「誹謗中傷や名誉毀損の被害に遭ったため問題のSNS投稿を削除したい」
「XやInstagramなどのプラットフォームごとのSNSの削除方法を知りたい」
「自分のSNSが炎上したため、アカウントを削除したい」
SNSは便利な情報発信・コミュニケーションの手段ですが、誰でも気軽に投稿できる反面、誹謗中傷やプライバシー侵害などの被害に巻き込まれるリスクも存在します。実際に、SNSで根拠のない噂を流されたり、無断で写真や動画を拡散されたりといったトラブルは後を絶ちません。
このような被害に直面したときに検討すべきなのが、SNS投稿の削除手続きです。しかし、ひと口にSNSの削除といっても、プラットフォームごとに申請窓口や削除基準が異なり、必ずしも迅速に対応してもらえるとは限りません。また、削除申請をしても対応されない場合には、裁判所を通じて削除仮処分を申し立てるという法的手続きが必要になるケースもあります。
さらに、投稿だけでなくアカウントそのものを削除したい場合もあるでしょう。その際には、各SNSのルールや削除後のデータの取り扱いについて事前に確認しておくことが大切です。
本記事では、
| ・SNS投稿を削除する必要が生じる典型的なケース ・要プラットフォームごとの削除手続きの方法 ・自分のSNSアカウントを削除する方法 |
などについて詳しく紹介します。
SNS投稿の削除を検討している方にとって、実践的な参考となる内容をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。
SNS投稿の削除が必要になるケースとは?

SNS上の投稿は、人の権利や生活を侵害する深刻な内容を含むことがあります。以下では、SNS投稿の削除を検討すべき典型的なケースを紹介します。
誹謗中傷や名誉毀損にあたる投稿
根拠のない悪口や、事実をねじ曲げた書き込みは、名誉や社会的評価を不当に傷つける可能性があります。たとえば「詐欺をしている」「不倫をしている」といった虚偽の投稿は、名誉毀損罪に該当する場合があります。
また、事実であっても他人の社会的評価を低下させるような事実を投稿すれば、名誉毀損にあたりますので、早期に削除を求めるべきです。
プライバシー侵害の投稿
住所や電話番号、勤務先などの個人情報が無断で投稿されると、生活の安全が脅かされます。いわゆる「特定」「晒し行為」は、プライバシー侵害にあたり、被害拡大を防ぐためにも速やかな削除対応が必要です。
近年では、SNSで個人情報が拡散されることにより、ネット上のみならず現実生活での嫌がらせやストーカー被害につながる事例も報告されています。
なりすまし・偽アカウントによる投稿
他人の名前や写真を勝手に利用して作られた偽アカウントも、深刻な被害をもたらします。本人になりすまして不適切な発言や行動を投稿されると、社会的信用が失われるだけでなく、仕事や人間関係に直接的な悪影響を及ぼす可能性があります。
このような場合には、プラットフォームへ削除やアカウント停止を強く申し立てる必要があります。
無断転載・著作権侵害にあたる投稿
写真・動画・文章などの著作物を無断で転載されるケースも少なくありません。自分が撮影・作成したコンテンツを他人が勝手にSNSに投稿することは、著作権侵害にあたります。たとえ投稿者に悪意がなくても、著作者の権利を守るためには削除請求を検討すべきです。
特に、商用利用や拡散性の高いプラットフォームでの無断転載は被害が大きくなるため、早めの対応が欠かせません。
主なプラットフォームごとのSNS投稿の削除方法
SNS上で誹謗中傷やプライバシー侵害に遭ったとき、多くの方がまず考えるのは投稿を削除してもらいたいということです。しかし、同じSNS投稿の削除でも、プラットフォームごとに申請方法や削除基準は異なるため、手順を知っておくことが重要です。以下では、代表的なプラットフォームごとのSNS投稿の削除方法を詳しく解説します。
X(旧ツイッター)

Xでは、投稿の右上にある「…」から「ポストを報告」を選びます。選択肢の中から「不適切または攻撃的」「個人情報の共有」「著作権侵害」など、問題に当てはまる項目を選択して送信します。
| ・誹謗中傷・名誉毀損人身攻撃や虚偽の情報拡散は「攻撃的な内容」として報告可能です。 ・プライバシー侵害住所・電話番号・顔写真など個人情報が含まれる場合は「個人情報の報告」専用フォームがあります。 ・著作権侵害DMCA(デジタルミレニアム著作権法)に基づく「著作権侵害の報告フォーム」を使用します。 |
削除の可否はXの法務チームが判断します。実際に削除されるまでには数日~数週間程度かかります。

Instagramの投稿右上「…」から「報告する」を選び、理由を指定して申請できます。
| ・嫌がらせや誹謗中傷コミュニティガイドラインに違反する投稿は比較的削除されやすい。 ・なりすましアカウント専用の「なりすまし報告フォーム」があり、本人確認書類を添付することで強制削除に至ることもあります。 ・著作権侵害Metaの「著作権侵害報告フォーム」を使用します。具体的にどの投稿がどの著作物を侵害しているかを明記する必要があります。 |
Instagramは報告から削除までの対応が比較的迅速な一方で、判断基準が厳格なため「削除されないケース」も少なくありません。

FacebookもMetaが運営しており、Instagramと手続きが似ています。投稿右上「…」から「問題を報告」→「誹謗中傷」「なりすまし」「知的財産権侵害」などを選択して申請します。
| ・名誉毀損投稿侮辱や虚偽情報は「嫌がらせ」として報告可能。 ・なりすまし本人確認書類を提出することで投稿の削除やアカウント停止が行われることがあります。 ・著作権侵害専用フォームから申請。企業アカウントなどの場合、商標権侵害として対応してもらえるケースもあります。 |
Facebookは実名制を重視しているため、なりすましや虚偽情報に比較的強い対応を取る傾向にあります。
YouTube

YouTubeでは、動画下の「…」から「報告」を選択し、ポリシー違反の種類を指定します。
| ・誹謗中傷やプライバシー侵害専用の「プライバシー侵害申立てフォーム」から申請します。ただし、被害を受けた人物であることを証明する必要があります。 ・著作権侵害DMCAに基づく「著作権侵害申立てフォーム」を利用します。どの部分が侵害しているかを具体的に指摘する必要があります。 |
運営による判断に時間がかかるため、緊急性がある場合は弁護士を通じた対応を検討するべきしょう。
LINE

LINEでは、LINE VOOM(旧タイムライン)やトークに対する「違反報告」機能を利用できます。また、「LINEヘルプセンター」から削除申請を行うことも可能です。
| ・なりすましアカウント本人確認資料の提出を求められることがあります。 ・トーク内容の削除相手の端末に保存されている内容は強制的に削除できないため、法的対応が必要なケースもあります。 |
なお、グループ内での発言は削除申請が難しい場合もあるため、証拠を残した上で法的手段を検討することも必要です。
TikTok

TikTokでは、投稿の、シェアボタンをタップするか、投稿を長押し、報告するをタップして理由を選択します。必要に応じて、サブトピックを選択し、申請ができます。
| ・プライバシー侵害・誹謗中傷運営の審査後、ガイドライン違反と判断されれば削除されます。 ・著作権侵害専用の「知的財産権侵害報告フォーム」を利用します。具体的な侵害内容を記載しなければ削除は認められません。 |
TikTokは、拡散力が非常に高いため、被害が一気に広がるリスクがあります。早期対応が不可欠です。
自分のSNSアカウントそのものを削除したい場合の方法
SNSの削除といえば投稿の削除をイメージする方が多いですが、場合によってはアカウントそのものを削除したいケースもあります。以下では、アカウント削除の必要性や具体的な手順、注意点を説明します。
なぜアカウント削除が必要になるのか
アカウントを削除する主な理由は、以下のとおりです。
①誹謗中傷被害から距離を置くため
攻撃的なコメントや投稿にさらされ続けると精神的ダメージが大きいため、一度アカウントを閉じて生活を守る判断をする人もいます。
②個人情報の流出を防ぐため
過去の投稿に住所や勤務先などが含まれている場合、削除漏れのリスクを避けるためアカウント全体を削除することがあります。
③なりすまし・乗っ取り被害への対応
アカウントが不正利用されてしまった場合は、強制削除を依頼するか、自分でアカウントを消す必要があります。
④サービス利用をやめたい場合
単純にSNSを使わなくなったり、デジタルデトックスの一環として削除するケースも増えています。
主要プラットフォームのアカウント削除手順
主要なプラットフォームごとのアカウント削除の手順は、以下のとおりです。
①X(旧Twitter)
| ・設定画面から「アカウント」→「アカウントを削除」を選択 ・30日間の利用停止(非表示)期間を経て完全削除 ・期間中に再ログインすると削除がキャンセルされる |
②Instagram
| ・ウェブブラウザから「アカウント削除ページ」にアクセスし、理由を選択してパスワードを入力 ・30日間は「利用停止状態」となり、その後完全削除 ・スマホアプリからは「一時停止」はできるが完全削除は不可 |
③Facebook
| ・「設定とプライバシー」→「アカウントの所有者とコントロール」から削除申請 ・30日間の猶予期間後に完全削除 ・Messengerも同時に使えなくなる点に注意 |
④YouTube
| ・Googleアカウントに紐づいているため、チャンネル単位の削除かGoogleアカウント全体の削除かを選択 ・チャンネル削除は「YouTube Studio」から可能 |
⑤LINE
| ・設定画面の「アカウント」から「アカウント削除」を選択 ・削除すると友だちリスト・購入したスタンプ・トーク履歴がすべて消去され、復元不可 ・アカウント削除=LINE PayやLINE関連サービスも利用できなくなる |
⑥TikTok
| ・プロフィール画面の「…」→「アカウントを管理」→「アカウント削除」を選択 ・30日間は利用停止状態となり、その後完全削除 ・再ログインすると削除手続きは無効化される |
削除後に注意すべき点
アカウント削除は「すべてのデータが完全に消える」とは限らないため、事前に以下の点を理解しておく必要があります。
①検索結果や外部サイトには残ることがある
SNS上から削除されても、すでに拡散された投稿やキャッシュはインターネット上に残り続ける場合があります。
②猶予期間内なら復元可能な場合もある
多くのSNSは、30日間程度の「退会保留期間」を設けており、その間にログインすればアカウント復活が可能です。ただし、LINEのように完全に消えるサービスもあるため注意が必要です。
③関連サービスへの影響
Facebookを削除するとMessengerも使えなくなるなど、連動サービスが利用できなくなるケースがあります。業務や日常で利用している人は、特に確認が必要です。
④証拠保全を忘れずに
誹謗中傷被害など法的措置を検討している場合、削除前に投稿や、やり取りのスクリーンショットを残しておくことが不可欠です。
SNSのプラットフォームが投稿の削除に応じないときの対処法|削除仮処分の申立て
SNSの削除申請をしても、必ずしも運営側が対応してくれるとは限りません。運営会社が海外にある場合やガイドライン違反と認められない場合には、申請が却下されることも少なくありません。そのようなときに有効なのが、裁判所を通じた削除仮処分の申立てです。
削除仮処分とは?
削除仮処分とは、裁判所に申し立てて、問題のあるSNS投稿を削除するよう命じてもらう手続きです。
本来であれば訴訟を提起して判決を待つのが原則ですが、判決確定までに数か月〜1年程度の期間がかかることがあります。その間に投稿が拡散すれば被害は取り返しのつかないものになるため、緊急的に被害拡大を防止する手段として削除仮処分が利用されます。
削除仮処分の申立て手順

削除仮処分は、以下のような流れで進みます。
①証拠の収集
問題となる投稿のURLやスクリーンショット、被害状況を示す資料を集めます。
②裁判所へ申立て
削除仮処分の申立書を作成し、管轄の地方裁判所に削除仮処分を申し立てます。
③裁判所による審理・審尋
申立後、裁判官が申立人と面談する審尋期日が設定されます。申立人は、権利侵害の事実を口頭で説明し、裁判官の質問に答えます。
④担保金の供託
裁判官が申立てに理由があると判断すると、申立人に対して担保金の供託を命じます。担保金は、仮処分命令により相手方に生じた損害を担保するものですが、問題がなければ後で返還されます。削除仮処分の担保金は、数十万円程度が相場です。
⑤削除命令の発令
担保金の供託後、裁判官がSNS運営会社に削除を命じる決定を出します。
⑥運営会社による削除対応
決定に従って、対象となる投稿が削除されます。
SNS投稿の削除を弁護士に依頼するメリット

SNSの削除申請は、誰でもできますが、実際には「削除されない」「対応が遅い」といった問題が生じるケースも少なくありません。そこで有効なのが、専門知識を持つ弁護士に依頼する方法です。以下では、弁護士にSNS投稿の削除を依頼するメリットを説明します。
削除対象の投稿にあたるかを判断できる
弁護士に依頼する最大のメリットのひとつは、削除を求める対象が本当に法的に問題のある投稿なのかを見極めてもらえる点です。
ある書き込みが「単なる意見」に過ぎないのか、それとも「名誉毀損」と評価されるのかは、一般の人にとって非常に判断が難しい部分です。また、事実の公開が許される範囲か、それともプライバシー権を侵害しているのか、正当な引用か著作権侵害に当たるのかといった線引きも複雑です。
弁護士は、このような点を法的観点から整理し、削除申請を行うべき投稿を明確にしてくれるため、効果的かつ無駄のない対応が可能になります。
法的根拠に基づいて削除申請ができる
SNS運営会社に削除を求める際には、単なる感情的な理由では通らず、法的な根拠を示すことが不可欠です。
弁護士が関与すれば、名誉毀損、プライバシー侵害、著作権法違反といった法的根拠に基づき主張を構成しながら申請することが可能です。これにより申立ての説得力が増し、特に、海外企業が運営するプラットフォームであっても、運営側が真剣に対応せざるを得ない状況を作り出すことができます。
仮処分が必要な事案も迅速に対応できる
運営会社が削除に応じない場合には、裁判所を通じて削除仮処分を申し立てる必要があります。しかし、削除仮処分の申立てには、投稿の違法性を立証するための証拠収集や書類作成が欠かせず、一般の利用者が自力で行うのは現実的に困難です。
弁護士に依頼すれば、証拠の整理や申立書の作成、裁判所やSNS運営会社とのやり取りまで一括して任せることができ、スピーディーに削除を実現できる可能性が高まります。
SNS投稿の削除を希望される方はグラディアトル法律事務所まで相談を

SNSの誹謗中傷やプライバシー侵害は、放置すればするほど被害が拡大してしまう可能性があります。自分で削除申請を行っても対応してもらえなかったり、逆に加害者からの二次的な攻撃を受けてしまうことも少なくありません。そのような状況で不安を抱えながら過ごすのは、精神的にも大きな負担になります。
グラディアトル法律事務所では、SNS投稿の削除や発信者情報開示請求に関する豊富な対応実績があります。問題のある投稿が削除対象に当たるのかを丁寧に判断し、運営会社への削除申請から裁判所を通じた削除仮処分の申立てまで、一貫してサポートすることが可能です。また、証拠収集のアドバイスや、発信者への損害賠償請求についても幅広く対応しています。
SNSのトラブルは時間との勝負です。被害をこれ以上広げないためには、できるだけ早い段階で専門家に相談することが大切です。もし「SNS投稿を削除したい」「誹謗中傷にどう対応すべきか分からない」といったお悩みがあれば、ぜひ一度グラディアトル法律事務所までご相談ください。経験豊富な弁護士が最適な解決策をご提案いたします。
まとめ
SNS投稿の削除は、各プラットフォームへの申請で解決できる場合もあれば、削除仮処分といった法的手続が必要となる場合もあります。対応が遅れるほど被害は拡大しやすく、精神的にも大きな負担となります。問題のある投稿を確実に消すためには、法的根拠を踏まえた対応が不可欠です。
グラディアトル法律事務所では、削除申請から仮処分、発信者情報開示まで一貫してサポート可能です。SNSトラブルでお困りの方は、ぜひ早めにご相談ください。
