい手続きを把握し、被害拡大を防ぐための参考にしてください。

目次

Facebookで開示請求が通りやすいケース

Facebookで開示請求が通りやすいケース

Facebookでの開示請求は、誰でも簡単に認められるものではありません。裁判所が「権利の侵害が明白である」と判断した場合にのみ、情報の開示が命じられます。以下では、特に開示請求が通りやすいとされる典型的なケースを紹介します。

誹謗中傷・名誉毀損の投稿

もっとも多いのが、Facebook上で特定の人物や企業を侮辱・中傷する投稿です。

「○○は詐欺師」「勤務先で問題を起こした」「犯罪者だ」など、具体的な事実を摘示して社会的評価を下げるような投稿は、名誉毀損に該当する可能性が高く、開示請求が認められやすい傾向にあります。

また、真実であっても公益性がない場合には違法と判断されることもあるため、投稿内容が真実であっても諦める必要はありません。

プライバシー侵害・画像無断使用

個人の住所、電話番号、勤務先、家族構成など、私生活上の情報を許可なく公開する行為はプライバシー侵害にあたります。

また、本人の顔写真や動画を無断で投稿・拡散した場合も、肖像権の侵害として開示請求の対象になります。特に、侮辱的な文言や加工を加えた画像が拡散された場合には、被害拡大を防ぐためにも迅速な対応が求められます。

本人になりすました投稿

本人のアカウントを装って投稿を行う「なりすまし」も、Facebook上で問題となる行為です。

偽アカウントを作成し、本人になりすまして虚偽の情報を発信したり、友人や取引先と交流したりする行為は、名誉毀損・信用毀損・プライバシー侵害など複数の法的問題を引き起こします。

このようなケースも発信者情報開示請求により投稿者の特定が可能です。

ストーカー行為や脅迫的投稿

「会いたい」「どこにいるかわかっている」など、相手に恐怖や不安を与える投稿も、脅迫やストーカー行為に該当するおそれがあります。

実際、ストーカー規制法や刑法上の脅迫罪に抵触する可能性がある投稿については、警察と連携しながら開示請求が進められることもあります。

Facebookの投稿者の個人情報を特定するための開示請求の手順

Facebookの投稿者の個人情報を特定するための開示請求の手順

Facebookで誹謗中傷やなりすましなどの被害を受けた場合、投稿者を特定するためには、法律に基づいた手続きを踏む必要があります。開示請求は段階的に進められるもので、裁判所の判断を経て行われます。以下では、Facebook(Meta社)をはじめとする関係先に対して行う具体的な開示請求の手順をみていきましょう。

Facebook(Meta社)に対するIPアドレス・タイムスタンプの開示請求|発信者情報開示の仮処分

まず最初に行うのが、Facebookを運営するMeta社に対して、投稿時の「IPアドレス」と「タイムスタンプ(投稿日時)」の開示を求める手続きです。

日本国内の裁判所に「発信者情報開示の仮処分」を申し立て、裁判所の命令が出れば、Meta社が保有する通信記録を開示してもらえます。

Meta社はアメリカ企業であるため、英語による翻訳書面の提出が求められることもあり、専門的な知識が必要です。

IPアドレスから投稿者が利用したプロバイダを特定

Meta社から開示されたIPアドレスをもとに、どのインターネットプロバイダ(通信事業者)がそのアドレスを割り当てていたかを調査します。

これにより、投稿者がどの通信回線を通じて投稿を行ったのかを特定できます。プロバイダはIPアドレスと接続日時から、どの契約者が通信していたのかを把握しているため、次の段階ではその情報を得るための手続きに進みます。

プロバイダに対するログ保存仮処分の申立て

プロバイダが保有する接続記録(通信ログ)は、一定期間が経過すると自動的に削除されてしまうことがあります。

そのため、投稿者特定のための情報を失わないよう、裁判所にログ保存を求める仮処分を申し立てます。

一部のプロバイダでは、弁護士名で削除禁止通知を送付するだけで任意にログを保全してくれるケースもありますが、確実を期すためには仮処分による法的手続きを行うのが望ましいといえます。

プロバイダに対する契約者情報の発信者情報開示請求訴訟の提起

最後に、特定されたプロバイダに対して、契約者(投稿者)の氏名・住所などの開示を求める発信者情報開示請求訴訟を提起します。

これは、裁判手続を通じて行われる正式な請求であり、発信者情報の開示を命じる判決が確定すれば、投稿者の個人情報が開示されます。

この段階まで進めることで、Facebook上の匿名投稿者を特定することができます。

【プロバイダ責任制限法改正】簡略化された「発信者情報開示命令」により投稿者の個人情報の特定が可能に!

【プロバイダ責任制限法改正】簡略化された「発信者情報開示命令」により投稿者の個人情報の特定が可能に!

2022年のプロバイダ責任制限法改正により、新たに「発信者情報開示命令制度」が導入されました。この制度により、従来は2段階に分かれていた開示手続きが一本化され、より迅速かつ効率的に投稿者の個人情報を特定できるようになっています。

従来制度の問題点:時間とコストの負担

従来の発信者情報開示は、まずFacebook(Meta社)に対してIPアドレスを開示させ、その後にプロバイダを特定して別途訴訟を起こす「二段階方式」でした。

この方法では、Meta社への仮処分に1〜2か月、プロバイダへの訴訟に3〜6か月ほどかかることも多く、合計で半年から1年近くかかるケースも少なくありませんでした。

また、英語対応の書面作成や、複数の裁判所に申し立てを行う必要があるなど、弁護士費用や手続きコストも大きな負担となっていました。

新制度「発信者情報開示命令制度」の概要

改正法により新設された「発信者情報開示命令制度」では、裁判所が一括してMeta社(SNS事業者)とプロバイダ(接続業者)に対して開示を命じることができるようになりました。

これにより、一つの裁判手続の中で両者からの情報開示を受けられるため、従来のように二段階で訴訟や仮処分を行う必要がなくなります。

さらに、開示までの期間も大幅に短縮され、3〜6か月程度で投稿者の特定が可能です。

弁護士によるサポートの重要性

改正法によって手続きが簡略化されたとはいえ、申立書の作成や証拠の整理、法的主張の立証などは依然として専門的な知識を要します。

弁護士に依頼すれば、これらの手続きをスムーズに進め、消去リスクを防ぎながら最短ルートで投稿者を特定することが可能です。

Facebookの投稿者の個人情報の特定にかかる期間の目安

Facebookの投稿者を特定するまでの期間は、どの手続きを利用するかによって大きく異なります。従来の「二段階方式」では半年〜1年かかるケースも珍しくありませんでしたが、近年導入された「発信者情報開示命令制度」によって、手続全体が大幅に短縮されています。

以下では、それぞれの期間の目安を紹介します。

従来の二段階方式の場合

従来の手続きでは、まずMeta社に対して発信者の「IPアドレス」「投稿時刻(タイムスタンプ)」の開示を求め、その後、特定されたプロバイダに対して契約者情報の開示を求めるという、二段階の手続きを踏む必要がありました。

①Facebook(Meta社)への仮処分申立て:約1〜2か月Meta社への開示請求は英語対応が必要で、書類の準備や送達に時間を要します。仮処分の審理期間や裁判所のスケジュールによっては、さらに長引くこともあります。
②プロバイダへの開示訴訟:約3〜6か月Meta社から得たIPアドレスをもとにプロバイダを特定したのち、契約者情報を求めて訴訟を提起します。最終的に開示が認められるまでに3〜6か月程度かかります。

これらを合計すると、全体で半年から1年ほどの期間を要するのが一般的です。

発信者情報開示命令制度(新制度)の場合

改正法によって導入された「発信者情報開示命令制度」では、裁判所がSNS事業者とプロバイダ双方に一括して開示を命じるため、従来のように手続きを二重で行う必要がなくなりました。

その結果、全体の期間が大幅に短縮され、3〜6か月程度で投稿者の特定をすることが可能です。

開示請求でFacebookの投稿者の個人情報が特定できた後の対応

Facebookの投稿者の個人情報が開示され、加害者を特定できた場合には、被害内容に応じて次の法的対応を検討することができます。以下では、法的対応の内容と注意点を説明します。

投稿者に対する慰謝料などの損害賠償請求

開示請求によって投稿者の氏名や住所などが判明した場合、検討すべきなのが損害賠償請求です。Facebook上の誹謗中傷・プライバシー侵害・なりすましなどの行為は、不法行為に該当するため、精神的苦痛に対する慰謝料を請求できます。

請求方法には、以下の2つがあります。

①任意交渉(示談)による請求投稿者に対して弁護士を通じて内容証明郵便などで請求書を送付し、示談によって損害賠償を求める方法です。比較的早期の解決を目指す場合に有効ですが、投稿者が応じない場合は訴訟を提起することになります。

②損害賠償請求訴訟の提起示談交渉が不成立の場合には、裁判所に損害賠償請求訴訟を提起します。裁判では、投稿内容の違法性、被害の程度、拡散状況、加害者の意図などが考慮され、慰謝料として10万〜100万円程度が認められるケースもあります。企業や著名人の場合は、ブランド価値への影響が大きいことから、より高額な賠償が認められることもあります。

また、損害賠償請求と並行して、削除請求(Facebookへの投稿削除要請)を行うことで、被害の拡大を防ぐことも重要です。弁護士を通じて行えば、Meta社側の対応もスムーズに進みやすくなります。

犯罪に該当するような悪質な投稿は刑事告訴を検討

投稿内容が単なる誹謗中傷を超え、脅迫やストーカー行為、業務妨害、侮辱罪などの犯罪行為に該当する場合には、刑事告訴を行うことも検討すべきです。

刑事告訴とは、加害者の処罰を求めて捜査機関に申し立てる手続きで、被害者が正式に告訴状を提出することで捜査が開始されます。

特に、以下のような投稿は、刑事事件として扱われやすい傾向があります。

・「殺す」「住所を晒す」などの脅迫的投稿
・交際相手にしつこくメッセージを送り続けるストーカー的行為
・虚偽の情報で企業や個人の信用を失墜させる投稿
・名誉を傷つける悪質な侮辱や暴言の繰り返し

刑事告訴は法的根拠と証拠が必要となるため、弁護士が同行して告訴状を作成・提出するのが一般的です。

警察が捜査を開始すれば、加害者の取り調べや投稿経緯の特定が進み、刑事罰が科される可能性もあります。

Facebookの開示請求を弁護士に依頼すべき理由

Facebookの開示請求を弁護士に依頼すべき理由

Facebookで誹謗中傷やプライバシー侵害などの被害を受けた場合、「自分でも開示請求できるのでは?」と考える方もいます。しかし、実際にはFacebook(Meta社)が海外企業であること、裁判所への申立てが必要であることなどから、個人で行うのは非常に困難です。

以下では、弁護士に依頼することで得られる3つの大きなメリットを紹介します。

法的手続きにより迅速に投稿者を特定できる

弁護士に依頼すれば、Meta社やプロバイダに対する発信者情報開示請求を適切な形式で進めることが可能です。

特に、Facebookの運営元であるMeta社への申立てには、資格証明書の取得や英文翻訳書類などの専門的知識が求められます。

弁護士は、これらの実務を熟知しており、最短ルートで投稿者特定を進めることができます。

被害が拡大する前に問題のある投稿の削除請求ができる

Facebookでの誹謗中傷や個人情報流出は、拡散が速いため早期対応が重要です。

弁護士に依頼すれば、開示請求と並行して投稿の削除請求や仮処分による削除命令の申立ても行うことができます。

これにより、被害が広がる前に投稿を削除させ、精神的負担を軽減することが可能です。

個人でMeta社に削除依頼をしても対応に時間がかかることがありますが、弁護士名義での法的請求であれば、早期の削除を実現することができます。

損害賠償請求や刑事告訴の手続きまで一括して任せられる

投稿者が特定された後は、慰謝料請求や刑事告訴など、さらに複雑な手続きが必要になります。

弁護士に依頼しておけば、開示請求→削除請求→損害賠償請求→刑事告訴という一連の流れをすべて一括で任せることができます。

また、投稿内容の違法性を立証するための証拠整理や、裁判所・警察への対応も含めて、専門的なサポートを受けられる点も大きなメリットです。

被害者が精神的に追い詰められている状況でも、弁護士が手続を主導してくれることで、安心して解決を目指すことができます。

Facebookの開示請求はグラディアトル法律事務所にお任せください

Facebookの開示請求はグラディアトル法律事務所にお任せください

Facebookでの誹謗中傷やなりすまし、プライバシー侵害などのトラブルは、放置すれば被害が拡大し、名誉・信用・精神面に深刻な影響を与えることがあります。このような被害に遭ったときは、ネット上の投稿者特定や削除請求に精通した弁護士に依頼することが、もっとも確実かつ迅速な解決方法です。

SNS誹謗中傷案件に強い弁護士が対応

グラディアトル法律事務所は、Facebook・X(旧Twitter)・Instagram・掲示板など、SNS上の誹謗中傷や風評被害に関する案件を多数取り扱っています。

発信者情報開示請求、削除請求、損害賠償請求などをワンストップで対応しており、裁判所やプロバイダとのやり取りもスムーズに進めることが可能です。

また、海外企業(Meta社など)に対する手続き経験も豊富であり、実務上のノウハウを活かした迅速な対応を行っています。

被害内容に応じた最適な解決プランを提案

SNS上の被害は、投稿内容や拡散状況によって最適な対応が異なります。

グラディアトル法律事務所では、被害の性質に応じて「削除請求を優先すべきか」「投稿者の特定を急ぐべきか」など、最適な戦略を立案することができます。

また、ご相談の段階から、費用・期間・見通しをわかりやすく説明し、安心して依頼できる体制を整えていますので、どうぞ安心してご相談ください。

全国対応・初回相談無料で安心

グラディアトル法律事務所では、全国どこからでもオンライン相談に対応しており、遠方の方でも来所不要で手続を進められます。

また、初回相談は無料のため、費用面で不安を感じている方も気軽にご相談いただけます。

誹謗中傷・なりすまし・画像流出など、どのような被害でも早めの対応が重要です。

Facebook上の投稿でお困りの方は、ぜひ一度、グラディアトル法律事務所へご相談ください。

まとめ

Facebookでの誹謗中傷やなりすまし被害に対しては、発信者情報開示請求により投稿者を特定し、損害賠償請求や刑事告訴などの法的対応を取ることが可能です。

従来は半年以上かかっていた開示も、法改正により「発信者情報開示命令制度」が導入されたことで、3〜6か月程度で特定できるケースも増えています。ただし、手続きには法的知識と経験が不可欠であり、個人で進めるのは現実的ではありません。

Facebookの投稿で名誉を傷つけられた、個人情報を晒されたなどの被害を受けた方は、早めに弁護士へ相談し、適切な法的手段で権利を守りましょう。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力。数多くの夜のトラブルを解決に導いてきた経験から初の著書「歌舞伎町弁護士」を小学館より出版。 youtubeやTiktokなどでもトラブルに関する解説動画を配信している。

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